仗助に双子の姉がいたらというもしも パート4 第五部へGO! 作:蜜柑ブタ
あと、5部キャラとミナミにフラグが?
あと、オリジナル展開。
ミャアミャアと、ウミネコが鳴いている。
「……で? なぜ私は縛られているのでしょうか?」
「そりゃお前…、いきなり俺らのヨットに飛び乗ってくるからだろうが。」
ミナミは現在海の上。
正確には船…ヨットの甲板の上だ。
そして現在、ジョルノを含めた若い男達に囲まれている。
「いや、だって…出航寸前だったんだもん。焦って…つい…。」
「だったもんじゃねぇよ! あの距離を飛ぶか普通!?」
「走り幅跳び選手でもあそこまでの距離は飛べませんよ。」
「ジョルノを見つけたから仕方なくだよ!」
「知り合いか? ジョルノ。」
「……まあ、なんというか…。」
「用件だけ済ませたら泳いででも帰るから、とりあえずこのロープを外してほしいんだけど。」
「だからその用件について聞いているんだ。なぜ話さない?」
「面倒くさいから。」
「このアマ~! 舐めてんのか、あぁん!?」
「いいから聞けっての、この分からんちんめ!」
「なんだとコラァ!!」
「……。」
「ナランチャ? どうしたんだ?」
「…なに?」
ジーッとミナミを見ていたナランチャがミナミのすぐ傍にしゃがんで…。
いきなり胸を掴んだ。
「んぎゃ!?」
「ちょっ、なにやってるんですか!?」
「えー、だって本物かどうか分かんなかったからさ~。」
「で? 本物か?」
「ビックリ! 本物!」
「おお~! これ何カップだよ!?」
「悪かったわね…。育ちすぎで…。」
「それで? 僕を追ってきた理由は何です? それぐらい話してくれてもいいじゃないですか。ここまで追ってきたのなら。」
「まずは、私を解放して、じゃないと終わらない。返せない。」
「だから、なにを返すと?」
「いいから。」
「話になりませんね。」
「……分かったわよ。言えば良いんでしょ?」
「最初からそうしてください。」
「返したいのは、あなたの…寿命だよ。」
「じゅみょう? 僕の?」
「そう。あなたの生きられる年数。」
「……つまりお前もスタンドが使えるのか?」
アバッキオがふと聞いた。
「そうだよ。」
ミナミはあっさりと白状した。
「私のスタンドの能力は、生命から寿命を奪い、花の形に変える能力。ジョルノ、あなたが置き引きしたとき、私はうっかりであなたから一桁分の寿命を取っちゃったの。」
「ひとけた!?」
「えーと、ひとけたって、どんだけの数だっけ?」
「一桁は、10円以下の1円って言えば分かるか、ナランチャ?」
「ジョルノ。あなたの寿命は、もし90年生きられるのだとしたら…最長で9年しか生きられない状態なんだよ。9年を過ぎたらどうやっても死ぬ。」
「それで……戻そうと?」
「そうだよ。ほとんど飲み食いも、寝もせず、ずっと!! あなたを追いかけてたんだよ! やっと追いついたと思ったらこの通りだし…。」
「…どうすればいいんです?」
「私の手であなたの寿命をソメイヨシノの花にした物を返す。それしかないの。だからロープを外して欲しい。」
「……分かった。」
「おい、ジョルノ。」
「不審な行動はさせませんから、ご安心を。僕の寿命を戻す以外のことをすればすぐに海に…。」
「別に何もしないわよ。それは神に誓っていい。」
「そうですか。では、外しますね。」
ジョルノがミナミからロープを外した。
ミナミは、立ち上がり、懐からソメイヨシノの花を取り出した。
「これがあなたの寿命を凝縮した花。今から返すからジッとしてて。」
「早くしてください。」
「はい。終わり。」
スッとジョルノの胴体にソメイヨシノの花を押しつけるとパッと光りとなって消えた。
「えっ? もう終わりですか?」
「ジョルノ、身体はなんともないのか?」
「ええ、なにも…。」
「そりゃそうよ。寿命を取られた段階で気がついてないんだもん。自覚症状は無いんだから。じゃ、終わったから私は陸地に帰るわ。」
「待て、まさか本当に泳いで帰る気か?」
「そうだけど?」
「まあ、待て。どうせだ、このまま乗って行けばいい。そこで降ろしてやる。」
「ブチャラティ? 何言ってんだよ?」
「そうだぜ、今から俺ら何処に行くのかは教えて貰ってねぇのによぉ。」
「そうだな…、陸地ももう遠く離れた。」
そこからブチャラティは、ポルポが自殺したことを語り。そしてその遺産を回収しに行くことを彼らに告げた。
その資産額は、100億リラ(約66億)だと。
そしてその隠し場所は自分が知っていること。(自分が命令されて隠したから)
その遺産があるのは、今から行くカプリ島であること。
その金で組織の幹部の座を取ると。
「……えっ、お兄さん達、なに? 悪い人?」
「ギャングですよ。」
「わー…、それ私聞いちゃったけど、いいの?」
「良くは無い。だがあえて聞かせたんだ。」
「はっ?」
「旅行客のようだが、こうなってしまってはもうイタリアからは…。」
次の瞬間、ミナミの身体が後ろのヨットの甲板の囲いの後ろへ倒れた。
「あっ!」
「お、おい、マジか!」
それを引っ張り上げようとしたがミナミの姿が消えていた。
「消えた!? 馬鹿な!」
「おい、見ろ! なんだこの赤い植物は!?」
「スタンドか!?」
『ギエエエエ!?』
甲板のあちこちから、鮮血色の植物の根っこが出現したことに驚いていると、どこからか、ジョルノ達以外の悲鳴が聞こえた。
そして、メリメリと船が変形を始める。
「これは…、船が二隻だと!?」
まるでペラペラの紙のようにペッちゃんこになっていたもう一隻のヨットが出現した。そして、そのもう一方から赤い根っこがブワッと飛び出し、一人の男が転がり出てきた。
その手に、ペラペラになったミナミを抱えて。
「貴様…、組織の人間か?」
「ハッ!?」
男がハッとし顔を上げた。
「なるほど、ポルポの遺産を狙って俺達をつけてきた口か。けど、欲を出してその女に手を出そうとして失敗したわけだ。」
「あ…あぁ…。」
男、ズッケェロは、ガクガクと震えた。
その後のことは、もはや言葉に出来ない大惨事。
あとズッケェロが倒されたことで、ズッケェロのスタンド、ソフト・マシーンによりペラペラにされたミナミも元に戻った。
なお、ミナミは、ジョルノに寿命を返せたことで気が抜けそのまま深い眠りについてしまった。
「ブチャラティ? なにを考えて…。」
「ほんの風の噂程度だが……、奇妙な能力を持つ娘が極東の島国にいるとな。その娘の力は、死人すら蘇らせられるそうだ。」
「まさか?」
「真実かどうかは定かじゃない。だが…、寿命を操るというのがどうにも気になった。確かめる必要はある。」
「確かめてどーすんだ?」
「その力が事実なら…、他のギャングや組織が見逃すとは思えない。利用の仕方じゃ、とんでもないジョーカーになるかもしれない。」
「わざと話を聞かせたのは、逃がさせない口実のためですか。」
「おい、ブチャラティ!」
その時、アバッキオがブチャラティを呼んだ。
アバッキオのスタンド、ムーディー・ブルースにより再生(リプレイ)されたズッケェロの行動が再現されていた。
ズッケェロは、ミナミを襲う前に無線機を使って他の仲間に100億リラのことと、その在処を話していたのだ。
そして無線機の相手は、高速艇で先に島に向かうから、ズッケェロに船上でのブチャラティ達のことを任せると伝えていた。
ブチャラティ達は、ドッと汗をかいた。
高速艇なら30分も早く島に着く。そして100億リラの遺産を先に奪われる可能性があることと、ズッケェロが到着しなかった場合その無線の相手が不信を感じて他の組織の仲間を応援として呼び寄せる可能性、そうなってしまったら金以前にネアポリスに帰れるかどうかすら怪しい。
そんな中、ジョルノが提案した。
先に島に上陸し、ズッケェロの仲間を始末することを。
だが問題がある、相手の顔が分からないことだ。男だということはムーディー・ブルースにより再生により声のみが再生されており、分かっている。
するとミスタがジョルノの提案に賛成意見を出し、自分の能力が暗殺向けだと語って、ジョルノと共に魚にした浮き輪で引っ張って貰って島に先に上陸した。
ミナミは、ヨットの寝室の方で寝かされ、身体を丸めてグッスリと眠っていた。
「……。」
ナランチャは、その寝顔を膝立ちで眺めていた。
「ナランチャ、彼女の顔を眺めてどうしたんです?」
「…う~ん。わかんね。なんか…見ていたい感じ?」
ベッドの端に腕を乗せ、その上に顎を乗せて眠っているミナミを見つめるナランチャ。
「ん…。」
「っ…!」
ミナミが微かに呻いたのを聞いて、ナランチャは、ドキッとした。
その後、スースーと安らかな寝息を出し、グッスリと眠るミナミ。
「…フーゴぉ…、俺おかしい。」
「確かに今日のあなたはおかしいですよ?」
「……胸の辺りがよぉ…、なんか変な音する!」
「どんな?」
「ドキドキっての? なんだこれ?」
「……まあ、確かに美人ではありますけどね。」
フーゴは、少し呆れたように言ったのだった。
実は、3部編での仗助の蘇生で、ミナミに関する噂話が少しだけ広まっていた。
けど真実味がないため、信じる人はほとんどいないし、能力の詳細も知らないためブチャラティは、確かめるためにわざとミナミを縛る手として遺産の話を聞かせる。
ミナミは、ジョルノにやっと寿命を返せてホッとし疲れで眠ってしまう。
ナランチャは、ミナミに……?