ヴォルクルスはテレビ画面からこちらの世界に出てこようとしたが、そのご立派な角が邪魔で出られず、苦戦している姿に「貞子みたいだな」と感想を述べたら悔しそうに引っ込んだ。
咳払いをした後、「ならば契約書を記してもらおうか。貴様の持っているそのスマートフォンとかいう不便な機械に、メールとやらを送ればよいのだろう」
「いや待ってよ。僕は契約書なんか書いた事ないよ。働いたことないし。それにめんどくさい。今スパロボがゲーム機に入ってるから、その主人公設定と同じノリで頼むわ」
そういってプレステのコントローラーを握る。
「・・・・・・チッ。最近の地上召還者どもは横着極まりないな」
捨て台詞を吐いた後、画面の嵐がふっと消え、同じみの主人公設定画面に移行した。いやーわくわくするよね、最初の設定って。主人公の名前決めるだけで二時間はかかっちゃうもんなぁ~!!
と、[PRESS START]のまま放置していると
[・・・・・・早くしろ]
とメッセージが表示され、同時に右上にタイマーが現れ05:00から04:59とすぐ減っていく。
やれやれ、ロマンのわからぬ神様だ。
名前:サワユキ・ドウナイ
性別:男
年齢:29
・・・・・・あれ?おっかしーな~・・・・・・なーんで本名でリアルのおっさんのプロフィールから変更不可なの??
[勘違いするな。これは転生ではなく召還だ。貴様自身と契約しているのだから、貴様を変容させることなどせぬ]
はぁ~?? マジかよくそったれ・・・・・・14才の美少女がよかったのにぃ~~・・・・・・なんかもうコントローラー投げたくなってきたわ・・・・・・
[・・・・・・ハァ。他の我が影響を及ぼせる範囲では色を付けてやる。そもそも我の力を使えるのだぞ! それくらい我慢せぬか]
ふむ・・・・・・ヴォルクルスといえばスパロボ世界ではラスボス級。確かにゲームの最初っからラスボスキャラを操作できたら気持ち良すぎてヤバいよなぁ。しょうがない、気を取り直すか。
父:いる
母:いる
兄弟:いる
恋人:いない
あれ~恋人を「いる」に設定できないのだけど・・・・・・?
[いたことないだろたわけ。本人に直接関係するものは変容できぬといったろう]
・・・・・・くそったれ。
[各職業を決めよ]
お~、いいねぇそんなこともできるんだ! スパロボじゃできなかったのに
[多少色をつけてやるといったろう。貴様自身は変容できぬが、周りの人間くらいなら多少変容させても契約に支障はないわい]
ふんふん。ならやっぱりエリートにさせようかな!
父:政府のおえらいさん
母:新型ガンダムの開発者
兄弟:ニュータイプ美少女姉妹
[父母はともかくとして・・・・・・貴様近親相姦でもやらかすつもりか?]
うるさい!だまれ!!
[・・・・・・次にいくぞ]
性格:プライドが高いナマケモノ
はいはい、これも変更不可ですねっと・・・・・・もうやめようかな~契約~
[・・・・・・もはや逃さぬ。これだけ入力すれば仮契約にはなろう。貴様と話しておるとイライラして敵わん。今すぐ召還してやるわ!!]
え?なんかすごい怒ってる?
ちょ、まっーー
コントローラーが振動機能のそれを通り越して不気味に踊り出し、テレビ画面に再び嵐が巻き起こる。
それが静まった後、六畳の一室には誰もいなくなり、ただテレビ画面が暗く光っていた・・・・・・
目覚めたら、僕は家の近くの公園に突っ伏していた。夜の芝生は暗く、広い闇があった。
これだけなら今までのはただの夢で、スパロボ世界に召還されたなんて気にはならなかっただろう。
しかし、僕のそばにはヴォルクルス(下半身)が鎮座していた。巨大な蛇に跨がった両腕が鎌の半裸女性。こう書くとわけのわからない化け物でまさに邪神だが、ゲームで見慣れたせいか、それとも契約を結んだせいか、なんとなくかわいく見えた。けっして半裸に魅力を感じたわけではない!
「なんで完全体じゃないんだ? そもそもここは何のスパロボ世界だ? 仮契約ってどういうことだよ」
ヴォルクルス(下半身)は何も答えない。
・・・・・・まぁいいか。今までの引きこもって20年前のゲームをする日々よりは楽しいだろうし。
まずは家に帰ってみるか。この公園は前いた世界と同じようだし、家もきっと同じ場所にあるだろう。
歩き始めると、ヴォルクルスものそのそとついてきた。なんかペットの蛇みたいで可愛いな。大きさはお台場のガンダム並だけど。