The Another World   作:MAXIM_MOKA

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意外と読まれていて嬉しい限りです。


全滅、そして狂気

 

 

仙台駅周辺の空には、何匹もの翼の生えた巨大な蜥蜴(ワイバーン)が獲物を探し、羽ばたいていた。

市民を見つけては捕食し、炎を吐き...

しかし、彼らに死神の音が近付いてきた。

それにいち早く気が付いた蜥蜴(ワイバーン)は、後ろを振り向く。

それは、奇妙な形をしていた。

頭の天辺には回転する翼(プロペラ)があり、尻尾は短く、そこにも小さな回転する翼(プロペラ)がある。

さらには、頭は透き通っており、中には人間(パイロット)が見える。

左右には変な筒(機関銃)がついているようだ。

 

「グルルッ...!」

蜥蜴(ワイバーン)はそれに対し短く唸ると、口を大きく開け、炎を吐き出そうとした。

しかし、それは出来なかった。

 

「グガッ...!?」

体のあちこちに風穴が開けられたのだ。

どうやら変な筒(機関銃)の仕業らしい。

体が浮力を失い、地へと墜ちていく。

蜥蜴(ワイバーン)は意識が消えるまで、鉄の羽虫(ヘリコプター)を睨んでいた。

この直後、他の哀れな蜥蜴(ワイバーン)は、死神(ヘリコプター)によって地へと墜ちた。

 

_仙台駅

 

「おーおー、暴れてる暴れてる。俺たちもやらんとな。」

先ほど、侵略軍の司令とその側近を狙撃、殺害した男、古好成哉。

彼は信幸の幼馴染兼親友であり、同期でもあった。

そんな中、信幸が全員に通信を入れる。

その瞬間、あたりが静まり返り、信幸の声を待つ。

そして、信幸の息を吸う音が聞こえる。

 

『...3...2...1...GO!!!』

合図とともに、全員が駅内へと突撃した。

 

「な、なんだ貴様ら_」

突然現れた信幸達に驚き、思わず問いかけようとした兵士はハチの巣になった。

そして、その銃声に気が付いた兵士たちが、信幸達のいる場所に集まってくる。

 

「貴様らは何者だ!我らを偉大なるゲルーニャ皇国の者だと知ってのことか!!」

兵士の一人が高圧的な態度で信幸達に問いかけた。

すると、信幸が前に出て、こう言い放った。

 

偉大だか何だか知らねぇが、祖国の地を踏み荒らしたてめぇらにはここで死んでもらう。

同時に銃声の連続音と、絶叫が鳴り響く。

 

「ギャ”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!」

そう叫んだ兵士は、体中が穴だらけとなり、絶命した。

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!俺の、俺の腕が!!」

そう叫んだ兵士は、腕を銃に千切り取られた。

様々な兵士が、今までの訓練の意味もなく次々と倒れていく。

即死したものや、神経が吹っ飛んだ者は幸運だっただろう。

この苦しさを味わわずに済んだのだから。

腕が吹っ飛んだりしただけの者は、激痛を味わいながら死んでいくのだから。

銃声が止んだ時、生きていた兵士は数えるほどしかいなかった。

 

「き、貴様ら、こんなことをしてただで済むとでも...ギィィィィィィィィィ!?!?」

何かを言いかけた兵士の声は、悲鳴に変わった。

いつの間にか近づいていた信幸が、彼の腕の骨を力ずくで圧し折ったのだ。

 

「...」

信行は無言で彼を転ばせると、今度は彼の足を踏み折った。

 

「ギャアアアアアアア!!!!!ぎ、ぎざま”っグギヒィィィィィィィィィィ!?」

また何かを言いかけた兵士を、信幸は思いっきり踏みつける。

無表情で虚ろの目のまま、何回も、何十回も。

彼は明らかにどす黒い気を放っており、敵味方関係なく近寄ることができなかった。

 

「だ、だれか、ギ!?た、たすけっ...」

彼の言葉はそこまでだった。

あばらも、骨盤も砕け散り、肉はえぐれ、血は溢れ...

物言わぬ肉塊となった彼だが、それでも、信幸はそれを踏みつけ続ける。

それを見た信幸の部隊の者は、どこか狂気を覚えた。

それを見た生き残りは、あまりの恐ろしさに気を失い、そのまま力尽きた。

 

「...やりすぎたな。」

信幸は目に光を取り戻し、周りを見ながらそうつぶやく。

そして、自分の部隊のほうに歩いていく。

軍人たちはいつもの信幸に戻ったと安堵した。

 

「多分これで全滅した。上の階に上るぞ。」

信幸は命令すると、一足先に階段のほうに歩いていく。

どこか恐怖を覚えながらも、軍人たちは信幸を追いかけた。

 

この場にいる全員の誰もがあんなことになるとは思わなかった。

まさか、異世界に派遣されるとは。




プロローグ完結です。
次話から第一章となります。

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