仗助に双子の姉がいたらというもしも パート4 第五部へGO! 作:蜜柑ブタ
そのことを踏まえた上でお読みください。
オリジナル展開です。
最後、邪視を宿した赤い根っこの塊が、リゾットと?って展開かな。
イタイヨぉ
寂シぃヨぉ
置イテイカナイデ
『ワタシ』ヲ
見テヨ
オ願イダヨ・・・
『目』をミテヨ・・・
忘レナイデ・・・
「トゥルルルルルルルルル。とぅるるるるるるるるるる。」
青年と少年の間くらいだろうか。そんな成長期ぐらいの少年が、奇妙な声をあげる。
たった今、タクシーの料金メーターを弄って倍メーターによる詐欺をしようとしたタクシー運転手は、ただ唖然とした。
「電話、電話だ! 着信が来たぞ! どこだ、おい、ドコだよ? あっ、あった!」
そう言ってタクシーの運転席の窓ガラスに張り付けてあったキーホルダーを千切って耳に当てた。
「もしもし! ボス! はい、……えっ、殺さなくていい? 封筒の中身を見てないから? 分かりました。で、ですが、ボス…お言葉ですが、私の見解ですが、コイツは封筒の中身を見てしまったと…。あっ、いや…、ボスの命令なら…。確かにここで面倒を起こすわけには…。」
「な、なんだ…コイツ…、ブツブツって…、ま、まあ、この2万で許してやるよ…。」
少年のことを不気味がりながら、タクシー運転手は、金を奪ってタクシーに乗って逃げていった。
「す、すみません。ボス…、『見張り』は、これから…。」
『見張りはこれからだと!』
『違うぞ! 私のドッピオ!』
『よく見るんだ! だが、ゆっくりだ。そのまま自然に、怪しい行動を取るな!』
『今、見張られているのは…、お前の方だ…ドッピオ!』
岩陰に隠れた、黒い男がひとり…。
「し、知ってる! アイツは…、見たことがある!」
『そうだ。リゾット。裏切り者の暗殺者…、すでにここまで来ていたか。』
『奴も、飛行機の墜落で、トリッシュの実家にあった、このサルディニアの写真の存在に気づいたようだ。』
『来ていることは、私が占い師に聞いていたから予測はついていた…。まず、奴を始末しなければならない。さもないと、トリッシュが来たとき、邪魔をされる。奴を始末するのは、この私だが……。お前の正体は決して奴にバレてはならない。バレずに奴に近づかなければならない、リゾットの能力は私にも謎だからな。では、電話を切るぞ、ドッピオ。』
「はい…。分かりました。ボス…。うぅう…、頭が痛い…。頭痛薬あったかなぁ?」
ドッピオは、キーホルダーを耳から離し、頭を押さえた。
「そうだ! 僕はこれから見張りをしなきゃいけないんだ! でも、さっき近づけって…、何に? そういえばどこから電話してたっけ? あ、そーだ! タクシーの自動車電話だ! あー…、でも、メーター誤魔化されて2万円も取られちゃったよ…。僕ってどうしてこうなんだろう…。」
「俺は、お前に近づかない。」
「ハッ!?」
その瞬間、ドッピオは、足下に刺さったナイフによって前にこけた。そして盛大に倒れた先にあった岩に顔を強打。
「うわああああああ!! イダイ! イダイよぉおおおお! ぢが…、いっぱい~~!!」
「……こっちを見ろ。」
リゾットがいつの間にか、背後に回っていた。
「!?」
「その手をどけろ。それじゃあ顔が見えない。」
「ひぃいいいい! お、お金はありません~~!! さっき取られちゃってもうないんです~~!」
「……気のせいか。『追っ手』かと疑ったが。お前の怯えも無知も、演技では無い、本物だ。この俺をあえて追撃してきた者なら、こんな衝撃を受けた態度は取らない。しかも赤子以上に隙だらけだ。……一般観光客か。」
「ひい! こ、来ないで!」
「お前のことなどどうでもいい。ナイフを拾うだけだ。……!」
ナイフを拾おうと近づこうとしたリゾットだったが、突然足を止めた。
「?」
ドッピオがそれを不思議に思ったときだった。
寂シイ・・・
「チッ! こんなところにまで!!」
リゾットが素早く距離を取り、目をそらす。
「えっ? えっ? ぼ、僕の背後に……?」
ドッピオは、背後にいるモノから向けられている視線の気配に振り向きたくなるが、振り向いたら最後だと同時に感じていて汗をかいて固まる。金縛りではない。
何かいる! それは分かるが、絶対後ろを見たらいけないと本能が警告してくる。
置イテイカナイデ
「な…、なにを?」
置イテイカナイデ
「ひっ…。」
コッチを
見テ
次の瞬間、ブシュッと音が背後から聞こえた。
「!?」
「さっさと立て! そして後ろを見ずに走れ!」
リゾットがたった今何かを投げた体勢で目をそらしていた。
イタイ
「う、うわああああああ!!」
ドッピオの横から、ヌウッと赤い根っこの塊の手が迫ったため、ドッピオは四つん這いになりながら必死に逃げた。ドッピオが逃げた後、ドッピオがいた場所に赤い根っこの塊が倒れ込んだ。
イタイ・・・ イタイイタイイタイイタイイタイイタイタイタイ!!
赤い根っこの塊が顔の辺りを両手で押さえながら、のたうち、転がる。ゴロゴロと根っこの塊が転がり、リゾットとドッピオの間にちょうど来てしまう。そしてリゾットは邪視から逃れるため飛び退き距離が出来る。
『邪視か! よりにもよってこんな時に、この場所で!? ヴェネツィアからここまで…!』
『アレは…、観光客か!? 邪視に殺(や)られたか!』
『コイツのせいで、リゾットから距離が離れてしまった!』
見れば、別の岩陰に倒れている観光客らしき人間の手が…。ピクリとも動いてないので、間違いなく死んでいる。あんなところで不自然に死んでいるということは、間違いなく邪視の仕業だろう。
問題は、邪視によって無関係な人間が次から次に死ぬことじゃない。目を見ると死ぬ。触ると死に誘われる。近距離パワー型キング・クリムゾン……、拳が触れるだけでアウト。しかも時間を飛ばしてもついてくるという要らないオマケ付きときたものだ。リゾットさえ殺せれば、あとはサルディニア島に来る予定のトリッシュ達を殺せると踏んでいただけに想定外過ぎる。
考えろ! 考えろ! この状況を突破する方法を! “自分”に関わる全てを葬るために!
だが下手に時間飛ばして触ったりなんかしたら、その瞬間に死体験の衝撃が脳を襲うのだ。
人間は、錯覚でも死んでしまう。とある実験体に行ったとされる目隠しをした状態で僅かな傷をつけて、水を使って血が流れているのを錯覚させた実験で大量出血したと思い込んだ実験体は死んだ。
“自分”はともかく……、ドッピオが精神的に持つかどうかが怪しい。いや、信頼しているが、ひとつの身体を共有する“二重人格”で、ドッピオの方は己がボスと慕っている者と同一人物だと知らない、そのため死の衝撃に脆い可能性がある。今、ドッピオを失うわけにはいかないのだから。さらに言えば、ドッピオが死んだ衝撃で脳がショック死を起こし、潜在している自分が死ぬ可能性だってある。
いずれにしても邪視を宿した赤い根っこの塊をなんとかしないと、自分自身の痕跡を消す以前に、生き死にがかかっている。島から無事に出られない可能性もある。この邪視(赤い根っこの塊)は、それほどに危険で、今イタリア全土に出没しているのだ。
あまりの恐怖(たぶん邪視を見たか、触って臨死体験させられたかして)でショック死したような死に様になるため、正しく死神と普通の人間達からは恐れられている。
親衛隊の一員だったカルネのスタンド、ノトーリアス・Bigのように死んでから動き出す自動操縦型のスタンドとも違う。ドッピオを通して見ている赤い根っこの塊は、イタイイタイっと子供のような声を上げてのたうっている。ポルポのブラック・サバスとも違い、明確な意思や感情がある証拠と取れるかも知れない。
しかし、やがて痛がるのをやめて、不完全な人型がむくりと起き上がる。リゾットの方を見ているようだ。リゾットは必死に目をそらして邪視から距離を取ろうとしている。暗殺チームの情報網ならとっくに邪視の存在は耳に入っているだろう。だからあれほどに恐れているのだ。
このまま邪視にリゾットを始末させるよう仕向ける? いや、癖の強い暗殺チームをまとめていて、これまで失敗したことがないリゾットだ。組織のボスにも見せたことが無いスタンド能力で掻い潜って、先にトリッシュやトリッシュの実家に行く可能性がある。可能性は必ず摘まなければならない。
その時、ドッピオの人格の内側に潜んでいるボスは、あることに気づいた。
そういえば、ドッピオの背後にいた邪視の目を貫いたのは、リゾットではないかと。先ほど明らかに何か投げた動作の後が見られた。
もしや?っと考えていると、ギョロリっと赤い根っこの塊の頭の辺りが180度回転して再生した邪視がドッピオを見ようとした。
ドッピオの目と邪視の目が合いそうになった時。ドスドスと赤い根っこの塊の後頭部辺りに無数の刃物が刺さった。
「逃げろと言ったのが、聞こえなかったか、小僧!」
リゾットが怒鳴る。
リゾットの衣装のどこからあんな数の刃物が出たのかは分からないが、それがスタンド能力なのだとしたら好都合ではある。邪視を利用して観察し、隙を突いて殺せば良いのだから。
「う、うあああああ!」
ドッピオが竦み上がって目を硬く瞑り、頭を抱えた。するとリゾットの舌打ちが聞こえた。
イタイよぉ
寂シイヨぉ
『ワタシ』ヲ
見テよ
「クッ…、コイツは不死身か!」
ドスドスだの、ブシュブチュだのと変な音が聞こえ続ける。
永遠に続くのではないかというほど続く不快な音はやがて不意に止まる。
「……女?」
リゾットのその言葉を最後に、音は消えた。
潮風が吹き抜ける音だけが耳を澄ませば聞こえる。ドッピオが恐る恐る目を開けた。
そこには何もいなかった。もちろんリゾットもいない。赤い根っこの塊も跡形も無く消えていた。
「消えた…? なにが? どうしたんだ?」
ドッピオはキョロキョロと周りを見回す。
やがて自分以外なにもいないことを確認すると、そのまま尻から地べたに座り込んだ。
「はあ~~~、一時はどうなるかと思った。ん? それより僕は大切な任務があったんだ! そっちを優先しないと!」
ロォォオオオオ
「えっ?」
奇妙なうなり声とも、うめき声ともつかないような変な声が聞こえた。
ロオオオオォォオオオド
「ど、どこ!? どこだ!? どこにいんだよぉ!? こ、怖くなんかないぞ! 出てこいよ!」
『『ワタシ』は、オマエに近ヅカナイ』
「!?」
聞き覚えのある台詞と共に、無機質な声の質になってしまったリゾットの声が聞こえた。そちらを大慌てで振り向くと…。
「うわあああああああああ!?」
ドッピオが思わず悲鳴を上げた。
そこにはリゾットが立っていた。だがリゾット…なのか?っと問われると答えに困る有様だった。
右目から露出した黒目が多いリゾットの目が垂れ下がり、そこからニョロニョロと赤い根っこが生えて動いている。
「こ、これはあああああああああ! 乗っ取ったのか!? アレ(邪視と赤い根っこの塊)がその男に寄生したのかああああああああ!? とぅ、トゥルルルルルルル!」
不意にドッピオの目がギョロギョロと蠢き、口から電話の音のような言葉が出てくる。
「ぼ、ボス! 大変だ! 大変だよ! 電話、電話どこだ!? あった!」
ドッピオは、その辺に落ちていた、造花のヒマワリの花を拾って耳に当てた。
「ボス! ボスぅうう! 邪視が、あの根っこみたいなのが、リゾットを!」
『落ち着くんだドッピオ。落ち着くことが大切だ!』
『お前が今置かれている状況は、好機だ!』
『リゾットは、邪視に食い殺されたのだ!』
『放っておけばあとは…。』
『お前…、俺の名を…知ってるのか?」
声がリゾットのソレに戻った。
ドッピオは、ハッとして慌てて口を手で塞ぐが、その瞬間、凄まじい吐き気が襲い、食道から口までせり上がる凄まじく硬い物と鉄の味が一気に広がり、ドッピオは大量のカミソリの刃を血と嘔吐物と共に吐き出した。
「そ、想定外にも…ほどがあるが……、不思議と…悪くないな。これで……チームの仲間の仇も、ボスの首も取れるのならナ!!』
「!?」
『気づかれた!?』
『ドッピオ! お前には、我がキング・クリムゾンの右手とエピタフを貸し与えていることを思い出せ!』
『そして予測するのだ! 次の行動を! 未来の動きを!!』
『ム…ダ…だ……。『ワタシ』の力…ある限りなぁ!!」
距離を詰めてきたリゾットが、ドッピオの右手首を掴んだ。その袖からズルズルと赤い根っこが生えてきて、ドッピオの右手首に絡まった。その瞬間、死の衝撃がドッピオの脳を襲う。
脳を襲う衝撃に白目をむきかけるが、ドッピオは気合いを振り絞ってキング・クリムゾンの右手でリゾットの手と赤い根っこを振り払った。
カミソリの刃を吐き出したばかりで鉄の味と、胃液の味を堪えながらリゾットの胴体に蹴りを入れて引き離した。
その衝撃でブラブラしていたリゾットの右目が千切れ、落ちた。
リゾットの右目が千切れた後、空っぽになったリゾットの右目から流れ出た血から、小さなスタンド群が現れ、ロォオオオだの、ロォオオオオドだのと声をあげる。そのスタンドと共に踊るかのように赤い根っこが少し生えて、ユラユラと揺れていた。
「ブルー・ブルー・ローズか…。キミ…ナマエ…、『メタリカ』…。』
『永遠ノ…安息ヲ……。ボスを殺し、お前の危惧する危険を取り払ってやろう!」
リゾット・ネエロに寄生した、邪視を宿した赤い根っこの塊は、ひとりの娘を守るため、降りかかる脅威が同じであったことから共闘することで同意したのだった。
後半の寄生されたリゾットの喋りの部分の“『』”と、“「」”は。
“『』”が邪視の方で。
“「」”がリゾットの人格です。
前と後ろが両者入れ替わり立ち替わりしている表現です。
精神は別々に存在し、倒すべき相手が同じだったということで寄生されていながら共闘関係が成立。
結果、リゾットは、キング・クリムゾンの時間の飛ばしの耐性と、赤い根っこと邪視が宿す『死の衝撃(臨死体験)』の力を借りることが出来るようになった。
なんで、こんな展開になったかというと、ブチャラティ達とぶつけたかったからです。リゾットを。