The Another World 作:MAXIM_MOKA
初めまして、MAXIM_MOKA(マキシマム モカ)と申します。
今後ともよろしくお願いします。
仙台事件
_ゴールデンウィーク、仙台駅
さまざまな格好をした人が、あちこちを行き交っていた。
ある人は帰省に、ある人は旅行に。またある人は休日出勤に。
それぞれが思い思いの日常を過ごしていた。
その日常が、すぐにでも崩れ去ろうとしていることにも気付かず。
駅のホームで、一人の少女の無邪気な声が響いた。
「お母さん、あれ何ー?」
その声に、駅にいた人々が
鬼ごっこでもしていたのだろう、走り回っていた男の子が透明な門にぶつかった。
それと関係があったのかは分からないが、男の子が門にぶつかった瞬間、
「この土地は、我ら〈ゲルーニャ皇国〉の土地であることを宣言する!!」
男の言葉と同時に、仙台駅に絶叫が鳴り響いた。
平穏な日常は、崩れたのだ。
___
『臨時ニュースです。仙台駅を謎の武装勢力が占拠、更に仙台市内に攻撃を行っています。目撃情報によると、翼の生えた生物や、武器を持った人物が市民を虐殺している模様です。』
どのニュース番組でも、ほとんど同じことを言っていた。
いつも淡々とした感じで報道していることに定評のあるニュースキャスターも、今回ばかりは非常に焦った様子で報道していた。
最初は、誰もが「冗談だろ」「番組ぐるみのドッキリか?」などと全く信じていなかった。
しかし、どの番組でも同じ内容が報道され、ネット上にも合成とは思えないほどの精密な写真が投稿された。
ここまで来ても全員半信半疑だったが、ニュースキャスターの言葉によって、信じるしかなくなった。
「...!!速報です!政府が軍の派遣を決定!それと同時に国家非常事態宣言を行いました!」
いつも動きが遅いはずの政府が、どこよりもいち早く行動を起こしたのだ。
それと同時に、大和町や名取市、県外の福島市や相馬市にも避難命令が出された。
_???_
「...本当に、侵略してよかったのですか?」
一人の初老の男は、目の前にいる老人にそう聞いた。
老人は玉座に座り、見るからに高そうな服を着ていた。
「ふん、高貴な文明を持っている我らが、蛮族を浄化して何が悪いというのかね?さらに、あいつらは技術を無駄に使っている。遅れている蛮族に正しい技術を教えるのは当然のことよ。」
その老人は、どこか狂気じみた声でそう言った。
「...そうですか、失礼いたしました。ゲルーニャ皇国に栄光あれ。」
初老の老人は、目の前の老人に一礼すると、その部屋...玉座の間から立ち去って行った。
「...かならず、私はこの世界を支配してやる。皇帝の名に懸けて。」
老人...いや、ゲルーニャ皇国皇帝は、誰もいなくなった玉座の間でそう呟いた。
その呟きは、誰にも聞かれずに空気に溶けるように消えていった。
ここだけ短いです。
長くしていくつもりですので、ご期待ください。