まちカド木属性   作:ミクマ

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いつもあんな感じの事してるの……?

「それで……水上さんが気になってるものって、何?」

 

 一年生チームA。

 スタンプを取得し来た道を戻っている桃は、先程桜が言っていた言葉を返す。

 

「えーっとね、千代田さんってもしかして……千代田桜さんの妹さん?」

 

「姉を知ってるの!?」

 

 発されたその名に桃は驚愕し、思わず声を荒げてしまう。

 しかし桜は申し訳なさそうな表情でそれに答える。

 

「ごめんね? 私が一方的に名前を知ってるだけなんだ」

 

「そう……なんだ、こっちこそ急に大声だしてごめん。それで……何で知ってるの?」

 

「私ね、水が好きなんだ」

 

「水……?」

 

 想定していなかった単語に困惑する桃。

 

「奥々多魔の山に名水があるって話を聞いてね? 

 その山を持ってるのが千代田桜さんらしいんだけど、何か知らないかな?」

 

「山……? ごめん、わからない」

 

「そっか……」

 

 そこで三人はチーム分けをした場所に戻ってきた。

 まだ全てのチームは集まっておらず、残り1チームとなったらその場所に向かうらしい。

 

「水とかはよくわからないけど……山の情報、何かあったら伝えるよ」

 

「ありがとう!」

 

 含むところなど無い、と言ったような笑顔で桜は桃の手を取り礼を言う。

 と、そこで今まで黙っていたシャミ子が口を開く。

 歩きのペースが速めで息を整えていたのだ。

 

「二人共、お友達になったんですね?」

 

「シャミーも、もう友達でしょ?」

 

「はい! 桜……ちゃん? さん?」

 

「フフフ、好きに呼んでね。

 そうだ。さっきの勝負、シャミーも凄かったよ。ああいうの得意なの?」

 

「そうですね、家でよくやります」

 

「……そうなの? シャミ子」

 

「葵が持ってるんですよ。今度一緒にやりますか?」

 

 そんな感じで盛り上がっていると、桜がある言葉を発する。

 

「それにしても、喬木先輩遅いね。苦戦してるのかな」

 

(……先輩?)

 

 ■

 

 一年生チームB。お化け屋敷を出た彼女達は肩で息をしていた。

 

「学生とは思えない程にクオリティが高かったわ……」

 

「そうだね……」

 

「……」

 

 ミカンと之江がそんな感想を言い合っている中、つつじは壁を向いて黙っていた。

 今は顔を隠しているが、先程までは泣きじゃくり之江とミカンに引っ張られていたのだ。

 

(……少しそっとしておきましょう……でも、何で私の呪いが出なかったのかしら……)

 

 そう、ミカンはお化け屋敷の看板を見た時非常に焦り、中を通っていたときも複数回驚いていたのだが、何故か呪いは出なかった。

 理由には全く心当たりのないミカンは首を傾げ、それを見た之江が声をかける。

 

「どうしたの?」

 

「いえ、なんでもないわ。そろそろ行きましょう」

 

「そうだね……ほら、行くよつつじちゃん」

 

「うぅ〜」

 

 之江はつつじを引っ張ろうとするも、固く動かない。

 ミカンは、つつじがお化け屋敷に入る前も後も連呼していた単語を思い出し、利用することにした。

 

「ほら、お姉さんが待ってるわよ。早く行かないとお姉さんの勇姿見られないわよ」

 

 その言葉を聞いたつつじは涙目でミカンを見上げて呟く。

 

「ひ……陽夏木の姐さん……」

 

「姐さんって何かしら!?」

 

「確かに少し姐さんって感じ……」

 

「ちょっと!?」

 

 ■

 

「やったね! イエーイ!」

 

 葵達はギリギリの活路を掴み取った。

 杏里からのハイタッチ要求に葵は答えた後、大きく伸びをする。

 

「杏里、お疲れ様」

 

「お疲れー。じゃあ私、服見に行ってくるから。スタンプはよろしくね、葵」

 

「あ、ちょっと待って」

 

 走り出そうとした杏里を葵は呼び止め、荷物の中の財布から数枚の紙幣を取り出す。

 

「これって……」

 

「来て早々無茶振りしたお礼」

 

「でもこんなに……」

 

「誘っておいて付き添えないわけだし、この位はカッコつけさせて欲しいな。ね?」

 

「……分かった! 全部使い切っちゃうから!」

 

「足りなかったら携帯で伝えてね〜」

 

「はーい! じゃあまた後でね!」

 

 桃やミカンに買うつもりでいて浮いた分も大きいのだが、葵はそれは言わない。

 そうして杏里は去っていき、見送った葵に妃乃が声をかける。

 

「ひゅーひゅー、カッコつけますわねぇ」

 

「結構楽しかったよ、試合」

 

「わたくしも普段と違う経験が出来て楽しかったですわ。

 ……ですが、葵さん。まだ本気出してませんわよね?」

 

「……いいや、紛れもなくあれが本気だよ」

 

 葵の“本気”とは、妃乃の真摯な姿勢に水を挿すような行為である。

 故に、あれこそが試合中における紛れもない“本気”なのだ。

 

「……まぁ良いですわ、スタンプを差し上げます。けれど、何でボードが割れてるんです?」

 

「絶対に間に合わないから、風間くんが分担したんだよ」

 

「なるほど、島といい相変わらずの奇策ですわね」

 

「ところで、妃乃のあのバディの人……」

 

 スタンプが押され、それを受け取った葵は気になっていた事を聞く。

 件の少女は試合が終わると同時にどこかに姿を消していた。

 

「あの人も島に居たよね? ゲーム制作部の人なの?」

 

「いいえ。ですがあの子には運営側に潜り込んで貰って、色々と裏工作を頼んでましたわ」

 

「物騒な……まあでも、試合といい信頼しあってるのはよくわかったよ」

 

「そうですわね。わたくしもあの子もお互いによく高い要求をしますが、出来ると信じているからこそ、ですわね」

 

 そう語る妃乃は心の底から嬉しそうに笑う。

 

「じゃあ、そろそろ行くよ。改めて、楽しかったよ」

 

「ええ、また会える日を楽しみにしておりますわ」

 

 ■

 

「お疲れ〜、ちーちゃん」

 

「その名前で呼ぶなって言ってんだろ」

 

「妹ちゃんもお疲れ。大手柄だったわよぉ」

 

「はい! お二人もすごかったです!」

 

 為政者チーム。

 千歳とタマの二人の事を、良子はまるで歴史上の偉人に相対しているかの様な目で見ている。

 

「いい子ねぇ、喬木が可愛がるのも分かるわぁ」

 

「……ふん」

 

 タマの言葉を千歳は否定しない。

 今の三人は勝負の過程で着替えたゴスロリ服を身につけている。

 そしてこの服を作ったらしい対戦相手の一人が、良子の姿を見るなり目を血走らせる姿を三人は目撃した。

 その上良子に服を送りたいから待ってほしい、等と言い出したため警戒しつつも待機しているのだ。

 しかしそんな中、しびれを切らしたタマが口を開く。

 

「私がスタンプを届けるからぁ、千歳はここで妹ちゃんの事見てなさい」

 

「あ゛? 何で私が。お前が残ればいいだろ」

 

「私のほうが足早いから」

 

 タマの言い草に千歳は露骨に苛つき、それを見た良子が仲裁を試みる。

 

「喧嘩しちゃダメです。良は一人でも大丈夫なので、お姉達の所に行って下さい」

 

「……チッ。早く行けよタマ」

 

「はいはーい」

 

 そう言ってタマは去り、良子と苛つきを抑えている様子の千歳が残った。

 

「良、ほんとうに大丈夫ですよ?」

 

「……タマの奴とペアルックで走るとか、考えるだけで寒気がする。いいから待ってろ、妹」

 

 ■

 

「葵! 勝ったんですね」

 

「うん……後ろから二番目かな?」

 

「遅いわよぉ、喬木」

 

 集合場所に到着し、場の面々を見て到着が遅い方だと認識する葵。

 そんな葵が一人である事に気が付き、シャミ子が問う。

 

「杏里ちゃんはどうしたんですか?」

 

「服を見たいって言ってたから別行動にしたんだ」

 

「なるほど」

 

 と、そこで今度は葵が別人の不在に気がつく。

 

「……タマ先輩、良ちゃんはどこですか?」

 

「千歳が見てるから大丈夫〜」

 

「……まあ信用しますよ」

 

「堅次くん達の所へ向かうから早くしなさい」

 

 そして、向かった先で堅次たちの勝利を見届け、スタンプラリーの全勝が決まったのであった。

 後で打ち上げをすると伝えられ、葵達一行は堅次たちと一時別行動となった。

 千歳から葵への連絡により、チーム分けをした場所で良子を待っていると、その中に混ざる一人の人物が。

 

「そういえば、結局何で戦ってたんですか?」

 

「私から説明致しましょう!」

 

「……柴崎さん。風間くん達の所行かなくて良いのかな?」

 

「大丈夫ですよ」

 

 芦花を認識した葵は目を丸くして問うも、軽く流された。

 堅次とコネコネの縁、そして副業。さらには今回の勝負に賭けられた物品。

 芦花によってそれが勝手に赤裸々にされてしまう。

 

「あのダンディな先生、スゴイ人なのね」

 

「何だか感動的な話ですね……」

 

「そうなんです、風間さんは健気なんですよ! ……おや?」

 

 一行が話に感動していると、それに同意していた芦花が何かに気がついたようだ。

 

「あなた……もしや、闇属性の方ですか?」

 

(!?)

 

 その言葉を耳にした魔法少女二人に緊張が走る。

 しかし芦花はそれを気にせず、感動した様子でシャミ子への言葉を続ける。

 

「私も闇属性なんですよ! 喬木さんの周りの闇属性ってあなたの事だったんですね! 

 そうだ、お近づきの印にこちらを差し上げましょう!」

 

 怒涛の言葉でシャミ子に詰め寄り、何かを押し付けた芦花はそのままの勢いで去っていった。

 その展開に葵を除く面々は唖然としている。

 

「……何だったの?」

 

「まぁ、柴崎さんいつもあんな感じだし」

 

「これ……なんでしょうか?」

 

 苦笑する葵を横目に、シャミ子は渡された妙な布と巾着袋を見て疑問符を浮かべている。

 

「ああ、それは……」

 

「む? もしやそれは闇の布ではないか?」

 

 以前、それを目的として激戦を繰り広げた事のある葵の言葉を遮り、リリスが声を上げた。

 

「ごせんぞ、何か知ってるんですか?」

 

「うむ、それは“闇の布”と呼ばれる特殊な布でな。

 闇属性の希少な性質の魔力を持つ一族が丹精を込めて織り、作られるものだ。

 闇の布の歴史は古く、始皇帝のキングダム建国に一役買った事もあったとかないとか」

 

「……すごくうさんくさい」

 

「余はあの時期の東方の事はあまり詳しくないのだ」

 

「いやそうじゃなくて……」

 

 リリスの解説にそんな感想を言った桃は凄まじく微妙な顔をしていた。

 

「ごせんぞ、これ……何に使えばいいんでしょうか?」

 

「残念ながらそれもよく知らぬのだ。

 まあ、闇属性なら持っていれば何かの役には立つであろう」

 

「そうですか……」

 

 そんな中、未だ困惑している様子のシャミ子に小さな影が近づく。

 

「お姉!」

 

「良! お帰りなさい」

 

 シャミ子に向かって走り抱きつく良子を見て、葵は軽く頬を緩ませていた。

 そんな葵に声をかけるもう一人の人物。

 

「おい、喬木」

 

「あぁ、会長さん。良ちゃんの事ありがとうね」

 

 千歳はそれには答えず、何かがパンパンに詰まった袋をいくつか葵に押し付ける。

 

「これは……?」

 

「良子の服だ。お前が持て」

 

「うん、分かった」

 

 それだけ言って千歳は立ち去ろうとし、良子が背中から声をかける。

 

「ありがとう! 千歳さん!」

 

 返事はなかったが、背中を向けたまま手を振り千歳は去っていった。

 そこでようやく、一行は良子の今の格好に触れる。

 

「それで……良、その服はどうしたんですか?」

 

「勝負を始める時に着て、相手の人がそのまま持ち帰っていいって言ったの。

 後、お兄の持ってる袋の中身も同じ人から貰ったんだよ」

 

「そうなんですか!? よかったですね。似合ってますよ、良」

 

「ありがとう、お姉」

 

 そんな姉妹のやり取りを聞き、葵は良子の服を見ていた。

 良子の着るゴスロリ服は、例によって学生による物とは思えない程クオリティが高い。

 千歳から渡された袋の中をチラッと見ても、やはり相当のものだ。

 葵はある程度の裁縫は出来るが、流石にこれほどの物を作ることは出来ない。

 そんな事を考えつつ、葵は千歳を見て気になった事を問う。

 

「会長さんに随分よくして貰ったみたいだね、良ちゃん」

 

「うん、千歳さんもタマさんもすごく優しかったよ」

 

「ちょっと心配だったけど、よかったね」

 

「うん! 良の事、行かせてくれてありがとう」

 

「最終的に決めたのは優子だけどね。どういたしまして」

 

 良子に微笑みながら、葵が普段のあの二人の様子を思い浮かべて意外に思っていると、また一人一行に近づく者が。

 

「や、さっきぶりー」

 

「杏里ちゃん、沢山買ったんですね」

 

「持とうか? 杏里」

 

「葵も皆も沢山持ってるじゃん。私一人でだいじょーぶ」

 

 今主に荷物を持っているのは葵と桃であるが、他の面々もそれなりの量を持っている。

 杏里も当然いくつかの袋を持っており、彼女のテニス道具の事もあり葵はそう言ったのだが、逆に気遣われてしまった。

 

 そうして全員が合流し、杏里に打ち上げの事を伝えた後、それまで適当に時間を潰すことになった。

 そんな中、桃が思い出したように口を開く。

 

「そういえば葵、聞きたいことがあるんだけど」

 

「うん?」

 

「葵って……高2だったの?」

 

 桃のその質問に場が凍る。

 葵は何故今更そんな事を聞くのかと困惑を禁じ得ない。

 

「ん……? え? 言ってなかったっけ……?」

 

「16歳としか聞いてないよ?」

 

「まあ誕生日まだだし……」

 

「桃、まさかそれだけで勘違いしてたんですか?」

 

「桃……あなた無関心にも程があるわよ……?」

 

「……」

 

 周囲からの言葉と視線に桃は顔を反らし、沈黙していた。

 

 ■

 

「あ、店員さん。もう一つ取り皿お願いします」

 

 そうして時間が経ち、打ち上げの為に入ったとある焼肉屋。

 リリスのための取り皿をシャミ子が頼む中、一行は最初に来たドリンクを飲みつつ会話を始める。

 

「お肉はお昼にも食べましたけど、こういう打ち上げっていうのは初めてです」

 

「服を買いに行くつもりだったのに、こんな展開になるとは予想してなかったわね……」

 

「偶然私がテニス道具持ってなかったらどうなってたのかな、葵」

 

「葵、こうなる事予想してたの?」

 

 複数の視線を向けられた葵は軽く引きつった笑顔になりつつ、多少考える素振りを見せた後に話し出す。

 

「うーん。俺がテニス道具持っていったのはそう指示があったからで、だから何か仕掛けてくるとは思ってたんだけど」

 

「けど?」

 

「それが無くても、何かしらの騒動になりそうとは思ってたんじゃないかな」

 

 葵はその言葉と同時に、額に怪我をした高尾と、彼女の絆創膏を貼り変えている堅次の方を見る。

 

「葵って、あの方と仲良いんですか?」

 

「まぁ俺はそう思ってるよ。

 知り合ったのは2年生になってからだけど、短い間に結構な騒動くぐってきたかな」

 

「お兄は学校でも自分を鍛えてるんだね」

 

 良子に輝く目で見られながらそう言われた葵は、その言葉を否定しない。

 実際あの高校で過ごす内、去年も含めて結構な頻度で荒事に巻き込まれている。

 入学してからの出来事をいくつか思い浮かべていると、桃が少々引き気味な様子で葵に問う。

 

「葵っていつもあんな感じの事してるの……?」

 

「まあそこそこ、だね。俺よりもずっと忙しい人もいるし」

 

「桃もいつも私に修行させてるじゃないですか……」

 

 シャミ子が小声で呟いたそれは桃に伝わらなかったようだ。

 そんな会話をしていると、堅次が頭を下げ参加している面々にお礼の言葉を言い始める。

 

「今回は皆に助けられた、ありがとう。

 命を救ってくれたショーン・コネコネ先生に、今回少しでも恩が返せて俺は嬉しい」

 

 しかし、そんなお礼の言葉は芦花たちに茶化されてしまった。

 堅次は少し苛ついた様子だったが、その後葵たちの方に向きまた頭を下げる。

 

「……あんた等も、ありがとう。部活どころか学校すら別なのに、恩に切る」

 

「いえ。チケットのおかげで沢山服変えましたし、そのお礼です」

 

「だってさ、風間くん」

 

「あー……アレも俺じゃなくてな……」

 

「ちょっと待つですのぉ!」

 

 微妙な顔をする堅次の言葉を遮り、葵達のいる部屋のふすまが勢いよく開けられ、隣の部屋から高不動の声が響く。

 どうやら立女側も打ち上げをしていたらしい。

 

「そ、そちらの方々! 府上生じゃなかったんですの!?」

 

「あら? ハタちゃん、知ってて通したのでは無かったんでして?」

 

 高不動の後ろからそう声を掛けたのは妃乃。

 彼女の言葉を聞いて高不動は微妙な顔で話を続ける。

 

「そちらのお子様はまあいいとしましたが……外野の外野が府上生だったから思い込んでしまいましたの……」

 

「妹ちゃんも凄い活躍してくれたけどね〜」

 

「……そうなんですか? 良」

 

「うん。良がんばった」

 

 タマと姉妹のやり取りを聞いた高不動は口をあんぐりと開け、そこに堅次が更なる追い打ちをかける。

 

「そもそもお前が卑怯な手ェ使いまくるのが悪いんだろ。

 もうブラックチケットはコネコネ先生に渡ったんだ、諦めろ」

 

「ハタちゃんもそそっかしいですわねぇ」

 

 完全にとどめを刺された高不動が燃え尽きてその場に崩れ落ちると、芦花が堅次に近づき話しかける。

 

「ま、持ちつ持たれつですね。これからもお互いによろしくお願いします」

 

「……え、それはスッゲー嫌だ……こいつらに貸しを作るとか……まずいことしたな」

 

「貸しなら……そもそも。柴崎先輩達に住まいを提供している時点で、既に大きい貸しがありそうだけど」

 

 堅次が顔を抑えて軽くふらつきながら呟くと、隣にいた之江が衝撃の一言を発した。

 案の定その言葉に場は凍りつき、一瞬の後に大騒ぎになる。

 無論葵達もだ。

 

「ははーん? なるほど、風間くんが駅までチケット渡しに来たのってそういう事か」

 

「……? どういう事?」

 

「葵、あの人達ってどんな関係なんですか……?」

 

「もしかしてあの人もお姉と同じ大将軍……?」

 

「聞き逃せない話の雰囲気がするわ……」

 

「葵がつるんでるだけあって面白い人らだね〜」

 

「若いとはよい物だの……」

 

 何処か枯れた様なリリスの言葉を聞き、打ち上げは更に盛り上がっていった。

 

 ■

 

 そんなこんなで時間が経ち、解散した葵達は帰りのモノレールに乗っている。

 

「今日は楽しかったけど、すごく疲れました……」

 

「そうだね……」

 

 各々袋を抱え、桃も珍しく疲れた様子だ。

 

「あれだけ騒がしくなる打ち上げは中々ないよねぇ」

 

「佐田さんはああいうの結構慣れた感じなのかしら?」

 

「杏里でいいよ〜。そうだね、そこそこああいうのは経験あるかな。

 でも葵が絡んでるだけあって、さすがって感じの雰囲気だったよ」

 

「杏里、それどういうことかな? ……おっと」

 

 杏里の言葉に少しムッとした雰囲気の葵だったが、隣にいる良子が目を閉じてふらつくと、それを支える。

 

「良ちゃんも今日は凄く頑張ってたみたいだね」

 

「あのお二人の事、何度も話してましたね……。

 葵、誘ってくれてありがとうございました。今日はとっても楽しかったです」

 

「どういたしまして、俺も楽しかったよ。帰ったらよく休んで、明日からも頑張ろうか」

 

「はい!」

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