仗助に双子の姉がいたらというもしも パート4 第五部へGO! 作:蜜柑ブタ
原作通りっぽい、オリジナル展開。
トリッシュじゃなく、ミナミの方を始末しようとするボス。
ヴェネツィア……、サン・ジョルジョ・マジョーレ島。
ヴェネツイアと本土を繋ぐ唯一の道であるリベルタ橋とは真逆の場所にある、教会だけしかない場所だ。
そこの塔の上にトリッシュを連れてくる。それがこの任務の終わりであるという指示。
そして、ついでのように。
『ミナミ・ヒガシカタを同行させること。』
「えっ? 私?」
「……どうやらすでにパッショーネの本部には、ミナミの存在が知られているらしいな。」
「!」
「ひとつ言っておくが、俺が君の能力について組織に伝えたわけじゃないぞ?」
「ミナミは…関係ないはずよ? だって、身柄を保護するって約束してたじゃない。」
「もしかしたら顔を見たいのかもしれない。あるいは…、確認をしたいのかもしれないな。力について。」
「これで逆らったらどうなる?」
「反逆罪で死あるのみだな。」
「…しょーがないなー。」
「えっ? マジで行くの?」
よっこらせと立ち上がるミナミにナランチャが心配そうに言った。
「私が言うこと聞かなくてみんな死んじゃったら目覚めが悪いもの。」
「お人好しですね。まあ、それは初めて出会ったときからでしょうか。臆病なくせに。」
「…寿命を返すんじゃなかったかな?」
「いえいえ、それについては素直に感謝してますよ。」
「1回殴っていい?」
「なんですか? 落ち着いた途端にえらく強気ですね。あんな弱ってたくせに。」
「あーもう、二人ともやめろって! なあ、ミナミ、ボスに紹介終わったら飯食いに行こうぜ! なっ?」
「……いいよ。」
「えっ!?」
「その代わり、奢ってくれると嬉しいんだけど。オススメがあるならソレが食べたいかな?」
「わ、分かったよ!」
「やったな、ナランチャ。チャンスはあるぜ。」
「?」
「本人全然分かってませんけどね。」
ハテナマークを飛ばすミナミの様子に、ジョルノがポツリッと呟いたのだった。
「お前ら! まだ気ぃ抜くんじゃない! ナランチャはレーダーで周りの注意を払え!」
ブチャラティが怒った。
「ミナミ。今はとにかく従ってもらいたい。いいな。」
「うん。いいよ。」
「ミナミ…。」
「だいじょーぶ。手ぇ繋ぐ?」
「…うん。」
ニコッと微笑んだミナミがトリッシュに手を差し出し、トリッシュはコクリッと頷いてその手を握った。
「えっらい元気になったな。なんか変じゃね?」
「……確かに。」
妙に元気になってるミナミの様子をミスタ達は訝しんだ。
ブチャラティがジョルノに、ジョルノが身につけているテントウ虫のブローチをお守りとして貸してもらった。なお、そのブローチは、ゴールド・エクスペリエンスで生命が与えられており、万が一に備えて探知器として機能するようにされていた。
ブチャラティは、トリッシュとミナミを連れて、塔の上に唯一繋がっているエレベーターに向かった。
「……トリッシュ?」
「あたし…これからどうなるんだろう? いきなりあんた達ギャングに拉致られて…、命を狙われて…、会ったこともない父親に会って…それからどうなるの?」
「…俺の予想だが…、まず君は違う名前になる、顔を整形するかもしれない。身分も戸籍も違う人になり、俺達の知らないところで…きっと遠い国で幸せに暮らすんだ。君の父親はそういう『力』を持った人だ。」
「……そんな都合良く行くのかな?」
「何が言いたい?」
疑問を言うミナミに、ブチャラティは、少し眉間を寄せた。
「これだけ警戒心と用心深い人が……、自分に繋がる最大の要素を、形だけ変えてどこかに隠すだけで済ませるなんて思えない。自分に繋がるルーツを消す方法なんてたったひとつしか無いよ。」
「っ…!」
「ミナミ、トリッシュを不安にさせるな!」
「でも、だいじょうぶ。」
「?」
「はい、コレ。あげとく。」
「何コレ? 青いバラ? 茎が…血みたいに赤いわ。」
「たった1回きりの…究極お守りだよ。コレを…。」
青いバラの花をトリッシュの身体に当てようとした瞬間。
ミナミが消えた。
「えっ…?」
「ミナ…ミ!?」
「血が…!? ミナミ、どこ!? ミナミーーーー!?」
気がつけばエレベーターの床が大量の血で真っ赤に染まっていた。その血の上に、ミナミが渡そうとした青いバラだけが残っていた。
「まさか…そんな、馬鹿な!? ミナミの言うとおりだったのか!? 俺達にトリッシュを護衛させたのは…、自分の正体を完全に隠すために、確実に、自分の手で、自分の娘を始末するためだったのかーーーー!? そしてその死を覆せる可能性を秘めたミナミを連れてこさせたのは、蘇生させるのを防ぐためか!!」
「そんな!!」
「おおおおおおおおお!! 吐き気をもよおす、邪悪とは! 何も知らない無知なる者を利用する!! 自分の利益だけのために利用する事だ!! 父親が何も知らない娘を!! そして、てめーの都合に悪いからと、己の力に苦しんでいるひとりの女を、てめーの都合で!! 許さねぇ!! あんたは、今、再び、俺の心を『裏切った』!!」
ブチャラティは、激情のままにエレベーターの床をジッパーで開いた。
遙か下の方。エレベーターの壁沿いにあるハシゴに、影になっていて顔は見えないが、血だらけのミナミを抱えた男らしき人物がいた。
「予定が変わった! あんたを始末する! 必ずだ!!」
「ブチャラティ!」
「トリッシュ、来い!」
ブチャラティが伸ばした腕にトリッシュは迷うこと無くしがみつき、ジッパーを使ってエレベーターのロープを伝って拘束で降りていく。トリッシュの手には、ミナミが渡そうとしたあの青いバラの花が握られていた。お守りだと言ってくれたモノだから…。だから持って来たのだ。
そして1階に到着し、ジッパーを開けて、開けて、開けて、とにかく先回りをする。
ミナミから滴る血を辿っていき、次に行く場所を推理して先回りした。
ブチャラティは、トリッシュを隠しながら、ミナミを抱えて地下へと階段を降りてくるボスを待った。
トリッシュは、バラの花を握りしめ、必死に気配を殺そうと息を止める。
まだだ、まだ間に合う。ジョルノに治療して貰えば助かるっと、ブチャラティは、己に言い聞かせる。
「ブローノ・ブチャラティ…。そこの柱から出てくるのはよせ。死にたくなければ、娘のトリッシュを差し出せ。」
ボスがすべてをまるで見透かしたかのように静かに語りかけてくる。
「指示通り、我が娘を置いて帰れば。予定していた報酬以上のモノを用意しよう。それとも幹部となったばかりで自惚れたか?」
「スティッキー・フィンガーーー…。」
次の瞬間、スタンドを発動させ、拳で狙った。
だが、その腕を柱の死角から伸びてきたスタンドの手で掴まれ、凄まじい力で逆方向に曲げられる。
「ぐああああああ!?」
「…に…げ……て…。」
ミナミが床に放り出され、血を撒き散らしながら、弱々しい声でそう言った。
「見捨てたりなどしない!」
ブチャラティは、スティッキー・フィンガーズのジッパーで曲げられた腕を殴りジッパーを付けて腕を取り返した。
死角から除くと、すでにボスは消えていた。
「ミナミ!」
「トリッシュ、動くな!」
「でも!」
「理由を知りたい。」
ボスがどこからか語りかけてくる。
「せっかく任務を無事に済ませたというのに…、私はお前の仕事ぶりに尊敬の念を抱いていたのに…、信じられん行動だ! 何が望みだ? 欲が出たか? より多くの縄張りを…、それとも自分の実力を過大評価し、私を追い越せると自惚れたか?」
「トリッシュ…、君の父親など、どこにもいなかった。そう覚えておくんだ。」
「…分かったわ。」
トリッシュの瞳には、怯えの色は消えていた。何かを決意したような強い意志を代わりに宿して。
「トリッシュだと? それが貴様に何の関係がある!?」
「貴様に俺の心は永遠に分かるまい!」
ジッパーで顔から携帯電話を出したブチャラティは、ジョルノに連絡した。
あの時、ボートのところで貰ったテントウ虫のブローチを、すでにボスの衣服に付けたのだ。
そう…探知器として。ボスの位置を正確に掴むために。
『ブチャラティ! ボスは今! 地下納骨堂の螺旋階段下を降りた…ところの約2メートル先、柱のそばにいる!!』
「スティッキー・フィンガーズ!!」
ダメだ
「!?」
オマエは……死…ヌ
「最後だから教えてやろう。」
ブチャラティは、いつの間にかバラバラにした柱の向こう側にいた。ボスがいるはずの場所に。
「お前が、たった今、目撃して触れたもの…、それは未来のお前自身だ。数秒過去のお前が、未来のお前を見たのだ。これが…、我が『キング・クリムゾン』の能力!!」
ダメだ
「『時間を消し去って』飛び越えさせた…!!」
ブチャラティの腹を、背中からスタンド、キング・クリムゾンの手が貫いた。
「誰だろうと、私の永遠の絶頂を脅かす者は許さない。決して! 確実に消え去ってもら…。」
死
「?」
永遠ナル
安息ヲ
「ハッ!」
トリッシュが気づいた。
「なっ!?」
ボスも気づいて見上げた。見上げてしまった。
その天井に、赤い根っこの塊が、まるで巨人のように柱に絡みつき、下を見おろしていた。
「コレは…、コイツは今イタリア全土で噂になっている…!?」
グググ…っと、顔部分らしき部位に、造花のヒマワリの花が咲く。
そこの中心部にある鮮血色の瞳の目が開いた。
「邪視(マロッキオ)!?」
「トリッ…シュ…、目を…見る……な!」
ボスがブチャラティの腹から拳を抜いて勢いよく下がる。
ブチャラティは、腹を押さえて倒れ込みながらトリッシュに力の限り叫んだ。
トリッシュは、慌てて顔を逸らし、血だらけで倒れておりミナミの上体を抱きしめた。
ズルズルと、柱を伝って、赤い根っこの塊が降りてくる。
「逃げ…、トリッ…シュ……!」
「あなたも連れて戻る!」
「俺は…いい…。」
「ダメよ!」
「いいから……! 逃げるんだ…トリッシュ!」
やがて天井から床へと赤い根っこ塊が降りた。
しかし……。
「?」
まるでブチャラティ達を避けるように根っこが蠢きながら不完全な人型のゴーレムのように立ち上がり、誰かを探していた。
まさかボスを? そんな考えが過ぎる。
だがチャンスだと、ブチャラティは、最後の力を振り絞る。
「スティッキー・フィンガーズ!!」
「逃がさんぞ。」
時間が飛ぶ。
だが…。
ガシッとボスのキング・クリムゾンの腕に、不完全な手の形の手が掴んだ。
「!?」
その瞬間、駆け巡る臨死体験の衝撃。
キング・クリムゾンは、その腕を即座に振り払い、ボスはキング・クリムゾンと共に飛び退いて逃げた。
「馬鹿な!? 読めなかっただと? 見えなかっただと!? な、ぜ…、アレは…、飛ばした時間についてこれるのだ!? ーー?」
ポトリッと肩に何かが落ちたのを感じて見ると、造花のヒマワリの花が肩の上にあり、そこに邪視があって、目が合った。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
強烈すぎる金縛りが襲いかかる。
逃ゲロ
「おおおおおおおおおおおお、昇れ、スティッキー・フィンガーズ!!」
ブチャラティは、柱と天井にジッパーを付け、拘束でミナミとトリッシュを抱えて上がっていた。そして天井をジッパーで開きその上に上がった。
「ブチャラティ!」
パソコンを手にブチャラティを探していたジョルノがちょうど来た。
「じょ、ルノ…。ミナミを……。」
「分かっています! ですが、ブチャラティの方が…。」
「俺は、もう…。」
「お願い……、私は後で良いから…。だいじょうぶだから…。」
「出血が酷いわ!」
「いや! 両方とも助ける!!」
ジョルノは、ゴールド・エクスペリエンスで二人を即座に治療した。
しかし…。
「ブチャラティ? ブチャラティ!?」
ブチャラティの顔に生気がなく、目に光が無いうえに脈が無いことに気づいた。
生体パーツを組み込んですべての怪我は治したはずだ。なのになぜ!?
「う…ぅう…。」
「ミナミ!」
「イタタタ…、ジョルノ、助けてくれたの?」
ミナミの方は何の問題なく起き上がった。
「ジョ…ルノ…、アバッキオ達を…呼べ…急いでこの教会から…脱出を…。」
「ブチャラティ!」
ブチャラティの目に光が戻って口を開いてくれた。
ジョルノはホッとし、携帯電話をトビウオに変え、アバッキオ達のいる場所の絵画を破壊させ、彼らを呼び教会から脱出したのだった。
その頃には、教会の地下に現れていた赤い根っこの塊が消えていた。
ミナミを狙ったのは、もちろん蘇生を防ぐためです。
ブチャラティの性格上、必ず来るだろうことは見越していたため、あえてミナミを完全に殺さず半殺し状態で攫い、ブチャラティとトリッシュを誘い出して始末しようとした。
ブチャラティを殺す寸前に追い詰めたところで、赤い根っこの塊と邪視が出現。これによりそれどころじゃなくなり、脱出に成功。
そしてなぜか『時間を飛ばす』能力が通用せず……?
ここから、ブチャラティは、死チャラティですね……。
彼の寿命は、ここで尽きる予定だったのがジョルノにより、生命力を分け与えられて擬似的に蘇生された状態に。これを解決する方法は、ミナミが持っています。