スーパーロボット大戦Z 辺獄編   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちは(夜だとすればこんばんは)、お待たせしました(待ってなくても言う)、シロがはたして情報を吐くかどうか気になる方は読んでください。


第三十七話 美奈子ルート シロ編 答えを病室で言わせないで

~3日後~

 夢を見ていた。

 少し、現実に近い感覚の夢を。

 ほんのり、現実離れした光景の夢を。

 

 初めはある気持ちの発露、目の前にいる奴があれこれ気にいらない事ばかりを言う、うっとうしい、聞きたくない、という言うなれば…反骨心。

 

 それが湧き上がると共に、夢の中の自分は胸から何かを引っ張り出し目の前の筒を壊していた。

 そして見渡す限り、だけではなく歩いても歩いても、走っても走っても目の前に見えるのは研究施設、それと何かを言いながら逃げ惑う白衣の人間達。

 

 色々な言葉が聞こえてくるが共通して言っているのは

 

 「助けて」

 

 「死にたくない」

 

 という怯えの声。

 両手を見るとそこにはどろりと赤い液体が垂れていた。後ろを見てみると、同じような液体を流して動かなくなった人間達ばかりが床に転がっている。

 

 どこか清々しく、気分が良くなっていく、敵を倒すってのはこういう事かと覚えてしまう。

 敵、夢の中の自分の敵…………どういう奴らなんだろう?なぜ敵とみなしたのだろうか?考える暇があるなら進めと言われたかのように、ただ施設を走った。

 

 走っていく内に一人の金色の髪の女の子が見えたが無視していた。

 気づかなかった訳じゃない、凝視して別の方向を向いていたから意識して避けているようであった。

 

 それから、一人の人間と対峙した。

 

 服装が白衣か黒衣かもそうだが今までの登場人物とは全く違う雰囲気を持ち、ハーディスを手に持った長髪の男。

 

 そいつは目の前にいる自分を珍しいものを見るような目で見てきた。

 

 ああ……こいつは俺の命を狙う

 

 確認を取るまでもなく男は自分に向かって引き金を引いた。

 

 ~????~

 

 俺は見知らぬ一室で目覚めた。

 

 「んぁ」

 

 当たり方から見て真昼の陽光がカーテンを突き抜けて眩しい、そんな所で良く眠れたなと思うが、それは大した問題ではない、見知らぬ場所で眠っていた事こそ問題だった。

 

 「どこだよここ」

 

 分からない、窓から覗いてみるとそれなりに広い場所だってのは分かるが……

 

 「気持ちわりい」

 

 おでこもいつの間にか濡れている、クーラーは効いてるからその内引くかもしれないがなんで汗なんかかいたのか……………

 さっきの夢のせいか?ひどい夢だった、夢の中の俺は、多分たくさんの科学者達を殺していた。そして誰かに撃たれて……………

 その夢に意味や引き金があったのかと考えてみた、夢にはなんかあるらしいからな……………分からない、あるとすれば俺が金色の闇と同類(意訳)って言われた事、か?俺の髪も言われた時辺りから茶髪になってるし……………きれいってみんな言ってくれた銀髪よ、なんの挨拶なしに行ってしまいやがって…………………………

 

 「あ、起きた」

 

 知っている声が聞こえてきたので振り向くとナース服のチヨが見えた、何故か長い髪を結い上げてポニーテールにしているため気づくのが遅れた。

 

 「夢だよこれ、もっかい寝れば起きるな」

 

 俺はもう一度眠るよう毛布をかぶった。

 

 「私を見て急に寝るな!!」

 

 チヨから毛布を引っ剥がされ渋々起きた、布団を剥がされた時に当たった風は現実味を帯びていた

 

 「この風当たり…これは現実でチヨは本物だな、悪かったぁ!!」

 

 「ん………よろしい、喉渇いたでしょ?ほら」

 

 チヨは自販機から買ってきたような紙パックの牛乳を渡してきた。

 

 「牛乳だ、サンキュー!!」

 

 「気にしない気にしない、私とシロの仲じゃん」

 

 チヨからもらった牛乳をストローを刺して一気に飲み干した、ぬるい気もしたがそれだけ俺は眠っていたと思えば仕方がない。

 

 誰かにどういう仲なのかと聞かれたとすれば一緒の部屋で寝て起きた後牛乳を飲む仲だと答えるだろう、カレカノとは言われるが手も口も何も繋いだこと無いから俺的にそうは思えないな。

 

 「汗かいてるね、じっとしてて」

 

 今度はおでこの汗を拭かれた、おでこだからまだましだけど近いですよ

 

 「そういえばここはどこなんだ?」

 

 「実は」

 

 「ああ」

 

 「ティアーユって人のお家兼研究所だって、本当は別の場所だったけど調べるにはこっちの方が良いってさ」

 

 「ティアーユって……あのティアーユさんか…」

 

 ティアーユ・ルナティーク……金色の闇もといヤミさんの親みたいなもんだそうだ、厳密に言えば、ヤミさんは人工の生命体で遺伝情報はティアーユさんから得られたものなんだとよ。

 なーんて言ってみると俺や赤毛のメア?にもいそうな気がした、そいつは絶対にティアーユさん以外の誰かだろう、そうでなければ俺の顔も黒咲芽亜の顔もヤミさんに似ているだろうし……二人がなんか通り名持ってるから俺も白猫のシロっていう通り名をっと思ったが微妙な気がしたので却下。

 

 ティアーユさんとはヤミさんを捕まえようとした一件の後少しだけ会話したんだが口を膨らませて拗ねてた顔をしてたっけな……

 

 「シロはティアーユ先生の知り合い?」

 

 「まあな」

 

 「ふーん」

 

 チヨは明らかに目つきの鋭さが増し怖い顔になった。

 

 「なんで拗ねてんだよ、デビルーク王の言葉通りならお姉さんのママつまりオレのママかもしれないだろう?」

 

 「あんな若くて美人のママがいてシロがうらやましいですねー」

 

 「?チヨもティアーユさんの事をママって呼んで良いんだぞ」

 

 別に呼称を改めるだけだし……

 そう言うと動きを止め、間を置いてチヨは顔を赤くし始めた。

 

 「そ、それってどういう事カナ……!?」

 

 なんだか手も普段と動きが違って、動揺している事が分かるが何故そうなのかは見当がつかない、言えるのは一つだけ………顔赤くしてるのを見てからその手つき見てると

 

 「ゴクッ」

 

 やたら興奮してしまう……ほっぺたが熱い!!抑えよう抑えよう

 

 「それはそうとなんで教会の時ああゆう事したのかな~!!」

 

 数分後、話題を変えるようにチヨが詰め寄ってきた、割と怒ってるのが分かるぞステイステイ

 

 「ごめん、悪いとは思ってる」

 

 まさか地下倉庫の写真集見ただけで心臓くり抜かれるなんて思わないだろう?俺の不注意が招いたってのもあるけど

 

 「悪いと思ってるなら何を見たのか教えてよ~うりうり」

 

 チヨは地球の猫じゃらし草(野生)を俺に向かって振ってきた、こんなので釣られるとでも思ってるのか?手触りは……………悪くない。

 

 「一応聞くがなんでそんなに知りたいのさ」

 

 「身近な人が危険な目にあってそれが何故なのか知りたいって変な事?」

 

 じゃない、とは思う。そう思ってそれでも知らせないのは俺のわがままなのか?

 

 春菜さんに言われた事を思い出した、心配かけたのは分かるし仕方ない、俺が見たものと奴の事をいう予行にはなるかもしれない、悲しい話にはなるから…………

 

 「じゃあ耳貸せ」

 

 女の子の耳に当たるか当たらないかまで近寄って言葉しゃべるのは恥ずかしいが………

 

 「ざっとこんな所だ」

 

 チヨは口元に手を当てた、話しにくい事を話したから感想は一つくらい欲しい所だがそれに関して何も言いたくないのも分かるからやめとこう

 

 空気が重くなりながら時間が経っていくのを感じた、思う所はあるよな、俺も一回泣いちゃったし。

 例えるなら……色恋沙汰のリスクそのN+1番目だからな、色恋沙汰……ああやだやだ古今東西において事件の発端となるジャンルNo.1め!!まあ嫌いじゃないけど。

 かわいそうだと思う、被害者と加害者両方な。

 

 と考えてるとドアが勢い良く開いた。

 

 「シロ君!!調子はどうでしょうか?」

 

 声に驚いてチヨは猫のような飛び方で俺が寝ているベッドから離れた

 

 「失礼、あいさつが先でしたねこんにちは」

 

 ザスティンさんが果物セットを持ってやってきた、少し俺を見てびっくりしていたみたいだ、まあ知人の髪の色がそっくり変われば俺だってびっくりする。

 

 「は!?ザスティンさん、ユニクロンの件はお疲れ様です…それと」

 

 ユニクロンはよく分からないデカい惑星が変形したロボットだった、王様がそう呼んでいたからそれを引用する事にしている。

 次にやってきたのは隠しきれないお嬢様オーラを放つドレス姿のご婦人、多分ザスティンさんの奥さんだ。

 

 「お~ほっほっほっほっほ(お見舞いバージョン)、お見舞いクイーンこと天条院沙姫ですわ!!」

 

 「うわ、まぶし!!」

 

 思わず目をつぶってしまった、二人が一緒にいると二人共光っているような錯覚に陥る。

 

 「外で綾も凛もいますのよ」

 

 取り巻きもいるのか……綾って言えばメガネのあの人だな、赤ちゃんの誕生祝いの時にいた……凛ってのはこの前俺の腹にきつい一発をくれた凛さんの事で決まりだろう、その件については俺が悪いけど。

 

 「そんなにたくさんの面子……何か御用でしょうか?」

 

 「色々あったと聞いて様子を見に、それと…」

 

 「ごくり」

 

 「君が美柑様について色々知っているとリト殿からお聞きしました、それが何なのか教えてもらえないでしょうか」

 

 やはりそれについて聞いてこない訳がないか

 

 「嫌です、ザスティンさん達には言えません」

 

 「どうしてもですか?」

 

 「どうしても」

 

 言ったらチヨみたいにショック受けるだろうよ、ていうか凛さんに聞かせらんないじゃないか。

 

 俺が拒否した瞬間ザスティンさんの目が光り、そして叫んだ。

 

 「吐かないなら吐かせてみせる!!「アイスの刑」で、沙姫様!!」

 

 「ええ…………よろしくてよ、ザスティン様!!」

 

 仲が良いですね!!

 

 ~数分後~

 

 「シロ君、おいしいですか?」

 

 俺はこの時のためにやってきたかのように凛さん達(ついでに美奈子ってシスター?も)に手を押さえられてアイスをたくさん口の中に突っ込まれた。

 

 「ミルク味最高です、あむ、うむ、おお…やっぱりバニラは王道」

 

 「お~っほっほっほっほ!!天条院家御用達のアイス、存分に味わうと良いですわ!!」

 

 口の中にクリーミーな甘みが広がる幸せを感じつつザスティンさんが近づけるスプーンに乗っかったアイスを俺は食べ続けていた。

 これが尋問ならなんて良い尋問なんだと思ったその時、ツケが回ってきた。

 

 「ああ、頭がー!!」

 

 額の辺りに迸るような冷たさの混じる痛み、言うまでもないがアイスを食いすぎたせいだろう。

 

 「そろそろ効いたな」

 

 「どうです、吐く気になりましたか?」

 

 「ああ……………でも言ったら色々やばい…」

 

 「吐かない限り止めませんよ、あーんしてください、アイスナックルボールですよー」

 

 スプーンが、口の中に向かってきた

 

 「タンマァ!!」

 

 心から、避けようと思った。そうすると口の上から、鉄っぽいマスクが生えてきて口元を覆い、スプーンを妨害した。それを見てザスティンさんと凛さんはすぐに沙姫さんと綾さんと美奈子さんを自分の後ろに移動させ身構えた。

 

 「目で見るまで半信半疑だったがリト殿の言った通り君も変身兵器だったのか」

 

 変身兵器……金色の闇、黒咲芽亜、ネメシスが該当する変身能力を使える奴……だったっけ?確か体中を好きな物質、凶器に替える事のできる……どうして俺にも急に使えるようになったのか……元々使えたのがどこかで使えなくなって、神父さんに心臓をやられた時をきっかけにまた使えるようになったと見るのが自然か

 

 「だったらなんだって言うんですか?フレイム星の奴らが炎を扱えるのと別段変わらないと思います、使う奴の問題でしょう?」

 

 「一理はあるかもしれない、シロ君、不必要に警戒をしてすみません………」

 

 良かった、害はないって思ってもらえた……

 

 「と、いうにはまだシロ君はその力を制御しきれないように見うけられますが」

 

 そんな…………

 

 「高ぶらなければ発動していないので今は大丈夫かと思います。」

 

 「よし、アイス再開」

 

 「ノーーーーーー!!」

 

 やめて高ぶっちゃうー!!

 

 って言い掛けると金色の闇がドアを開けてきた

 

 「静かにしてください、後集まりすぎです、起き抜けの人に変な事しないでください」

 

 「すみません……」

 

 ザスティンさん達はヤミさんに謝った、それを見届けてからヤミさんは俺の近くまで寄ってきた

 

 「調子はどうでしょうか?私の……弟?」

 

 「まだよく分からない」

 

 あまり驚かないところから見てみんなそういう認識が広まってるって事なんだろう、金色の闇の弟か。

 

 「ティアが調べてくれて分かりました、あなたは、本当は私達と同じ……エデンで産まれた変身兵器、あなたの体の中のナノマシンがそう示したようです。」

 

 「そうだったのか……」

 

 同じ卵のアニマルって事か、なるほどなるほど…………………………………じゃないな、おそらくだがその事実が判明したって事はデビルーク王の仲良くしろしろオーラ攻撃が始まる事を意味する、三度の接触で金色の闇は良い人かもしれないとは思ったがそれとこれとは別だ、惑星を斬り、たくさんの命を奪い去った悪い奴だと思っていたのは容易には拭えない……………がそう言い切れるのは俺次第か、さっきの夢のせいで

 

 「お前も同じだ」

 

 って誰かから言われているような感じだ、もしあれが本当に起こった事だったら…………………………怖い、まあいい、風聞で作った壁ぐらいは取っ払うか。

 

 「ですがティアからの情報で開発時期が芽亜や私より前なのに芽亜から弟と言われましたがどう思います?」

 

 チヨが手を上げた、俺が寝てる間デビルーク関係者と友好でも結んでるのか?

 

 「生まれたのが後だから?」

 

 「まあそれが無難でしょうね」

 

 何を以て生まれた日と言えるのだろうか?まあ誕生した日はいつって話なんだが………母胎、卵、試験管、そのどれかから出てきて肉体を外気に晒す日か?それとも自分っていうものを自覚した時か?

 

 どれも一定期間ずっと中に閉じこもってる事が前提だがその期間は考慮するのかしないのか………………そういう話題に入ると顔色か悪くなるシスターが出てくるから気をつけたい。

 そうしてザスティンさん達は一旦帰った、去り際に話したくなったらいつでも受け付けると言われた、変にプレッシャーかけられると、重い

 

 「どうです?変身能力は」

 

 教会の時はなんとなくでやってたけど………

 俺自身今まで銃を持ってない状態で金属探知機に引っかかった事はない、なのに急に腕を金属質にできるんだ、奇襲には悪くないな…………金色の闇、ヤミさんが伝説と言われた訳か

 でもあんまりポンポン使うと指が動きづらくなる危機感がある、例えば指とかには神経が張り巡らされてるよな、腕を剣にする時は一度バラして再構成する、その時神経も一緒だから急に指の感覚が無くなる、慣れてないと違和感が芽生える、戻す時は同じ事をやればいいけどそんなのを交互に繰り返していったら脳みそがバグりそうだ、金色の闇は翼を生やしてたが神経が保つのか?ていうのを感想として言ってみた。

 

 「そうですね……加減はおいおい知っていけば良いと思います」

 

 「もうあんまり使う予定はないけどな」

 

 「え!?」

 

 「ええっ!?」

 

 金色の闇は目に見えるほど驚いていた

 

 「良いだろ?別にもう使わなくても……使わなければいけない理由なんてなし、使っていって気分が悪くなるの嫌だし」

 

 「それは…………そうですね」

 

 肯定はしてくれたが渋々を付け加えなければいけない、不満ですよと顔で訴えかけている。

 

 「オレにメアやネメシスとかの代わりはできないからな」

 

 「そうしろなんて言ってないじゃないですか」

 

 「いずれはそうなるって感じの目をしてるから釘は差しておく、息子、親友、妹、立て続けに失ってまいってるのは分かるけど、そいつらの接し方を期待されてもちょっとな。俺は腕を刃物に変えて派手に斬り合うのは嫌だ」

 

 彼女達が汗を流す感覚で斬り合うのはデビルークの宮殿周辺をうろつけば聞く話だ、一般人は危険って意味で、後見せ物じゃないから見物不可だが

 

 「嫌でしたか、じゃあ仕方ないですね(ため息)、その代わりお姉ちゃんと呼んでくれますか?」

 

 「ねえさ」

 

 突然ノック音がしたので、ヤミさんは受け答えをした。

 

 「はい」

 

 「あら、お邪魔しちゃって悪いわね」

 

 「警部」

 

 警部が花を持ってやってきた。

 

 「元気そうじゃない、心臓をやられたって聞いたから焦ったけど、無駄な心労で良かったわ」

 

 「ありがとうございます、でもどうしてここへ」

 

 「教えてもらったのよ、お見舞いしたいって言ったら王様からね」

 

 デビルーク王……不用心過ぎない?まあ良いけど

 

 「ちょっと待っててください、たい焼き持ってきますので」

 

 ヤミさんは俺が今いる部屋から出て行った、ちょっと早いスピードだったからカスタード味か生クリーム味を頼みそびれた

 

 「いつの間に仲良くなってるわね、ところで髪どうしたの?」

 

 「それがですね……」

 

 警部に髪の色が変わった経緯を話した

 

 「なるほどね、体は大丈夫かしら?」

 

 「ええ、まあ」

 

 「でもシロとは呼びますづらくなるわね」

 

 確かに俺がシロと呼ばれてるのは銀髪だったからだ、でもそうじゃなくなったからってそう呼ばれてたのには変わらない、何より俺はシロって呼ばれたいんだ。

 

 「俺はシロです、これからもそうでありたいと思います」

 

 「いいわ、ところでシロ」

 

 警部の何か聞き出したい事がある時の顔だ、目に圧が増す、相手に早く吐けといつも目が口ほどにものを言っている。

 

 「なんでしょう」

 

 「デビルークの王様の妹君の事、私に教えてもらえないかしら?」

 

 ああ……またか、もうその話題から離れたい

 

 「嫌です」

 

 「変わったわね、シロ、昔のあなたはどんな事情があっても事件の犯人を庇う真似はしなかったわ」

 

 「俺が真相を究明しようと思うのは被害者の家族の心の自由のためで判明した事柄のせいでがんじがらめになると分かれば躊躇もするって先日分かりましたよ、それに一応神父さんと約束があるので……」

 

 「あなたがごねるのは勝手よ、でもシロ……あなたはデビルーク王の行動を阻害し、調査にも応じようとしない、彼らがそう思って行動してないだけで敵対したと見られてもおかしくない事をしてる」

 

 それってまさか……

 

 「あなたが尊敬してるらしいあの親衛隊隊長が敵になるわよ、私達もあなたを全力で捕まえるのも辞さない」

 

 「ザスティンさんと警部が、敵……………………!?」

 

 そう言われた時何かが折れた気がした

 

 「だったら」

 

 「ス……ストップストップ、泣きそうになってるってば、シロをいじめないで、いじめて良いのは私だけなんだから!!」

 

 言ってる事がどういう事だかさっぱりだがそもそもいじめる事自体ダメだと思う、というかチヨ急にやってきたなぁ

 

 「まあ、まあまあまあ、そこまでとは思わなかったわ……よろしくねお嬢さん、そこの白猫は温室育ちの飼い猫で、でも噛みつく時は噛みつくの、王様とか」

 

 人の事を飼い猫とは言うが俺を飼って良いのはこいつになら飼われても良いって思える人だけなんだぞ、そこんとこよろしくぅ!!ちなみにチヨはまあまあだ、今あんな事を言ってるけどムチとか口撃とかひどい事はしてこないしな

 

 「うん、知ってる」

 

 その時ヤミさんがたい焼きの袋を持ってやってきた。

 

 「随分取り込んでますね、どうぞ」

 

 「姉さん助けてー(棒)」

 

 「都合良く親の仇みたいに敵視してた人を頼らないの」

 

 「うっ」

 

 ヤミさんは急に気分が悪そうに倒れた

 

 「金色の闇、あなたからも何か言ってくれないかしら?親友の事について聞かせろって………大丈夫!?」

 

 「警部!?」

 

 俺は警部の肩を叩き耳打ちした

 

 「ヒソヒソ(何言ってんですか、彼女は自分の息子を殺した犯人の親の仇なんですよ)」

 

 「あ………悪かったわね、自分の部屋があるならそこに戻ってなさい」

 

 「そうします、では」

 

 「ごめんなさい」

 

 ヤミさんは俺に向かってサムズアップをしつつ部屋を出て行った

 

 「どうしよう………神父さんにああ言った手前言えないんだよな」

 

 両手の人差し指を突き合わせながら迷った。

 

 「そんな指してかわいく見せたってダメなものはダメ」

 

 そんな…………

 

 「(モグモグ)……………どうせなんか判明すれば署で色々吐かされるんだから今吐いた方が楽なのは変わらないわよ」

 

 「今そういう流れなんですか?」

 

 「そういう流れよ、さあ……言うの」

 

 「場所変えましょうよ、ここじゃ声出して言いづらいです」

 

 「良いわよ、場所はどこ?」

 

 「俺の宇宙船」

 

 「分かったわ、具合が良くなったら通信で言って頂戴」

 

 警部は満足した様子で出て行った、ああ言った後俺が言わないとは思ってなさそうだな。

 

 「すみません、神父さん………」

 

 俺には、覚悟とかはない、例えつもりでも敬っている人間達を敵に回してまで秘密を守るとかの覚悟はない、1対たくさんじゃあ、勝ち目はない。

 

 「どうして?」

 

 チヨはいつの間にか怒っている、感情のシフト速すぎなんだが

 

 「どうして自分に危害を加えた奴なんかに謝る訳?」

 

 「頼まれたんだ、あいつの事」

 

 「それは知ってるから、もっとこう」

 

 知ってたのか、そっか

 神父さんは俺を殺そうとした、そんな人間から頼まれた事……ライムを頼む、一蹴してしまうべきだったのかもしれないけど

 

 『目の前で困っている人間を見捨てられなかった』

 

 そう言っていたのを思い出すとそうはできなかった、間違ってはいるんだ、人の命を奪うなんて、でも何のためにやったのかっていう想いだけは尊重しなければいけない。

 

 「神父さんは間違っている、でも他人のために動いてた、そんな人に頼まれた事をやりきれなかったんだ、悪いなーとは思わないか?」

 

 「私は思わない、そんな結局大した会話もしてなかった人の気持ちより、私にはそいつがシロの仇になってたかもって事の方が大事」

 

 「チヨはチヨで正しいと思う、こういうのは一度でも分かっちまったら負けなんだ。」

 

 「私のももっと分かって欲しいのにな」

 

 「へ?(ぽかん)」

 

 「んーん、なんでもない、たい焼き食べよう」

 

 チヨは俺の口にたい焼きを突っ込んできた、熱………くはあるが舌を焼かない程度だからいいか、クリームのもったり具合に感謝、ん?カスタードクリーム味だ、やった

 

 「やっぱり地球のお菓子おいしーい」

 

 「その言い方、さては俺が寝てる間に食ったな」

 

 そう言いつつ俺達は滅茶苦茶袋の中のたい焼きを食った

 

 ~数十分後~

 

 「行くんですか?もう」

 

 警部に連絡するのも終えたから俺達はヤミさんに挨拶に行った

 

 「体は動くしたい焼きはおいしいからもう大丈夫だ、多分」

 

 腕を回してみたが問題はない

 

 「なら良かったです」

 

 「姉さんは親友について知りたい事とかは………?」

 

 一回も知りたそうな顔でこなかったから聞いてみた。

 

 「聞いても、言わないでしょう?」

 

 ヤミさんは笑顔で応えた、しかしちょっとばかり顔の特に目の辺りに曇りや陰りのようなものが見えた。 

 どの程度かは知らないけどある程度気づいているんだ、そう悟るのに時間はかからなかった。

 

 「ああ、そうだな」

 

 俺はヤミさんに手を振りながら玄関を開けた。

 

 「顔、また見せに来てくださいね」

 

 「約束はできない、だから待たないでくれ。その時は連絡を入れるから」

 

 「ならちゃんと入れてから来てください、あの人もアポなしだと出てこれない可能性大きいので」

 

 デビルーク王もセットか……一度目口論、二度目は吹き飛ばし、バツが悪いというか、今度直接会ったら謝ろう。今は警部と合流するのが先決だ。

 

 一方そのころ~

 

 ~高級車の中~

 

 「まったく師匠の事教えてもらえなかった」

 

 美奈子はがっくりと落ち込んだ、シロに美柑の事をあれこれ聞こうとしてティアーユ宅にやってきたが収穫はほぼ0、むしろお叱りの言葉だけしかもらえずに今車に乗せてもらっている。

 

 「知りたい事があるなら根気は必要だ、焦るな」

 

 「ところでザスティン様は」

 

 「行くところがあると言ってましたわ」

 

 「大丈夫でしょうか、一人で行かせても」

 

 「待ってなさい、ええ……」

 

 ナレーション風)天条院家の現当主、沙姫は地球でよく迷子になる夫のためナビゲート用のアプリをケータイに搭載しているのだ、人工衛星を利用しているため上からの指示になる。

 

 「見つかりましてよ、ほら」

 

 「流石です、沙姫様」

 

 「流石です、沙姫様」

 

 「ナビゲートクイーンの座は私がいただきますわ、ザスティン様は………………ひっついてますわ、シロの宇宙船に……………ひっついているザスティン様、見事ですわ(うっとり)…………………でも、落ちてしまったら、ザスティン様ー!!」

 

 「すぐにヘリの手配をします!!一番近い所は……」

 

 ~一方そのころ~

 

 俺達の宇宙船にひっついているザスティンさんを見つけた。

 

 「ザスティンさん……何をして」

 

 鎧姿のまま宇宙船にひっついているザスティンさんはさながら季節も相まってセミのようだった、こんな雪化粧をしたようなセミがいてもあれだが、嫌、いたような気もする。どこの惑星だか忘れたけど

 

 「ムッ」

 

 ザスティンさんは俺達に気づくと飛び降りてこっちに向かってきた。

 

 「すみませんシロ君、なんとしても知らなければならないと思い……」

 

 「ああ……………………」

 

 ザスティンさんに知られたら、王様にも行き着く。それだけは避けたいのにな、だけどもう引っ込みがつかないから仕方ない。

 

 「仕方ないですね、警部とその事について語る予定でしたが、」

 

 「是非!!」

 

 ~宇宙船の中~

 

 「なるほどね~」

 

 警部は俺を待っている間扉付近でピザパンをかじっていたようだ、ポケットには袋が見えている。

 

 「私も参加させていただければ」

 

 「デビルーク王室親衛隊隊長、あなたの事はそこのかわいい白猫と同僚から聞いてるわ、せっかくだしあなたも加わりなさい。ただし部外者に広めてはダメよ、デリケートなデリケートな話をするんだから」

 

 「心得ております。」

 

 「どうぞ」

 

 コップに水を淹れて警部達に渡した、後でよく洗っておかないと………

 

 「あらありがとう、思ってたより気が利くわねぇ」

 

 「身振り一つ教われば身につきますよ」

 

 「彼女はどうしたのかしら?」

 

 「ベッドで不貞寝するそうです」

 

 「そう、じゃあパパッと吐いてちょうだい、あなたが見たもの、あなたが誰かを庇いたくなるようなものを」

 

 「シロ君、頼みます」

 

 始めるか

 

 「そうですね、俺が見たのは彼女が身ごもっている事が分かる写真です」

 

 「それを見てあなたは心臓を攻撃されたのね、でも疑問があるわ、子供の父親は誰?知らないなら知らないで良いけど知ってそうな顔だから」

 

 「誰でもないかもしれないですよ、ひとりでに…………なんて」

 

 「茶化さないでください!!」

 

 ザスティンさんに怒られちゃった

 

 「これはあなたが悪いわね」

 

 仕方ないか、ここまできて濁すのも不自然だし

 

 「美柑様の健康状態は宮殿の方達によって把握していました、また地球人の生態も勉強しております、よほどの突然変異を除いて我々と同じように男女一対、また人工的な方法でなければ産まれないと、例外はあっても女性しか産まれなかったりすると」

 

 「なら少し更新が遅かったですね、お腹の子供の父親は………王様、デビルーク王だそうです」

 

 「!!」

 

 ザスティンさん驚いてるな……そりゃそうか、そりゃそうだろ。

 

 「本当……なのですか?」

 

 「俺の耳……じゃなくてナノマシンが聞いた感じだとそうです」

 

 「ならシロ、犯人はそれを知って彼女に恨みを持つようになった誰かかしら?例えば…王様のお嫁さん達の内の一人…とか。そういえば第二王女が先に来たって言ってたわね、それってひょっとして…………」

 

 警部がそう言うとザスティンさんは警部を睨んだ。

 

 「下手な憶測はやめていただけますか?言って良い事と悪い事があります」

 

 「そうですよ、あのタイプの女性は悪い事考えたりしたりすると顔に出ます、むしろそういうの双子の妹君の………」

 

 ザスティンさんは無言で苦笑いして俺を見てきた。

 

 「やりそうな事ですが俺の印象だと色恋沙汰においてはただれた方をお好みのようなのでないと思いまーす。」

 

 勢いに任せて言い切っちゃった

 

 「シロ君………」

 

 「すみません」

 

 元第三王女に知られませんように

 

 「話を戻すけど、悪いわね……でもやめないわよ、色々な可能性を模索しないといけないの、私達それが仕事だし。自分に注がれるはずの愛をよりにもよって彼の妹に取られる、それを羨んでの犯行……という所かもね、逆も然り…彼女に言い寄る男達の誰かが自分になびいてくれない理由がそれと知って……」

 

 「どれも外れです、警部」

 

 「あらやだ」

 

 「彼女を殺した犯人はやがて産まれるハズだった子供です、成長した彼女の子供が未来からやってきて彼女を殺したんです」

 

 それを言うと周りはしんと静まり返った

 

 「本当……なのですか?」

 

 「らしいですよ、神父さんの言うには」

 

 「やっぱり時間警察の管轄なのね」

 

 「思った以上に核心に迫りかけていたか」

 

 急に今ここにいる俺達とは別の誰かの声と通路を歩く誰かの音が聞こえてきた、ちょっぴり鎖と衣服が小刻みにぶつかるような、鎖を足に巻いている奴が歩いてるのが分かった、侵入者?

 

 「良いだろう、僕も語る時が来たという事にしておこう。」

 

 「!?」

 

 アサキム・ドーウィン!?いつの間に?

 

 「アサキム・ドーウィン!!金色の闇の一件、覚悟してもらう」

 

 ザスティンさんは奴の名を叫びながら剣を持ち、奴の方へ向かっていった

 

 「ちょっと待ってくださいよ、変な事したら俺の船がーーー!!」

 

 「む、すまない。」

 

 ザスティンさんは剣を振るおうとするのを止め、さっきいた場所に戻った。

 

 「ありがとう、さすがにここで狙われると逃げ場がないからね。」

 

 「人の宇宙船の中に忍び込んでまで何の用かしら?」

 

 「まず一つ、シロ……だったね?君が生きていたと聞いて、君が倒れている時僕の仕業だと思って銃を構えて叫ぶ子がいたんだ」

 

 チヨ?…………マジか、今更だが余計に悪い気がしてきた

 

 「迂闊だったね、と言ってもう一つ。僕も君達の話に混ぜてもらいたい、答えを知りたいんだろう?」

 

 「何故今更なのだ、リト殿達は聞いてもはぐらかすばかりだと」

 

 それについては多分また知ってる事を話したくなってしまったのだろう、真実を究明する側からすれば一応助かるけど

 

 「君が黙っていればいい話さ、そう思わないか?」

 

 アサキムはザスティンさんの肩を叩き、にっこりと笑みを浮かべた。

 

 「そうかもしれないがシロ君、証拠は…………あるのですか?」

 

 「神父さんは……ちょっとな……」

 

 神父さんが過去の人間だって話が事実かも知らなければいけないし

 

 「時の砂を解き明かせるなら良いけど、そうはならない。何せ名前すら分かってないからね、でもデビルーク王……彼の息子……ライムと言ったっけ?賭けにはなるけど役目を終えた彼の秘密を守りし包帯、そこから因子を採取できるはずだ。」

 

 「ああ……今王様の故郷は夏だ、汗をかかない訳がない。頭全体を巻いてるんだからかゆくなるだろうしいつも隠さなければいけないって思ってるやつなら上からかくかもな、後は包帯とデビルーク王からDNAを調べれば」

 

 だから、クーラーをつけてないと動きが鈍る

 

 「既に現地で見つかっているわ、ありがとう、これで調べられる、どの組み合わせが正解なのか分からなかったもの。協力者は付着物を解析して調べるっていうやり方をご存知ないみたいね」

 

 協力者か……神父さんはまあ協力者であって共犯ではない、はずだし

 

 「彼は過去を生きた、今は亡き人間だ。己から知ろうとしない限り過去と未来の叡智の差を埋められる事はない」

 

 「息子の方もそこまで頭が回ってないみたいだ、あ………特にこの辺秘密裏に頼みますよ」

 

 「分かってるわ」

 

 「教えてくれ、何故リト殿の子とあろう者がそのような恐ろしい事を」

 

 「一言で言えば禁忌への拒絶だろうね」

 

 禁忌…………確か話に出てきた奴は結城美柑の息子、デビルーク王の息子、つまり…………

 

 「デビルークの法は知る由もないけど、同じ血を汲む者同士の間で命が産まれるのはタブーと見られているんじゃないかな」

 

 「だからと言って才培殿達はそれで孫に対して態度を変えるような人間では」

 

 「そんな風に産まれたんだって知った時、産まれた子供は果たして己を保てるだろうか?」

 

 俺がそうだと仮定してみる……立ち直り自体は早いと思う、親の問題だ、俺が産まれる前の親の選択なんか面倒見切れないと言って、俺がヤミさんの弟かもってデビルーク王夫妻に言われた時だってそんな感じで切り抜けた、だけどこの手の問題は2つある、一つは自分が理不尽を感じた時の答えになってしまう事だ、もう一つは、その事実が心に刺さる事、強烈なストレスになってしまう。

 どれもそれが悪い事だって刷り込まれてるからそうなるんだがそれだけに参る奴はとことん参る、そんな自分にふさわしい所に堕ちていくんだって結論づけたり、その現実から目を背けようとしたり、だいたい心に傷ができて自己否定に陥るだろうよ。

 

 「それはそうとあなたは知ってるの?彼女が去った理由、おそらくだけど発覚を恐れただけじゃないわよね」

 

 少し、昔話をするとしよう

 

 「そのくだりは必要なのでしょうか」

 

 「必要さ、この場合はね」

 

 昔々、地球のある所に仲のいい兄妹が住んでおりました。

 兄はある日、好きな女の子に告白するかしないかで悶もn

 

 「長そうなのでカット」

 

 兄は大人になると他の星のお姫様と、好きな女の子、その他の女の子達とも結ばれるのでした。

 

 「その言い草ではまるでララ様が二番目みたいじゃないですか、後お姫様"達”です」

 

 「良いじゃないか、恋で二番目になっても愛で一番になれば、お互いに愛を注ぎ合えて幸せならそれでいいのsatisfaction!!」

 

 「言われてみればそうですね、ララ様、ナナ様、モモ様の結婚式は流した涙と共に魂に刻んでおりますとも、あの心からの笑顔、そこに偽りは無い」 

 

 「今そういう案件じゃないのを忘れないで欲しいわ、それをできるハードルがもう少し高い子の話よ」

 

 「では、続けよう」

 

 妹は、それを悲しみました。だって妹は兄の事をめおとになりたいとおもうまでにすいていたのですから

 

 「き、気づかなかった」

 

 「噂でよく耳にはする話だけどな」

 

 妹は一度はあきらめようとしておりました、ですが兄と結ばれた女の子達が幸せそうにしているのを見ていつしか自分とも…と思うようになっていくのです。

 

 「前置きが長いわよ」

 

 「あまり急かさないで欲しいな、そして彼女は一服盛るんだ、邪魔が入らないように、後はいいだろう」

 

 そして…時が過ぎて

 

 「美柑って人の腹が膨れるんだな?」

 

 「まだそこまでいかないよ、そこまでいかなくても分かるんだろう?」

 

 「ええ、分かるわよ。一応調べられる」

 

 彼女に命が宿ったのでした

 

 「何故分からなかったのだろうか?」

 

 「デリケートな問題よ、本人が誰の手も借りず自分だけで調べたのなら分かりっこないわ、それに彼女は実質ですらまだ結婚した訳じゃないでしょう?」

 

 そうなった彼女はある日までは兄と本格的に結ばれる希望と、両親との確執という絶望を抱いていました、でもこれで良いのだ…いつかは受け入れてくれるだろうと、思っていました。

 ある日の事でございます。

 妹は兄の嫁の一人とアトランティスの遺産の展覧会に行く事にしました、希望と絶望は同じだけあるぶん身動きは取れない状態でしたので遠くに行って心の整理をするためです、親しすぎる人間とは行動しにくかったのです。

 

 「黒咲芽亜だな」

 

 「そうだね」

 

 絢爛豪華な物ばかりが辺りを彩る中一際目を引くと言って兄の嫁はある球体に近づきました、妹もそれに近づきました。

 触れたその時球体(スフィア)の光と共に妹と兄の嫁は見てしまったのです。

 

 妹がこれから生むであろう命が歩む道を、その命が自身の生まれに苦しむ様を、何度も苦悶の叫びを伴いながら消えたいと願う所を、いつしか自分を妹ごと消すために過去へと遡ってくる瞬間を

 

 「というのが結城イチゴの話」

 

 「俺が聞いたのはライムなんだが」

 

 「魂、そして器自体は何も変わりはしない、ただ産まれる場所が違っていた」

 

 産まれる場所が違う、極端に違う場所なら名前を考える人が変わり、それと同時にデビルークのぶ厚いボディーガードが最初から無い状態を意味する、もし命を狙われているなら運命は変わる。

 

 「イチゴはやられたのか?」

 

 「少なくとも、イチゴは望みは果たせない」

 

 妹はいたたまれなくなり、兄達の居場所から消えました、ひどい悪夢と片付けても心に響いた息子と思しき男の子の叫び声が心にのしかかったのです、相談する気力が湧かなくなる程に。

 

 「君が今持っているであろうスフィアの力か」

 

 「そういう事さ、あまりにも突然の接触だったから黒咲芽亜もスフィアに順応しきれなかったみたいだし、何よりそれが未来に起こりうる出来事だとは分かりきれなかった」

 

 『嘘だと思った、それに私の知っているのは何故彼女は出て行ったのかであってどこに行ったのかはわかっていない、そんな状態で言ってしまえば余計な風聞が付くだけ…………変に空気を悪くする訳にはいかないし、でもガーランド君の一件で本当の事だって証明されてしまった、スフィアの示す通りに行けばガーランド君の仇の妹と会えたから』

 

 「覚醒に至った時、もう事は起こり手遅れだったそうだよ」

 

 「大好きなお兄ちゃんと結ばれようと願ってした行動が否定されるって訳ね…よりにもよって子供自身に、王様はそれを知ってるの?…」

 

 「何を知ってるって言うんだい?彼女の想い?それを遂げた事?知れば受け入れるだろうさ、彼女の想い、彼の存在を、彼らはね…でも彼らは知らない、受け入れられない者達の心を」

 

 知ってても、どうしようもないものもあるってか、受け入れるのに必要なものがライムには無かった事になる

 

 「ライムって奴は他にたどれる道は無いのか?」

 

 「イマジンを率いて時の運行を引き裂く道、失意に呑まれながら腐る道、自身が王となるまで兄弟親族もろともの命を狙う道、それかそうするフリをして自分の命を狙わせる道、どれだと思う?人外に至るというのもあるかも」

 

 「聞くの間違えた、ザスティンさんが憤死しそう」

 

 「何故、そんな道ばかり!?」

 

 「時の運行は不条理すら束ねるからね、自分を認められないから、自分だけの居場所が欲しいから、そうは言っても兄弟達の代わりに自分が王になるなんて無理だ、そうだ自分が消えよう、そうすればいいと思ったから、後は目立つから、いっそ人で無くなれば心が楽になると思ったから」

 

 目立つと言われれば確かに目立つかな、悪がつくほうだけど。

 

 「推論なら語らないでくれますか!?」

 

 「そうならない保証はある?」

 

 アサキムとザスティンさんはその発言の後にらみ合った。

 

 「でもその息子が犯人とは言いづらいわねぇ、包帯の持ち主がデビルーク王の隠し子、と判別はできてもその子が犯人である証拠って言える凶器がないもの」

 

 「え?そういうオチ!?」

 

 「結論は君達に任せよう」

 

 アサキムは部屋から出て行こうとしているのかもたれている壁から離れた

 

 「行くのか?」

 

 「話す事は話したからね」

 

 「アサキム・ドーウィン……情報提供は感謝する、それが真実とすればだが、嫌、耳に入れたくない事も混ぜられていたような」

 

 「夢や幻と断じても良い、全て塗り替えれば、その境界に意味は無くなる」

 

 「!!それってどういう………………」

 

 事か?と言い切る間を与えずにアサキムは出て行った。

 

 「とりあえずハッチは開けとくか」

 

 言葉通りとりあえずハッチを開けた、空気抵抗が凄まじくなるから数秒で閉めた、確認していないが無事に降りたと思っておこう

 

 「ザスティンさん、どうします?」

 

 ザスティンさんにライムの事を知られたどうしよう、知られた時どうするかは全く考えていなかった、考えたくなかったとも言えるけど、告げるんだろうか?デビルーク王に。

 

 「それが事実か判明するまでとっておきましょう、本当の事ではないかもしれませんし、というのは言い訳ですね。怖いです、これが耳に入るララ様や才培殿の事を思えば」

 

 「決まりね、断定しきれないものを事実のようには扱いきれないわ、私達はブラディクスを当たるわよ」

 

 「俺はどうすれば……」

 

 「私達は実際にいるのか知らない、あなたも結局伝聞でしか知らない、ならやる事はそれを現実にする事ね、タイムリミットは私達が彼の存在を認識するまで、そこまでなら協力ありがとうになるから」

 

 厳しい事をおっしゃる、手がかりとか分からないのに

 

 「はい、分かりました、やべっいつの間にかヘリ近づいてる、接触接触~あ、沙姫様!?」

 

 用件は言うまでもない、夫の迎えなんだろう

 

 『緊急事態なので省略します、ザスティン様は…………ザスティン様!?無事でいらっしゃったのですね』

 

 「沙姫様、私は見ての通りです」

 

 『ではシロ、着陸地点を言います、ついてらっしゃい』

 

 「イエッサー」

 

 彼らを見てふと思った。

 通信越しでもお互いを見て楽しそうだな、と。陳腐な言葉だけど御二人には愛がある、男女の愛、求愛が無ければ結びまで成立しないもの。

 その求愛って

 あなたが好き。

 あなたの囁く声が好き。

 あなたの気を遣ってくれる所が好き。

 あなたの■■■■■■■■■■■■(多すぎたので省略)

 だから、一緒に堕ちてください

 て意味合いもあるんだな…………と結城イチゴ?ライム?の存在から学んだような気もする、ハーレムが男の夢とすれば結城ライムは叶った夢という光に潜む暗い影、両親の歩く道はある程度子供の物になる、それは感謝できれば嫌に思う事もある。

 嫌になった奴は大抵は諦めるけどお前は違う、時を遡れる事のできる力を持てたって聞く。

 だからお前は歪んだ方法で望みを叶えようとした、お前の痛みには寄り添うべきかもしれないが何であれ俺達はお前のやり方はを否定しなければいけない、過去そのものを変えようとするのがまかり通ってしまえばいずれ自分に都合の良い時間を賭けての椅子取りゲームが始まるから。

 自由って、難しいな…………………




いかがでしたか?
面白いと思ってもらえれば幸いです。
次回はライムルート36話を予定しております。
ではまたっビギュン、グワィーン(効果音)
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