「ふぅ…結構あっけなかったね。」
「まぁ、四人も居るからね。」
二人は地面に散らばった気絶した兵士達を眺めながら呟いた。
「にしても随分と数が少なくないか?」
「ここが連中にとって需要じゃなかったって事じゃないか?」
翼が訊くが雪音が当然のように答えた。
「さて、早くここを出ちゃおう!」
「そうだね………ん?」
GVは立花の提案に同意し走り出そうとした時に近づいてくる何かを見つけた。
「ありゃあ……人じゃねえか?随分と慌ててんな。」
「ただ慌てている訳ではないようだ。何かあったのだろうか?」
「…!……!」
人が近づいてくるにつれ声が聞こえて来た。
「助けてくれ!死にたくない!死に…!」
男の声が聞こえたと思えば彼の体は塵のように消え去ってしまった。
「どういう事だ!?何があった!」
「彼の体は消える直前…黒いモヤのようなモノが居たように見えた…まさかそれが原因か…!?」
「セーカイだぁ…」
翼が叫びに男の声が答えた。
「あなたは…!?」
「ん…?…アンタから…漂ってくる…ニオイ…」
立花の問いを無視して男は呟いた。
「これはァ…クヒヒヒヒッ!!」
「大丈夫ですか!?」
立花は様子がおかしい男の元へと駆け寄り訊いた。
「何かヤバイ…!バカッ!そいつから離れろ!」
「えっ?何を…」
「イタダク」
男はそう呟くと両腕を消しそこから“群れ”を生み出した。
「あっぶな!?」
立花は雪音の注意もありなんとかそれを回避出来た。
「何だ!?今のは…」
「恐らく彼のセブンスね、肉体を蠅のようなエネルギー体に変化させる能力だと思う。」
GVの問いにモニカが通信を通して答える。
「ディナーが…飛び跳ねんじゃァ…ねェ…空腹に響くだろうがァ…」
男は蠅を元に戻し両腕を生成し宝剣を呼び寄せた。
「ガアアアアァ……」
男は唸り黒いモヤに包まれ装甲を身に纏った。
「ならよォ…腹を満たす為に…目の前のモノを食いまくるしか無いじゃないかァ…なァ!?」
男は狂ったように叫び大きな口のように変形した。
「まるで口のようだな…ハッ!皆、跳べ!」
彼女が叫ぶと同時に四人は飛んだ。
「ガアアアアアッ!」
それと同時に口が地面を削り倒れていた兵士を皆捕食してしまった。
「そんな…みんなが…。」
「アンタのその匂い…たまらないなァ…腹の虫が腹の中で騒ぎまくって…五月蠅いんだよォ…」
元に戻った男は立花を見つめながら言った。
「バカを狙ってる…?おいバカ!気を付けろよ!ソイツはお前が旨そうに見えるらしい!」
「立花を援護しろ!」
「ヒヒッ!…あァー腹が減ったァ…!」
「何ッ!?」
翼は男に向かって走りだしたが男の出した大量の蠅に阻まれてしまう。
「ったく先輩はアタシが居ないと駄目だよなぁ!」
雪音が蠅を火炎放射器で焼き払いながら叫んだ。
「雪音…!」
「いつものコンビネーション、決めますよ。」
「…!…承知!」
翼は自前の火遁で、雪音は火炎放射器で武装して男の方へ走って行った。
「熱すぎるディナーはダメなんだよォ…冷まさないとなァ!?」
男はそう叫ぶとさっき以上に蠅を出した。
「いくら蠅が出て来た所でぇっ!」
「私達の前には無力!」
「ヒビキ!今の内に彼を!」
「了解!」
二人が蠅を抑えている内に二人は男に向かって走り出した。
「!?…グワァーッ!」
が感づいたのか男は地中に潜ってしまった。
「彼は何処に?!」
「……!、ヒビキ!跳べっ!」
「フッ!」「ギャアアアア!」
GVの指示通り響が跳ぶとそこに地中から飛び出してきた“口”がその場所を喰らった。
「ありがとうございます!GVさん。」
「どういたしまして、それよりもそっちを気にしたら?」
GVに言われ立花がGVの見ている方向を見てみると男が立花を睨みつけながらそれらに寄り掛かっていた。
「言っただろォ…ディナーが飛び回るなんてよォ…マナー違反もいい所じゃァないか…」
「何だ…?アレ。」
よく見てみるとそれらは透明な大きな卵だった。
「クヒャヒャヒャァ!」
男が叫ぶと卵が割れ中から大きな蠅が飛び出してきた。
「食らえッ!」
GVは掛け声と共に発砲し蠅を電気で黒焦げにした。
「なァ…食わせてくれよォ…一口でいいからよォ…」
男は力なく呟いた後、多くの小さな口をGVに向けて放った。
「くっ、数が多い!閃く雷光は反逆の導 轟く雷吼は血潮の証 貫く雷撃こそは万物の理!VOLTIC CHAIN!」
GVは叫び大量の鎖を口に巻き付け雷撃を放った。
「誰か…誰か…誰か、この空腹を…」
「ヒビキ!彼を止めるんだ!」
「はいっ!」
GVは何かを察し叫んだ。立花はそれに応じ走った。
「止めてくれよオォォ!!!」
「なっ!?」
だが立花は間に合わず男の呼び出した二つの巨大な口に囲まれてしまった。
「くらいなァ!」
男が叫ぶと同時に口が立花に襲い掛かった。
「ぐうあああああッ!」
立花は必死に口を押さえたが少しずつ手の装甲が削れており彼女が危ないのは明白であった。
「立花ァッ!」「バカ!」
蠅を退治し終わった二人が立花の元へ走っていたが間に合いそうな距離では無かった。
「クワセロッ!クワセロオォーッ!!」
男はさらに口に力を入れ立花を喰らおうとした。その時に男は気付いた、立花の目が穏やかなモノになっている事に。
「…あなたがどんな人なのかは知らない、あなたがどんな事をされたのかも知らない。…けど、あなたが今している事は間違ってる。聴いて!私の絶唱を!」
Gatrandis babel ziggurat edenal…
「彼女は歌っているのか…?」
GVはふらつきながら走りつつ呟いた。
「やめろ!そんな状態で絶唱を放ったら!」
翼は必死に叫んだ。
…Emustolronzen fine el zizzl…
だが立花は叫びを聞かず最後まで歌い終えてしまった。
「クワセレァーッ!?」
直後、立花を中心に渦が生まれ口と男を吹き飛ばした。
「ガアッ!」
その後男は壁にぶつかり気絶した。
「おい!大丈夫か!?おい!」
雪音は手と口から血を流して立っている立花に叫んだ。
「な…なんとか…大丈…夫。」
立花はそう言ったがすぐに膝をついてしまった。
「ハァ…なんとか今回は大丈夫だったが今後こんな無茶はするな、いいな?」
「すいません…」
翼の言葉に立花は苦笑いしながら答えた。
「ヒビキ…君は一体何を…?」
「そいつも後で話してやるからとりあえずアイツを捕らえようぜ。」
「あ、ああ…。」
雪音に質問をうやむやにされGVは男の手足に拘束具を着けた。
「ああ…確かに今夜は眠れなくなりそうだな…。」
立花を抱きかかえた翼が静かに呟いた。
こうして薬理研究所襲撃任務は終了した。
何処かの施設ーーー
一人の少年が宝剣をもう一人の少年に渡していた。
「これにアイツの力が…?」
少年がポッドに入った怪物を指差しながら言った。
「そうです、キミにはそれを制御出来る力がある。その力で奴らを倒してください。」
少年は自信たっぷりの表情で言った。
「ふーん…報酬は?」
少年はテキトーに訊いた。
「シアンの生写真を…」
少年は真剣に言った。
「乗った!その仕事、やらせて貰うぜ。」
少年の言葉を聴いた少年は飛び上がりそうな勢いで返事をして部屋を出た。
サクラ大戦が実質シンフォギアなのではと感じ始めたので初投稿です。
長くなっちった、ゴメンネ