仗助に双子の姉がいたらというもしも パート4  第五部へGO!   作:蜜柑ブタ

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満を持して、シーザー(82歳。波紋呼吸してる)登場!


とりあえず、謝っておきます。


イルーゾォ…、ごめんね!! 見せ場無いよ!!


ポンペイでの乱闘

 

 すでに敵に把握されていること。

 それは、ブチャラティチームに衝撃を走らせた。

 カプリ島でトリッシュの護衛を任されてから、まだそこまで時間が経っていないのだ。それがあっさりとバレたということは、組織のチームでも相当な実力者達が関わっている可能性が高かった。

 この危険な状況にブチャラティチームに凄まじい緊張が走る。なにせ敵に殺される可能性もあるが、それ以上に任務に失敗した場合の罰を考えるそれ以上に恐ろしいからだ。

「ナランチャから聞きました。敵を倒せたのは、あなたが敵を拘束していたからだそうですね。」

「違う…!」

 コーヒーとサンドイッチを持って来たジョルノに、膝を抱えて座っているミナミが否定した。

「しかし、安易に敵と会話していたのはいただけませんね。今後は注意してください。」

「敵だの味方だの…、私はあなた達に味方した覚えはない。」

「でも、ミナミ、あなたは僕らを頼るほかないんです。選択肢なんてない。僕が言うのもなんですが、ブチャラティは信用して良いですよ。あなたに対し悪いようにはしないはずです。これが他のチームだったなら……その容姿も相まって何をされるか分かったものじゃない。イタリアに来ていたあなたを先に見つけたのが僕らで…本当に良かった。」

「……あなた達は、酷い人だ。」

「ギャングですから。ところで、グラニュー糖とクリープ。どっち入れます? 両方ですか?」

「……両方。いっぱい。甘くないと飲めない。」

「苦いのが苦手なんですね。」

「悪い?」

「いえ、馬鹿にはしませんよ。イタリアでは、カフェで飲むコーヒーと家で飲むコーヒーは別物ですからね。イタリア家庭のコーヒーは濃くて苦く、さらに底に砂糖が残るほど甘くもするんですよ。コーヒーを飲む干し、最後に底に残った砂糖をスプーンで掬ってチビチビ舐めるんです。」

「ふーん…。」

 ミナミは、ムスッとしながら、クリープとグラニュー糖をたっぷり入れたインスタントコーヒーを飲んでサンドイッチも食べた。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「…っというわけで、彼女は甘いコーヒーが好物みたいですよ。逆に苦いコーヒーが苦手みたいです。それ以外は食べ物に好き嫌いは特に無しみたいで。」

「へ~。なあ、じゃあ俺のことでなんか言ってた?」

「さすがにそれを聞くのは野暮ですよ。目の前で敵とはいえ、人を殺しているのを見させられているんですから。」

「う…。」

「あれは、気を許してはくれないでしょうね。僕の見立てでは。」

「うぅ~、俺、ナンパはしたことあるけど、デートとかしたことねーからさぁ! あーしたらいいとか、こーしたらいいとかわかんね~!」

 ジョルノからの言葉にナランチャは、頭をガシガシと掻き毟った。

「あ~ん? そうだったか? ナランチャ?」

「そーだよ!」

「ってことは、お前…童て…。」

「うっせぇよ! ぶっ殺すぞミスタ!」

「ああん!? やれるもんならやってみやがれ!」

「てめーら!! 屋内で、しかも喧嘩ごときでスタンド出すんじゃねーよ!」

「あいでぇ!!」

 外に置いてある車から戻って来たアバッキオに二人は頭にげんこつをくらった。

 そのすぐ後にボスからの指令により、ポンペイに安全に移動するためのモノの鍵を隠したから取りに行けという命令が下った。

 そこで、ジョルノ、アバッキオ、フーゴが行くようブチャラティが指示を出した。残る面子はトリッシュを守るためこの隠れ家に残る。

「…だいじょうぶ?」

「うん…。」

 2階に移動したミナミは、同室にいるトリッシュから声を掛けられ、元気の無い声で返事を返した。

「あいつらに何かされたの?」

「……別に。」

「ウソ。あなたウソ付けないタイプでしょ?」

「……癖は直したつもりだったけど。」

「なにされたの? ……まさか答えられないことされた?」

「…目の前で人を…殺された。私が捕まえてたから、その人は死んだ…。」

「…知り合いだったの?」

「違う。敵だった、……らしい。」

「じゃあ、私のせい?」

「トリッシュ?」

「私が組織のボスの娘だからそんなことに…。」

「誰も生まれ育ちを選べないよ。トリッシュは、たまたまそうだっただけ。だから責めるなんてお門違いだから。」

「……ありがとう。」

 トリッシュは、そうお礼を言うと、ギュッとミナミに抱きついてきた。

 トリッシュの身体が微かに震えていることに気づいたミナミは、トリッシュの頭を撫でた。

 15歳だぞ。15歳。まだ花も咲きかけの幼い少女にはギャングのボスの娘だったという事実は重すぎるだろう。

 

 その時。ミナミの目の前が暗くなった。

 

「えっ?」

 抱きついていたトリッシュの温もりも消え、気がつくと、堅いレンガの上に投げ出されていた。

「ここは…?」

 

「ミナミ!? なぜここに!?」

「…ジョルノ?」

「お、お前! どうして…、いいからお前も離れるぞ!」

「えっ?」

 焦っているジョルノとアバッキオにぼう然としていると、グルルル…っという獣のようなうなり声を聞いた。

 ハテナっと思いつつ二人の間からその声がした方を見ると。紫色のスタンドらしきモノがいた。うなり声はそいつが上げていた。

 

「ヒィイイギャアアアア!!」

 

 そしてどこからか別の男の悲鳴が聞こえた。

 するとボロボロのレンガの壁の上から放り投げられてきたのは、一人の男。

 ドシャッと落ちてきた男は、どう見ても暴行を受けたとしか見えない傷でボロボロだった。

「ぅうぐ…。」

「あなたは…。」

「てめーか! フーゴを隠しやがったのか!?」

「ひっ、ひいいい…、て、てめぇら…、あんな伏兵がいたなんて聞いてな…。」

「はっ? ふくへい?」

 

『きゅ~~』

 

 すると甲高い動物の鳴き声が聞こえた。

 ボロボロの男の横に、ホワンホワンっと輪っかの形をしたシャボン玉のようなモノが近づいていった。

「ひっ! マン・イン・ザ・ミラー!!」

 男はスタンドを出した。

「やはり、敵!」

 男がスタンドを出したのでここに待ち受けていた敵の仲間だと分かった。だが…。

 マン・イン・ザ・ミラーがシャボン玉のようなモノを割ろうと拳を当てた瞬間、シャボン玉のようなモノが割れ、マン・イン・ザ・ミラーの腕が固結びに捻れた。

「ギャアアアアアアアアアアアアアア!? う、うでがあああああああああああ!!」

 ダメージフィードバックで、男の腕も固結びに。

 男が悲鳴を上げていると、紫色のスタンドが立ち上がり、男の首を掴んだ。

「ひっ!?」

「捕まえたぞ!! パープルヘイズ!!」

 別の壁の曲がり角から傷だらけのフーゴが現れ、自身のスタンドであるパープルヘイズに命令する。

 そしてその拳が男、イルーゾォの腹部に突き刺さり、30秒とせずグズグズになって溶けて死んだ。

「あ…、ああ…。」

 あまりに酷い死に様に、ミナミは口を押さえた。その場から逃げたいが、なぜか足に力入らない。

 そしてパープルヘイズが消え、フーゴが足早にミナミの傍に来て胸ぐらを掴んだ。

「ミナミ! お前か!? お前なのか!?」

「えっ、えっ?」

「お前がいつの間にあんな“奴”を…。」

 

「ミナミ!!」

 

「えっ?」

 その声は、ミナミにとってよく知っている声だった。

 イルーゾォが放り投げられてきた壁の向こうから人影が飛び降り、スタッと着地する。

 ジョルノとは色合いが違う、金色の髪の毛。目の下の変なアザ。

「シーザー…さん?」

「やはり…! 知り合い!」

 

「ようやく見つけたぜ。ミナミ。」

 

 ミナミをその目で確認し、シーザー・A・ツェペリは、安堵の笑みを浮かべた。

「誰です?」

「いいから、二人とも、逃げるぞ! アイツはヤバい!!」

「待て、フーゴ! 鍵は…。」

「僕が取ってきた! ミナミを連れてこのまま車まで…、ブゲッ!?」

「フーーゴォ!?」

 あっという間に距離を詰めてきたシーザーが飛び蹴りでフーゴの頭を蹴り飛ばした。フーゴはガラガラゴン!っとそこらに転がるレンガの欠片や石にぶつかりながら壁まで転がった。

「て、てめぇ…!?」

「……あぁ?」

「っ…!」

 アバッキオが咄嗟にムーディー・ブルースを出して攻撃しようとして、飛び蹴りで着地してからゆらりと立ち上がり下から睨んできたシーザーのあまりの迫力と殺気に圧された。

 そして次の瞬間には、アバッキオの無防備な腹にシーザーの拳がめり込み、その後ろにいたジョルノを巻き込んで壁まで吹っ飛ばされ叩き付けられた。

「かっ、ハッ……。」

 アバッキオは、胃の内容物を吐き出しながら腹を押さえて悶えた。

「……ゴールド・エクスペリエンス!」

 アバッキオの下にいるジョルノが吹っ飛ばされる直後に、シーザーの近くにあったレンガの欠片などを触媒に、毒蛇を生み出していた。

 その蛇たちは、一斉にシーザーを咬んだ。

「シーザーさん!」

 ミナミが悲鳴じみた声を上げた。

「……ふんっ!」

 しかしシーザーは、落ち着いた様子で力むと僅かな血液と共に毒液を体外へ出した。それを見たジョルノは、馬鹿な…っと驚き小さく声を漏らした。

「だいじょうぶか? ミナミ。」

「シーザー…さん…!」

 ミナミが涙で顔をぐしゃっとさせ、シーザーに近寄ろうと立ち上がりかけた。

 だがその身体をパープルヘイズが掴んで小脇に抱えた。

「あぁ!」

「ミナミ!」

「う……動くな! 動けば…、パープルヘイズのウィルスを…。」

「まだ動けたか! スタンド使いは肉体的には弱いと思って油断したぜ。」

 ヨロヨロのフーゴがシーザーに向けてそう警告し、シーザーはパープルヘイズのウィルスを警戒して飛び退いた。

「ガキだと思って舐めてもらっちゃ…、困る…! アバッキオ! ジョルノ! ミナミを連れて車へ!」

「!」

「い、いやぁ!!」

 なんとか起き上がったアバッキオとジョルノがスタンドを使ってパープルヘイズから、ミナミを受け取りその場から離れていく。

「大人しくしろ!」

 アバッキオがミナミの首に手刀をして気絶させた。

「てめぇら…、このクソガキ共が!!」

 シーザーが憤怒の表情を浮かべ、ミナミを運ぶ二人を追いかけようとするが。

「パープルヘイズ!!」

「お前は邪魔だ!!」

 拳を振るってきたパープルヘイズから高く跳躍して避けたシーザーがシャボン玉をフーゴに向けて放つ。

 そのシャボン玉がヤバいことは、イルーゾォとの戦いの際に乱入してきたシーザーの攻撃により分かっていたので、フーゴは咄嗟に足下の石を拾って投げつけシャボン玉を割ろうとした。

 だが波紋を流され、そして何より特別製に調合された特性のシャボン玉はその程度じゃ割れなかった。

 シャボン玉に当たり、流れた波紋の衝撃によってフーゴの身体が吹っ飛び、再び転がる。

「ぐ…ぅう…。」

「喋ってもらおうか。ミナミをどこへ連れて行ったのかをな。」

「しゃ、喋ると思っ、てるのか…?」

「喋らせる。知ってるか? 催眠って…な。」

「!?」

 フーゴの頭を掴んで波紋を流そうとするシーザー。

 直後、大きなヘビがシーザーの身体に巻き付き、フーゴを手放させた。

「なっ!?」

「そこの柱を、アナコンダに変えました。フーゴ、立てますか?」

「ジョルノ…?」

「くっ、そ…!」

 シーザーは、アナコンダに締め上げられながら、フーゴに肩を貸して逃げていくジョルノを見ていることしか出来なかったが、輪っか型の泡がアナコンダに当たると、アナコンダはビクッと震えてシーザーから離れて、ちょうちょ結びになって転がった。

 シーザーは、全速力でジョルノ達を追ったが、ジョルノ達を乗せた車が走り去っていくのを見ただけだった。

 シーザーは、近くに止めていた自分の車(ジープ)に乗り、追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 片道、約1時間後……。

「ブチャラティ!! 急いで逃げるぞ!!」

「どうした?」

 ブドウ畑の隠れ家に逃げ帰ったジョルノ達が出迎えたブチャラティに早く乗れっと促した。

「来たーー!」

 かなり後方からシーザーが乗っているジープがすごい速さで迫ってきているのを見て、事態を把握したのか急いでトリッシュを呼び、ナランチャとミスタを乗せて、車を走らせた。

「ナランチャ! ミスタ!」

「エアロスミス!」

「おおう!」

 車を発進させた直後、二人にシーザーが乗るジープを攻撃させた。

 エアロスミスによる弾丸で窓ガラスが割れ、ミスタの銃弾が車輪を割った。

 シーザーは、車の扉を開きつつ、扉を足場にしてブチャラティ達を乗せている車に飛び乗ろうとした。その手と足が車の上に乗ろうとした直後、ジッパーにより足場部分が消え、シーザーは、地面に転がり落ち、ブチャラティ達を乗せた車はそのまま全力発進で去って行った。

 転がり落ちたシーザーは、身を起こし、その去って行った車を睨み付けながら地面を殴った。

 

 

 

 

「シーザー…さ、ん……。」

「…泣いてるわ。」

 トリッシュが後部座席に寝かされているミナミを心配する。

「……シーザー…、さっきの男の名前か…?」

「尾行されてんじゃねーかよ! どーいうこった!?」

「分からない…。敵なのか味方なのかさっぱりなんだ…。ホルマジオという男の仲間らしき男を攻撃した。だから組織の者じゃない。たぶん、間違いない。」

「お前らに攻撃してきたんなら、敵で間違いねーだろーが!」

「シーザー・A・ツェペリ。」

「はっ?」

「ミナミの手帳のカレンダーに書いてありましたよ。シーザーという人物とイタリアで会う約束をしていたようです。おそらく彼女が来ないので探していたのでしょうね。そして僕らが攫ったことを知って……。」

「あの眼光……、ありゃどこまでも追って来るぜ? 例え世界の端でもだ。どーすんだ、ブチャラティ? そいつは…、ミナミは、俺達のジョーカーどころかとんだ疫病神じゃねぇかよ。」

「えーーー!? 会うって!? それってまさか、彼氏じゃ…。」

「いや、どう見てもアイツのが年上だった。もしかしたら知人か親戚って可能性がありますよ。」

「そっか…、よかったー。」

 ジョルノの言葉に1度は焦ったナランチャだったが、フーゴの言葉にホッとしたのだった。

「彼氏だったらどーすんだ? えっ?」

「えっ!?」

「あそこまで執念深く追いかけてくるってこったよ~、やっぱその線が濃厚じゃね?」

「えーーー!? ミナミ年上好き!? 俺勝ち目なしなのぉ!?」

「てめーら! そんなこと言ってる場合か! 命かかってる時によぉ!!」

 色恋沙汰云々でギャオギャオしているナランチャ達に、アバッキオが怒ったのだった。

 

 




ギャングのブチャラティ達に冷や汗かかせるほど怖い描写を目指したかったが……、うまく書けたかな?


ポンペイでなにが起こったかというと……。

シーザーは、SPW財団の情報と自分の勘や目撃情報でポンペイに。
そこでフーゴとイルーゾォを見つける。そしてイルーゾォにより護衛チームと間違われて鏡の中へ。
ただ波紋の修行により鍛え抜かれているシーザーの戦闘能力にイルーゾォ一方的に負けて鏡の世界が解除、結果追い打ちをくらって壁の向こうに放られ、そこをパープルヘイズにやられて死ぬ。
なお、鏡の世界でシーザーがシャボン玉の波紋を使っているのでフーゴは、シャボン玉をスタンド能力と誤認している?

スタンドが登場してから、3部以降は、波紋戦士レベルの身体能力を持った人物っていなかったような気がして……、そりゃスタンド能力に頼ってる奴らからしたら、敵対したらメッチャ怖いと思う。

そしてなぜミナミが突然隠れ家から、ポンペイに移動してしまったのか……、それはブルー・ブルー・ローズのみぞ知る…?

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