トブの大森林攻略からザイトルクアエまで
14巻を読んで、どうするか悩んでいた部分が色々と決める事が出来ました、次巻が販売されるまでには完結させたいですね。投稿ペースは上がらないと思いますが…
デア・シルト達がトブの大森林に入って4日ほど過ぎた太陽も昇っていない早朝、カルネ村の村人は地響きと共に目を覚ます事になった。
慌ただしくなる中で、村人達は元陽光聖典のお陰で一人も欠ける事なく集合出来たが、モンスターに対する防衛手段を用意していなかった村だったのが先日の事件で更に建物は減っている現状、元陽光聖典達は、村人を一ヶ所に集め、囮になり命を捨てる覚悟で地響きの正体を待ち構えていた。
太陽が昇り始め、徐々に見え始めた正体に元陽光聖典から驚きの声が上がり、村人達もその正体に慌てて飛び出してきた。
「デア・シルト様!!!」
「おう、すまんな騒がせた」
地響きの正体は、デア・シルトでは無かったがその姿を見た元陽光聖典と村人達も彼が原因だろうと頭の中で思っていた。
答えは直ぐに現れ、そしてやはり彼が原因だったと胸を撫で下ろした。
「森を探索した結果を一旦冒険者組合に報告しようと思ってな、悪いが今日だけ置かせてくれ」
デア・シルトが示した先には地響きの正体がズラッと整列しており、あまりの光景に村人だけでなく、元陽光聖典達ですら口を開けて、反応出来ずにいた。
彼は、村人達の反応を無視して説明を始めたがしっかりと聞いている者が居るのかは不明だった。
その背にデア・シュラムを乗せているのがカルネ村がモンスターに襲われなかった村にとって守護者の様な存在、森の賢王はハムスケと名付けられ、デア・シュラムの魔獣として今後従うとの事だった。
ハムスケの横から静かに滑り出てきたのは、ハムスケと並び森の一角を支配してい西の魔蛇。長い名前との事でリュラリュースと自己紹介した。
リュラリュースの後ろには、トロールが30体ほど、ギガント・バジリスクが10体、ギガント・バジリスクの石化の魔眼が村人に向かない様にトロールが目を覆っている。その他にも、多種多様な亜人達が並んでおり全てトブの大森林内部に居たもので今後はリュラリュースに従うと言う。
村人達を驚かせたのは、ハムスケもリュラリュースも流暢に言葉を話し、コミュニケーションが可能だった事とハムスケは、村の存在すら気付いていなかった事だった。
更に今後は、トブの大森林の三大と噂されていた広大な範囲がデア・シルトにより制圧され、森に残るリュラリュースが管理すると宣言された。
その発言に悲鳴に近い声を上げたのが他種族狩りを長年続けて来た元陽光聖典達だった。
「デ、デア・シルト様!!い、今仰った事は本当なのでございますかこの森が……デア・シルト様の支配下と…」
「お前らに嘘をついて俺に何の得があるんだよ、お前も見たし聞いたろ?ハムスケもリュラリュースも言葉が通じるんだ、俺の支配下に入るってしっかりと宣言したろ?まだ森の制圧は完璧じゃないがその内終わるさ。ああ、あれか?お前ら村人に謝罪出来なくて焦ってるのか?だったら安心しろ、いくら管理するって言っても、そもそも会話が成立しない奴らは支配下に置けないから森の外に出さないようにするのが精一杯だ、だから今後も食料を調達するのにはお前ら必要だ」
「あ…いえ、そうでは無く……」
「?違うのか?良く分からんがとりあえず、お前らが村人達から信用されるのに時間が必要な用に、お前らもリュラリュースを見守ってろ。これは命令だ、いいな?」
「は、はっ!」
元陽光聖典の返事に一度頷くと、それ以上質問は受け付けずに、デア・シルトは行動を開始する。
まず、デア・シュラムとナーベラルをエ・ランテルまで行かせると冒険者組合の組合員を呼んで、ハムスケをデア・シュラムの魔獣登録、リュラリュースを冒険者として、トロールやギガント・バジリスク、他にも森の中に隠れている多数の種族を適当に別けて魔獣登録をした。
次に、この4日ほどで狩りに狩ったモンスターの証や死体、ハムスケ達が集めた薬草などを組合に売りつけた。
最後に、今後トブの大森林に侵入する者を相手の敵意なしに間違って襲わない様、カルネ村に受付所を作り冒険者組合から各国家に情報を伝達して貰った。
全ての工程が完了するのに結局エ・ランテルの冒険者組合がほぼ総出になったが終わらず。魔獣登録などに2日、モンスター討伐報酬の算出に3日、各国家に対する情報伝達は次の組合長会合まで保留と言う形になり、3日間も村から離れられなかったデア・シルトの機嫌はすこぶる悪った。
◆
「デ、デア・シルト君?それで?次は何処に向かうのかな?」
この3日間でデア・シルト達のとんでもなさを、これでもかと味わったエ・ランテルの冒険者組合組合長プルトン・アインザックは、すっかりやつれた顔に精一杯の笑顔を浮かべ話しかけた。
彼としては、次の冒険へは1ヶ月ほど休んでから行って欲しい所なのだが、無理だろうなぁと諦めていた。すでにさんざんデア・シルトからまだ終わらないのかと催促を受け、その度に組合長権限で時間は稼いだが限界に達しているのは彼の雰囲気から察していた。
と言うか、デア・シルト達が今回の冒険で上げた功績が異常過ぎるのだ。新しく冒険者になったリュラリュースが書き上げた簡易的トブの大森林の地図を見るに森の賢王の元にたどり着くだけで1日掛かるはずで、そこから西の魔蛇と東の巨人どちらかにたどり着くのにさらに3日か4日掛かるとのリュラリュースの見立てだった、その距離を1日で移動するだけでなく、同時に三大の支配または討伐を済ませ。残りの3日ほどを支配地拡大と薬草採集に使ったと言うのがデア・シルト達の異常性に拍車をかけている。
そして、一番の問題が冒険者組合は、デア・シルト達に頭が上がらなくなっている事である。彼が従えたモンスター達だけで国によっては滅ぼす事が出来るほどで、そんな人物の怒りは買いたく無いがデア・シルト達への討伐報酬額は、エ・ランテルの組合だけでは到底払い切れず他の組合に援助の要請をしているが結果が届くのはまだ先の話で、未だに銅貨一枚も払えていないのが現状である。
他にも問題は山積みだが、一番困るのはデア・シルトに組合から離れられる事と判断したアインザックは、彼に冒険に出る事を許可した。
「次は、予定通りアゼルリシア山脈に行きたい所だが、頼んでいた情報はどうなった?」
「ああ、あれか。やはり君の知りたい情報はほとんど確認できなかったよ」
デア・シルトが、アインザックに頼んだ情報とは、リュラリュースが言っていた魔樹についての情報である。
ただ、結局リュラリュースの知識と冒険者組合の情報で大きな差は無く、昔トブの大森林にダークエルフが居た事と魔樹と呼ばれている存在がトブの大森林の何処かに封印されていると、噂レベルであった。
「そうか、まぁこっちは魔樹の存在自体は恐らく確認出来たからな」
「はあ!?いつの間に!」
「東の巨人が支配していた地域をハムスケが散歩してたらドライアードを見つけたって報告があってな。名前をピニスン・ポール・ペルリア。で、そのピニスンは数百年生きているらしいくて魔樹の存在を知っていた」
「なんだと!本当に存在していたのか……それで、どうする気だね」
「ユグドラシルに居たモンスターだった場合は、種類によっては仲間に出来る。それ以外の場合は、派手な伐採作業になるだろうな」
「勝てるのかね……?」
「さあな、分からんがそれでこそ冒険だろ」
それだけ言うとアインザックの返事を待たずに振り返り、ここ3日で見慣れた闇の中に消えて行った、残されたアインザックの大きなため息だけ響くが慰めてくれる人物も時間も無かった。
アインザックは、今後デア・シルト達への対応だけで無く、大量に運ばれてきたモンスターの素材や薬草をどうするか検討したり、すでに騒ぎになり始めている冒険者達や商人、国の各施設への説明などなど大量の仕事に追われていた。
「……はぁ、仕事するか」
もう一度、ため息をつくと山盛りの書類から一枚取り仕事を始めるのだった。
「では、ピニスンの元へ向かうか」
「はい!」
一方でトブの大森林に戻り、待たせていたデア・シュラムと合流したデア・シルトは早速ドライアードのピニスンに話を聞くべくハムスケに乗って移動を開始した。
最初は、ハムスケに乗る事をモモンガと一緒にあり得ないと笑いあっていたがそれをデア・シュラムに聞かれてしまい、最終的にはモモンガの裏切られデア・シルトは、仕方がなくハムスケに乗っている、意外と乗り心地が悪くないのが何とも言えない気分にさせる。
ハムスケを一時間ほど走らせると目的のピニスンの元へたどり着いた。
「あ!ハムスケ!ようやく来た!それで?殿だかには話を聞いてもらえた?」
「ピニスン殿!殿!それがしが会ったドライアードでござる!」
ピニスンからは見えなかったがハムスケの背中には、誰か乗っていたらしく、降り立ったハムスケの主人がピニスンの前に現れる。それは立派な漆黒の全身鎧だった為ピニスンは思わずこれは使えると考える。
「お前がピニスンだな」
「そうだよ、あなたがハムスケの飼い主さん?」
「ああ、そうだ。早速で悪いが質問いいか?」
「どうぞ」
「魔樹の姿は分かるか?」
「うーん、封印の一部が解けた時に暴れたのは触手だったからなぁ、本体はちょっとわからないかな」
「そうか、じゃあな」
「え?いやいや、待ってよ!!私はどうなるのさ!このままだと本体ごと枯れちゃうんだけど!!」
「安心しろ、大体分かっているから。お前も後で移動させる」
「はぁ!?」
それだけ言うとデア・シルト達は、その場を去り。残されたピニスンのわめく声だけが周囲に木霊した。
「お父さん、この後はどうするんですか?」
「一旦ナザリックに戻るぞ、準備が必要だからな」
「はい!ではお願いします!」
ハムスケに乗ったまま、ナザリックの自室に転移する。
「お帰りなさいませ、デア・シルト様」
「ただいま、インクリメント」
「ただいまです!」
いつ帰って来ても、最低一人は待機している一般メイドに最近では、名前を覚えてしっかり返事を出来る様になって来ているが相変わらず音も無く現れるのは止めて欲しいと考えてしまうが、今は魔樹への準備を優先する。
「インクリメント、デミウルゴスとパンドラズ・アクターを呼べ」
「はい、畏まりました」
命令を出せば、素早く静かに部屋から出ていく。しかし、扉の外で僅かに張り手の様な音が聞こえるのに苦笑する。
「また、やってるな」
「デア・シルト様からご命令を受けたのですから仕方ありませんよ」
デア・シルト達が言っているのは、先ほどの音の正体についてである。一般メイドにデア・シルトが命令すると頻繁に聞こえた為疑問に思い直接聞いた所、顔を真っ赤にして理由を話して貰えたが、彼女達は命令を与えられた嬉しさで顔がニヤけてしまい気合いを入れ直しているのだと言う。聞いた時は大笑いしてしまい、泣かれたが、それを戻ってきたら教えてやるのがデア・シルトの最近の楽しみでもある。
「じゃあ、僕達は隣に居ますね」
「ああ、今回はお前の力も借りるから、準備しておけよ」
「はい!」
元気の良い返事と共にデア・シュラムは、ハムスケを連れて隣の部屋に移動する。その部屋は、暇だった3日ほどで改造を施したデア・シュラムとハムスケ専用の部屋になっていた。と言っても無数にある部屋の一つから物を退かして自由に使わせているだけで今の所ベッドしか置いていないが。
(さて、俺も準備するか)
デア・シルトも、アイテムボックスから頑丈そうな箱を取り出す、パズルの様な鍵を慣れた手つきで揃えていき解除すると一気に床にぶちまけ、目当てのアイテムを探す、小さな箱には収まらない量のアイテムに若干めんどくさくなり始めた頃に部屋がノックされデミウルゴス達が到着する、その場から入れと声を掛けるとインクリメントが先頭に扉を開けて入ってくる。そして、部屋の惨状に驚いて一瞬固まる。
「すまんな、必要な物がこの中にある筈なんだが……あ、あった!」
デア・シルトがようやく見つけたのは、一本の枯れ木にしか見えないものだった。他のアイテムは、インクリメントが率先して片付けを始める。
「ほぅ、見たことの無いアイテムですね。宜しければお教え願います」
「お前の好きなマジックアイテムでは無いぞ。これは、今回のターゲットを仲間にするのに必要な物だ、確か名前は"妖木の枝"だったか?消費系で多分これ一本しかナザリック内には無い筈だな」
「なんと!触れてもよろしいでしょか!」
「ほれ、話はちゃんと聞けよ。デミウルゴス、パンドラズ・アクター。お前らを呼んだ理由は分かってるな?」
「はい、世界を滅ぼす魔樹とやらの勧誘または討伐について、でございますね」
「そうだ、仲間に出来るのが一番だが、俺の予想がハズレた場合、最悪ナザリックの守護者クラスに動いて貰わないと行けない」
「それほどの相手なのですか?」
「ああ、簡単にだが説明しよう」
デア・シルトの知識では、魔樹と呼ばれてもおかしくないモンスターはユグドラシルに大きく別けて三種類いる。
一種類目は、ただの雑魚でエリアによっては頻繁に遭遇する類いのモンスター、しかしこの世界なら強敵に数えられるかも知れないと考えている。
二種類目は、最悪、ユグドラシルのラスボスに当たる九曜の世界喰い。あれが樹に見えるかと言われれば疑問に思うが一部が樹に見えなくも無いので候補の一つ。
三種類目が"ザイトルクワエ"の一種。これが一番可能性が高いと考えている、見た目も魔樹に相応しい。そして仲間に出来るモンスターである。
「なるほど、ワールド・エネミーの可能性が……」
「まぁ、正直あり得ないと思うがな、遥か昔の竜王とやらの力はわからんが封印に留めたって事はそこまでじゃないだろうな。と、なるとユグドラシルでは、ただの雑魚モンスターだったのがこの地域で世界を滅ぼすと恐れられてもおかしくないと思う。自信はないが」
「では、一番可能性の高い、ザイトルクワエとはどの様なモンスターなのですか?」
ザイトルクワエとは、ユグドラシルの特別なクエストでのみ出現するモンスターであり、環境によって攻撃の種類が変わってくるが基本全て同じザイトルクアエで名称が固定されているモンスターである。このモンスターは、一度クエストを完了すると報酬で貰える妖木の枝を二度目のクエストで相手に見せると有効的になり仲間する事が出来る。ただし、妖木の枝は一体につき一本消費する。
ザイトルクワエを仲間に出来た場合の活用法は、食材アイテムやポーションの原料になるアイテムを育てる畑の管理を任せる事である。配置上限は五体だが三体以上配置してもアイテムの価値が上がる事は無い。だが基本プレイヤーは五体配置し、予備も確保している。デア・シルトは、友人に頼み込まれ、傭兵ギルド時代もアインズ・ウール・ゴウン時代も定期的にこのクエストを周回していた。その代わりにアイテムを融通して貰っていた。
「ふむ、要するに畑のかかしですか」
「そんなところだ、レベル敵にはLv80から85で多少の上下がある、まぁLv100ならまず負けることはない、一対一ならな」
「我々でも複数相手にするのは厳しいと?」
「二体同時が限界だ。まぁそれくらいの奴が外での活動に加わるのはお前達的にも安心だろ?」
「…はい、本来で有れば私達が護衛を勤めたい所ではあるのですが、モモンガ様の特別講習が三割ほどしか進んでおりませんので」
「やっぱり、厳しいか?モモンガの戦闘訓練」
「現在は、戦闘だけでは無く、ナザリック外の生物との交流の仕方など多岐に渡っております。……ただやはり我々はナザリック外の生物となると差別意識が強いのが課題だとお叱りを受けております」
「……モモンガさんも頑張ってるな。さて、話を戻すか。デミウルゴス、マーレをリーダーに植物系、ドルイド系の能力を使えるシモベ達を集めろ、パンドラズ・アクター、お前はリーダーとしてマーレ達を支援するシモベ達を集めろ、モモンガさんに禁止されない限りできるだけだ」
「「はっ!」」
デミウルゴスとパンドラズ・アクターに命令をだし一時間ほどでシモベ達が集まる、ナザリック内の植物系、ドルイド系は意外と少なかったがその分高位の存在が多かった。
集めたシモベ達にデア・シルトからも一応説明し、出発しようとしたら立ち上がった筈のシモベ達がまた跪き、後ろを振り向くとモモンガとアルベドが一緒に現れる。
「モモンガさんとアルベドも行きます?」
「ええ、俺が知らないモンスターなんて興味深いですしね」
「何ならあげましょうか?」
「いえ、いいです。それより行きましょうよ」
「はいよ」
シモベ達を再び立たせると、モモンガ自ら《転移門》を使いシモベ達を魔樹の元へ転移する。シモベ達のやる気が明らかに上がっているのに、変な事をするなよとデア・シルトは一人不安になる。
すでに恐怖公の眷属とニグレドによって、その姿を確認していた為、直ぐにマーレ達に魔樹の回復に移る。
「何故、わざわざ回復をしているのでしょうか?」
「ん?ああ、封印を解くためか、過去の戦闘の影響か知らんが魔樹は今回復状態になっている。ユグドラシルでは、周囲の木々を枯らす何て事はあり得なかったが、これも現実化した影響の一つだろ。因みに、この回復状態を見て俺はザイトルクワエだろと思ってる。そして、ザイトルクワエは植物系を目の前で攻撃したりすると強制的に戦闘になるなど植物を大事にしないといけないから恩を売ってるって訳だ」
「なるほど、ご教示ありがとうございます」
「所で、あれはドライアードですか?」
モモンガが指差す先には、ハムスケと一緒にピニスンが小さく縮こまっている。
ピニスンは、先ほど転移して来た所を見ていて騒いでいる所をギリギリでハムスケに預けた状態になっていた。
「あれが魔樹を昔見たことあるドライアードですよ」
「ああ、なるほど。…む?魔樹が動き出しましたね」
何度も魔樹周囲に強化された回復魔法を掛け続けて三十分ほどで木々が枯れる現象が止まる、少し間が空き地鳴りと共にその場にいた全ての者が見上げほどの巨木が現れる。
咄嗟に距離を取り、モモンガ達を守ろうとシモベ達が守りを固める後方から、デア・シルトが妖木の枝を掲げて見せる、ユグドラシルと同じく妖木の枝がキラキラと粒子になり消えて行く。
完全に消えた所でシモベ達を退かしてデア・シルトが前に出る。
「ザイトルクワエ。俺達は敵じゃない、わかるか?」
デア・シルトの問いかけに遥か頭上で少し動きがあった様でデア・シルト達に日陰が出来る。
「モモンガさん。成功みたいです」
それだけ言うとデア・シルトは、マジックアイテムを取り出してザイトルクワエの顔辺りまで浮かんで、何か話始める。
勝手に話を始めた、デア・シルトは放っておいてザイトルクアエの支配も終わったのでモモンガは、シモベ達に称賛と慰労の言葉をかけてナザリックに戻る。
「ご苦労。マーレ、パンドラズ・アクター、そしてお前達今後も定期的にザイトルクアエへの栄養補給を頼むことになるが今日は、ひとまず休みことにしよう。シルトさんからお前達に褒美もあるとの事だ、遠慮せずしっかり受け取る様に」
「「「はっ!」」」
◆
先日の一件で酷い衝撃を受けたカルネ村の村人達は、意外な順応性を見せ、ゴブリンやオーガ、トロール達と畑を耕したり、村の周囲を守る柵作りなど順調な日々を過ごしていた。
しかし、嫌な予感を誰しもが感じていた。それは先日と同じく食料調達のために森に入る事が多い元陽光聖典達に再びデア・シルトから森に入ることを禁止されていたからである。
「モモンガさんも酷いよな、帰る前に一言声を掛けてくれても良いよな普通」
「ま、まぁモモンガ様も忙しいのですし、仕方ありませんよ。ザ、ザイトルクワエは仲間に出来たんですし、それで良いじゃないですか!」
「……まぁそうだな」
「デ、デア・シルト様!お帰りなさいませ!」
「ん?ああ、悪いが皆を集めてくれ」
森からハムスケにデア・シュラムと二人で乗って、グチグチ何か呟いていたデア・シルトに村人が話し掛け、早速後悔する。
村の恩人なのだから感謝は返しきれないほどにしているがこの御仁には、問題がある。と言うのが最近のカルネ村でのデア・シルトの評価だった。
話し掛けた村人が村を回って村人を一ヶ所に集まるとほとんどの村人は次は何が起きるのかと、ざわざわと話をしている。
「すまんな、また集まって貰って」
「いえ、デア・シルト様のお陰で村は今まで以上に活気に満ちておりますので……あの、それで今回は……」
「ああ、今回は森でドライアードやトレント達を支配下に入れたから紹介しようと思ってな。この村の特産は、薬草のほかには食料くらいだろ?」
「おお!本当ですか!それはありがたい」
「よし、じゃあ出てこい」
村人は、肉が豊富に食べれる様になり非常に喜んでいたが逆に今まで食べていた作物類が少なくなっている事に寂しさを覚えていた。
しかし、ドライアードやトレントがいれば畑の作物は、今まで以上に採れる上に味も何倍も良くなる、そして余った食料は、街で売れば僅かでもデア・シルト達に恩を返せると喜んだが。
「あ、すまん。ドライアード達だけじゃ無かった」
「は?」
デア・シルトが呟いた瞬間、大地が揺れ凄まじい轟音と共にザイトルクワエが現れる。その横でドライアードやトレント達が、のそのそと移動させられているが、その時には村人達は気絶していた。
「ちょっと、勢い付け過ぎたな」
「お父さん、多分違うよ?」
「そうか?ザイトルクワエのせいだろ」
反論をガウガウと何を言っているのかわからないが、ザイトルクワエを始めた事でデア・シルトもどちらが悪いのか言い争いを始める。
その争いを横で眺めながらデア・シュラムは、村人の回復を始める。
ちらほらと村人が起き始めた頃に言い争いは終わり、ザイトルクワエの元気が無い様子を見るに勝ったのはデア・シルトだった。
「デア・シルト様!!流石に一言よろしいでしょか!」
「お?どうした?」
「こんな化け物を従えるのは、この世界で常識ではございません!!!」
「ええ……」
その後、しばらく村人達に怒られ、今後は直接連れてくる前に一報入れる事を約束させられた。
ただし、魔獣登録の為に連れてきた冒険者組合員は、気絶した。
ザイトルクワエって元はユグドラシルのモンスターだった可能性が高いと思い仲間にしました。
今後は、村を守るかかしになります。