EDF日本支部召喚:Restart   作:クローサー

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地球防衛軍6、どういうストーリーになっていくんでしょうね。初っ端から絶望なのは確定なんですけども。
…あの世界でAF14とスティングレイM1持っていくって、5から考えると自殺もいいとこだよな…w

ちなみに前話のアンケートの結果、前日譚はこの作品に移します。
前作の前日譚の削除はしませんが、更新も此方の作品で行なっていきます。


第5話 変化の光、戦乱の影

EDF日本支部とクワ・トイネ公国が国交を締結してから、およそ1ヶ月が経過した。

 

クワ・トイネ公国は、EDF日本支部との国交を隣国クイラ王国と共に結んでから、急速に発展している。

クワ・トイネ公国からは食料を、クイラ王国からは地下資源を輸入していくEDF日本支部は、その対価に両国へインフラを輸出。(両国から見れば)様々な超技術を惜しむ事なく投入していくEDF日本支部。

実際、EDF日本支部は国交締結直後から工作部隊や自前の軍用造船所のみならず、絶大な支援の元に民間の建設会社、造船会社、鉄道会社にクワ・トイネ公国開発の協力を依頼した。貴重な天然食料さえも報酬の一つとして提示した結果、極めて多くの企業がクワ・トイネ開発事業に参入し、凄まじいマンパワーと技術力によって、僅か3週間でクワ・トイネ公国 マイハーク港から大穀倉地帯へのインフラを完全に整備。その間に高速建造された複数隻の大型タンカーがクワ・トイネ公国と日本列島を往復し、両国に様々な物質を届けている。結果、クワ・トイネ公国の国内外の流通が極めて活発化し、今までとは比較にならぬ程の発展を遂げるだろうという試算結果が出ている。

そしてクワ・トイネ公国は武器の輸出も求めたが、EDF日本支部は武器の輸出は許可しなかった。なんでも「他国が扱うには余りにも危険」という事らしい。ならばと各種技術の提供も求めたが、此方も「機密などに抵触する箇所が多数ある」として、EDF日本支部が取り扱う最新の技術は提供されなかった。しかし提供されてきた前世代的な技術でも十分な物ばかり。様々な新技術のサンプルを前に、経済部の担当者は「国がとてつもなく豊か」になると言った。

 

このようにクワ・トイネ公国は凄まじい活気に包まれる事となったが、しかし。EDF日本支部は、この比ではなかった(・・・・・・・・・)

 

 

それは何故か。一重にそれは「安心安全で、尚且つ美味い飯がたくさん食べれるようになった」からだ。

 

 

度々繰り返す事となるが、フォーリナー大戦後、世界は深刻な食料不足に陥った。穀倉地域は全滅し、畜産業は99.9%が全滅。天然食料のみでの食料自給率は5%どころか1%にも満たない事態となった。日本列島の天然食料生産量が僅か十数t(・・・・・)*1である事から、その凄まじさは分かるだろう。化学食料が開発されるまでの半年間、人々は僅かな食料を取り合い、時には人類同士での戦闘にさえも発展した。フォーリナー大戦後の人類減少の3%はその内戦による犠牲者なのだ。化学食料の開発後は食料不足の問題は起こる事は無くなったが、別の問題が発生した。

化学食料は添加物を山のように使用している為、天然食料と比べると不味い。その上身体に非常に悪いのだ。

しかしその問題があっても、人々は化学食料を食べる他ない。天然食料が再び充分に行き渡るようになるのは90年後とも言われており、天然食料は安いものでも100万円もの超高価格。市民どころかEDFの士官でも手が届きにくい代物と化してしまっている。故に天然食料を一食でも食べる事が出来れば、それは一種のステータスでもあった。

しかし転移後、クワ・トイネ公国産の天然食料が文字通り山のように輸入されてきた。この夢のような出来事に、EDF日本支部に住まう全員が狂喜した。天然食料が民間に放出された日など、フォーリナー大戦を生き残ってきた古参の兵士をもってして「百鬼夜行の地獄絵図」と言わしめた。天然食料が超低価格で購入できるようになった為、市民達は勿論、兵士達も財布の紐を盛大に緩めて買い漁り、およそ10年ぶりにもなる天然食料の美味を噛み締める事が出来るのだ。あらゆる人間が理性を忘れ、天然食料を買い漁った(奪い合った)。そして家に帰り、調理した天然食料の味に、思わず涙を流す者さえいた。

 

天然食料だけに留まらず、EDF日本支部はクワ・トイネ公国から無汚染の土と水、植物の種などを輸入している。

それらの目的はただ一つ。「国土の復興」だ。日本列島では今も、国土のおよそ50%がフォーリナー大戦によって焼き払われ、更にその内の23.1%が原子力発電所の崩壊による放射能汚染、毒ガス兵器*2などによる深刻な汚染が発生していた。EDFとしてもこの惨状を放っている訳ではなかったのだが、地球各地がこのような状態。除染をしてもしても人も予算も道具も全く足りず、トドメに対フォーリナーの防衛線構築や市民の衣食住提供に、EDFのリソースは尽く吸い取られてしまっていたのだ。しかも汚染を取り除いたとしても、そこに元の自然は戻らず。結局は汚染が無くなった、貧困すぎる荒廃した大地となるだけ。市民達も折角手に入れた安寧の地から離れたがらず、結論から言うと国土復興は下火同然だった。

 

が、此処にクワ・トイネ公国の栄養満点な土と水、そして植物の種が手に入った。*3

これによって除染大地はクワ・トイネ産の大地へと少しずつ切り替わる事になる。相変わらずその規模は、汚染国土の範囲と比べたら小さな物だが。しかし「復興計画が十年単位で前倒しに出来る」と、国土復興局の局員達は旧復興計画書を破り捨て、咽び泣きながら新しい復興計画の立案を書き上げる過労な毎日を送る事となっている。

 

 

こうして、より良い関係を築き上げつつある3つの国家。

しかしいつの時代、どんな場所であろうとも、「悪意」を持った者は存在するものだ。

 

 

 

 

 

 

クワ・トイネ公国の隣国、ロウリア王国。

元々は中規模国家の一つであったが、侵略戦争を繰り返していった結果、現在ではロデニウス大陸の西半分を領土とし、人口3880万人にも達する大国となった。

ロウリア王国は人間至上主義を国是としており、純粋な人類種のみが住まう事を許可している。逆に人類種ではない者達…エルフ、ドワーフ、獣人族などと言った者達はロウリア王国では「亜人」と侮蔑し、醜い生き物であると迫害。亜人殲滅をも国是としている。

その為に、亜人比率が高いクワ・トイネ公国及びクイラ王国との関係性は悪く、国境は常に緊張状態に置かれていた。

 

そんな王国の王都 ジン・ハークの中心にある城の一室。春の夜の中、明かりの炎の揺らぎがいくつかの人影を作る。

今から行われるのは、王の御前会議。ロウリア王国の行く末を決める、最高会議を前に、ロウリア王国国王 ハーク・ロウリア34世を筆頭に、あらゆる重役達が一堂に会している。その中に、真っ黒なローブを着込んだ怪しい者も混ざり込んでいるが、それを指摘する者はいない。

 

ロウリア王国宰相 マオスが進行役として、言葉を紡ぐ。

 

「これより会議を始めます。まずは国王より、お言葉があります」

「…皆の者、これまでの長い準備期間、ある者は厳しい訓練に耐え、ある者は財源確保に寝る間も惜しんで奔走し、ある者は己の命を賭けて敵国の情報を掴んで来た。皆、大儀であった。亜人…害獣どもをロデニウス大陸から駆逐する事は、前々代からの大願である。その意思を、大願を叶える為に諸君らは必死に取り組んでくれた。その働きに、まずは礼を言う」

 

ロウリア34世が軽く頭を下げた後、話を続ける。

 

「遂に全ての準備が整った…諸君。会議を始めよう」

 

会議室は静寂に包まれる。前々代、つまりは軽く考えても100年前もの前からの悲願が遂に達成される、ある意味では最終戦争の直前。それは極度の緊張感となり、この場を支配した。

進行役のマオスは、今戦争の運営責任者である将軍パタジンに向けて話し始める。

 

「まず、ロデニウス大陸の統一は目前です。しかしクワ・トイネ公国とクイラ王国の間には強い絆があり、それは同盟を結んでいると言っても差し支えないと思われます。片方に戦争を仕掛けた途端、もう一国も我々に宣戦布告をする可能性が非常に高い。つまり、今回の戦争は2国を同時に敵に回す事となります。将軍は、2国を相手にしても勝てる見込みはありますか?」

 

その問いに対して、将軍パタジンは自信を持った口調で応える。

 

「一国は農民の集まり、もう一国は不毛の地の貧国。数も質も我が方が圧倒しており、結束が高くても我々の軍の前には消し飛ぶのみでしょう。負ける事は、まずありませぬ。詳しくは会議後半にて詳しく説明いたすが、ご安心なされよ、宰相」

「分かりました」

「だが宰相殿、1ヶ月ほど前に接触してきた…イーディーエフ、だったか?その国に関する情報はありますかな?」

 

実はEDF日本支部は、1ヶ月ほど前にクワ・トイネ公国とクイラ王国との国交を開始した直後にロウリア王国とも接触していたのだ。しかしロウリア王国側はクワ・トイネ公国とクイラ王国との国交があるとして、EDF日本支部は敵対勢力と判断。門前払いしていた。

 

「クワ・トイネ公国から北東1000kmの沖合に出来た新興国家との事です。距離も1000kmと離れている為、軍事的影響は無いでしょう。それに奴等は我が国の竜騎士団とワイバーンを見て「初めて見た」と驚いていました。竜騎士の存在しない、取るに足らない国でしょう。情報はあまりありませんが」

 

ロウリア王国側は知る由も無いが、余りにも致命的な勘違いがあった。

EDF日本支部情報局員は、確かにワイバーンを見て驚いた。人は未知のものに驚かずには居られないから当然の事であるが、ロウリア王国はそれをみて致命的な勘違いをしてしまった。

 

彼の国(EDF)は大した軍事力を保有していない」。

 

これは余りにも致命的。しかしそれを知らない以上、彼等はEDF日本支部を侮って会議を進める。

 

「そうですか。ならクワ・トイネ公国がイーディーエフに助けを求めても大した事はありませんな」

「しかし、我が代で遂に…遂にこのロデニウス大陸が統一され、忌まわしい亜人どもを絶滅出来ると思うと、余はとても嬉しいぞ」

 

ハーク・ロウリア34世が嬉しそうに発言すると、横から薄気味悪い声が口を挟んだ。真っ黒なローブを着込んだその人物は、第三文明圏列強国 パーパルディア皇国の使者である。

 

「大王様、統一の暁には、あの約束もお忘れなく…ククッ」

「分かっておるわ!」(第三文明圏外の蛮族と思って馬鹿にしおって…!!ロデニウス大陸を統一したら、国力をつけた後にフィルアデス大陸にも攻め込んでやるわ)

「コホン…将軍、作戦概要説明をお願いします」

 

その後、将軍パタジンによる作戦説明が始まった。要約すると、以下の通りとなる。

 

1.今戦争における総兵力は50万。内40万がクワ・トイネ公国侵攻軍であり、残りの10万は本土防衛用である。

2.初戦はクワ・トイネ国境から近い人口10万人の都市 ギムを強襲制圧。兵站は現地調達。(クワ・トイネは豊富な食料に恵まれており、本国からの補給を必要としない為)

3.ギム制圧後は東方55km先にある城塞都市エジェイを全力攻撃。クワ・トイネ公国内で最も堅牢な都市エジェイさえ陥落出来れば、今回 戦争の勝利は決定的となる。

4.航空戦力はロウリア王国のワイバーンのみで対応可能。

5.並行して海から艦船4400隻の大艦隊でマイハーク北岸に上陸、経済都市マイハークを制圧。マイハークを制圧すれば、食料をクワ・トイネ公国に頼り切っているクイラ王国は脅威ではなくなる。

 

「クワ・トイネ公国の総兵力は僅かに5万人。さらに言えば、即応兵力のみなら1万にも満たぬ数であると考えられます。今回準備した我が方の40万の兵力をぶつければ、仮に質が上回っていようが、小賢しい策を弄しようが、圧倒的物量の前には無意味です。この6年間の準備が、実を結ぶでしょう」

「そうか………今宵は、我が人生最良の日だ!!クワ・トイネ公国並びにクイラ王国に対する戦争を、許可する!!」

 

こうして、ロウリア王国の御前会議は終了し、クワ・トイネ公国とクイラ王国に対する戦争が決定された。

 

 

 

 

 

 

クワ・トイネ公国にある、EDF日本支部連絡館。

クワ・トイネ公国との国交開設後、EDF日本支部連絡館の代表として現地に留まる事になった情報局員の田中の朝は、突如やってきた職員の報告によって一変した。

その職員によると、クワ・トイネ公国外交担当官が火急の要件があると、アポイント無しでEDF日本支部連絡館を訪れたのだ。その報告に、田中は僅かに残っていた眠気が吹き飛んだ。転移を経て、混乱を避けるために一応としての国家の体をとっているEDF日本支部だが、それ故に国と国とのやり取りを担当するものがアポイント無しで訪れる事など、相当な事態が起こらなければまず起こり得ない事だ。嫌な予感を感じたりつつも、田中は準備を早急に済ませて応接室へと入った。室内には、クワ・トイネ公国外務局長のヤゴウが焦燥の表情を浮かべていた。

 

「お待たせしました」

「田中殿、急な訪問となってしまい申し訳ありません。至急お伝えしなければならない事態が発生しました」

「それは一体?」

「我が国の西方にロウリア王国があるのは既にご存知だと思います。多数の方面から得た情報を精査した結果、ロウリア王国が我が国に対し、侵略する事がほぼ確実となりました」

「!…戦争、ですか」

「はい。既に国境20km付近にある町ギムの西側に、ロウリア軍の大群が集結しつつあります。ロウリア王国と戦争になれば、貴国に対して約束していた量の食料品の輸出は不可能となります…条約を反故にするのは大変心苦しいですが…」

「…分かりました。この件は直ちに本部に報告します。現段階では確約する事は出来ませんが、援軍を派遣出来るよう、要請しましょう」

「ありがとうございます!!」

 

 

 

 

 

 

「…以上が、つい先程入ってきた最新の情報です」

 

EDF日本支部にて緊急で開かれた、重役会議。その内容は、皆が頭を抱えざるを得ない物なのは、言うまでもない。

 

「…戦争、か…」

「…世界は変わっても、人間同士が争うのは変わりありませんね…」

「クワ・トイネ公国とクイラ王国、ロウリア王国の戦力差は?」

「情報によると、ロウリア王国軍の戦力が圧倒しているとの事です。仮にクワ・トイネ公国とクイラ王国が連合したとしても、とても耐えられるものではないと」

「我々が介入する他に無い、か」

「…」

 

沈黙が、流れる。

 

「…人類内戦とこの戦争、何方がマシなんでしょうね」

「人同士の戦いに、救いなどある訳が無いだろうに(・・・・・・・・・・・・・・)。最早我々には道は一つしかない。此処で介入せず、クワ・トイネ公国とクイラ王国が滅ぶ日など──」

 

 

「日本列島は、今度こそ滅びるぞ。しかもそれは、フォーリナーではなく人間の手によって(・・・・・・・・)だ」

 

 

そう。クワ・トイネ公国とクイラ王国の滅亡は、EDF日本支部にとってそれ程に大きい問題だ。

もしクワ・トイネ産の天然食料の供給が途切れれば、モラル・ハザードの発生は不可避(・・・)との推測が出ている。冗談でも比喩でもなく、3国は「運命共同体」なのだ。

EDF日本支部が介入してもしなくても、間違いなく大量の血が流れ命が失われる。これは最早避けようがない事実。

ならば。

 

「直ちに第二種出動準備態勢*4に移行。対ロウリア王国戦計画を直ちに立案せよ」

 

せめて(・・・)赤の他人の血だけを流す(・・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

数日後、クワ・トイネ公国 EDF日本支部連絡館。

 

その一室、来賓室にて。情報局員の田中とクワ・トイネ公国外務局長のヤゴウが居た。

 

「まず、結論から申し上げます。EDFは、ロデニウス大陸への軍隊派遣を決定しました」

「おお…!!ありがとうございます!!」

「つきましては、対ロウリア戦に関する提案があります」

「聞きましょう。我々が出来る全力を尽くします」

「では…まず貴国の情報では、侵攻軍はおおよそ40万。これを退ける規模を派遣するとなると、我々であっても侵攻までに間に合うかどうか、確約することは出来ません。しかし間に合わなければ、ギムの軍と民達は侵攻軍に蹂躙される可能性は極めて高い。…此処まで宜しいでしょうか?」

「…はい」

「そこで、です」

 

 

「ギムを、40万の命と引き換えにしましょう(・・・・・・・・・・・・・・・・)

*1
なお、これは天然食料を生産する為に必要な量を含めた(・・・・)量である。

*2
フォーリナー大戦中期になると、人類支配圏外の地域…特に巨大生物が多数存在する地域が発見された際、EDFや各国軍は対巨大生物に超高濃度の毒ガス兵器や環境汚染兵器を投入していた。無論フォーリナー大戦前に各国が締結していた「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約」などの条約など、もはや有名無実化していた。

*3
勿論、国土に何かしらの悪影響を及ぼさないかしっかりと調査を行なって確認している。

*4
デフコンで例えると、通常(デフコン5)より高度な防衛準備状態を指す。




用語解説
ロウリア王国
ロデニアス大陸西半分を支配する大国。40万の兵力でクワ・トイネ公国に侵略を開始しようとしている。

日本列島
本編でも記述しているが、国土のおよそ50%が汚染され、その内の23.1%が居住不可能地域となっている。クワ・トイネ公国から未汚染の土や水、植物の種を入手し、復興のペースは急速に上がると見込まれている。

国土復興局
文字通り、フォーリナー大戦によって汚染された土地の除染を主に活動している。但し、規模は他の局と比べたらかなり小さく、EDF日本支部でも「局未満、部以上」といった有様だった。
現在では、予算と人員は大きくなりつつある。
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