「クソッ…このガキ…俺の毒が殆ど回っているのに…俺を切りやがった…」
「あらあらぁ大きな音がして来たみたら体が半分になった大きな蜘蛛の鬼と虫の息の隊士がいるなんて〜」
「あぁ?鬼殺隊…まだ居やがったのか…」
糸で吊られ宙に浮いた小屋に座る鬼殺隊の少女の顔は月明かりに照らされ、不気味さを漂わせている。
「あのーすみません、半分の鬼さんこの辺りに十二鬼月が居ると聞いたんですが知ってますか?」
「知るかそんなもん!!」
「そうですか…なら必要ないので死んで下さい
」
「えっ…」
「蟲の呼吸、蝶ノ舞戯れ」
瞬きした一瞬で少女は目の前から消え、鬼の背後で蜘蛛になりかけている善逸の様子を見ていた。
「な…何だ今の…頸は斬られてねぇ…小娘!!何しやがッ…グハッ…」
鬼の体にシミのような物が現れると、体から血を吹き出し死んだ。
「あ!そうそう、私は鬼の頸は斬れませんが鬼を殺せる毒を造ったちょっと凄い人なんです!…って死体に話しても聞こえませんよね…」
「この子…十二鬼月じゃなかった…それに何かしらこの大きな繭は?」
小さな少女の鬼の頸を斬り落とした後、そこから少し離れた場所に大きな繭の様な物を見つけ調査を始める。
「ん〜…心音が聞こえる…」
繭から耳を放し、銅貨でコイントスをする。
「表…よし斬ってみよう」
銅貨をしまい、繭に日輪刀を振り下ろす。
「うわ!いてて…」
繭が斬れると中から緑色の液体と共にボロボロに溶けた隊服をきた隊士が流れ出てきた。
見たところ目立った外傷はない。
「あれ?…貴女は?あ!鬼は?」
「…」
「あの?…」
隊士の問に少女は口を開かずただニコッと笑っているだけだった。
「そんな…一番強くて早い人形がこんなにも呆気なく…」
糸の手応えが消えなすすべがなくなり、累と父の姿が脳裏に浮かぶ。
「もういや…私どうしたら…」
「鬼はんみっけ…って十二鬼月ちゃうんか…」
「あ…鬼殺隊の人…」
「なんや?襲うてきいひんのか?」
岩に座る女鬼と目が合うが襲ってくる様子がない。
「私じゃ貴方には勝てないもの…」
「フーム、自から頸を差し出すんか?」
「えぇ…私…もう疲れちゃったの…」
女鬼は涙を流しながら微笑んだ。
その姿を見てカナエの言葉が浮かんだ。
(人を襲わない鬼や自ら頸を差し出す鬼や救いを求める鬼もいる筈だから…)
「ちっ…鬼の目にも涙か…きしょいな…わかった望み通り解放したる…」
「ありがとう…」
「月の呼吸…壱ノ型、闇月・宵の宮」
その斬撃は決して女鬼の目には映らず痛みもなく、気づけば頸と体は離れていた。
「優しい斬撃ね…まるで月明かりみたい」
「やかましい、涙を流せるくせに…救いを求めるくせになんで人を殺したんや?」
「そうしなければこうなる前に私は死んでいたわ…ねぇもし私が人を襲わない鬼だったら…貴方達と仲良く出来たかしら?」
「人を襲わへんなら…もっと早うに…やったらな…」
「フフ、貴方本当は優しいのね…お礼に教えてあげる…この山には本当に十二鬼月は…いる…わ…」
それを言い残し女鬼は消滅した。
「鬼に礼をされるとは…ほんまにきしょいな…それに最後まで笑うとった…しんどかったんやな今まで…」
煙草をふかし、おかしな事を考えていた。
「もしあの女鬼とカナエちゃんが出会うとったら…きっとええ友達になっとったな…」