歌と望みとペルソナと   作:ナポリング

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70億の絶唱リーチが外れたので10年ぶりに二次創作書きました


神話覚醒は名曲

藤堂望は普通の高校生だ

 

黒髪で中肉中背で別に特徴のある顔立ちでもなく、学業は学年400人中で150位前後、クラスには仲の良い友人が数人いるそんな学生

あえて特別な事があるとすれば早くに父親を亡くしてシングルマザーの母親を助けるためにアルバイトをしている苦学生な事くらい

それだって日本を探せばいくらでもいる

そんな何処にでもいる苦学生は今生命の危機に襲われていた

 

「はっ! はっ! はっ!」

 

息を荒げて走る

アレから少しでも距離を離すために

 

「こんな事なら日頃からランニングでもしてれば良かった……!」

 

望は放課後の時間をバイトに当てているため部活には所属しておらず特に日頃から運動はしていない

そもそもがバイトと学業の両立のために望にはランニングをしている時間など無いのだが今の状況を望は呪わずにはいられなかった

 

「バイト上がりにノイズに遭遇するなんて運が悪すぎる!!」

 

()()()

 

それは十数年前に国連で認められた『特異災害』

ノイズはオタマジャクシ型や人型などの多様な形態をとる異形の存在

形態によらず共通して触れただけで自身と触れた人間を炭へと変える炭素化能力と銃などの人類の攻撃を大幅に減衰しほぼ無力化する能力を持つ

つまり現れてしまえば人類は逃げるか隠れるかしか対応する策は無い

()()()()

台風や地震のようにノイズが現れてしまえば人類はただ自身の安全を神に祈るしか無い

しかしノイズに襲われる確率は実際のところ自動車に轢かれるよりも格段に低いとされている

だから望はノイズに襲われている自身の運のなさを呪っている

 

「くそくそくそ! ここで死んでたまるか!」

 

そう望は叫ぶが状況は悪化していっていた

望が逃げる方向はシェルターとは逆方向

さらに逃亡開始した時点では数体だったノイズは十数体にまで増えていた

 

「(このままだと脚が動かなくなったら終わりだ……どこかで一旦休憩が挟めれば!)」

 

特に運動が得意でもない望の肺と脚は既に悲鳴を上げ始めている

このままでは速度が落ちてノイズに追いつかれ炭へと変えられるだろう

その未来から逃れるために望には休憩が必要だった

 

「(建物の中に逃げ込んで……ダメだ入口を押さえられると詰む。できれば障害物の多いひらけたところ……)」

 

思考と脚を回しながら無人となった街中を走り続ける望に一つの看板が目に入る

 

「(公園! ここなら木で隠れられるか!?)」

 

看板にはこの街に住む大体の人が知る公園の名が掲示されていた

この公園は街の住人の憩いの場として作られた場所であり多くの樹が植えられ、遊具なども設置されており隠れられる場所が多くノイズを一旦撒くためには有用な場所だと望は考えた

 

望は一縷の望みにかけ公園に逃げ込むために一段速度を早める

 

「(ここの曲がり角を曲がれば公園の入り口。公園に逃げ込んで遊具か樹に隠れて一旦やり過ごして休憩、その後に見つからないようにしてシェルター方向に移動。これが多分今できるベストの行動!!)」

 

そう考えて曲がり角を曲がった先で絶望に出会う

 

「あ……?」

 

視界の先にいたのは後ろから迫る異形たちと同じ影が複数体

()()()()()()()()()()

 

思わず望は足を止めてしまう

そんな望に対して前方のノイズ達がゆっくりと振り返る

 

「ひっっっ!!」

 

()()()()()

 

ノイズに目があるのか望は知らない

だがそうとしか考えられない感覚が望を襲った

 

 

「(逃げ……逃げないと……)」

 

前方からの恐怖から逃れようと望は後ろを振り向く……が

 

「(あ……詰んだ?)」

 

そこには望を追っていたノイズ達の姿があった

 

複数体のノイズに挟まれる形となった望

普通に考えればそこに待つのはノイズに襲われて炭となる運命しかない

しかしそんな状況でも藤堂望は諦めなかった

 

「(落ち着け……今できることを探せ……『今できることをやる』そういつもの母さんの教えだ。今できる最善を成せば生き残るチャンスがあるかもしれない)」

 

ノイズに対する恐怖でパニックになりかけた頭が一瞬で冷静さを取り戻す

 

『今できることをやる』

 

藤堂望が母から貰った教えであり座右の銘だ

この言葉が胸にあるから藤堂望はどんな状況でもあがき続ける

 

「(後ろにいるノイズよりも今目の前の追ってきたノイズのほうが多分少ない。なら少ないほうに触れられないように突っ込む!)」

 

狂人と言われてもおかしくない発想であった

目の前のノイズは十数体

そのすべてに触れられることなく潜り抜けるなど常人には到底不可能

しかも望はここに至るまでの逃走で体力を相当に消費している

それでもそこに生きる可能性がわずかでもあるのならばその可能性に掛けるべく望は震えそうな足に力を込め一歩を踏み出す

 

突然に走り出した望に動揺をしているのか動かないノイズの脇を抜ける

 

「ははっ! いけるじゃん!」

 

望を追っていたのはオタマジャクシ型とヒト型のノイズ達

この二種のノイズは動きが遅く望のような一般人でも走れば逃げられる

()()()()()()()()()()()

 

運が良いのか土壇場での冴えか望が調子よく三体目のノイズの横を抜けたときにそれは起こった

 

(人間)に横を通り過ぎられたノイズが突然に姿を変えた

ぎゅるり

そんな音が聞こえそうな変化

ノイズの体が中空でドリルのように変化し捻じれる

それがさながら銃口のように望の体を狙い定め次の瞬間にはノイズが射出された

ノイズに人間が手を焼く理由の一つがここにある

オタマジャクシ型やヒト型の数が多くとも動きが遅いノイズは一瞬で必殺の弾丸へと変わるのだ

弾丸と化したノイズはこのままノイズの攻撃に気づかぬまま走り続ける望の背中に着弾しその体を貫き炭へとかえる

 

そのはずだった

 

「(金色の蝶?)」

 

命の危機に気づかない望の視界に一瞬見慣れないものが入る

そうして望の意識は飛んだ

 

 

 

 

 

目の前に広がるのは白く白くどこまでも白い広大な空間

足の裏に感じる感覚がなければ自分が立っているのかそれとも落ちているのかそんなことさえも曖昧になりそうなほどに白く何もない空間だった

 

「ここは……? 一体?」

 

急に目の前が町中から一変したことに望は困惑しあたりをキョロキョロと見まわすように視線を動かす

 

「ようこそ、意識と無意識の狭間に」

 

背後から掛けられた声にはじかれたように振り返る

 

立っていたのは仮面を被った男

顔の全面を隠す片目に蝶の翅の意匠をあしらった仮面に白のタキシード、そして何故か妙に肩幅が大きく見える不審な男がそこにいた

 

「あんた……いや、貴方は誰ですか? それにここは……?」

 

状況のつかめない望に仮面の男はゆっくりと声をかける

 

「ふむ、混乱しているようだね。いや、それも仕方のないことか。もう一度言おう、此処は意識と無意識の狭間。そして私の名前は『フィレモン』。さて自己紹介だ。()()()()()()()()()()()()()

 

未だ混乱の最中の望が安心するような声だった

まるで心の奥底がフィレモンを知っていて信頼できる存在だと認めているかのようなそんな声だった

 

不思議な声で混乱が収まった望

そしてフィレモンに導かれるがままに自信の名を告げようとして気づく

 

「あれ? 俺の名前……名前……何だっけ? 思い出せない」

 

自分の名前が分からないのだ

 

思い出そうと頭を抱え始めた望にフィレモンが声をかける

 

「思い出せないかね? 実のところ此処で自身の名を覚えているものはそう多くない。更に言ってしまえば君のところであればほぼ皆無と言って良い。だから君は名を覚えていないことを恥じることは無い。ただ、君が名を覚えていなければ君が戻れば直に死に誘われるだろう。故にヒントを君に上げよう()()()()()()()()()()()()

 

フィレモンの言葉で脳裏に記憶が蘇る

 

それは幼いころの記憶、何時何処であったのかも思いだせない記憶

しかしながらその言葉だけは未だ胸にあり続けていた

 

「いいか■、俺と母さんがお前を■って名前にしたのはな、お前にどこでも希望を持っていて欲しかったからだ。人間っていうのはな希望を失くしてしまうとなたとえ生きていても()()()()。腐った後に待っているのは不幸だけだ、俺と母さんはお前にそんな人生を送って欲しくない。そんな願いを込めてお前の名前を決めたんだ」

 

その時父がどんな顔をしていたのか覚えていない、けれどきっと父はよくわからなくて文句を言う自分に苦笑いしていたのだと思う

それでも、頭を撫でる父の大きな手の感触と自分へと掛かる両親の祈りと思いは覚えている――

 

「そうだ……俺の名前は()、藤堂望!! どんな時でも胸に希望を持つようにと父さんと母さんからもらった名前だ!!」

 

自身の名を取り戻した望が叫ぶ

 

対するフィレモンは望の答えに満足するように一つ頷くと口を開きだした

 

「結構、君は合格のようだ。ところで君は自分の中に複数の自分を感じたことがあるかな? まるで神や悪魔となったかのような自分を感じたことは無いかな? 人は無数の仮面を持ちそれを着けて生きているその中には神や悪魔のような力を持つものもある。君は此処で自分が誰であるか名乗りをあげた、その強い意思に敬意と力を送ろう』

 

フィレモンが右手をかざすように広げるとその手の中に淡い光が灯る

 

「『ペルソナ』心に潜む神や悪魔、もう一人の自分を呼び出す力だ。この先君の力となるだろう」

 

「はぁ? あんた何言って……!?」

 

光がゆっくりと動き出し望の胸に溶けるように消える

 

「何だこれ!? 一体俺に何をした!? そもそも此処は何処なんだよ! 意識と無意識の狭間ってなんなんだよ!」

 

動揺する望を気にすることなくフィレモンは言葉を紡ぎ続ける

 

「さぁ此処での話はお終いだ。戻り給え、君の時間と空のもとに。ああ、戻ったらすぐに力を使ったほうが良い。そうでないと君の命はそこで終わってしまうからね」

 

フィレモンが言い終わると同時に世界が揺らいだ

陽炎のように望の視界がゆらゆらと揺れる

 

「君の運命はこれより大きく動く。その力で良い方向へと変えられることを願っているよ」

 

「あああああああああもう訳わからねぇえええええ!!」

 

望の叫びとと共にに世界は戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白い世界から戻った望はノイズの脇を抜けようとして背後からの攻撃を受ける直前の状態

このままでは一瞬の後に炭へと変えられる状況で絶望的なことには変わりが無い

しかし望にはフィレモンから与えられた力があった

 

「(()()()さっきは気づいていなかったノイズの攻撃が背中に迫っていることが。そしてそんなどうしようもない筈の状況をどうにかできるってことが。あのフィレモンって男が何を言っていたのかは全然理解できなかったけどこの与えられた力とその使い方は()()()!!」

 

そうして望はその言葉を口に出す

 

「ぺルソナァァ!!」

 

溢れ出す光が迫るノイズを吹き飛ばした

 

 

 

 

 

 

 

『我は汝……汝は我……我は汝の心の海より出でしもの……我は希望を底に秘めしもの『パンドラ』さあ力を貸そうぞ』

 

現れたのは『箱』

 

所々に文様が施されているがそれでも決して豪華とは言えない黒い箱

けれども望にはその箱が何よりも力強く感じられて

 

「おっしゃああああ!! かかってこいやぁあああ糞ノイズ共!!!」

 

そんな啖呵を切った




フィレモンの肩幅は誰もが突っ込みいれるところだと思う

続きはゆっくり待ってね
ワシも早いとこ装者の皆を書きたいんじゃ
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