不死身も楽じゃない   作:ああああ

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宝探しゲーム ー中編ー

「ここにまだ15個のリングがある。ヒイラギのオッサンのシギルでこのホテルを要塞化。このリングを狙ってくるヤツを迎え撃つ」

 

ホテル内でカナメ達はこれからの方針について話し合っていた。

 

「なるほど。だが罠に飛び込んできてくれるバカがいるかね?」

 

「別に来ないならここにあるリングでノルマクリアじゃないですか。でも多分来ますよ。いえ、間違いなく」

 

「だろうな、あいつはそういう強欲で傲慢な野郎だ」

 

リュージは吐き捨てるようにレインの意見に同調した。そこには、明確なる憎悪と怒りが込められていた。

 

「で報酬の分配は?」

 

「リングですが残ったのは15個 合計3800ポイントですね」

 

「ヒイラギのオッサンに全額の半分を渡す。残りの半分は俺たち3人で分ける」

 

「私が言うのも変な話だが本当にいいのかね?」

 

「いいさ。一番負担が大きいのはアンタだ。貰う権利はあると思うぜ」

 

レインの話を聞き、カナメは結論を出す。

 

「俺は釈放されたばかりの身の上だ。文句は言わねぇさ。エイスをぶっ潰したあとのリングは山分けでいいんだろ?」

 

ヒイラギだけでなくリュージも納得したようにうなずく。

 

「どうした?レイン」

 

「いえ。改めてイベントのルールを見ていて気付いたのですがこのポイント表…変じゃありませんか?」

 

「いや別に…」

 

「なんかあるか?」

 

「男性は宝石のことなど興味が無いかもしれませんが、トパーズのポイントがラピスラズリより低いのは変です。ラピスラズリは半貴石と呼ばれる格の落ちる石で貴石であるトパーズの方がずっと効果なのです」

 

レインの言葉にその場にいる全員がポイント表を再度チェックする。

 

「それに通常 四大宝石といえばダイヤ・ルビー・サファイア・エメラルドの順になります…。一見すると宝石の序列で決まっているように錯覚しますが実際の序列とは全く一致しません」

 

「そんなの適当に決めただけなんじゃねぇの?ただの金属の輪っかにペンキ塗ってあるだけだしよ」

 

リュージが反論するがレインは意に介さず説明を続けた。

 

「それにこのルールの文章も変ですよ。かなり不自然です。特に”ゲームがクリア出来ずに制限時間が過ぎた場合、[リング]の所有数が3個未満のプレイヤーはゲームオーバー”という一文です」

 

「確かに不自然だな。ゲームのクリアが何を意味しているかが分からない」

 

「先ほど、私の友人から連絡があったのですが、この書き方だとクリア条件がリングを集めることだと錯覚するけれども見つけ出す宝がリングだとは書いてないっと彼も言っていました」

 

「でもよこんな話 今はどうでもよくねぇ?エイスをどう潰すか考えるのが先じゃねぇか?」

 

ヒイラギとカナメは宝探しゲームについて考えだすが、リュージはその思考を否定、話を元に戻すことを提案した。

 

「ところでそろそろ君の友人が到着するのではないかね?ここの入り口は封鎖してあるし中にはトラップもある。迎えに降りた方がいいと思うが」

 

「着いたら連絡を送るように言ってはあるが…ちょうど今」

 

「えっ?”助けて”って何かの冗談だよな?…この座標、ここで助けを求めてる?」

 

「何かトラブルです?」

 

「シュカからヘルプコールがきた。タチの悪い冗談ならいいんだけど」

 

冷や汗をかきながらも嫌な予感を押し殺してカナメはレインの質問に答える

 

「冗談でヘルプコールは使わないと思いますよ」

 

しかし、レインの回答はあっさりとカナメの淡い期待を切り捨てた。

 

「‥‥…ちょっと迎えに行ってくるわ。リングは置いてくからしばらくここは任せるぜ」

 

「分かった。トラップとバリケードを解除しよう」

 

「そういう話なら俺も付き合うぜ」

 

「すまん。助かる」

 

カナメの一言にあっさりと賛同するヒイラギとリュージを見て、レインは焦り呼び止める。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!これはそんな簡単な話じゃないですよ!窮地に陥っているシュカさんはAランカー。つまりそれ以上の危険が存在するということです。下手をすれば二重遭難ですよ!?」

 

「だからこそだろ。そいつ助けりゃ強力な戦力になる。エイスの王もAランカーだぜ」

 

間髪入れずリュージはレインの意見を受け流した。

 

「悪いレイン。親切で忠告してくれてんのは分かるけど端から仲間を見捨てるって選択肢はねぇんだよ」

 

カナメもカナメで覚悟の決まった眼をしている。レインはその眼を見てため息をついた。その眼をよく知っていたからだ。

 

「ハァ~、仕方ありませんね。そういう眼をしている人間が止まってくれないのはよく知っています………。私の狙撃は1km先までは十分狙えます。ホテルの屋上からできる限り援護しますので」

 

「ありがとよ。心に留めとく」

 

「ミイラ取りがミイラに、だけはやめてくださいよ」

 

エレベーターの前で彼らを見送ったレインの言葉は、彼らに届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「駅前近辺なら十分援護可能ですね。思った以上にいい狙撃ポイントです」

 

眼下に見える景色を確認して少し安心した。

エイスに動きはありませんか。リングの動きばかり過信するのも危険ですが このイベントルールならリングを手放して行動するプレイヤーは少数でしょうし。

 

問題はこのリングですね。マシロも言っていましたが、しかしこのリングが隠された宝でないとすればただの目くらまし、あるいは真の宝への手掛かりである可能性は極めて高いでしょうし。

 

「これはQRコード?ひょっとして…」

 

血の流れが速くなったのを感じた。自分の想像が、考えが、現実味を帯びてきて、胸が高鳴った。急いで狙撃中を置き、少し遮蔽物の多い場所に移動しスマホを取り出す。

 

「こちらの迎撃準備は終わったが何かあったのかね?」

 

「いえ…ただ、イベントクリアへの手掛かりを見つけたかもしれません」

 

スマホの画面をヒイラギさんにも見えるように向きを変える。

 

「これは…」

 

「何かの暗号かもしれません。意図して仕組んでいる以上 重要な情報だとは思いますが」

 

これはマシロが提唱した説に信憑性が増してきましたね。他のリングも確認する必要があります。

 

「別の数字があるな。いやこちらのリングは同じ数字か?」

 

「そのリングはトパーズのリングではありませんか?」

 

「そのようだ。種類ごとに違う数字が記されているということか?」

 

「確かに暗号のようだな。君の友人が言っていた説も信憑性が出てきたか。優秀な友人だね。どういった人物なのかな?」

 

「そうですね…一言でいえば変人です。しかも結構ダメ人間でポンコツです。朝は弱くて、だらしがないですし、割と無遠慮ですし、変なところで天然で気が利かないです」

 

「そ、それはそれは…辛らつな評価だね」

 

「それに…彼は別段跳び抜けて頭が切れるというわけではありません。ものすごく運動が得意というわけでも、みんなあっと言わせるほどの大きな才能を最初から持ち合わせたわけでもないんです。ただ、マシロさんは強かった。そして、苦しいほど優しかったんです」

 

「‥‥」

 

「彼は自分が劣勢になっても諦めなかったし、自分にできないことがあってもあらゆるものを利用して踏破しようとする。そんな人です。そして根っこの部分では誰よりも純粋で、優しくて………」

 

「君はその友人のことがとても好きなのだね」

 

「なっ…別にそんなことは…」

 

「そうかね?彼のことを話す君の表情はそうは言ってなかったがね?」

 

カァっと顔が赤くなるのを感じる。血が上って熱が上がる感覚は不快で恥ずかしかった。

 

「ふむ。すまない話を戻そうか。この数字の話だったね」

 

なんだか、ヒイラギさんにうまく転がされてしまった感じがして不快ですがこの際置いておきましょう。

 

「…カンマで始まる数列が2つあるのが気になりますね。あと9が2つ」

 

「手掛かりがなさすぎるな。あとダイヤとエメラルドの数字が必要ということか?」

 

「はい。仮説は立てられますが全てのリングを集める必要があると思います」

 

「地図の表示を見てもダイヤはまだ1個も配置されていないので先を越される心配もありませんが…」

 

「ゲーム開始直後に第1回のリング配置と言っていた。つまり第2回があるということだろう…」

 

「エイスへの迎撃態勢に1つ手を加えましょう」

 

 

 

 

 

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