仗助に双子の姉がいたらというもしも パート4 第五部へGO! 作:蜜柑ブタ
流血注意!!
あと、原作通り死んじゃう人がいます。
最後まで悩みましたが……、必ずしもすべての運命を覆せるわけじゃないということにしました。
怖っ!!
まずその殺気というか怒気の凄まじさに、感じた者はまずそう思う。
ポンペイでの一件の時より、明らか怒ってる。
そりゃ、あんな逃げかたされた上にそれから中々見つけられなかったことを考えたら、怒りも積もるというものだ。あと、シーザーと再会したあとに見られたミナミの不安定さも、彼と親しかったことが窺えるし、最初こそ善意でうっかり取ってしまった寿命をジョルノに返すためにブチャラティ達の所に来ただけだったのに、こんな状況になったのだ。完全に誘拐も同然だし、怒って当然だし……。
「てめぇら…、覚悟は出来てんだろうな?」
バキボキと拳を鳴らすシーザー。
「あの…、今ちょっと立て込んでまして…、それが解決してからで良いですか?」
「ジョルノ!?」
「知ってるさ。見てたからな。」
シーザーは、膝をついているリゾットを見た。
リゾットは、立ち上がり、シーザーを見る。
「目を見るな!」
ブチャラティが叫ぶ。
「ああん? 知ってるぜ、それぐらいよぉ。けどなぁ…、今の俺にゃ効かねぇよ、んなもん。」
「!?」
「ふぁっ!?」
「怒りが限界突破してるからか!?」
ブチャラティ達…、否、ミナミを探すために積もらせてきた怒りが気合いとなって邪視をはね除けているらしい。
なんて奴だ…。っというのがブチャラティ達の心の中で一致した言葉だった。
頭の回転が良いブチャラティは、ふと考え至る。
この状況を打破した後……、トリッシュは見逃してもらえるだろうが、自分達はどうなる?っと。するとジョルノと目が合った。どうやらジョルノも同じ事を考えていたらしく大汗かいていた。
「ジョルノ…。」
「……怪我を治してから…、素直に殴られましょう。」
ナランチャ達に聞こえるようワザと大きめに言ったジョルノの言葉に、トリッシュを抜くナランチャ達は、ええっ!?という顔で青ざめていた。
「喰らえ、メタリカ!!」
「シャボンランチャー!!」
見ると無数のナイフやメスなどの刃物と、シャボン玉がぶつかる瞬間だった。
シャボン玉に当たると、バチンッと音を立ててすべての刃物が弾かれる。だが弾かれた刃物が、グルンッと方向転換してシーザーの方を向き、宙を浮く。
「そのシャボン玉がお前の能力か? だが、俺のメタリカには勝てんぞ。」
「こりゃーまた妙ちくりんな能力だな。お前の軽装に入る刃物の数じゃない。……その場で造ったか?」
「鉄分とは…、この地表に出ているもっとも多い物質だ。」
「なるほど。お前のスタンドは、その鉄分を操るスタンドか。」
「その通りだ。」
「鉄分は血液中にも流れてしな。だから身体の内側からカミソリやら針を出せたわけか。」
「……フッ。タネが分かったところで、手遅れだ。」
「?」
「鉄分が体外に出過ぎればどうなるか…、お前達は知っているか? ……血液が、おぞましい黄色になって死ぬ。」
シーザーがハッとしてジョルノ達を見ると、さきほど大量のカミソリや針を吐き出したアバッキオ、ナランチャ、ミスタの様子が明らかにおかしくなっていた。足に力が入らないのか膝をついて、荒い呼吸をし震えている。
「組織を裏切ってからロクに喰ってないだろう? 血が赤いのは、鉄分の成分だ。鉄分とは、脳から足先指先まで酸素を行き渡らせる役割のある重要な栄養素。それを一気に失えば、いくら呼吸をしても酸素は取り込まれず、身体に行き渡らず、やがて身体は死人となる! シーザーとか言ったな? お前の相手をしながらでも、ブチャラティ達を殺すのは造作でも無いということだ。」
「ジョルノ! なんとかして!」
「そうしたいのは山々ですが…、特定の物質だけを減らされるのは、僕の生体パーツを作る能力では…。血液をすべて交換すればなんとかなるかもしれません…、でも…。」
「その前の、お前の残る右手を切り落としてやろう。」
ジョルノは、まだ体内でひとつのハサミを生成されただけだ。だから鉄分はまだ十分ある。だが大量の鉄分を失った仲間を助けるにはリゾットとの距離が近すぎるのだ。しかもジョルノは、現在左手を切断されている。
すると。
「…やれるもんならやってみな。」
シーザーが真顔でそう言ったため、リゾットもブチャラティ達も目を見開いた。
「強がりか? やらないとでも思ったか?」
「そんなことはないぜ。お前はやるといったらマジでやる奴だ。」
「っ…。」
なんだ? このシーザーという男の妙な自信のようなものはっと、リゾットは思った。
シャボン玉の力は確かに相当なものだ。だが今の状況を打開できるとは思えない。何かあるのか?
そういえば、この男…スタンドを出していないのも気になる。もしやメタリカと同じ体内に潜むタイプかとも思えた。
「おらぁ! 出来ねぇのか!? さっきのハッタリか!?」
「くっ…! 死ね!!」
キュ~
「ハッ? グハッ!?」
ジョルノの右手の皮膚の下にハサミを生成した直後、白い塊が飛んできて、トラックにでも轢かれたようにリゾットの身体を吹っ飛ばした。
「い、イルカ!? 白イルカ!?」
「俺のスタンド、『バブルリング』だ。」
トラックにでも轢かれたように吹っ飛んだリゾットだったが、ゾンビみたいにユラリと起き上がる。
太った白イルカに鎖や縄のようなモノが絡みついた姿のバブルリングというスタンドは、シーザーの傍に来て、キュ~だの、キュイ~だのと、高い鳴き声を出しながらすり寄った。
「……無意味だ。お前が今更スタンドを見せたところで、なあ!!」
凄まじい数の刃物が…。
しかし刃物の形はデタラメだった。
「!?」
「……当たれば痛いかもしれないが、斬れ味がなきゃ、刃物としての殺傷力はない。…捻らせてもらったぜ。お前の思考の一部を。」
「ねじる? しこう…?」
「俺のスタンド、バブルリングの能力だ。あらゆる物、空間、思考さえも捻って形を変えさせる。まあ、空間については、一時的なものだが、投げてきた物をあらぬ方向に飛ばさせるって芸当はできるさ。現に、お前のメタリカって奴で造ったはずの刃物がおかしな形になってるだろ? 正常に造ったつもりがな。」
「そんな馬鹿な…。」
「現実だぜ。バブルリング!」
バブルリングが口から輪っか型の泡を吐き出した。
その輪っか型の泡を指で器用に操り、小さな泡に分けて自身の周りに浮かせた。
「シャボンランチャー!!」
そしてそれをリゾットに向けて飛ばす。
リゾットは、正常に生成できない刃物を造り、シャボン玉にぶつけて破壊した。
だがうちのひとつのシャボン玉が、左腕に当たる。その瞬間、固結び型されたヒモみたいに腕が捻れる。するとブチュ、メキメキとリゾットの左腕が内側から裂け、そこから赤い根っこが飛び出してきた。しかしリゾットは苦痛の苦の字も感じていないようだった。
「……痛覚さえ失ったか。そんな有様になってまで…。」
「例え…この身が朽ちようとも、せめて道連れを作るまでだ!」
リゾットはそう叫び、身体のあちこちから赤い根っこと、血を吹き出しながら右手をジョルノ達の方へ向けた。
だがその右手は、肘辺りから突如溶けるように崩れて地面に落ちた。
驚愕したリゾットだったが……。
「ああ……、そうか……、食い尽くしたか…、俺を……。」
「お前…!」
リゾットが何かを悟ったような顔になり、両膝をついて項垂れた。
「せめて…せめて地獄にボスを送りつけたのが、仲間への弔いになったか……。俺達は……栄光を掴みたかった……。……? なに?」
両膝をついて項垂れていたリゾットがある方向を見た。
「馬鹿な……、殺したはずなのに………、そんな…。ツメが甘かった……。すまない……すまない、みんな…。」
「おい、何を言って…?」
「……ボスは、生きている。暗殺……しそこ……ね、た………。」
「ボスが生きている!? この島にいるのか!」
驚愕するブチャラティ達だったが、リゾットはドシャッと地面にうつ伏せで倒れ、そのまま服だけを残して肉体が血と同じ色に溶けて、赤い根っこと共に消えた。
静まりかえったその場に、空しく潮風だけが吹く。
ジョルノは急いで左手を治し、血液を作ったりなどして仲間の治療をした。
「ナランチャ! 呼吸を確かめろ!」
「もうやってる! け、けど、ちっちゃい呼吸しか無いよ! トカゲとか…カエルとか…鳥とか、なんか小動物みたいな?」
「不自然な動きをしている呼吸を辿れ! アバッキオは、ムーディー・ブルースで15年前まで遡れ!」
「了解。」
そうして島に来ているはずのボスを見つけることと、ボスの過去を探る組に別れた
アバッキオは、特にボスの過去を探ることができることからジョルノとミスタが護衛にあたった。シーザーはカメの中に案内され、眠っているミナミに会わせている。なお理由は、ジョルノ達を見てるとすぐ殴りたくなるから…だった。
用事が済んでからシバかれる予定ではある。
しかし。
この数分後に、アバッキオが死んだ。
何かパワー型スタンドと思われる攻撃で腹を貫かれて。彼の死に様は、実に安らかだった。不自然であるほど。
だが、アバッキオのムーディー・ブルースの再生(リプレイ)はすでに終わっていたことを示していた。それは彼が死んでもなお握りしめていた建造物の欠片。
それがアバッキオがムーディー・ブルースにより再生をさせていた場所の裏側の物であることが分かり、そして……そこに男の顔と手のひらの後がハッキリと残っていたのだ。
それが15年前のボスの顔と指紋であり、アバッキオが命をかけて残したボスに繋がる最大の証拠であった。
それは、かつて警官だったアバッキオが死んだ同僚から受けた言葉。『真実に向かおうとする意志』。それがなせたことなのかもしれない。
……ところが、アバッキオの命と引き換えに得た情報は、空しく空振りする。
不正アクセスして過去の犯罪者履歴、死亡者などの情報からはまったく該当者がいないのだ。ボスが徹底的にそれらの情報を消したとしか思えないほどあまりにもかすりもしない。
やはりボスを討ち取れないとか…っという凄まじい絶望の空気がカメの中に充満しかけた時だった。
『コロッセオ。』
『コロッセオ。』
「この声は…。」
「見て、パソコンから!」
「ブルー・ブルー・ローズだと!?」
カメの中で開いていたノートパソコンにブルー・ブルー・ローズが生え、そこから声が聞こえてきていた。
『オイデヨ。ミナミ。待ッテルヨ。』
『コロッセオ。』
『イッパイ咲カセテ、待ッテルヨ。』
『アゲルよ。アゲル。“矢”をアゲル。』
『コレは、君のモノダヨ。』
「なにを…言ってるんだ?」
「ミナミ…、まだ寝てる…。」
ミナミの方を見ても、まだ寝ていた。
『コロッセオに、……ミンナ、オイデヨ。』
『ディアボロにも、聞カセテルヨ。』
『オイデヨ。ミンナ。』
『来ナイノナラ……、ミンナ、死ンジャウヨ?』
『“矢”の可能性の向コウ側…。』
『オマエも死ンジャウヨ? ディアボロ…。』
「ディアボロ?」
「さっきからおかしい…。ブルー・ブルー・ローズがここまでハッキリと物を言うなんてな。」
「ディアボロは……、ボスのことだよ。」
「ミナミ!」
ソファーで寝ていたミナミがやっと目覚めた。
ゴシゴシと右目を擦りながら、眠りすぎのせいで痛い頭を押さえる。
「なぜそんなことが分かる?」
「分からない……、頭の中に…、今、ブルー・ブルー・ローズが教えてくれた。この話…、ディアボロだけじゃなく、ポルナレフさん達にも…。」
「なんだと!?」
「分からないけど…、パソコンのネットワークに根を張ってそこから配信しているみたい。ディアボロは、矢の可能性も知らかったみたいだけど、これを聞いたし、あとアバッキオが残したデスマスクのことも…。だから、とんでもない災いを解き放とうとしてる。そうでもしなかったら、ブチャラティ達を止められないから。だから……絶対に使いたくなかった手を使おうとしてる…。無関係な人間を所構わず巻き込んで、組織に大打撃を与える可能性もあるのに…。」
「“矢”とは、ポルポが使っていた、あのスタンドを目覚めさせる、“矢”のことか?」
「たぶん……。なんで私に分かるのか分からないけど、その先があったんだ。ただスタンドを目覚めさせるだけじゃなく…、より高みへ……。それに選ばれれば、世界さえ……。うっ。」
「ミナミ、無理をするな。」
「シーザーさん…。」
「“矢”の可能性だの、んなこたぁ、お前には関係ないことだ。考えすぎるな。」
「いいえ…、先ほどのパソコンから聞こえた声を聞いてなかったのですか?」
「……聞いてたさ。けどな…。これ以上、ミナミを苦しめたくないんだよ。たかが望まない力を持っちまっただけの娘がこんなことに巻き込まれなきゃならない?」
「……声…、ブルー・ブルー・ローズは、ミナミにおいでと言っていました。コロッセオ…に。」
「みんな、おいで。ともな。その“みんな”というのが、俺達や、ボス……ディアボロのことだとしたら、集合させようとする意図が分からない。ミナミ。何か分からないか?」
「……ごめん。これ以上は……ただ、私達、そしてディアボロも、ポルナレフさん達もみんなを誘っているのは確か。でも、なんの目的があるのかは…。」
「……コロッセオか。ならサルディニア島から、そのままローマに上陸する必要があるな。」
「行くの?」
「行くしかない。……ボスが来る可能性に賭けるしかないだろう。」
『来ルヨ。来ルヨ。ディアボロは。』
『怖ガッテルヨ。見ツカルコトを。』
『でも、モウ、無理。』
『知ッチャッタ。知ッチャッタ。』
『“矢”を欲シガッテルヨ。』
『ディアボロに会イタカッタラ…、オイデヨ、コロッセオに。』
「……あなたは、なにを考えているの?」
『……来タラ…教エテアゲル。』
そしてプツンッとパソコンの画面が消えた。
コロッセオ。
そこにイタリア全土を恐怖に陥れていた邪視を宿したブルー・ブルー・ローズの正体。
そしてその目的が明かされるのだろうか?
ジョルノ達は、僅かな希望なのか、巨大な絶望への始まりなのか分からない、パソコンから歌うように聞こえてきた声に従い、コロッセオを目指すことを決めたのだった。
リゾットに寄生したことで、急速進化した、邪視こと、ブルー・ブルー・ローズの分身(?)。
リゾットとアバッキオは、ここで死ぬことがすでに確定されていたため、どんな形であれ命を落とす運命にありました。青いバラの花を入れていたなら話は別でしたが……残念ながら……。
ここから、コロッセオに向けて物語が動き出す。
そして、あのゲスコンビが登場して大惨事が……。いや、もう邪視のせいで大惨事ではありますが。