スーパーロボット大戦Z 辺獄編   作:レゴシティの猫

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皆さん、こんにちはもしくはこんばんは。
           ー注意ー
この話は美柑ちゃんの望みが叶う事を望まない人間の話なので叶って欲しいと願わずにいられない方はブラウザバックを推奨します。


第三十六話 ライムルート 過去、回想!!オレ、演奏!!

 「次元の道を開き、マイクロンとルナティーク号の力を利用してどこかへ星帝の魂を押し込んだのは良いけどさて、どうしようか」

 

 美奈子の様子を見に行く

 来夢の様子を見に行く←

 

 「結城美柑、そして彼の王の罪の証たる忌み子よ…今君は何を見て、何を思う?」

 

 アサキムはシュロウガから降りてリト達を警戒しつつ来夢を探した

 

 ~????~

 

 「お前、来夢って言うんだな…」

 

 そんな言葉と共に、一人の異星の王妃(ナナさん)は立って歩くか否かの幼い肉体を抱き上げた、相当慣れていたのか子供の動作に慌てふためく様子はない。

 

 「よろしくな」

 

 その時を皮きりにオレの記憶と時間は刻まれていった、命を慈しむような優しい…それでいてどこか困惑の入り混じった表情、後から来る女の人達も話しかける言葉こそ違えどそれはあった、周りの大人にも…その困惑の正体を知った時、オレは…

 

 ~教会の内部~

 

 夜、本格的に出て行く前にオレは自分の服とあるものを取りに教会に戻っていた、自分の部屋に隠していた一着、それはあの日着ていた服だった、黒のズボンに赤いシャツ、それとポケット付きの黒ジャケット、黒色のブーツ、隠していたのは調べられれば製造された年がばれてしまうからだった、裏をめくると分かるがどれも今から14~16年後に製造されたという情報が載っている、暑いのでジャケットを除いてそれらに着替えて、昨日まで着ていた服を洗濯機の中に入れてスイッチを入れた、服が少しだけ窮屈なのはあの日から成長していたという事だろう、心ではなく体が、一応ベルトもあるがパスが壊れたから無用の長物感があるし放置。

 

 「あれから一年と1ヶ月か」

 

 あの日…星がきれいに光るあの日、本来はある修道士が誰かに嫉妬を覚える日、今……て言い方はおかしいが今は母親である結城美柑を腹の中にいる己ごと殺した日

 

 「本来ここにいるべきオレはいるとすれば1歳になるかならないか…だったな」

 

 一応当時の出来事は記憶に刻んでいる、オレの記憶だと今から1ヶ月程しておじさん達がやってきてオレは母親と共にデビルークに連れてかれる、気になるって言ってくっついて来たシロさんはオレの事で騒いでたな。

 

 リピートタイム(この会話はライムが余計な事をしたためライムの記憶にしか存在しない)

 

 『デビルーク王、その子と貴方の妹はここに置いていった方が良い』

 

 『どういう意味だ』

 

 『いないものとして扱う、それがその子にとって一番だ』

 

 『そういう訳にはいかない、こいつが誰の子だと思ってるんだよ!?』

 

 『分かってる、だから言ってるんだ。その子がいつかその事を知ったら、その重さで心が歪んじまう、そうなったら……その子は……』

 

 『テメェがライムの運命を決めつけんな』

 

 『貴方なら決めていいとでも?』

 

 『そうは思ってないけど、無視できる訳ないだろ?こいつを』

 

 『それはそうかもしれない、だがそうしないとその子の世界は暗くなってしまうのは分かりきっている』

 

 『信じてくれないのか?そうはならないって、きっと大丈夫だって』

 

 『信じるだけでできると思うな、それだけじゃ何も変わりはしないんだ、後手後手に回っても知らないからな』

 

 『うるさい方々はほっといて向こうへ行きましょう、ライム。』

 

 リピートタイム、終了

 

 それでシロさんは、結局折れちゃった。

 

 ばあさんじいさん?母さんが生きてても死んでてもショックで数日考え込んでたな、原因はオレがいたから、父親は誰かって話になるだろう?聞きたいか?教えねーよオレの情緒のためにな。

 オレはあるもの……ブラディクスをマトリョーシカのように詰まった箱から取り出し、ブラディクスの刃を覆っている包帯を外した、他は外さないように刃の部分の包帯だけ外してハサミで切った、グリップの部分は丸くなるまで包帯を巻いていたから握り心地は良い。

 

 「やあ、ブラディクス、お前まだ死んでない?」

 

 この剣は名残だ、あの日からずっと包帯で包んでベッドの置き場に放置していた、オレが電王であった名残。血をエネルギーとしている都合上吸わせていない今は餓え過ぎて動けもしない動物と似たようなもんか、他がエネルギーでも同じだけど。

 

 「ああ…そっか、意思がないからどっちみち何かをいう事ができなかったな、ごめん。」

 

 この剣はおじさんと凛さんの馴れ初めになったブラディクスじゃなくて、開発者の記憶から過去に行ってイマジンと戦っている最中どさくさに紛れて設計図をコピペして作った 作 電王ベルトのブラディクスだ、持つのにてこずったけど一度持ったら酔ったように何も言わなくなったんだ。

 凛さんにすら接触してはないから安心……じゃないな。

 

 「刃は……こぼれてないか」

 

 この剣の赤いピカリ具合を見ると思い出す、電王として戦った記憶を、デンライナー越しに宇宙を飛び回った思い出を……まあ使命を放棄したオレにはもう関係ないけど。

 一旦オレは顔を洗った、ずっと包帯を巻いてたからこそ際立つ開放感と爽快感を味わいながら………

 そして洗濯を終えて衣類を干した後教会の聖堂にあるパイプオルガンで曲の演奏を始めた、脳内や、心に刻まれた旋律に則って弾いてみただけなので曲名はない、分からないと言いかえてもいい。

 センスはここで産まれておじさん達に連れて帰られるまで、それから11の時までたまに遊びに来る時に磨いてきたから外れた音程は出ていない。

 教会の人も母親も自分の事を黙ってくれて、それか適当にごまかしてくれていたらこんな事にはならなかったと思う気持ちはあるにはある、オレの知っているおじさんはオレの存在を知れば迎えない訳がない人間なのだから、それがスキャンダルの火種になる爆弾のようなものであっても。

 

 その判断はやがて悲劇に繋がる。

 

 ~あの日~

 

 「オレの名前は…来夢だ」

 

 苗字なんて思い出したくもない、だが忘れてる訳じゃない、気にしないように気にしないように考えて結局気にしてしまうのと似ている、それはさておきどうしても名字を言わせたい人間相手にはこう答える…結城…結城来夢と

 

 「苺悟(イチゴ)じゃなくて…ライムなんだ」

 

 名前が違うみたいだけど来る事を分かっていたのだろうか、目標はあらかじめ組んでいた段取りのように近くのベンチを指差し会話を促してきた。

 

 「座って話そう、良い?」

 

 言われるままに、ベンチに座りあれこれと喋ってしまった、今でも何故だろう…と悩んでいる。どれだけ憎んでいても母親だからなのか……?好物はプリンで自分でよく作って食べたりオーナーに振る舞ったとかの話や愛読の料理雑誌の話にはぐいぐい乗っかって来た、プリンは良い、甘くておいしいし子どもの頃自分で作ったらララさんも春菜さんも他の人達もみんなおいしいって言って食べてくれたしみんな好きなんだよ、きっと。

 その反面住所と通ってる学校の話をするとつらそうだった。どっちも彩南じゃないしこのあたりじゃないからな、オレ……目の前にいる母親と住んでる訳でもない、記憶喪失って事で面倒を見てくれた人がいてその人達と住んでいる。

 

 「オレの周りの人間で本当の事を知ってるのは真兄さんと他校まで来て王様気取りのヒカル様と教育実習生の風夏姉さんで充分だよ、それ以上は、イライラしてしまうんだから」

 

 ヒカル様とは小学校までは一緒だったがオレに色々あってな……高校の文化祭で再会した、他校からだから一般客だけど……真兄さんはヒカル様と一緒にいたりいなかったりする自由人だ、あの親達からどうしてこんなのが産まれたのかと周囲から疑問に思われている。

 

 「…………」

 

 なんの因果かおじさんと春菜さんの娘、風夏姉さんはオレの高校に教育実習生としてやってきた、オレの顔を見てびっくりして放課後とか色々聞いてきたな…その時は記憶喪失真っ最中だから良く分からんで通した、みんな心配してるから帰ってこいとは言われたがオレには無理だよ。

 

 「リトは……元気?」

 

 「姉さん達から聞いた所だとまあ一応はそうらしいね、顔実際に見てないから知らないけど」

 

 本来これってダメなんだよな、未来の話するのは……嫌違う、未来から来た奴が未来の話をするのは……例えばだ、一組の男女がいるとする。

 そいつらはどっちか、あるいはどっちも相手に片思い真っ最中だと考えるとしてそいつらに未来の事言ったらどうなると思う?成就しないと伝える分にはまだいい、まだ嘘だって突っぱねてくれるかもしれない、だが成就したと言えば緩む可能性が捨てられない、安心感がその未来を摘むかもしれない、一生懸命必死に振り向かせたいと頑張って頑張って成就させたなら尚更だ。

 子供がいるなら成就するしないを言う事自体アウト、だって何かがすれ違うだけで子供の特徴、能力、容姿そして未来すら変わるからね……何?そこまで考えてられないだと!?考えよう、考えないとオレみたいなのができるから。

 なら何故彼女に言ったかって?宿ったんだから確定事項、それにアウトな所まで踏み込んだつもりはないしよく言うだろう?死人に口無しって

 

 「ライム、今日はもう遅いし……寝よう?続きは明日」

 

 明日になれば他の修道士達の目にオレはつく、それじゃあ今やってきた意味は無くなる。

 

 「ここで覚えたレシピ、まだ試してないから、感想教えてくれたら嬉しいな」

 

 何作られても感想なんか言える訳ないだろう、オレは目の前にいる奴が何年か後に振る舞う料理食ってるんだぞ!!多分そのレシピ数年後作るだろうしって先入観が入れば当然比較対象はそこになる、時間が人の手腕を洗練させるなら過去に対してはオレはダメ出ししか出せないんだよ。

 

 「前から予定していた奴か?」

 

 「……………違う」

 

 「だったらお断りだ、用は今済ませる」

 

 「ライム!!」

 

 じりじりと迫るように近づくオレを彼女は制止した。

 

 「ねえ、止めよう、リト達がいじめてくる訳じゃないなら……」

 

 「オレは、あそこにいたくないんだよ」

 

 出生の事を知ってからいつも心臓辺りが痛い理由と目線にイコールがついた、そしてそのイコールは一度つけば決して離れない

 姉達からは1歳頃の出来事をあんまり引きずっちゃダメ、そもそも他の女との子供だなんて最初にちょっとくらい関わり方を迷わないわけがないとは言われるがこっちは繊細で傷つきやすい人間なのだ、あんな事を知ればみんなにそっぽを向かなければ耐えられるものじゃない。

 でも、そっぽを向かせずに向き合わせようとするばかり、嫌だ、受け入れたくない、受け入れられない。

 

 「私だって嫌に思った時もあった、本当はここには死ににきたんだ…どうして良いか分かんなくなったから、博物館で球体に触れてあなたの叫び声を聞いて、あなたが私を狙いに王宮にやってくるのを見て……あなたにあそこまで否定されるのかって……でも…それでも受け入れてくれる人がいてもしかしたらそうはならないかもってここに来て思えるようになって…………」

 

 「そうなったからオレが今ここにいるんだけど」

 

 「分かってる、でも……………でも私のお腹にはライム、あなたが!!」

 

 「今更なんだよ、オレの事なんて、オレがどんな目で見られるか、どんな嫌な思いをするかなんてお腹にできるまで何一つ考えてこなかった癖に!!」

 

 オレが産まれるような事をする前にちょっとでも何を抱え込むかとかを顧みれば思い至ったはずだ、そうでなくても、濃くなって腐るものがあるっていうのに。

 

 『自分の母親にそんな事言っちゃダメじゃない!!一緒に行くから謝りに行こう?』

 

 華姉、オレはあんたのようにはいられない。謝って済むのは精神的な問題だけで済むからであって、オレみたいな親の欲望の排泄物ができたらもう取り返しはつかない。

 

 『ラブコメ×ハーレム物にそれを言っちゃおしめえよ。登場人物の子供である僕達自体異物なんだから、まあ異物って言葉じゃあ僕が一番だろうけど』

 

 真兄さんめ、さっきのセリフを叫んだ時に一人だけ怒るでもなく叱るでもなく慰めるでもなくあんな事言いやがって。どこか他人事のような、俯瞰して見てるっていうかオレ達とは別の視点から見下ろしている人間からの言葉というか。

 

 「!!」

 

 「親の選択ってのはな、全部子供にぶち当たるんだよ!!育て方、産み方、誰を相手に選ぶかとか、生き方とか、それらは全部烙印になれるんだ、同じ血が流れてる、だからお前もそっち側なんだって!!」

 

 「ライムは、やっぱり……私じゃ嫌?」

 

 親のどっちかが違っていればこんな風には思わなかっただろう、周りと諍いなんて起こさなかっただろう、自分を愛情を受けるにふさわしい人間として見られただろう、嗚呼、興奮で手首がうずく。

 

 「親ってのは子供がそいつの事を語る時、誇らしくなるような人間でなければいけない…とオレは思う」

 

 確かに彼女は料理も上手いし美人で可愛い方だって一応は思うし、勉強も分からない所は分からないって言えば教えてくれたし良い母親なのかもしれない。ただ一つだけ、致命的にどうしてもダメな部分があった、オレがいなければ当人達の問題で済むんだけどオレがいるからそれだけじゃ済まなくなっている。

 

 「初っぱなで重大なアウトかますなよ、だからオレは…」

 

 パチパチッ

 

 わざとらしい拍手の音に心を今現在に引き戻された、手が止まり静寂のみが周りを彩りつつある中、振り返ると以前目の前に現れた男が観客席に座っていた、闇夜が似合うような黒い格好の男、アサキム・ドーウィン……思い出した、あいつは芽亜さんの命を狙った奴だってみんなが言っていた。

 

 「弔いの唄としては明るいような気がするけど、銘はあるのかな?」

 

 オレの存在をヤミ……さんを苦しめるために晒したであろうこいつを許してはいけない、そう思ったオレはブラディクスを持ってアサキムに近づいて攻撃した、アサキムも剣を振りそれを防いだ、ただブラディクスを振り回しているオレより腕は上のようですぐに勝敗はつき、オレは手首に当て身を受け、ブラディクスは吹っ飛んでいって地面に刺さった。

 

 「やはり怒っているみたいだね」

 

 「オレの存在をダシにしておばさん達を困らせようとした連中は許さない」

 

 「へぇ…結城リトの事、父親って言わないんだ」

 

 「つっ、黙れぇ!!」

 

 ソノ事だけには触れられたくはなかった、何も知らない、それ故に話を聞いてくれる人にすら告白する際は過呼吸になり間を置いて息を整えるのを繰り返さなければならなかった程に、気づけばオレは奴に向かって飛び、ライダーキックを浴びせていた。

 

 「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれだまれダマレダマレダマレダマレダマレダマレェ!!」

 

 「…………………………………………………」

 

 アサキムはアッパーカットでオレを吹っ飛ばした後じっと睨んで黙り込んだ。

 

 「ハァ……ハァ………なんのつもりだ!?」

 

 「やはり未だに囚われているようだ、己の宿命から解放されるためにこの時代にやってきたはずなのにね」

 

 「だったらもう放っておいてくれ…」

 

 「そうもいかない、よくよく考えれば特異点の記憶を持ち込んだままで未来を変えられるか少々不安になってきたしね」

 

 そういえば目の前にいるこいつは過去を変えたいんだった、それを聞いてオレは奴にイマジンを閉じ込めているカプセルを渡したんだったっけ……何故か?気まぐれのようなものだ、オレがカプセルを割ってイマジンに取り憑かれて過去改変をするとちょっとした矛盾を起こすだろうから奴に使ってもらう方が成功率が高いと思ったからかな、オレの記憶の中で一番鮮明なのは10年後、母親の秘密を聞いた瞬間だろうし、その時ミミ姉さんも兵士達もいたから返り討ちにあっておしまいだろうな。

 昔契約してたイマジンの事が懐かしくなった。

 オレが自分の過去をつぶした事でデンライナーの中から消えてしまって、出会わなかったって事にされたらしい、そして特異点であるオレだけは改変を受けずにここにいる。

 

 それはそうとしてベルトがやってくるよう念じた、今まではそうするとやってきたから。

 

 「来い、来い!!…………来ないか、やっぱり」

 

 パスのないベルトはコントローラーのないゲーム機、嫌、本体のないコントローラーみたいなものか、それがないともう何も動かす事はできない。

 

 「パス、壊れたんだろう?」

 

 「はは、悪意の神様ももう…力を貸してくれないみたいだ、パスとベルトに宿ってそれぶっ壊したからかな」

 

 オレの心に宿った悪意の神様の事を思い出した、おそらくは宿っていた……

 人の心に神が宿るのは導いて欲しいからなのかもしれない、それなしではたどり着けない、それかたどり着けても実行に移せない結論に踏み込むための超然とした何か、安心させるための何かに

 11歳の時にオレは異世界とやらに行ってきた、詳しくは割愛するけど逃げたかったからだ、あそこは目立つ、オレみたいな人間がいる所じゃない。それっぽい神様に会ったから頼み込んだけど断られて、叱られて、叱られて、それでいじけて飛び出して、知らない所に行き着いた……会った人の4割が耳にメカをつけていて、その人に話しかけるとデータ照合不可能って言って警察に通報してきた時もあった。

 でその時デビルークの王族…モモさんやナナさん、ミミ姉さんにココ姉さんの礼服?普段着?を着ている謎のお姉さんに遭遇した、その人は他の人ののは青いのに赤く発光したメカを耳につけていてオレを見て保護者面をしてその場を切り抜けた後どこかへ連れて行って嬉しそうに話しかけてきた。

 

 『分かるよ、あなたの心に大いなる悪意が宿る』

 

 『お姉さんは何を言ってるの?』

 

 お姉さんはおもちゃを一つ渡してきた。

 

 『あなたの結論が決まった時にこれを使うの』

 

 白と赤と黒の…黒い容器に詰まった日の丸弁当を思い起こさせるようなおもちゃ……オレは一旦もらおうとする手を引っ込めた。

 

 『ごめんなさい、オレお金がなくて』

 

 『気にしなくていいよ、お金はいらないからほら受け取れ受け取れー』

 

 お姉さんはかがんでオレのポケットにそのおもちゃを突っ込んだ。

 

 それから対になるベルトっぽいおもちゃをもらう寸前でどこかから飛んでやってきた異母兄である九条真の振るった謎の武器により両断されてしまった…彩南高校の制服でもなく、執事用の服でもなく、社員とかが着るスーツだったのは謎だった、大学の受験シーズンでも就活中でもないはずなのに…言動と顔はほぼ本人だったから信用してたけど、今考えれば怪しい気もする、赤い鳥人っぽいのが空から飛んできた後、俺は兄さんにどこかへ連れて行かれた。

 

 『帰ろう、元の世界へ』

 

 その時ごねた結果オレは記憶を消された、手段はよくわかんないけど兄さんの判断にはありがとうと言わざるをえない、元の世界に帰った後でも穏やかに過ごせたから………電王になった時からは戦いが多いからそう言いづらいけど。

 

 ただそれは記憶が戻る17歳までの話、急に戻ってきたオレの記憶の事が分かるのかおもちゃも発光した、まるでオレの痛みを感知したように。オレの存在を利用しようとする奴にムカついた際おもちゃのボタンをいじくったら起動音、強烈なエラー音、「時間と共に積み上げた悪意はやがて時を越える」という意味の英語の音声が聞こえてからおもちゃは液状化してパスに入り込みパスとベルトの色が変化した、まるでおもちゃのデータを全部パスとベルトに移植したかのように、どんなおもちゃであれ音声付きならそうするためのプログラムやデータはある…はずでありそう考えれば不思議ではないが…そのパスとベルトで変身すると普通じゃない変身になった。

 

 「君自身の怨を向ける先はもうない、君に悪意を向ける人間、悪意の根源とは君が決着をつけた、そして君自身を知る人間は殆どいない、そう君自身が思っているなら君の言う神が何者だろうと…」

 

 力を貸してはくれないとアサキムは言った、言う通りではある、一度悪意を晴らした以上ダメだってオレ自身分かっていた。

 

 「まあ一旦その話は終わりにしよう、それより僕はあまり見れなかったんだ、彼女の眠るとされる場所」

 

 「案内しろってか……………………来いよ」

 

 オレはブラディクスを回収してから奴を母親の墓まで案内した。そこで何か悪い事はしないだろうと思った、する必然性も目的も見当たらない。オレがアサキムだとすればだが

 

 「ここがあいつの墓だ、ていっても中には箱に入れた髪留め用のゴムだけしかないんだがな」

 

 遺品として使えたのは母親が家出してきた時に身につけていたものだけだった。使わせてくれた部屋の中に一つだけ、家出の時の服はなんだか……………て感じだし、土の中に服入れるのってどうなんだ?箱詰めしとけば良いのか?

 

 「ばあさん、じいさんには言ったがアイスキャンディー系統は溶けるし腐るしたかるしおすすめはしない、果物は早めに回収しなければいけないし、おすすめは梨の花だ」

 

 梨の花、梨の名前を冠する人間(おじさん)の事を好きな人間へ送る精一杯の皮肉、意味はばあさんじいさんには気づかれていないはずだ。

 

 「僕は彼女に捧げる物はない、それより一つ聞きたい事がある」

 

 「何かあんのか?」

 

 「大切な事さ、君の目から見て彼方へと旅立つ彼女は苦しんでいたかな?」

 

 ばあさんじいさんからも聞かれた奴だそれ……

 

 「まあ苦しいだろ、普通ならまだまだ余裕で人生を謳歌できる内に死ぬんだから」

 

 「そんなありふれた言葉では僕の心は満足しない。思い出すが良い、あの日、君自身の目で見た彼女の最期を、君が己ごと葬った母親の様子を」

 

 やつの事を思い出した、あくまで一瞬でケリをつけられるように、一応できるだけ苦しまないように必殺技を撃ったから体の痛みはないだろうと思う、だけど心の方はどうだろう?あいつはオレが来る事を知っていた、てことはオレがこうなるって知ってたはずだ。

 だったら苦しいだろうな、禁忌に触れてまで欲しかったものを手にいれた代償が未来からの息子の襲来、だから。




いかがでしたか?
面白いと思ってもらえれば嬉しいですがなさそうですね、それとこの語り口も後一話……お付き合いください。
では次回、ビギュン、グワィーン(飛び去る音)
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