CUE!「Original My Story」 作:Reidou Shion
晴れてエールブルーに所属する新人声優のマネージャーへと飛び込み就職した私だが、就職して半年と少したった最近、とても大きな悩みがある。
「ジャーマネ〜、アイス買ってきて〜」
「自分で買ってきなさい……。」
そう、現在進行形で、私にアイスをパシらせようとしているこのぐーたら声優の事だ。
「ずっとゴロゴロしてると不健康だと思うぞ、少しは外にでて運動したらどうなんだ?」
「暑いから無理〜」
「そんなの誰だって同じでしょうに……、そんなに外にでたくないならアイスは我慢しなさい。」
「嫌だ……アイス買ってきて……。」
説得しようと言葉を投げかけるも、むしろ維持を張りもっとめんどくさくなった、一体どうすればこのワガママお姫様を丸め込めるのだろう。
「ただいまー!マネージャー!アイス買ってきたけど食べますか?」
「……アイス(ピクっ)」
素晴らしいタイミングでほのかがアイスを買って帰ってきた、よし、これでぐーたら姫を大人しくさせることができるっ!
「えーっと……あんこバーとゴリゴリ君、それとカロピス味のアイスも買ってきたよ〜!」
「至高の選択……感謝する。」
「えっへん!どういたしまして!じゃあ私は陽菜と舞花にもアイス渡してくるから!」
そう言ってほのかが廊下を駆けていくのを尻目に、志穂はおもむろにあんこバーを手に取り目を輝かせながら少しづつ咀嚼していく。
「やはりあんこバーは最高。」
好物あんこバーを手に取って幸せそうにアイスを食べる志穂を見ていると、なんだか心が和やかになっていく、まるで子供が楽しく遊んでいる姿を見ているような気分だ。
「ジャーマネ、なんだその目は、まるで子供を見るかのような目で私を見るな。」
「あ、アハハ、バレちゃったか……いやぁ、あまりにも美味しそうに食べるから、いつも感情を表に出さない志穂がそんな顔もするんだなぁ、ってね。」
「むぅ……ジャーマネ、私は緑茶を所望する!」
「はいはい、わかってますよー。」
寮のリビングからキッチンへ移動し、急須に茶葉を入れる。志穂は飲食に厳しく、急須に入れる茶葉の量も4g以外だと容赦なく入れ直しを要求してくる程だ。
「お湯の量は120~140mlで温度は70℃っと、後は1分半待つだけでOK。その間に今日の予定を確認……うん、二時間後にレッスンね。」
そう独り言を駄弁っている間に1分半が経ち、茶葉が開ききった。急いで茶を注ぎ、今尚もソファで寛いでいるぐーたらモンスターの元へ持っていく。
「はい、お茶が出来ましたよ〜。二時間後にレッスンがあるから、それ飲み終わったら準備してね?」
「理解、しかし、こう暑いとレッスンにも気が入らない、以下がするべきだと思う?ジャーマネくん。」
そんなものは仕方がないではないか、夏は暑いものだと決まっている。仕方がない、ここは適当な事を言って誤魔化そう。
「そうか、じゃあ今度の休みはみんなでプールに行こうか、暑くてレッスンが辛いかもしれないが、乗り切れば楽しいプールが待ってるぞ?」
「否、ジャーマネ、それはレッスンが暑くて気が入らないことへの解決策ではない。私は暑い環境でレッスンをするのが嫌なだけだ。」
くっ、流石に志穂相手では
「はぁ、志穂?貴方はライブでも同じことが言える?本当のステージでは沢山のお客さんの熱気で普段よりも暑い中歌って踊らなければならないの。」
「ふむ、そう考えれば納得できなくもない、ありがとうジャーマネ、また疑問が1つ解決した。」
「はいはい、こまめに水分を補給するのを忘れずにね?志穂が倒れたら私が陽菜に怒られることになるし。じゃあ志穂、私は事務所で仕事があるから先に出るね?レッスンサボらないように!」
「分かっている、ところでジャーマネ、今度の休みのプールだが、行くからには水着を着なければならない、レッスンが終わったら連絡する、今日の夜は買い物に付き合って貰うぞ。無論、他3人も一緒に。」
くっ……ただでさえ忙しいのに、しかも全員分の水着を買いに行くつもりか、ただでさえ買い物をするとFlowerの4人は言い合いになり、最終的に私に選択を迫ってくるのだ。仕事で疲れきった私には泣きっ面に蜂と言った所、サラッと言いやがる所がいやらしいな、この娘はやはり侮れん……。
「はぁ、仕方ないな……高校生も居るんだから9時までには寮に戻ると約束するならいいでしょう。」
「了解した、3人には伝えておく故、ジャーマネは早く仕事を終わらせるように。」
「はいはい。」
この後、いつもより1時間早く仕事を消化し終わり、時間に余裕を持って買い物ができると安心しきった私は、水着だけでは飽きたらなかった現役女子学生の夏コーデ巡りに付き合わされ、疲労困憊となって家に帰るのであった。