EDF日本支部召喚:Restart   作:クローサー

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今回は前日譚の掘り下げ。本当は本編進めたかったな…
ちなみにこの話は昨日今日で書き上げました。やはり電波受信すると、物凄い勢いてサラサラと書ける…


人類最後の司令官(権力者)

時にして、2017年12月1日。

EDF日本支部が地球奪還作戦 第一フェーズ 日本列島奪還作戦を発令してから11日が経過。

 

「燃料備蓄はどうなっている?」

「減少の一方です。藻類燃料などのバイオ燃料の増産は行われていますが…それ以上に機甲戦力やインフラの需要が供給を圧倒しています。このままでは日本列島を奪還する前に燃料が保つかどうか…」

「だが、此処で戦力の一部停止は行えん。我々が現在の優勢的な戦局を保てているのは、ほぼ全軍の戦力投射による火力圧倒による殲滅力だ。これを失えば、我々は攻撃能力どころか防衛能力さえも失い、人類最後の砦は陥落する」

「…」

「最早我々は引く事は出来ない。前だけを向き、そしてあらゆる敵を殲滅し、未来を切り開く。それ以外の道は無い」

 

オペレーターの声が飛び交うオペレーションルームの一角、そこで話し合っている2人の人物。

その片割れは、EDF日本支部司令長官 大石宏光。

 

EDF日本支部の総指揮を担う、そして唯一残存する人類軍の指揮系統の頂点。そして、人類最後の権力者となってしまった男だ。

 

 

 

 

 

 

今でこそこんな立場となってしまったが…元々はこんな立場に全く似合わぬ人物だった。

そもそも人類最後の砦となったEDF日本支部は、()()()から様々な問題点が噴出していた。

 

一つ。極東に於いてEDFを管理する極東支部がある中で「日本にだけ」、「日本支部」を設立するという()()()

一つ。日本国憲法第9条「戦争の放棄、戦力及び交戦権の否認」による日本国の軍事関係、日本国に駐屯する在日米軍の軍事関係、EDFの「対異星人(フォーリナー)軍」による軍事関係の衝突及び干渉の懸念。

一つ。一部の日本国民…特に本部設置予定地として選ばれた大阪府の市民達からの、超法規的軍隊の駐屯の反対の声。

 

代表的な問題だけでも、これだ。その困難さから、EDF日本支部の設立は早い段階で立ち消えるだろうと多くの人が予想し、想定した。

しかし大石だけは違った。彼はEDF日本支部設立の為に様々な場所へと出向いた。

時には大阪府の市民達の交渉の場に自ら出向き。時には国会の場へと自ら出向き。時にはテレビのニュース番組にも自ら出向き。精力的に各地を転々とし、その度にEDF日本支部の設立の必要性を説いた。大石はハッキリ言って軍事の才能だけを見ると平凡寄りの無能だったが、しかしこう言った調整などに於ける能力と才能はあった。そして本人のやる気もあった。

その甲斐あって、最終的に支部としては最も遅くEDF日本支部は設立された。その後も大石はEDF日本支部司令長官として、引き続き噴出する問題の解決や、自衛隊や在日米軍との積極的な交流、設立後も引き続き反対の声を出す市民達の説得を行なってきた。その姿はとても一つの基地の司令官などではなく、まるで中間管理職のようだと、大石の姿を見た一部の者は思ったと言う。

 

…そして、2017年4月1日。全人類は突如、絶滅戦争の戦火にその身を晒す事となった。同時に、大石が積み上げていた努力の成果と、大石だからこその能力を開花させるきっかけとなった。

EDF日本支部と自衛隊、在日米軍は直ちに共同体制を確立。指揮系統や政治的混乱を避ける為にEDF日本支部が主柱となり、各地にて効率的な戦闘を展開。EDF日本支部に足りない物を自衛隊と在日米軍が、自衛隊と在日米軍に足りない物をEDF日本支部が補う相互協力により、混乱の最中でも、最も多くの人命を救い、そして戦力比的に見て最も多くのフォーリナーを屠る事となる。

しかし相手は人命の常識が一切通用しない宇宙の化け物達。その常識の外による物量戦術、技術的格差、戦術及び戦略行動の前に殆どの人類軍は敗北を重ねる。

例外は北アメリカ戦線、及び日本列島戦線だった。北アメリカ戦線は国家軍の中で世界最強かつ最大の規模を誇る米軍と、EDF最大の規模と戦力を誇るEDF北米軍の物量と連携によって。日本列島戦線は、大石の独自の戦略眼によって。

先に記述したが、大石の軍人としての才能は平凡寄りの無能だった。しかしそれはあくまでも「人類対人類」に於いての話。「人類対フォーリナー」に於いては、大石に軍人の才能はあった。他の者から見ればまるで非常識な戦術や戦略が、結果としてフォーリナーに最も有効打を与えられる手段だった。だが人類的に非常識な戦術と戦略は、時には甚大な損害を発生させた。特に四つ足歩行要塞破壊作戦、第三次巣穴掃討作戦、第7次関東防衛作戦の損害は凄まじく、程度の差こそあるが確実に回復不可能なダメージを負っていた。

 

しかし此処で幸運だったのは、この時のEDF日本軍と自衛隊の練度は既に世界最強であった事。そして何よりも、大石の常識外な戦術と戦略を120%の理想系で応えられる(ストーム1)が居た事だ。

この二つの要因により、日本列島戦線は致命的な戦線崩壊を招く事なく、整然と戦線を後退。戦力や軍需資源の浪費を最小限に抑えた。

しかし他の戦線はそうは行かなかった。EDF日本支部は確かに戦力比で見れば他の巨大戦線にも劣らなかったが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だからこそ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()4()()()()()()()()

 

後に彼等はその全てと相対する事となるが。

日本を除くユーラシア大陸には四つ足歩行要塞が4機、超巨大生物が7匹。

南北アメリカ大陸には四つ足歩行要塞が3機、超巨大生物が5匹。

オーストラリア大陸とアフリカ大陸には四つ足歩行要塞が1機、超巨大生物が2匹ずつ。

 

総数25体のフォーリナーの戦略兵器が、日本列島の外に存在していたのだ。

 

これらに加えて、巨大生物や飛行ドローン、ヘクトルの物量戦術の圧力。結果、人類軍は敗走の末に潰走、壊滅。核兵器を投入しても尚宇宙からの侵略者はあらゆる物を呑み込んだ。その例外が日本列島戦線のみ。北米本部、欧州支部、南米支部、中東支部、極東支部、シベリア支部、各国軍は壊滅し、その姿を消した。

そして日本支部以外のあらゆる指揮系統が死滅した為に、必然的に大石は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()へとその立場を変質させていた。

 

味方は既におらず、周りには敵しかいない四面楚歌。ハッキリ言ってこんな状況からの勝ち筋は全く浮かばず、オペレーション・アイアンレインも最早破れかぶれの最終攻勢のつもりだった。だがストーム1の活躍により、オペレーション・アイアンレインは戦略的勝利を収め、EDF日本支部は千切れかけの綱の上に立つ事に成功する。

 

地球奪還作戦。

それは人類が再び地球の支配種族となるか、それともフォーリナーが成り代わるかを明確に決定づける生存戦争の幕開けだ。

 

人類戦力はEDF日本支部 残存戦力全軍のみ。

フォーリナー戦力は幾億もの巨大生物、幾万ものヘクトル、彼等は未だ知り得ない25体の戦略兵器。

致命的な戦力差に加えて、減り続ける食料、燃料、弾薬、エネルギー。あらゆる物が不足し、どれか一つでも尽きた瞬間に人類の敗北が決定されるデッドゲーム。

だが、彼等に最早傍観も、絶望も、逃避の色は無い。勝つ、勝てる、勝たなければ。

 

 

(そうだ、我々はまだ戦える)

 

大石はタブレットをポケットから取り出し、戦略地図を開く。

其処には、日本列島の関西、東海、中国地方東部以外の全土が赤く染まった世界地図。赤色の意味は当然、「フォーリナー支配領域」を意味する。

人類支配領域は僅か78,400㎢。対してフォーリナー支配領域は147,165,600㎢。面積差は約1877倍にも及ぶ。現有戦力でこれ程の領土奪還はまず不可能。故に各地に離散していると思われる人類の現地勢力と随時合流し、戦力を拡大しつつ奪還を進める他にない。細かな作戦計画などは存在せず、端的に言えば奪還する大陸の順番以外には「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処する」と言った内容しか書かれていない。そもそも詳細な作戦を今立てれる程の情報も、時間も無い。正に無い無いづくしの地獄絵図だ。

 

 

(我々はまだ諦めていない。我々は必ずお前達に勝利する)

 

 

しかしそれでも、兵士達は彼等の全力を尽くし、戦う。其処に息を吹きかければ儚く消え去りそうな程の希望の残り香だとしても。其処に希望があるのならば。

そして彼等が諦めないのならば、大石も諦める訳には行かない。最前線で戦う彼等が諦めていないのに、最後方の自分が勝手に諦めては道理なんて物は一切通る訳がない。

無能にも、無能なりの矜持はある。

 

(目に物見せてやる。化け物が人間を殺すんじゃない、人間が化け物を殺してやる)

 

 

だからこそ、彼は「人類最後の司令官」に相応しい。




日本列島で四つ足歩行要塞1つと超巨大生物(ヴァラク)4体でしょ?日本列島だけでこんなんとか大陸ヤバくね?

ヤバくない訳無いじゃん。()

尚、最初はもう少し多く居た。(調整の結果25体に削減)
後言及してなかった核兵器使用も僅かに記述。もうこのレベルになると、投入しない展開が思い浮かばない。どのくらい射ったかは…うん、前日譚で記述する機会があればね。

前作の前日譚をこの作品に移動させる?

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