佐藤七味!!
俺は不思議空間を潜り抜けながら今までの選抜に思いをはせる。
「だるま」
「まねきねこ」
「こけし」
「しょうべんこぞう」
「うらしまたろう」
「うんどうかい」
「天邪鬼迷宮」
「三国ドロケイ」
そして「神罰ババ抜き」
そのすべてを俺は生き残り、ここまで登ってきた。
そう――いつか見た頂の座へ。
「クリアおめでとう。佐藤
振り返るとそこにいたのは今までの選別の真の黒幕。
「アシッド・マナだよ! 」
たどり着いた先――教室――選別の終着点で待っていたのは、
「勝ち残ったのはあなた一人。約束通り『神の力』をあげる」
そう言ってアシッド・マナは掌の内からイガイガのモヤットボールに似た緑色の隕石のようなものを取り出した。
「
アシッド・マナが尋ねてくる。
「何色に見える?どんな形?『
俺は知っている。
コレの元が、アシッド・マナを名乗る少女が気の遠くなるほど昔にたどり着いた「願いが叶う星」であるということを。
「ほら、手に取ってごらん」
言われるまでもない。俺はこれを手にするために、ここまで戦ってきたのだから。
手を伸ばし、触れる。
「……っぁ!! 」
身体が、熱い……! 皮膚が泡立ち脳が焼ける……ッッ!!
「脳内のイメージをコントロールして」
コントロール、する。
「あらゆる経験と感情を思い出して、何が自分を形成してるかを描くの!」
経験。感情。記憶――
――思い出す。思い出す。俺を形成してきた俺の経験を思い出す。
風呂場で足を滑らせ、頭を打って意識を失い、気づいたら赤ん坊になっていた俺。
転生した、この世界が魔法や超能力の存在しない世界だと理解して残念がる俺。
天才と持て囃され、両親に褒められる俺。
高校受験を失敗し、腐ったように日々を過ごす俺。
そして……、
そう。退屈な授業をするから嫌いな、日本史の教師の頭が弾けて、それを間近で見て目を疑う俺。
…………だるま。
「だるま」だ。
あれが出てきて、俺の人生は
クラスの皆が下がる中、俺だけが手を伸ばしてだるまのスイッチを押した。
対して仲の良くもないうるさいだけの連中が死んで、俺だけが生き残った。
体育館で、予言をして、生き残りを操って、シュートさせて生き残った。
予習して、声を探って、こけしの聞き分けた。
生まれなおして、初めて協力して、引っ張った。
運は、ただ天に任せた。
解放されてからは、数か月後に始まる新たな選別に備えてがむしゃらに体を鍛えた。
3か月後、隣を走る奴を投げて正解を確認し、どきょうそう
唐突に始まった地獄変。天邪鬼迷宮をいち早く逆走し
太陽の国で、暴れまわり喚きまくり、“神”の目に留まるように、興味を引くことができるように戦い、生き残った。
そして、最後の
俺は、俺だけが生き残れるように、俺だけが神になれるように立ち回った。「死」の
そうして、残った4人が3人になり、俺が勝ち上がり、残った2人は死んで終わり。
そう。そうして、俺は今ここにいる。ここにいて、『神の力』を手に入れようとしている。
「あなたに与えた『神の力』! 想像できることなら何でもできるよ! 」
手を広げ楽しそうに声高らかに謳うアシッド・マナ。
「さぁ、どうする!?あなたが創る新しい世界はどんなかな♪」
答えない俺にかまわず、
アシッド・マナはくるりくるりと回りがら『神の力』について説く。
「イメージが豊かなほど、『神の力』の可能性は無限大♪
豊かな
想像して。
想像して、そのイメージを目の前に投影する。簡単なはずだよ」
目を開ける。
自分の体を確かめる。
16年間の時を過ごした体。髪の毛の先から足のつま先まで、俺の人生のすべてが刻まれた俺の人生の証。
それを作り替える。
元の俺は、目が悪かった。
元の俺は、腹筋が割れてなかった。
元の俺は、手の爪が割れたまま治らなかった。
元の俺は、親知らずがまっすぐ生えていなかった。
元の俺は、背中がザラザラだった。
「うん? それって誰の姿? 」
アシッド・マナが首をかしげている。単純に俺が作り替えた顔に見覚えがないのか、それともそんな奴はこの世界に作った覚えがないというのか、それはどうでもいい。
「外が、あるんだよな」
それを聞いたアシッド・マナは一瞬驚いた顔をして、にっこり笑った顔で俺に言った。
「そーだよ。あなたが現れたそこの地球、今私たちがいる学校。そしてこの世界の外。
でもでも外には出られない。そこの地球で生まれたあなた達には外の世界を想像する概念がないからねー♪」
笑っているが、笑っていない。
目の奥で底の見えない深く昏い穴のような闇がこちらを睨んでいる。
「あの地球はマナが創ったもので、
あなた自身マナが創った作り物の中のキャラクターでしかないし!
漫画の登場人物が現実に出て来ることができる? そんなことは無理でしょ? つまりそういうことだよ」
それにかまわず俺は記憶をたどる。
元の俺の記憶。
俺があのころ読んでいた記憶。
創造で、想像する。
想像を、想像する。
外の世界を、概念を思い出す。
「外に………」
飛ぶ。外の世界、あの何もない星に、地球のすべてが残された変わらない惑星生命体の元へ飛んでいく。
「意味ないって――」
そうだ、アシッド・マナ。
俺は外に出られる。
俺はお前の世界で生まれたが、お前の世界の記憶だけを持っているわけじゃない。
創られた世界で、想像力を具現化するのが『神の力』なら、俺にとってはこの世界も、外の世界も、等しく創られた世界だ。
それなら――――
「――――アンタ、なんなの? 」
気が付くと、そこは思い描いた通りの何もない広大な地面と漂う球体、場違いな宇宙船がぽつんと放置された「願いが叶う星」だった。
「体が崩れない。よかった」
ひとまずほっと一息つく。
放置された宇宙船、それに乗ってこの星にやってきた大人たちのように消される可能性も考慮していたから、そうならなかったのは幸運というより他ない。ここに飛び出す前に、体だけ子ども時代に戻したのは正解だったらしい。
多分、あのまま死ぬ前の23歳の年齢の肉体じゃあ「
「答えて、アンタは何者? どうしてここに来れたの」
「それは、僕がある意味で君と同じだからだよ」
そう言って僕は手を叩く。手を叩いたのは何となく。そんなことをしなくても創造はできるけど、気分の問題だ。
「なにこれ……『神さまの言うとおり』……? 」
創ったのは全5+21巻の単行本。
「読んでみそ」
そう言って僕は宇宙船に向かう。
後ろで紙をめくる音が聞こえるが振り返ることはない。
地球のすべてを理解する。
まずはそれからだ。
そうして、4億年ちょっとの時が流れた。
最終選抜:神罰ババ抜き
アルフ・Eに代わって③として参加
死亡順:柴村(引いたら死)→イパネマ(引かれたら死)→天馬(時限爆弾)→メルト(引かれたら死)→オスメス(時限爆弾)→ハンナ(声出したら死)→瞬(引いたら死)→天谷(声出したら死)→明石・丑三(引かれたら死・神罰シンクロ)→秋元(引かれたら死) ↓
~~~リリィ・かみまろ・(主人公)残る。
リリィ:ハートの7(引いたら死)
かみまろ:JOKER・ハートの2
(主人公):ダイヤの2(声を出したら死)・クラブの7(引いたら死)
手番:かみまろ→主人公 ハートの2引く
主人公 ハートの2とダイヤの2 捨てる
主人公→リリィ ダイヤの2(引いたら死)引く
主人公 あがり
リリィ 神罰により死
かみまろ JOKERを持って最後まで残り死
佐藤 七味!!
唯一の神さま。
次回、4億年後。二人の神さま。
マナ「暇を持て余した」
ナナミ「神々の」
略