大海を統べる   作:茂上軒二

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第6話

一九

 

 部下の口から流れ出す不器用にゆらめいた旋律を、アントン・フェルナーは眼を閉じてきいていた。困惑の波は会議場を満たしている。そのなかで、彼はひとつの不動の重石と化していた。軍務省は、いかなるときも理性に支配されていなければならない。本能で軍令をつかさどるなど、あってはならないのだ。

 イゼルローン回廊両端にあらわれた総勢三万の謎の艦隊、同時多発的に行われた旧自由惑星同盟領における帝国軍基地の連絡途絶六七箇所、惑星ヴェスターラントを中心とした市民の暴動……。混乱はあげればきりがない。しかし、それらはある一定の着地点を見ようとしている。皇帝アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムの、人生における最初の出征。その事態は避けられそうにない。

「“影の城”と“三元帥の城”は、フェザーンを守護したもう要にあらず。」

 まったくもって奇妙な話であるが、この文言は新銀河帝国におけるひとつの不文律の軍規にもひとしかった。フェザーン回廊両端に築かれた砦は、あくまで皇帝が出征するための橋頭堡であって、敵の侵攻にそなえるためのものではないというのである。むろん、護りのための設備は最新鋭のものがそろっている。イゼルローン要塞では解体された、“雷神の槌”に匹敵する要塞砲もとりつけるだけの用意はある。だが、戦いにおけるもっとも重要なものは、艦隊決戦であると、暗黙のうちにさだめられているのだった。

 要塞に頼ることで、思考は硬直化される。かつてイゼルローン要塞に固執した旧銀河帝国と、おなじ末路をたどる必要はない……。それもひとつの思考の硬直化ではないか、とフェルナーは思う。新銀河帝国は、すべて先帝ラインハルト・フォン・ローエングラムの理想であるべきなのだろうか。たとえば、ラインハルト・フォン・ローエングラム自身。あるいは、パウル・フォン・オーベルシュタイン、オスカー・フォン・ロイエンタール。ヤン・ウェンリーもそのひとりだろうか。フェルナーの疑問に解をあたえるべきであったはずの男たちは、すでにみな死んだ。残された者は、先帝ラインハルトの理想で“あったものと考えられるもの”を慰労なく執行するべき者である。フェルナーの疑問にこたえる可能性のある者は、新銀河帝国にはいないのかもしれない。

 フェルナーを含め、先帝皇妃ヒルデガルド、皇帝アレクサンデル・ジークフリード、五元帥を加えた会議は、事態の把握と早急な対応を協議するために集められたものだった。そこに共和自治政府の首脳も加わっていたのは、イゼルローン回廊旧自由惑星同盟領方面に一万の艦隊が出現し、どうやらそれがバーラト星系を目指していると諒解されたからである。共和自治政府の軍事指導者ユリアン・ミンツは、ヒルデガルドにドロイゼン、ジンツァー両提督の率いる高速艦船部隊を借り受けると、すぐにバーラト星系をめざして出立した。部下の報告では、旧自由惑星同盟領の帝国軍補給基地六七個所が、原因不明の機能不全に陥っており、その旅程は安全でないように思える。

 五元帥のうち、もっともはやくフェザーンを発ったのはアウグスト・ザムエル・ワーレン元帥だった。彼のうけた命は単純明快である。旧自由惑星同盟領の治安回復と、首謀者の特定である。前者は早急に、後者は軍務省・憲兵隊と共同して行うことになっていた。

 次いで首都星から飛び立ったのはエルンスト・フォン・アイゼナッハ元帥である。混迷と不安とに支配された旧自由惑星同盟領を迅速に移動し、イゼルローン要塞に帰投、同要塞の指揮を執ることが彼の任務だった。フォルカー・アクセル・フォン・ビューロー上級大将は、静観という消極的で独創性はないが、堅実で理にかなった対応をしている。今後、イゼルローン要塞駐留艦隊がどのような対応をとるかは、アイゼナッハに一任されていた。現状、同艦隊は、新帝国領をはいまわる三万の蚯蚓の後背を突ける立場にある。決定的な状況に追い込むためには、彼の艦隊の戦力が不可欠なのだった。アイゼナッハには、その適切な判断がくだせるだろう、という、全会の一致した見解だった。

「ミュラー元帥は、フェザーン回廊の防衛にあたってくれ」

 会議室には報告と伝令のために多くの人間が出入りしていたが、その静かだが重く苦しい喧騒において、ウォルフガング・ミッターマイヤー主席元帥の声は明朗にひびいていた。フェルナーの知るかぎり、この蜂蜜色の髪をした男は、一度として判断を誤ったことはない。そしてこれからもそれは同じであろうと思う。この男があるからこそ、新帝国軍は乱れなく精強でいられるのだ。

「御意」

 ナイトハルト・ミュラー元帥はそう言ったが、砂色の瞳には困惑の光がつよい。彼はどんなときでも、至高の玉座をその全身で護り続けてきたのだ。その体にまとった鎧は血でまみれているが、けっしてその血が不名誉の刃によって流されたことはない。

「ミッターマイヤー元帥、小官はどうすればいい?」

 不敵な笑みを浮かべながら、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト元帥が口を開いた。彼はいまだこの会議での発言がなかったが、自分以外のすべての元帥に指令が届いて初めて身を乗り出した。その思惑は明白だった。

「ビッテンフェルト元帥は、ただちに出撃の用意」

 提督のオレンジ色の髪が逆立つようだった。怒りによってではない。よろこびと覇気によってだ。新帝国軍の破壊衝動は、いまようやくエネルギーを全身にめぐらせたのである。あとは、その牙が敵を喰らいつくすまで、その衝動が熄むことはない。

 皇帝軍の編成は決定した。ヒルデガルド・フォン・ローエングラムは直接の軍指揮の経験がなく、アレクサンデル・ジークフリードもいまは実権をもたない。したがって、艦隊の直接的な指揮権はウォルフガング・ミッターマイヤー主席元帥に帰することになった。分艦隊司令官で主だった者は、フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト元帥と、カール・エドワルド・バイエルライン上級大将の二名である。合計四万艦で、いささか不足の感がぬぐえないが、これが限界だろうという判断だった。

「大将以下に元帥なし。」

 というのは、“獅子の泉の七元帥”が正式に任命されて以来、帝国軍でささやかれていたものである。これはミッターマイヤーの発言であるのだが、七元帥には一致した見解であったようだ。たしかに有能な人間は少なくないが、それは七元帥と上級大将にかぎってのことだった。人材の枯渇は顕著であり、今後平和へとむかっていくなかで、戦場における“たたき上げ”による人材の登場ものぞむべくもない。もっとも、人材の枯渇が問題でない世の中になればいいのだが……。しかし、実際にいま、こうしてその問題を正視しなければならぬ事態に陥っている。

 眼の前で次々と行われる重大な決定に対して、フェルナー以上の不動を保っていた人物がいた。動揺の色も見せず、かといって自らの分をわきまえない発言もない。――アレクサンデル・ジークフリード・フォン・ローエングラムは、その蒼氷色の瞳に、会議場で行われるすべてをうつし続けている。この泰然とした態度は、彼の無関心と不明をしめすものであるだろうか?

 ……いくばくもなく、皇帝の出征は決定された。白銀の美姫は、その寵愛をあたえた青年の手をはなれてよりはじめて、敵の血にまみえるためにその翼をはばたかせようとしている。新銀河帝国軍の象徴であり、その矜持。戦艦ブリュンヒルトは、艦隊の総司令部としての機能を、十五年ぶりに果たそうとしているのだった。

 議場は散会された。以降、“獅子の泉”は、新銀河帝国軍全体を統括する大本営がおかれ、この緊急事態にたいして、国務省等と共同して対応をおこなっていくことになる。軍務尚書アントン・フェルナーと国務尚書ユリウス・エルスハイマーが、その責任者であり、皇帝と摂政ヒルデガルドの代理人として、混乱の鎮圧にあたるのだった。

 

「主席元帥、この機をどう見ますか?」

 ミッターマイヤーの出立の直前、フェルナーは彼にそう耳打ちした。周囲では大本営機能の確認のために人員の往来が多く、奇妙な活気にあふれている。

「機、とは?」

 いささかフェルナーの真意をはかりかねたように、ミッターマイヤーが言った。この男は、軍務省の頂点に立つ男のことを、けっして心の底から信用することはすくない。これも、初代軍務尚書の残した遺産だろうか。

「銀河全体を、帝国に帰するための機ですよ」

 グレーの瞳に怒気が満ちた。フェルナーとしても、ミッターマイヤーの怒りをむろん予想していた。そして、彼がフェルナーの提案を心の底から憎むであろうということも、

「あまり出過ぎたことを言われるな、軍務尚書。卿の智は貴重だが、謀の必要なときとも思えん」

「共和自治政府は、さまざまな意味で、新帝国の障害でありましょう。それを、新たな敵に取り払っていただくまでです」

 言外のことであるが、ミッターマイヤーにはすべて諒解しているはずだ。

 不意にあらわれた未知の軍勢は、バーラト星系にも矛を向けている。共和自治政府軍の主力は、朝賀のためにフェザーンにあり、その距離は遠い。主力艦隊が間に合わなければ、未知の軍勢がバーラト星系を占拠することは確定といって良い。そうして敵の手にわたったバーラト星系を、新帝国軍の手によって奪還する。そうすれば、おのずと銀河のすべては新帝国へと併合され、名実ともに、銀河は統一される……。

「卿は歴史に名を残すだろうな、銀河を統一した軍務尚書として」

「もちろん元帥も、陛下もです」

「おれはそのようなかたちで歴史に名を残したくはないし、陛下もそれはおなじだろう。歴史に英名が残ったとしても、人々の記憶に卑怯者と刻まれては意味がないのだぞ」

 きびしい視線の矢に射すくめられながら、フェルナーは屹然と主席元帥を見つめた。わずかな自嘲とともに。これでは、まるで……。

「卿は、あのオーベルシュタインとともにした時間が長すぎたのか。しかし、あの男に私心はなかった。だが卿には、それが見え透いているという気がする。それがいつか身をと滅ぼすも、おれは知らぬ」

 そう言って、ミッターマイヤーはフェルナーの前を立ち去った。フェルナーは小さく一礼をして、同様に背を向けて歩き出す。

 私心。ふん、私心か。

 フェルナーは小さく笑った。オーベルシュタインに私心がなかった、それは新銀河帝国における神話である。彼はいかなるときも、無私の志で皇帝に仕えた、と。はたしてそうだろうか、とフェルナーは思う。たしかに、あの男は自らの栄達をのぞまなかったし、そのためにだれかを利用したこともなかった。彼はみずからが犠牲になることを厭わなかった。だが、なんのためにそうしたのか、フェルナーはついぞわからなかった。思案の果てに、ひとつの結論が、彼の目の前に形をおびたのである。

 パウル・フォン・オーベルシュタインは、銀河帝国へのかぎりない恨みで、ラインハルト・フォン・ローエングラムに仕えた。だが、その行動理由は、銀河帝国の実権がラインハルトにうつった時点で、燃え尽きるものではなかったか。その行動理由は、新王朝の運営に寄与することへ、矛盾なく、かつ際限なく接続するだろうか。となれば、彼はまた新たなエネルギーに身を燃やしていたのではないか。その新たなエネルギー、つまり、ラインハルトを、みずからの信奉するマキャベリズムの体現者、絶対的な支配者として導くために。

 そうであるなら、オーベルシュタインこそ、私心という強大な権力者の、だれよりも忠実なしもべではないのか……。フェルナーは、みずからの見出した地平が、灼熱の砂漠が見せた幻影であることを知っていた。これをだれに話すつもりもないし、このことを刻むための余白を人生録に残す予定もない。ただみずからをあざ笑うための、ひとつの観点にすぎないのだ。

 ……フェルナーの思惑の外で、銀河は回転する。幾千幾億の想い、あるいはたったひとつの野望をのせて。だがひとつの志は、その対極に位置する志を消し去るために、傷つき、血を流す覚悟すらも包有しているのである。

 新銀河帝国暦一八年一月。十数年前の動乱期を生きた者たちには、銀河はふたたび、多量の血を欲しているかのように感じられた。

 

 

二〇

 

 惑星ハイネセンでフェザーンからの超光速通信をうけたのは、軍首脳の留守を預かっていたスーン・スール大佐であった。彼は能力と実績で言えば将官に昇進していても不思議ではないが、朝賀の儀に将官以上の出席が義務付けられている以上、だれかしら留守を託せる有能な人材を残しておく必要があったのだ。彼はユリアンらの要請にこたえ、大佐以上への昇進を見送り、軍首脳の不在時に惑星ハイネセンの防衛における全責任を負うことになった。

 そんな苦肉の策は、杞憂のままで十数年が過ぎていた。しかし――。スーン・スールがバグダッシュから受けた報告は、彼の血液温度をマイナスにまで下げたように思われた。

 イゼルローン回廊より、一万の艦隊がバーラト星系へ向かいつつあり。未確認ながら、敵性艦隊であることうたがいなし――。

 ただちに、ハイネセンポリスの統合作戦本部に留守部隊の主だった者が集められた。スーン・スール自身に、ハムディ・アシュール中佐。十数年前の動乱期を生き抜いた主要な軍人はこの程度しかいなかった。士官学校であらたに佐官になったものも多いが、実戦経験がほとんどないなかでどれほど役に立つのか……。ユリアンらが帰投するまで、最速で二週間ほど、しかし道中の不確定要素をふまえると、三週間は耐え忍ぶ必要があるだろう。

 留守部隊の総兵力は、約五百艦だった。普段は、帝国軍と共同で防衛を担っているのだが、今回はその帝国軍が機能不全に陥っているのだ。つまり、この五百艦で一万艦の敵を相手に持久戦を展開しなければならない。

「しかも、魔術師はいない」

 スーンは、考えるべきでない最大の懸念を、あえて口にした。統合作戦本部の会議室である。いまや、むしろかの魔術師の時代に生きていた軍人のほうがすくない。多くは戦役で没したか、あるいは退役している。スーン自身も、魔術の信奉者であった時間は短い。だが、それでも、彼のもとにあれば負けることはない、と確信を抱くことができたのだ。

「そのようなことよりも、まず深刻なのは第六惑星までの居住民をいかに避難させるかです」

 厳格なまでに整頓された頭脳をもつハムディは、有事においてもきわめて冷静であり、一秒の感傷すらも許してはくれなかった。

「約一〇億の人口か。ハイネセンには受け入れる余地はあるか?」

「むろんありますが、生産能力その他の限界は遠からずあります」

「ならば、まずはハイネセンへ」

 当然の帰結だった。民主制における軍隊の役割など、第一には民衆の保護である。それを実行するためには、一か所に集めておくのと都合がいいのである。

 だが、短い時間のうちに、それほどの人員を移動できる才をもった人間は、もっかのところ留守部隊にはいなかった。

「スーン・スール大佐、面会をもとめるという方が……」

 と、部下が耳打ちをしてきたのは、政府と共同での移動計画の立案時だった。深刻だが打開の光の見えない思案のなかで、あるいはそれは、ひとつの気晴らし程度のものであったかもしれない。

「通してくれ」

 まもなく、会議室にあらわれた男の姿を眼にして、スーンは思わず立ち上がった。

「キャゼルヌ大将……」

 

 街じゅうの立体TVがけたたましく近将来的な敵の来襲をつげたとき、アレックス・キャゼルヌはまさに夕飯の買い出しの最中だった。年はつつがなく明けたが、妻のオルタンスが、ふたりの幼子の食べる量の計算をまちがえていたのだ。ふたりの父はそれほど大食漢でもなかったのだが、じつは母のほうはかなりの量を食べるのかもしれない。その父親は、こと女性にかんしては、まちがいなく美食家でありながら大食漢ではあったのだが。

 ユリアンが“新年のごあいさつ”に出かけている最中、ウェンリーとロミー、それからカリンの三人はキャゼルヌ家で過ごすことになっていた。カリンひとりでめんどうを見切れないほど、ふたりの子どもは手がかかるということはなかったのだが、オルタンスのほうがいたくユリアン家の三人を気に入っているのだ。

「気が早いけど、孫を見ている気持ちね」

 そう言いながら夕飯のクラムチャウダーをつくる姿に、

「そうか、オルタンスばあさん」

 と言って、そのまま敗北必至の戦争に突入したのは、一度ではない。

 キャゼルヌは、立体TVのなかの政府広報が話す姿を見て、不意に奇妙ななつかしさを覚えたのだった。こいつは忙しくなるぞ、と。だが、彼はすでに軍服を脱ぎ、一介のじいさん気取りの隠居にすぎないのだった。

「おい、オルタンス、カリン……」

 荷物を抱えながら走ったが、大きく息が切れるということはなかった。かつての軍隊での経験は、彼に心身的な老いを課すことを許さなかった。時折、運動と称してすくなからず体をきたえていたのである。

 まさか、さっきのニュースを聞いていないはずもあるまい。だが、家を出る直前まで新年のお祝いのために飾り付けられていた彼の家は、すでに様変わりをしていた。

「あら、おかえりなさい」

 オルタンスはキャゼルヌのキャリーバッグ、それも軍人用のキャリーに荷物を詰めている最中だった。壁にかけられた軍服は、かつての階級章と従軍星章がそのままにつけてある。

「おれは退役したはずだぞ」

「ええ、でも行くと思いますわ」

「行くって、どこに?」

 オルタンスは手を止めない。確信に満ちた手つきのまま、

「ユリアンたちがいない今、私が思うに、一番階級が高いのはあなたではなくて?」

 と言いはなったのである。

「もう一度言うが、おれは……」

「それに、一〇億もの人を、きっちりと避難させられる手腕をもつ人なんて、あなたくらいでしょう?」

 私は知っているんですから、と最後のひとことをキャリーに詰めると、オルタンスは軍服を差し出してきた。

「……カリンは?」

 ひとつだけ息をついてそれを受け取ると、キャゼルヌは最後の懸念を口にした。

「うちに避難する準備をしているわ。軍に戻ってもいまは足手まといだろうからって」

 こうしてキャゼルヌは家を追い出された。玄関の外には、少しばかり古い軍服に身をつつんだ中年の男と、大きなキャリーだけが残されている。男は、通りかかった無人タクシーを呼び寄せると、そのまま“統合作戦本部へ”とだけ告げた。

 

「それで、おれがこのまま家に回れ右をして帰るか、貴官のとなりに座るかは、スーン・スール大佐の一存なわけだが、どうする?」

 スーン・スールとしては、この危機に際してキャゼルヌの力が借りられるなら、これ以上ないことであるのだが、問題はハムディ・アシュールのほうだった。軍規に厳格な彼であるが、このイレギュラーを果たして許すかどうか……。

 スーンがハムディのデスクに顔を向けると、そこに持ち主の姿はなかった。

「願ってもない、よろしくお願いいたします、キャゼルヌ大将」

 ハムディは、スーンの決断よりもはやく、キャゼルヌにむかって歩き出し、一礼をしていた。そのあとでこちらを見やり、“判断が遅いぞ”と言わんばかりの目線をむけてきた。

 スーンとしては、これで断る理由がなくなったわけである。

「こちらこそ、キャゼルヌ大将がいてくれれば、と思っておりました」

 敬礼をする。マル=アデッタの時のようではないか。ひとつ違うのは、自分は三〇才をいくらか越えているということであった。

「参ったなあ、受け入れられるのか」

 キャゼルヌは右手で頭をかくと、ハムディに促され、さきほどまで彼の座っていた椅子に腰をおろした。移動計画の立案責任者のデスクである。慣れた手つきでコンピュータを操ると、抽斗から大量の書類を取り出し、眼を通し始めた。

「スーン・スール大佐、おれは三千万を食わせられなかった男だぞ」

 やがて、キャゼルヌがおもむろに口を開いた。

「しかし、イゼルローンの人々は、飢えるということがありませんでした」

「そうさな、考えてみるに、おれの限界はそのあたりにあるのだろう」

 キャゼルヌの書類をめくる手が早くなる。彼の脳内では、早くも物資と人員とが、三次元的に動き始めているのだろう。アムリッツァでの彼の苦悩を、スーンは知らない。だが、敗戦の責任を感じない彼でもないだろう。きっと、その悪夢は、たびたび彼を安眠の淵から崖底へと突き落としていたはずだ。

「だが、一〇億のなかには、おれの家族がいるんだ。三千万のなかにはいなかった、おれのたいせつな家族がな」

 

 ハムディ・アシュール中佐は、キャゼルヌに自分のデスクを明け渡したのち、ハイネセンポリス郊外へと地上車を走らせていた。街ではすでに避難計画の初期段階が進んでいる。ハイネセンポリス市内は、いわゆる“ルビンスキーの火祭り”以来、帝国軍による避難計画の抜本的な見直しがなされ、共和自治政府はその細部を修正するだけでよかった。むろん、その修正を担当したのはアレックス・キャゼルヌである。あざやかに整理されていく市内を見ながら、ハムディはうすら寒い思いにとらわれていた。自分には、ここまで鮮やかな整理を行うことができるだろうか。やはり、キャゼルヌは稀有な人材であるのだった。

 ハムディの目的は、交通整理や軍隊の編成などではない。前者は警察が行っているし、軍隊の責任はいまやスーン・スール大佐にある。ハムディ自身は、次の令がくだるまでは、事実上無役であった。だからこそ、いまのうちにやっておくことがある。

 たどり着いたのは、一軒の大きくもなく、小さくもない邸宅だった。ささやかな帝国様式のもとに建築されているのが、所有者の矜持をうかがわせる。

 所有者の名は、ベルンハルト・フォン・シュナイダーと言った。彼は、シヴァ星域会戦で敬愛する上官たるウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツの最期を看取ったのち、メルカッツの家族を見舞うために惑星オーディンへ帰っていた。だが、まもなく専制政治よりも共和制の水の味のほうが、みずからの体に合っていたことを知ったらしい。帝国と共和自治政府における市民の移動は自由であったから、彼は市民権を得ると、恩給で土地と邸宅を購入し、このハイネセンポリス郊外に腰を落ち着けたのである。

 チャイムを鳴らすと、すぐにくすんだ金髪の男が出てきた。かつて、イゼルローンに亡命してきたときは、甘いハンサムと女性兵にうわさされていたものだった。

 ハムディの姿を見て、シュナイダーは帝国式の敬礼をした。

「シュナイダーどの。突然の訪問をおゆるしください」

「これは、ハムディ中佐。なにかご用でしょうか?」

 シュナイダーは家のなかに招き入れるようなしぐさをしたが、ハムディはそれを固辞した。くつろいでいる時間などないのだ。彼の目的は、シュナイダーを地上車の空席に乗せて、ただちに統合作戦本部へ連れてくることだったからである。

「ニュースはご覧になりましたか?」

「ええ。たいへんなことになりましたな」

「単刀直入に申し上げます。統合作戦本部へお越しください。貴官には、少将待遇で一軍を率いていただく」

「少将⁉」

 わずかに取り乱したシュナイダーであったが、咳ばらいをひとつすると、いつもの平静さを顔にたたえた。

「まず、順序だってお伺いしたいのですが」

「地上車のなかでお話しします。貴官には、来るか、来ざるかのお答えのみ、この場でいただきたい」

「常に理屈のうえに立たれてきた貴官らしくありませんな」

 シュナイダーが柔和にほほえんだ。旧メルカッツ艦隊における彼らのはじめての邂逅は、けっしてほほ笑ましいものではなかったが、おたがいの為人を知るためにはじゅうぶんだった。親友というほどではないが、すくなくとも彼らは僚友だった。それも、双方に相当の信頼のおくことのできる友である。

「その私が、理屈抜きであたらねばならぬと考えたのです。市民のために、ぜひ、お願いしたい」

 ハムディは深く一礼した。……もっとも、当のシュナイダーのなかでは、もう決まっていた。旧帝国の軍服は、まだクローゼットの奥に、定期的にクリーニングをかけたままで眠っている。あるいは、そろそろ共和自治政府の軍服の貸与を受けてもいいだろうか。

「たしかに、私には、共和自治政府にたいして多大な恩があります。メルカッツ提督だけでなく、私のような者にも、ヤン・ウェンリー提督は寛大な心で迎えてくださった。私の忠誠心が、ヤン提督に向いていないにもかかわらず。その提督が残したものをお守りするのが、その恩に報いるというものでしょうか」

 メルカッツ提督すらが苦笑した理屈の信奉者のまえで、シュナイダーは結論のわかりきっている理屈をこねてみせた。

「承知いたしました。お受けいたします。ただし、私の待遇は、貴官と同じ中佐で」

 シュナイダーはふたたび敬礼をした。ただし今度は、共和自治政府軍の様式で。

 

 

二一

 

 新帝国軍総旗艦ブリュンヒルトは、四万艦の大軍のなかで、なおいっそうの輝きをもって宇宙を飛翔していた。純白の女王のその姿は、銀河を縦横にかけまわり、もっとも美しく輝く恒星と化していた一五年前といささかもかわりがないように見える。かわったのは、彼女の主であるからだ。

 かつて、皇帝ラインハルト・フォン・ローエングラムがみずからの玉座としていた指揮シートには、その子アレクサンデル・ジークフリードが座し、となりにはあらたに先帝皇妃たるヒルデガルドのシートが置かれている。ふたりのそばにひかえるのは、若き皇帝の代理人であるウォルフガング・ミッターマイヤー主席元帥であった。

 ブリュンヒルトの右翼にはフリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト元帥ひきいる黒色槍騎兵艦隊一万、左翼にはカール・エドワルド・バイエルライン上級大将の一万艦が配されている。この一万という数字は、ふたりが動員できる最大兵力ではない。首都星フェザーンの護りは“鉄壁ミュラー”がいるのだから、その防衛のために兵力を割く必要がないと考えられるため、ふたりが最大兵力を動員できないのには理由があった。

 その理由は、どうやら敵性艦隊は、航行不能宙域内を拠点にしているであろうと考えられるからである。霞のなかから不意に障害物があらわれるように、敵軍は神出鬼没の用兵をするかもしれない。つまり、いつ軍隊の側面・後方をうかがわれるかが不明なのである。その対応として、航行不能宙域をつねに監視するために、ビッテンフェルトとバイエルラインは、予備兵力と呼ぶには最前線から遠すぎる位置に、艦隊を設置したのである。兵力分散の愚を糾弾されるかもしれないが、それ以上に危険なことは、あらゆる“想定外”から、皇帝の命を守ることであるのだった。

 つまり、“帝国軍中央艦隊四万”とは、ミッターマイヤーが最前線に投入できる最大兵力を意味している。それでも斥候から確認できている敵性艦隊の二倍の数である。だが、ミッターマイヤーや、ふたりの艦隊司令官には、別な懸念があった。

「ひよっこが多すぎる」

 ビッテンフェルトに言わせればこのとおりである。軍隊がもっとも精強であった時期というのは、すなわち、戦争がもっとも多発し、それらを経験した有能な指揮官や熟練兵が数多く存在している時期なのだ。新帝国軍にとってそれは、いまから二〇年ちかく前、新帝国暦一年から五年ころまでを指していた。銀河の動乱期において勝利の花道を突き進み、その凱旋の結果得られた美酒によって、新帝国軍は末端の兵にいたるまで精強でありつづけた。

 だが、摂政ヒルデガルドによる治世が、歴史に類をみないほどの安定をもたらした新帝国暦五年以降、軍隊の存在意義は治安維持を中心としたものになり、かつてのような“立身出世をはたしたければ軍服を着ろ”という風潮は薄れつつあった。事実、統計的にも艦隊の出動回数は毎年過去最低を記録したし、将官級の軍人は固定化され、有能な人物が未曽有の出世をはたすこともなくなった。もし、ミューゼルの姓をいまわしく名乗っていたころのラインハルトが、五年以降の新帝国軍に入ったとしても、ともすれば佐官にすらおさまっていないかもしれないのである。

 平和な時代に、巨大すぎる軍隊は不要である。また、ラインハルト時代は、旧銀河帝国に接収した貴族財産や、フェザーン自治領・自由惑星同盟の併合による税基盤の拡大――つまり戦争による収入――によって財政が保たれていたが、いまやどちらも新たな財源にはなりえない。この二点より、新帝国の財政の安定化をはかるため、まっさきに見直されたのが軍隊だったのである。

 新帝国は、新帝国暦五年以降、段階的な軍備縮小をはかり、ラインハルト時代の軍事偏重主義を是正したのである。軍人からの反発は恐れていたほどではなく、逆に軍人恩給や退役後の生活の保障など、歓迎されることも数多かった。

 そのような大胆な血の入れ替えによって、現在の新帝国軍は、訓練は豊富に積んだが従軍経験が皆無な兵――すなわち、弱兵ではないが実戦でうまく動けるかが不明な兵が多数を占めるようになったのである。もしミッターマイヤーやビッテンフェルト、バイエルラインらの指揮が過不足ないものであったとしても、その効果が最大化されるかどうかは、三人にとって最も大きな懸念だった。

 いまのところ、航行中は、どうやらその懸念は杞憂に終わっている。だが、ミッターマイヤーとしては、“神速の用兵によって敵の先の先を占め、決定的な一撃をたたきこむ”という彼の神髄ともいうべき才はできずにいる。彼は先を急ぎたい理由もあったが、脱落者が多数出るかもしれない賭けよりも、四万を一糸の乱れもなく統率するという安定を採ったのである。むろん、もっとも得意とするところでなくとも、考えうる最大の結果をもたらしているのを見るに、ミッターマイヤーの能力の高さをはかるべきであろう。

 しかし、実戦というものは、訓練時における予測をはるかにこえる結果をもたらすものである。人は、それを理性では解していても、本能を追随させるためにはじっさいにそれを経験するしかない。実戦におけるさまざまな恐怖――死ぬ恐怖と殺す恐怖――は、人のあらゆる閾値を凌駕して心身をむしばむものであるのだ。それらを乗り越えてようやく、人が兵になるのである。

 斥候部隊からの報告が入った。敵性艦隊は、進軍の速度をゆるめ、陣形を組み始めたという。戦場の設定に関しては、機先をとられたかたちになる。

「バーデン星系か……」

 ミッターマイヤーははるか前方の星海をにらんだ。敵性艦隊の影は、まだ見えない。

 

 バーデン星系は、フェザーン回廊とイゼルローン回廊とを、旧銀河帝国領経由で結んだ曲線の、ほぼ中間地点に位置する星系である。九の惑星をしたがえる恒星バーデンは、ほぼ標準的な星系をつくる。しかし、その内実にかんしては、標準の域を大きく逸脱しているだろう。なぜなら、これほどの星系でありながら、居住民が通常考えられないほど少ないからである。その原因は、この星系の外縁部にあった。

 バーデン星系外縁部における最大の特徴は、アステロイドベルトにおける小惑星の数と密度である。それらはたえず衝突と分離、集合と合体を繰り返しており、宇宙戦艦の通行がひじょうにきびしくなるほどであった。ゆえに、このアステロイドベルトの“間隙”をうまく縫わなければ、バーデン星系における九つの惑星へ人が入っていくことは不可能なのである。まして、その間隙はわずかなものであるから、大規模な艦隊運動など可能であるはずがない。

 さらに、天頂上から銀河を見下ろし、東にバーデン星系を置き、西に航行不能宙域を置いたとき、ふたつの“壁”のあいだに生じる空間は極小なものになる。

「大軍の利のひとつが消えた」

 総旗艦ブリュンヒルトにおいて行われた作戦会議において、ミッターマイヤーは断じた。ミッターマイヤーが、本来であれば先を急ぎたかった理由がこれである。広大な宙域であれば、大軍において寡兵を包囲し、“衆寡敵せず”といった状況をつくりだすことができただろう。しかし、敵性艦隊に機先を制されて設定された戦場は、隘路といっても良い宙域で、縦横に艦隊運動はできず、単純な押し合いになるかもしれないのだった。ただしそれは、敵にとっても奇策を用いづらいということも意味する。

「しかし、大軍のもう一つの利は生かすことがかないましょう」

 もはや作戦立案においてミッターマイヤーに比肩する立場となったバイエルラインが口を開いた。数の押し合いであれば、数でまさるこちらが有利なのである。

「狼に率いられたとて、子犬の群れであれば、単純な撃ちあいもどう転ぶかわからんぞ」

 ビッテンフェルトが口にしたのは、兵の練度にたいする懸念である。そもそも、大軍の利という発想も、兵がうまく動くことを前提にしたものだ。寡兵が大軍に勝るというのは戦争における非常識だが、彼らはそれを幾度も眼にしているし、じっさいに苦しめられてきた。その多彩な魔術によって彼らを苦しめた青年はもうこの宇宙には存在しないが、次の魔術師が出てこない保証などどこにもないのである。

「この戦いでは、ビッテンフェルト元帥とバイエルライン上級大将が大きな鍵を握るだろう」

 ミッターマイヤーは短く言ったが、それは遊撃艦隊としての役割が長かったふたつの艦隊が、宇宙海賊などの小さい実戦を何度も経験していることに根差している。わずかでも実戦経験があることは、この際は何物にも勝るのである。

 当然だ、というふうにビッテンフェルトが頷く。黒色槍騎兵艦隊は、兵数における熟練兵の割合において、全艦隊でもっとも高い値を残している。これはひとつにはビッテンフェルトの方針があるが、ネガティブなものには、黒色槍騎兵艦隊は血の気が多すぎて、退役生活をどれほど穏健に送れるかについての不安があったという、笑い話にもならない理由が存在していた。強硬派であることの多かったビッテンフェルトという提督の人間が、かなりの度合いで浸透しているというのは、指揮官としては本懐かもしれないが、平和な統治をのぞむ人間たちにとっては、にがにがしい笑いの対象であり続けた。

 ただし、今回にかぎってはビッテンフェルトに感謝しなければならないだろう。恐怖の波濤はあらゆるものを飲み込んでいくが、黒色槍騎兵艦隊はそのなかでも不動石としてあり続けてくれるにちがいなかった。それが、恐怖を前にした兵にとってどれほどありがたいことであるか……。

 ミッターマイヤーは頭を振った。接敵までは丸一日以上ある。最悪と呼ぶべき状況が、予測の庇護下にあるうちに、考えられるものはすべて考えておきたかった。

「ミッターマイヤー元帥。卿の子は、やはり優秀だな」

 散会となった議場で、ビッテンフェルトが一杯のコーヒーとともに近づいてきた。

 フェリックスは、昨年のうちにビッテンフェルト艦隊へ配属が決定していた。これはフェリックス本人のつよい希望で、ビッテンフェルトもそれを歓迎したのであった。今回の遠征は、フェリックスにとっても、はやすぎる初陣なのである。

「やつこそ、まだまだひよっこさ。ちょっとばかり鼻が伸びているだろうから、はやめにたたきつぶしておいてくれ」

 フェリックスの名は、ミッターマイヤーの心を波立たせる。黒色槍騎兵艦隊にいるという事実もそれを際立たせていた。死にもっとも近いのである。それは、ともすればミッターマイヤーの指揮そのものに影響しそうだった。

「まかせておけ。決して特別あつかいなどせんよ」

 フェリックスをもっとも受け入れたがっていたのは、バイエルラインであった。しかし、旧ミッターマイヤー艦隊の大部分を引き継いでいるバイエルライン艦隊では、フェリックスになんらかの取り計らいがあるかもしれないのだ。バイエルラインを疑うわけではないが、兵ひとりひとりの人間性をあまねく把握するのは、いくらミッターマイヤーでも不可能である。

「おれの子だけではないさ、ビッテンフェルト。兵ひとりひとりは、必ずだれかの子なのだからな」

「ぶざまな指揮などできんというわけか、主席元帥」

 狼の牙は研いでおけよ、と言い残して、ビッテンフェルトは議場をあとにした。

 かつてのような指揮ができるだろうか、とミッターマイヤーは不安になる。たとえば、同盟の宿将であった、アレクサンドル・ビュコックという老人。ヤン・ウェンリーのもとへ亡命し、最後までこちらを苦しめたウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ。彼らは、間断のない戦争によって、人生の現在地がつねに能力的な最盛期であった。だが、自分はどうか。すくなくとも十四年、人狼の牙が血にまみれることはなかった。戦いにおける勘のようなものは、おとろえていなかろうはずはない。

 あるいは――自分は孤独であるのかもしれない。武人という生き物の悲しさである。戦いのなかで生きる喜びを、久しく忘れてしまったがために、みずからにたいして耐えがたい不安をおぼえるのだ。その不安は、道を知らぬ場所で、友とはぐれてしまった孤独に等しい。みずからのもっとも端的な在り方であった、武人というものの本懐を、おれはどこかに棄ててしまった。平和という未知の場において。これがあの男であったなら――ロイエンタールであったなら、耐えることなどできはしないだろう。猛禽は籠のなかではばたくことはできないのである。

 おまえは楽でいいな、ロイエンタール。そう呟いた先に、彼の知る男はだれもいなかった。

 

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