The Another World 作:MAXIM_MOKA
「ふはははははははは!進め進めぇ!蹂躙せよ!」
新しい司令は自ら前線に出ていた。
彼は根っからの戦闘狂であり、度々前線に出ては注意されていた。
目の前には市民がおり、今にも殺そうと迫っていた。
しかし、今回ばかりは拠点にこもっていた方が良かったであろう。
「ふははははははは!!」
その高笑いが、彼の最期の声であった。
彼は頭から脳髄と鮮血をまき散らしながら倒れた。
その顔は、何があったのか理解できていないようだった。
「し、司令が!!」
彼が死んだことにいち早く気が付いた兵は、胸から鮮血を、背中から髄液をまき散らしながら倒れた。
それに場の空気が一瞬冷え込むと、
「こ、殺されるぞぉぉぉぉぉぉ!!」
どこかから聞こえてきたその声とともに、総勢1000人の軍勢が彼方此方に散らばり始めた。
あるものは泣きながら、あるものは叫びながら。
しかし、その声は銃声によってかき消された。
「...!!来た!ついに来たんだ!!」
一人の市民が、そう叫んだ。
彼らが見たのは、次々と侵略者を機関銃で撃ち殺している車両。
「日本軍が、ついに来たんだ!!」
そう、それは
あるものは撥ね飛ばされ、またあるものは脳髄や血液をまき散らし、そうして数は減っていく。
2分後には、最後の一人が撃ち殺された。
そして、血に濡れた車両から、ヘルメットを被った男と女が出てくる。
「皆さん、もうご安心ください!我々が来たからには、もう大丈夫です!」
女のほうがそう言い放つと、男のほうが
少しだけその場を静寂が支配する。
「日本軍万歳!」
一人の市民がそう叫んだのを引き金に、彼方此方で万歳の叫び声が聞こえた。
「「「万歳!万歳!万歳!万歳!万歳!...」」」
その叫び声の中、二人は車両に乗り込み、発進させる。
すると、空からは戦闘ヘリが、陸からは戦車や戦闘トラックなどが現れ、仙台駅のほうへ向かっていく。
日本軍がその場からいなくなるまで、万歳の叫びは続いた。
__軍人視点
「...」
先ほど日章旗と旭日旗を掲げた男、織田信幸。
彼は無言で車両を走らせる。
ちなみに先ほど機関銃でゲルーニャ侵略軍を撃ち殺していたのも彼である。
「いやー、人を助けるって気持ちがいいですねー、信幸。万歳されるとは思いませんでしたけどね。」
先ほど車両を運転し、万歳される要因となった女、峰水涼香。
先輩であるはずの信幸に対して呼び捨てし、砕けた敬語で話しかけているが、信幸自身が見逃しているため特に問題はない。
「...」
しかしそれを無視して信幸は運転を続ける。
「...おーい信幸ー?聞こえてますかー?」
涼香は全く反応しない信幸の肩を揺らしながら問いかける。
実際は危険な行為のため、真似しないように。
「...」
しかし、信幸はそれも無視して運転を続ける。
彼は真面目に職務をこなしたいのだ。
「おーい」
涼香は、今度は信幸の腕と腕の間に頭を出す。
これも危険な行為のため、真似しないように。
「邪魔だ」
信幸はそう言うと、彼女の首を絞めるように、ハンドルを握ったまま両腕を内側に曲げる。
彼と涼香は従兄妹の関係であるため、互いに少し度の過ぎたことができるのであるが、しつこい様だが実際に真似しないように。
「ちょっ、ギブ!ギブ!苦しい!」
涼香がそう言うと、信幸は両腕を外側に戻す。
そして涼香が席に戻ると、信幸は口を開いた。
「運転の邪魔をすんじゃねぇよ、阿保」
信幸はそう言い軽く涼香を睨むと、正面を向いた。
横で涼香がブーブー言っているが、信幸はそれを無視し、頭の中で呟いた。
(さて、こんなことをしでかしたゴミカスをどうやって処理してやろうか)
信幸は車両を動かす。
仙台を、祖国の地を踏み荒した侵略者を「処理」するために。
次回も戦闘回ですよー。
信幸君は愛国主義者なのです。
しかもかなり重度の。