〔更新停止〕天使に会うために転生したけどやっぱり尊い   作:愛しのマイはにい

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(午後から始まるとは言ってない)


羽沢学園文化祭午後の部

中等部へ向かう為に渡り廊下へ向かうと、そこには黒髪に赤いメッシュを入れた少女が佇んでいた。

 

───蘭だ。

 

蘭の他者への扱いって俺と似てるから親近感を得てる。ただ、いくつかを除いてだが。

 

蘭に声を掛けると何故か驚いた様子だった。あこのクラスへ行くことを伝えてみるも「行かない方が……」と答えていた。

 

確かに高等部が中等部へ行くなどあまり無い。部活動などで交流があるとはいえ、やはりその数はまばらだ。が、俺は行く。

 

中等部に行くと奇異の目は逃れられんがその程度いつも受けているし、一年前に行くと約束もしている。反故にしてしまってはあこがかわいそうだからな。

 

「蘭、巴の分まで行くぞ。」

 

「ちょ、ま───」

 

反対する蘭の手を取って向かうのだった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「お〜、ここかぁ……」

 

「……お化け屋敷だ。」

 

なるほどね。(予定調和)

 

どうりで道中高等部が多いわけだ。おそらくここに居る殆どは珍しいもの見たさという訳だな。

 

そもそもの話中等部の担任教諭は頭が凝り固まった連中ばかりだ。何故か俺はいつも授業態度が悪いと言われていた。

 

あの日々も悪くはなかった。(薫ファンとのいざこざが無かった)というより授業中につぐみのことを思い浮かべているだけだったんだが、一体何がいけなかったのだろう……)

 

「私は外で待ってるから、幸介さんだけ行ってきたら?」

 

「何言ってるんだ。“アレ”以上のは来ないし俺が金を払うから行くぞ。」

 

「わかったから手を繋がないで……!」

 

つれないねぇ……ま、こうでもしないと蘭は来ないからな。こうやって嫌がってる時に強引に連れて行くと最後には楽しかったって言うからね。勿論本当に嫌な時は連れてかないけど、大体は踏み出すのが苦手だったり恥ずかしいから断るってことが多いからねぇこの子

 

受付に金を渡して中へ入る。果たしてあこはどんな姿で来るのかね

 

「い、意外と暗い……」

 

蘭はオドオドしている。いや、こんなに怖がりだっけ?もっと大丈夫だった気がするが……

 

「蘭ってそんなに怖がりだったか?」

 

「……夏休みの時から、こういうの駄目になってて……」

 

よく見ると震えている。

 

……なんか、悪かった。今からでも外に出るかと聞くと、蘭は俺について行くと答えた。

 

あれがトラウマになってるのかな……どうにかして克服させてあげたい

 

「な、大丈夫だから。ちょっとだけ我慢できるか?」

 

「……うん。」

 

コクリと頷いたのを確認して手を差し出す。出された手の震えが治まったのを感じて、再び歩き始めた。

 

これは重症だ……

 

というよりどうしよう。元の蘭ってここまで怖がりでは無いはずだ。井戸の怪談聞いてビビってたけど流石に文化祭のお化け屋敷でビビることはないだろう。

 

……これも代償か。俺が、ここに来たせいで起こったのだ。

 

五人の───いや、少なくとも8人もの確定した未来を変えてしまったのだ。現在の影響は小さくても、何れは大きくなるだろう。

 

「幸介さんってさ、怖いものって無いの?」

 

不意に、蘭がそう聞いてきた。

 

俺は…未来が、明日が来るのが怖い。あるべきモノが消えて、他のモノにすり替わってしまう気がして。

 

……蘭には分からないんだろうな。蘭は、ここで暮らす人だから。

 

だからきっと、俺が居ることも変わりのない日常なんだろう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

カーテンの奥からあやしげな気配を感じた。

 

「……!」

 

あの息遣いや気配は……ま、魔王っ!

 

どうやらこっちを狙ってやがる……

 

これは───

 

『バーン!!!』

 

『いやああああああああああああ!!!』ズダダダダ

 

こういうこともありえるだろう。手を握っているが多分振り解いて逃げる筈だ。

 

暗い中走るのも危ないし、第一トラウマを掘り起こすのは良くないだろう。俺が言うのもアレだけどな。

 

……どうする……?予見していてはあこがかわいそうだし、かと言って無防備に受けても蘭がヤバい。

 

あっ!そうだ!あれだ!

 

「蘭、さっきからソワソワしてるが大丈夫か?」

 

「……うん。大丈夫……」

 

よし、あと5秒、4、3、2……今だ!

 

さっと蘭の頭を抱きよせる。

 

「バーン!!!」

 

少し遅れてあこが飛び出してきた。蘭は少しビクリと反応したが、叫んだりはしなかった。やはり見るより聞くだけの方が驚きは少ないだろう。

 

そして俺は驚いたフリをする……完璧だ。

 

「ビックリしたー……ってあこじゃん。」

 

蘭の反応を最小限に留めながらあこの欲を満たす。これはつぐみとお化け屋敷に行った時にやった奴だ。怖くて座りこんだままになったから抱っこして周りを見ないように移動したのを思い出したのだ。つぐみってお化け屋敷に入るまでは元気だったけど入ってからはものすごく怖かったようで、お化け役の人が怖がるつぐみを気遣って驚かす勢いも控えめだったなぁ

 

でも泣かなかったのはホントに偉かったなあ!てかあれから遊園地に行ってないな……今度久々に行ってみようか。

 

「あれ、こー兄!?」

 

「……あこ……?」

 

蘭が辺りを見回す。驚かした人があこだとわかり少し落ち着いたようだった。

 

「ねえこー兄、おねーち───」

 

「───ここで話すのもアレだから昼休みに話そう。あと巴は来てないぞ。」

 

「あっ……そっか。」

 

あこは理解したようでカーテンの奥へ消えていった。あこの姿が見えなくなると蘭がどうして抱いたのか聞いてきた。蘭の追求あると踏んでいたので予め用意しておいたビックリしてどこかに走っていかれても困るからということを言うと、あんまりやらない方が良いよとの事だった。

 

幾ら何でもそうそうやる機会は訪れないだろう。しかもお化け屋敷に行くとかほぼほぼ無いしな。

 

その後はこんにゃく罠とか鍵を取ろうとすると手が伸びてくるアレとかあったが、何とか蘭を乗り切らせた。

 

……普通のお化け屋敷は蘭と一緒に行かないようにしよう。

 

「出口だ……!」

 

「あっ───」

 

蘭が出口に向かって駆け出す。一番に逃げようとする奴には大体───

 

「きゃああああああああああああ!!!」

 

案の上出口の脇から出た血塗れの幽霊を見て腰を抜かして叫んだ。

 

ボーカルだからね。凄い声量。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

〜昼休み〜

 

回るべき所も無く。適当に屋台のものを買ってきて屋上で過ごすことになった。ポエマー蘭ちゃんとか言ってからかうとシスコンお兄ちゃんと言い返されたり、他にもいろいろと話し合って時間を潰した。

 

文化祭ライブに出ないのかと聞くと他のライブ、よりによって文化祭の2日後にあるライブに出場してしまい今回は泣く泣く諦めたのだとか。ウチ(羽丘)じゃまあまあ人気なんだけど残念だねぇ……

 

ガチャ

 

「あ、蘭───……」

 

モカが蘭と言ったところで急にドアを閉じた。

 

「ちょっとモカ!鼻がぶつかったじゃん!」

 

「あ〜…なるほど、なるほど〜」

 

「……?よく分からないけど早く行こうぜ」

 

ガチャ

 

「お、蘭と幸介さんじゃん。」

 

やってきたのはつぐみを除いた3人だ。あれぇおかしいなぁ……?

 

「あれ?つぐみは?」

 

「あ〜、つぐは遅れて来るって言ってたよ〜」

 

遅れて来る……か。大体つぐみは頼み事を引き受けすぎなんだよな。もうちょっと自分の時間というものを大事にしてほしいところだ。

 

「そういや巴、あこも来るってよ。」

 

「お、あこも来るのか。というか二人ともずっとここで?」

 

「……2時間、ぐらい?」

 

そんぐらいだっけか?まあ回るより屋上で話してた方が楽だしな

 

「えぇ……その間どこにも行ってないのか……?」

 

巴の問に俺があこのクラスとポテトとたこ焼きの屋台には行ったと答えると、失礼なことにひまりがこういった。

 

「幸介さんはともかく蘭はそんなんじゃダメ!花の女子高生なんだからもっと色々回ろうよ!」

 

「……俺は?」

 

「「「「えっ」」」」

 

揃いも揃って非道い。そりゃ一緒に回る人がいるかと聞かれるといないけどさぁ……

 

「幸介さんは回るより胴元っていうか……経営者よりじゃない?」

 

蘭は俺はディーラーかなにかかと思ってるのか?俺は経営も好きだが回るのも好きだぞ?

 

「幸介さんはつぐが居たら満足じゃ〜ん」

 

それは違いないが……もっとこう、言い方があるだろう。それでは俺はただの変態のように聞こえてしまうではないか。

 

「まあひまりさん曰く“花の女子高生”ってのに俺みたいなのが混じって行くのは一般論からするととてもとてもおかしいんだろう。」

 

(幸介さん拗ねたじゃん!ひまり、どうすんの?)

 

(いや、だって……)

 

(意外と負けず嫌いだからね〜)

 

「えっと、幸介さんも一緒に回るよな?」

 

巴……信じれるのはお前しかいない!

 

「ああ、うん。そうだな……許可があれば、な。」

 

チラリと三人を見る。ふふ、遠慮なく許可を出すが良いぞ。

 

(((面倒くさいなぁ……)))

 

バタン

 

「つぐみ!」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「おねーちゃん!」

 

「うぉっ!あこ!」

 

「一緒にお弁当食べよ!」

 

あこはいつのまにか巴に抱き着いていた。うーん、つぐみは中学2年生ぐらいでしなくなったんだよなぁ……ま、今はもう高校生だし完全に兄離れしたんだろうね。

 

ちょっとだけ、ほんの少し、いや割と、てかものすごく悲しいが仕方のない事だ。

 

悲しみに暮れるも持ち寄った弁当を広げて食べ始める。するとひまりが思い出したかのように言った。

 

「あこと幸介さんまで揃ってご飯食べるのっていつぶりだっけ?」

 

確かつぐみたちが中学三年生の時に行ったプールが最後か?てか中学になってから俺はお泊りとか行かなくなったし当然なんだがな……そもそも年頃の女の子の家に泊まるとかありえないしさ。

 

「蘭の誕生日は……あ、あれはあこがいなかったっけ」

 

「運動会とかじゃない?」

 

「去年はお兄ちゃんは流石に高等部が中等部に行くのはダメだって言って一緒に食べなかったよね?」

 

「ああ、まあそれはいろいろと駄目だろ。蘭も嫌だって言ってたし……」

 

「あっ、あれは───」

 

「プールじゃないかな〜?確か、プールで食べたお昼ごはんが最後だったよね〜」

 

蘭の抗議を遮ってモカがそう答えた。今思いついたけどモカって根本的なところは蘭と似てるんだよな。公式CPといっても過言ではないしその辺のフィーリングは合うのだろう。関係は無いが野球とかでピッチャーとキャッチャーのことをバッテリーと言うのだが、そのバッテリーのことを夫婦とも言うぞ。これって二人の関係に似てると思うのだがどうだろうか?

 

……無駄話が過ぎたな。

 

「ああ!そうだそうだ!」

 

「あの時って……幸介さんが〜?」

 

「……なんだ」

 

ニヤニヤしながらモカが続ける。

 

「ナンパされたんだっけか〜」

 

うぜぇ……折角思い出さないようにしてたのに……

 

あー、思い出してきたらマジで腹立つわ。なんだあの女共が……ご飯食べてるときにいきなり割り込んできて何がイイコトしない?だぶっ殺すぞ。しかも挙げ句の果てにはつぐみのことを貧相だとかほざきやがった。アイツらには一生わからんだろう、身体美というものがな。てか貧相と言い切った割にひまりの方が豊満であった。

 

「……今なお成長中───か。」

 

「……?こー兄どうしたの?」

 

「いや、思い出したら腹が立ってな。」

 

ひまりが真っ先に彼氏出来そうだな……その時はソイツがいい人だということを願っておこう。

 

「幸介さんすごかったね〜?」ツンツン

 

「頬をつつくな……この話は終わりだ。俺はあんな奴らのことを思い出すことすらしたくないんだ。」

 

「……まあ、そうだよね〜」

 

どっちの目線なんだこのパン狂いは……

 

「それは置きだ、そろそろ昼休憩は終わりだし俺は蘭のクラスへ行くぞ。」

 

そう告げて蘭を見やると驚いたような顔をしたあと絶対に来ないで!と強く言われた。

 

どうして?と聞いても蘭は来ないでとしか言わなかった。

 

ちょっとぐらい訳話しても良いじゃんか……ま、どうせ喫茶店だったからメイド喫茶とかで恥ずかしい〜ってことだろうよ。

 

あーあ、屋上で暇潰す……いや、クラスの様子見てくるか……

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

〜文化祭終了後〜

 

「これ、本当に任せて良いのか?」

 

「ああ、あとは任せて。それに俺しか処分出来ないだろうし結局やるしか無いんだけどね。」

 

「……なんかごめんな?俺、文化祭実行委員なのに最後まで任せっきりで……」

 

「好きでやったことだし気にしなくて良いよ。というより、それ君が言うことか?午前のとき変わって貰ったのに俺が無理言ったのを忘れてないよな?」

 

「そんなこと!羽沢には変わるのも良いぐらいして貰ったからな!」

 

「まあ、自分で出した企画だけど売り上げはそこそこだったみたいだし良かったよ。確か学年2位でしょ?」

 

「A組には勝ちたかったけどなぁ……」

 

「あそこはほぼ準備が無いと思うから準備費用の多い時点でもう負けだよ負け。」

 

「来年こそは一位を取る!羽沢も一緒のクラスになったらよろしくな!───あっ!でも準備とかはこうやってしなくても良いからな!」

 

「その時はよろしくな。」

 

彼はすまんなと言って教室を後にした。

 

……なかなかどうして好感を持てる男じゃないか。何事にも全力で、努力を惜しまないのが素晴らしい。人間性も良い。だって普通俺に話す奴は居ないもん。恐れられてんのかな……そんなことして無いけどなぁ……

 

片付けを進めていくと文化祭のしおりを発見した。それを手に取って捲っていく。

 

理由はどうであれ俺が自分からこうも力を入れた学校行事は初めてだった。ぽっと出の企画を受け入れてクラスに協力を呼びかけてくれたアイツには感謝だな。

 

「てかこれ全部の出し物の概要書いてるじゃん……」

 

俺のクラスは多分アイツが……計画を殆ど俺一人で進行させちゃったから書きにくかっただろうな。

 

……そういやこれで蘭の出し物を見れるんじゃね?

 

その考えに基づいて1ページ巻き戻してみる。すると───

 

 

 

 

 

1年A組『男装喫茶店』

 

これは深く聞かない方が良さそうだ。




前話と今回投稿までの流れ

文化祭2話構成と考える→執筆→前編完成→投稿→後編執筆→見返し中に話の内容が変わる→変更→何故かシーズン2の話の構成を立て始める→見返し→ここで今回の話をもう一度構成から考え直す→執筆→投稿

申し訳ございませんでした。筆者は執筆の次の日に見返し作業をするのですが、納得がいかず何度も何度も話を変えるうちにかなりの時間を要してしまいました。

これはタグ追加案件ですねぇ……
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