お互いに何も知らない関係からどうにかなる話   作:椎本琉莉

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今回のお話、ずん子さんも登場してます。ではではどうぞ。


結月ゆかりと弦巻マキの出会い

 私が学生の時のとある金曜日。

 

「よし今日も終わりましたね、早く家に帰らなきゃ!」

「ずん子さん、毎日お家のお仕事手伝ってて凄いですね」

「私自身ずんだ餅好きですからこれはいわゆるハイリスクハイリターン!あれなんか違いますね」

「等価交換ですか?」

「そうそれです!」

「全然違うじゃないですか……」

 

 この人は東北ずん子さん。姉妹三人暮らしで、家は和菓子屋をやっている。

 

「そういえばですね、つい最近とっても可愛い双子姉妹がお店に来たんですよ」

「へえ、そうなんですね。どういう風に可愛いかったんですか?」

「それはもう、一人標準語なんですけどもう一人の方がなんと関西弁で!」

「それはまた珍しいですね」

「はい!ずんだ餅も美味しいって言ってくれるのでとっても気に入っちゃいました!」

「そこ大きいんじゃないんですか……?」

 この人はずんだ餅が大好きだから、つい疑いの目を向ける。

「まさかまさか!それとは別にきりたんと一緒に遊んでくれまして」

「子ども好きなんですね、その方々」

「なのでそこが一番お気に入りですね!髪色も違ってて、なんかもう見た目も可愛くて綺麗でしたよ!」

「なるほど、一度会ってみたいところですね」

 こんなにも楽しそうに話すのだから、きっといい人なんだろうなと思う。

「あっ話してると時間忘れちゃいますね、では!」

「はい、ずん子さんまた月曜日に」

 

 

 帰り道にイヤホンで音楽を聴きながら寒いなと思いつつポケットに手を突っ込んで街中を歩いていると、目の前にスーツ姿の男の人に話しかけられている金髪の綺麗な女の人がいた。

「……これ、ナンパでしょうか。でもあれだけ可愛いとアイドル事務所が声かけるってこともありますし……うーん」

 助けようか、助けまいか悩む。

 ひとまずはイヤホンを外し不自然がないように少しずつ近づいて聞き耳を立てる。

 

「いや、だから……」

「いいじゃねえか、ちょっとお茶するぐらい」

 

 と、聞こえてきました。

 確定事項です、ナンパですね。

 本当なら目立つことはあまりしたくないのですが……

 

 

「いいじゃねえか、ちょっとお茶するぐらい」

「だから、別に結構なので……本当に警察呼びますよ」

「へへ、まだ何もしてねえけどなぁ……」

 困った。スーツ姿の人に声かけられたからスカウトかなにかかと思いきやただのナンパでしかもしつこい。助けを呼べたら……

 

「失礼しました、お待たせしましたか?」

 

 ポケットに手を突っ込ん出るのがよく似合ってる紫色の綺麗な髪の女の人が、声をかけてくれた。

「う、うん!待ってないから大丈夫!さ、カラオケ行こうよ」

「ちょっと待ちな新しく出てきたお嬢ちゃん、君もどうだ―――は?」

 その女の人も男に声をかけられ、さらに手を伸ばされたかと思いきや。

 瞬時に女の人の方が右足でその男の足を引っ掛けて転ばせていた。

「お生憎ですが、私はあなたに一切興味がありません」

「ッ、このッ」

 男は瞬時に立ち上がり、女の人に襲いかかろうとするが。

「はぁ……そろそろしつこいのでどこかに行ってくれませんか」

 男の股間に脚がダイレクトヒット。

「はぐぅっ―――」

「ああ、これじゃどこにも行けないですね。じゃあ私達でどこかに行くことにします。行きましょう」

「う、うん!」

 その顔は、とても綺麗で。微笑むところなんて。

 少し、ドキドキした。

 

 

 そして、歩いて少し経った頃。

「本当にありがとう、えっと……」

「結月ゆかりです」

「じゃあ……ゆかりさん?」

「呼び方はお任せしますよ」

「じゃあゆかりん!」

「分かりました、ではえっと……」

「弦巻マキ、マキでいいよ!」

「では弦巻さんで」

「マキでいいってば」

「いきなり私はそうは呼びませんよ」

「ふふ、手強いなあ」

「嘘です、マキさん」

 と、互いに自己紹介を交わしていた。

「で、どうする?本当にカラオケ行く?」

「ええ、いいですよ。ここから近いですよね確か」

「うん、多分ここから五分ぐらいじゃないかな?きっと」

「すごく曖昧ですね、でも私もそんな気がします」

「そっちも曖昧じゃんゆかりん」

「ふふ。お互い様、でしたね」

 

 

 という訳で。

 カラオケにやって来ました。ずん子さん以外と来るのは初めてなのですが……

「あれ?ゆかりさん?」

 聞き慣れた声がすると思い後ろを振り返るとずん子さんが後ろから。

「おや、ずん子さんではないですか」

「奇遇ですねゆかりさん、それでそちらの方は……」

「どうも、弦巻マキだよ!マキって呼んでね」

「これはこれはマキさん、私は東北ずん子っていいます」

「ずん子ちゃんか、了解!よろしくね!」

「はい、こちらこそ!」

 こちらの二人も自己紹介を交わしたところで。

「それで、ずん子さんはどうしてここに?家の手伝いすると思ってたんですが」

「はい、それが家の方に電話したら……」

 

『今日は人手足りてるから大丈夫だから遊んできなさいな〜』

 

「と、言われまして。とりあえずカラオケに来た次第で」

「なるほど、それはちょうどいいですね。では一緒に……」

「マキさんマキさん、ゆかりさんすごく歌上手いので惚れないようにしてくださいね?」

 無視しないでずん子さん。

「う、うん、わかった!楽しみにしてるねゆかりん!」

「そんなに楽しみにされても、やることが歌うことぐらいしかなかった訳ですし……まあそうですね、期待以上に楽しませられるよう精一杯歌いますね?」

 期待を向けられて悪い気はしないので微笑みを混じえてそう返す。

「わあ女の人を殺す笑顔!」

「なんですかそれ、こんなことで人は死にませんよ」

 そんな人を殺すような笑顔はしてない。

「いやだって、ゆかりさん学校ではいつも目立たないようにしてるのに人助けが趣味なところもあるせいでちょくちょく告白されてるじゃないですか。ゆかりさんイケメンですよ」

「いや、困ってる人がいたら手を伸ばしたくはなりますので……目立つのは苦手ですが目の前で困られてもこっちが困るだけです」

「聞きましたかマキさん、イケメンですね」

「だね、イケメンだねゆかりん」

「もう……」

 だって、照れる。大勢の人の前なんて。

 

 

 部屋に入って、

「では飲み物を入れてきますね」

 と、ゆかりんが部屋を後にする。

 

「で、惚れちゃいましたかゆかりさんに」

「ぶふぉっ―――」

 単刀直入すぎるよこの子!

「ええ無理もないですね、ほーんとイケメンでびっくりします」

「んんっ、まあね。本当に王子様に見えたよ」

「でも多分、だからこそ知らない人とかに逆に助けて貰ったりしたらコロッと落ちそうですね」

「あーたしかに、助けるばかりで自分はそんなに助けられるまではいってなさそうだもんね」

 

 と、話していると部屋のドアが開き。

 

「出来ることなら私の胸を少しゆかりさんに……」

 

「なるほど、有言実行して頂きましょうかずん子さん」

 

 そのゆかりんの顔はまさにあれだ。般若だとか悪魔だとかそんなチャチなものじゃ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を感じた……

 

 

 それで。ゆかりんが歌う番になった訳で。

「えーっと、次私の番ですね……では」

 

 え、待って。何この歌声。

 綺麗、何これ。こんな歌声聴かされたら、ますます惚れちゃうじゃん。もっと聴いていたい。

 

 

 カラオケであっという間に時間が過ぎて帰る時間に。

「では、また月曜日にゆかりさん!マキさんもまた会いましょ!」

「ええ、ずん子さん。ではまた」

「また会おうっ!私のことが嫌いじゃなければね!ずん子ちゃん!」

 そう言って二人は互いの肩を掴んで頷いて、その後互いに背を向けた。

 そして、ずん子さんが離れていった後。

「なんのノリですか」

「え?なんか突発的に降りてきた」

「変なノリですね……でもこれならこれからも仲良く出来ますね」

「ん?もちろんこれからも仲良くするつもりだよ。あのねゆかりん……私さ、ギターやってるんだ」

「ふむ」

 また唐突な。

「だからさ、もし良かったら二人で、あ、ずん子ちゃんも含めて三人でバンドとか……ダメ、かな?」

 そんなことか、それなら。

「いいですよ、あとはずん子さんがなんと言うかですね」

「あ、そこはもう話つけてるから大丈夫!じゃあこれからよろしくねゆかりん!」

「ええ、よろしくお願いしますマキさん」

 こうして、私達の出会ったこの一日は終わりを告げる。

 

「ところでマキさん」

「ん?どうしたのゆかりん?」

「何食べたらそんなに大きく……」

 マキさんの豊満な胸を見ながら。

「え?」

「なんでもないです」




やっぱ音楽関連で知り合ってそうだなと。
実はこの時から琴葉姉妹は東北家の常連でした。

マキさん可愛いやったー!と、ゆかりさんまじかっけぇ!を書きたくて書きました。
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