The Another World   作:MAXIM_MOKA

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別に一日二話投稿というわけじゃないですよ?


反撃 2

 

「ふはははははははは!進め進めぇ!蹂躙せよ!」

新しい司令は自ら前線に出ていた。

彼は根っからの戦闘狂であり、度々前線に出ては注意されていた。

目の前には市民がおり、今にも殺そうと迫っていた。

しかし、今回ばかりは拠点にこもっていた方が良かったであろう。

 

「ふははははははは!!」

その高笑いが、彼の最期の声であった。

彼は頭から脳髄と鮮血をまき散らしながら倒れた。

その顔は、何があったのか理解できていないようだった。

 

「し、司令が!!」

彼が死んだことにいち早く気が付いた兵は、胸から鮮血を、背中から髄液をまき散らしながら倒れた。

それに場の空気が一瞬冷え込むと、

 

「こ、殺されるぞぉぉぉぉぉぉ!!」

どこかから聞こえてきたその声とともに、総勢1000人の軍勢が彼方此方に散らばり始めた。

あるものは泣きながら、あるものは叫びながら。

しかし、その声は銃声によってかき消された。

 

「...!!来た!ついに来たんだ!!」

一人の市民が、そう叫んだ。

彼らが見たのは、次々と侵略者を機関銃で撃ち殺している車両。

 

「日本軍が、ついに来たんだ!!」

そう、それは日本軍(救世主)だった。

あるものは撥ね飛ばされ、またあるものは脳髄や血液をまき散らし、そうして数は減っていく。

2分後には、最後の一人が撃ち殺された。

そして、血に濡れた車両から、ヘルメットを被った男と女が出てくる。

 

「皆さん、もうご安心ください!我々が来たからには、もう大丈夫です!」

女のほうがそう言い放つと、男のほうが日章旗(祖国)旭日旗(救世主)を掲げた。

少しだけその場を静寂が支配する。

 

「日本軍万歳!」

一人の市民がそう叫んだのを引き金に、彼方此方で万歳の叫び声が聞こえた。

 

「「「万歳!万歳!万歳!万歳!万歳!...」」」

その叫び声の中、二人は車両に乗り込み、発進させる。

すると、空からは戦闘ヘリが、陸からは戦車や戦闘トラックなどが現れ、仙台駅のほうへ向かっていく。

日本軍がその場からいなくなるまで、万歳の叫びは続いた。

 

__軍人視点

 

「...」

先ほど日章旗と旭日旗を掲げた男、織田信幸。

彼は無言で車両を走らせる。

ちなみに先ほど機関銃でゲルーニャ侵略軍を撃ち殺していたのも彼である。

 

「いやー、人を助けるって気持ちがいいですねー、信幸。万歳されるとは思いませんでしたけどね。」

先ほど車両を運転し、万歳される要因となった女、峰水涼香。

先輩であるはずの信幸に対して呼び捨てし、砕けた敬語で話しかけているが、信幸自身が見逃しているため特に問題はない。

 

「...」

しかしそれを無視して信幸は運転を続ける。

 

「...おーい信幸ー?聞こえてますかー?」

涼香は全く反応しない信幸の肩を揺らしながら問いかける。

実際は危険な行為のため、真似しないように。

 

「...」

しかし、信幸はそれも無視して運転を続ける。

彼は真面目に職務をこなしたいのだ。

 

「おーい」

涼香は、今度は信幸の腕と腕の間に頭を出す。

これも危険な行為のため、真似しないように。

 

「邪魔だ」

信幸はそう言うと、彼女の首を絞めるように、ハンドルを握ったまま両腕を内側に曲げる。

彼と涼香は従兄妹の関係であるため、互いに少し度の過ぎたことができるのであるが、しつこい様だが実際に真似しないように。

 

「ちょっ、ギブ!ギブ!苦しい!」

涼香がそう言うと、信幸は両腕を外側に戻す。

そして涼香が席に戻ると、信幸は口を開いた。

 

「運転の邪魔をすんじゃねぇよ、阿保」

信幸はそう言い軽く涼香を睨むと、正面を向いた。

横で涼香がブーブー言っているが、信幸はそれを無視し、頭の中で呟いた。

 

(さて、こんなことをしでかしたゴミカスをどうやって処理してやろうか)

信幸は車両を動かす。

仙台を、祖国の地を踏み荒した侵略者を「処理」するために。




次回も戦闘回ですよー。

信幸君は愛国主義者なのです。
しかもかなり重度の。

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