スーパーロボット大戦Z 辺獄編   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちは(もしくはこんばんは)。
今回、ブラディクスを使った捏造技が出ます。
ライムの言い分があれなので途中まで飛ばしながらお読みください。


第四十三話 血の刃

 「お前が……結城ライム……」

 

 結城ライム……アサキムはイチゴであると言っていた。確かにデビルークの今の王様と、その妹にそっくりである、血縁関係である以上当たり前であるが。ただ………小さく開いてるのか王様より目つきが自然と人を睨みつけるような感じになっている。

 

 「はじめましてで悪い、確認するが、デビルーク王の妹を殺したのはお前か!?」

 

 「神父か、さてはシロさん一回死んだ?」

 

 死んだか?と聞かれればそうなのかもしれない。シロは神父の攻撃で死んだ、そのおかげでいとも簡単に神父から情報を引き出せた。だが変身能力の副次作用か生き返ってこうしてここにいる……

 

 「かもしれないな、で?どうなんだよ」

 

 「ああ、そうだ。オレが殺した。おかげでいらない人間が自分自身をいらない人間だって認識せずに済んだんだ」

 

 そう言っている時、ライムの語気が異様に強まっていた。その時だけ、口角がつり上がった……自分と母親を殺したって話をして……笑っていた。

 

 「人の命を、人の自由をなんだと思ってるんだ!?」

 

 命が無ければ、人は自由を味わう事すらできない。自由が無ければ、人の生命に意味はない。

 

 「自由なんて宇宙のどこにあるんだよ?オレ達がそう呼んでるものの全ては欲求や欲望から支配されての行動だろう、それとさ、自由には責任がつきものって言うじゃないか、とってもらったんだ」

 

 シロは激高した。母を殺した事を、当然の事をしたとばかりに爽やかに言い放ったライムの言葉に……

 

 「テメェの母親を殺しておいての言い草かぁ!!」

 

 「母親、だから面倒なんだよ。オレの存在が、禁忌を破った奴の罪の証だという事実を、ずっとずっと突きつけられながら生きていかなければならなかった気持ちが分かるか?」

 

 分からない、当事者にしか分かり得ない。でも……

 

 「だからって……お前の犯した罪だって許されない、王様達も謝ったって許さないだろうが償わせてやる。その人相だけは邪魔だが」

 

 「謝るか…………じゃあさっき春菜さんに会って思った事、「産まれてごめんなさい」「こんなオレが生きててごめんなさい」「問題になってごめんなさい」「死にたくなってごめんなさい」「迷惑をかけてごめんなさい」「申し訳ありません、お父様。貴方の素晴らしい(↑)奥様方、子供達を裏切る真似をさせてしまって、貴方が無条件で赦そうとするお母様の代わりにお詫び申し上げます」」

 

 その言葉を畳みかけられた途端、吐き気がした。

 

 「もういい、もう……たくさんだ」

 

 そして胸が苦しくなった。ライムの今の言葉を聞いていると、例えるなら………虐待された人間の叫びのように聞こえてくる。自分を否定した、もしくはされた事を至極当たり前のように感じているような、そんな叫び。

 

 「周りに春菜さん、ザスティンさん、デビルーク王、王妃、姉さん、その他いい人達がいっぱいいる癖になんでそんな事が言えるんだ!?」

 

 「王族に近く産まれると、王妃や妾が何もしなくてもその他からがうるさいんだ。他の女ならまだ許せるが、相手が妹君なら勝手が違うと。だから言ってくる、お前は王室の汚点だって」

 

 やっぱりそう言われるのは確定なんだろう、王様が王妃と結婚してなければ、他人ごとで済むが結婚しているからそうも言ってられない…………そんな訳ない、デビルーク王が、王妃の婚約者となっていた時点でもうライムの存在している時点で悪目立ちは確定だ。

 

 「オレを通して、奴とおじさんを攻撃してくる。ララさん達が庇ってくれても雰囲気だけはそのまま。逃げるのも許されない、数が多すぎて抗うのも馬鹿馬鹿しい。原因を憎む事も肉親の情とかで封じ込めてくる、ただ……生きているだけで責められるオレ自身を受け入れさせようとしてくる。後少し年月があれば気が狂う所だった」

 

 「だけど、お前のやった事は間違ってる」

 

 「間違ってる………だったらどうすれば良い?答えを教えてよ、それ以外が間違いだってんなら」

 

 「!?……………………………………」

 

 シロは答えられなかった。今もって答えが見つからない、ライムをどうすれば良いのか?救うべきか、放置するか、それ以外か。

 間違ってると両断するには、やはり何かが足りない。

 

 「やっと見つけたんだ、オレの答えを、それをかき乱される訳にはいかないんだよ。」

 

 ライムはそう言うと、手持ちのフェルトでできた鎌を分解し、中にある黒色の剣を持ち出した。刃以外の殆どが黒く、刃は血のように赤黒い……そんな特徴を持つ剣を知っている、それを伝記や昔話、都市伝説、記録、最近頭の中に浮かんだ情報ではこう呼ぶ……ブラディクス。

 

 「ブラディクス!?ブラディクスだと!!」

 

 かつて宇宙で猛威を振るい、最近だと九条凛の精神を乗っ取って暴れようとしたが黒咲芽亜を筆頭とした変身兵器として産まれた者達により阻まれ、その果てに折れた魔剣、ブラディクス。

 宇宙は広い、どこかにもう一本二本?一振り二振り?あってもおかしくはないかもしれない。

 

 「止めろ、自分が自分で無くなる!!」

 

 それよりブラディクスには誰かの精神を乗っ取る能力がある、乗っ取って、人を斬って、(エネルギー)を採る。それこそ誰かが死ぬ(つかえなくなる)まで。ブラディクスにとって人間は自身のエネルギーを溜め込んでいる容器であり、自身のエネルギーを効率よく摂取するための道具だ。

 

 「そんなもの、オレには関係ない!!」

 

 シロの言葉もおかまいなしにライムはブラディクスを構えた。その際何やら意識して力んでいるようでもあった、絶対に何かを仕掛けてくる。

 

 「はぁ!!」

 

 ライムはブラディクスで横凪ぎに空を切った、すると、ブラディクスから赤い色の何かが放たれた。

 

 「これは!?」

 

 その赤い何かはブラディクスで描かれた軌跡をトレースし、真っ直ぐにシロの方へ飛んでいった、それはいったいなんなのか……至近距離まで寄ってきた所で答えが分かった。

 

 「この臭いは、血か!?」

 

 鉄、またはそれを含むものの持つ独特の臭気、そして暗さすら含んでいる赤み……おそらく、血だ。

 血に何らかの圧力をかけて血を飛び道具に変化させたのだろうか?

 その攻撃をシロは飛んで避けたが、シロの後ろにあったゴミ箱は真っ二つになった。察するに殺傷力は高そうだ。

 

 「前言に偽りはないみたいだな」

 

 ブラディクスは血を求める、エネルギーとしてなのだからさながら人が、動物が食物を求めるようなものだ。

 そうしなければ生きていけないのだろう、九条凛の一件など取り憑いた人間を所有物と見なさなければそれなりの理解はしようと思う、その上で叩き潰すか使い道を考えるだけだが……

 だが今の攻撃はそうやって得たものを吐き出す。そんな行為が、血をエネルギーとして採っている存在にできるだろうか?できる訳がない。こんな事ができるのはブラディクスが本体じゃない、つまり意識を持ったブラディクスの使い手以外いない。

 

 「扱いが悪そうではあるけど」

 

 ブラディクスが自我を持っていると考えるとそれはそれで不憫な気がしてきた、何があったかは知らないが主導権は完全にライムが持っている。

 

 「もう一度!!」

 

 ライムはブラディクスを構え、振るった。またあの攻撃が来る。

 

 「だが血なら好都合だ」

 

 シロは変身能力で腕をマグカップに変化させて、その攻撃をすくい取った。

 

 「よし」

 

 すくい取った血を別の手持ちのビンに移し、上着の中にしまった。これを調べれば捜査は進むかもしれない。

 

 「なんだと!?」

 

 「跳ね返せないだけマシだ」

 

 「なら直接……」

 

 ライムがシロに直接切りかかろうと、シロが腕を刃物に変えてそれを防御しようとしたその刹那……

 雷のようにジグザグと、そして素早く人がシロとライムの間に入り込んできた。その人は法師の衣装を纏った青年で、法師なのかと疑いたくなるような黒く長い髪が特徴的だった。

 

 『物騒な事をしていますね……双方』

 

 シロの方は錫杖で抑え込むように、ライムの方はどこから持ち出したかおよそ脇差程の大きさの刃物で受け止めていた。それを恐らく着地した瞬間に済ませる手際の良さからシロより、ライムより、戦い慣れてると見れる。

 

 「いつぞやの坊さん、それと馬……そして多分カルラ天、こんな訳分かんなくて強そうなのとは無闇に関わりたくないな……」

 

 ライムはそそくさとその場を立ち去った。

 

 「待て!!」

 

 坊さんはともかくとして馬とカルラ天とやらはシロには見えない、そこは置いといて、このまま逃がすのは面倒だった。

 

 『おい』

 

 追いかけようとしたシロは法師に襟を掴まれた。明らかに地球人の握力ではない、下手に抵抗すれば破けるので抵抗は諦めた。

 

 『何故あの子と戦っている?』

 

 肉声ではなく何らかの装置を介しての……例えるなら電話越しに声を聞いている感覚がした。

 

 「その前に、名前は何です?」

 

 知らない人間と話すにはまず名前を知ることからだろう。

 

 『黄蛇上人(おうじゃしょうにん)……それか八雲、好きなのを………見えてますか?』

 

 「シロです。なんの事かは分かりませんが……八雲さん、あなたは宇宙人ですか?」

 

 『信用できそうな魄に免じて教えましょう、拙僧は日の本出身の妖です』

 

 あやかし……妖怪の言い換えとすると……悪魔(デビルーク)に妖怪……なんでもありだなと思うとシロは頭に痛みを感じた。

 

 「あいつが何をしたのか知ってるんですか?」

 

 『聞かせてくれますか?』

 

 「………………人はいなさそうだな」

 

 シロはお坊さんとお互いの情報を交換しあった。

 

 『はあ……自分の産まれを恥じて、母親を殺した未来人…と、人間って面倒ですなあ、NO混血NO収束。そこにさしたる違いはない、自分達と違う所がある……それだけで責める理由になる。それと少数派の倫理観を持つ者から多数派の倫理観を持つ者が産まれればこうもなるか……かくいう拙僧も元々は人間であり、人間の嗜好を持っているつもりですが……引き止めてすみません』

 

 「軽く言ってしまえば妹ルートのバッドエンドの一つって事になるけど、妖怪産むとか……」

 

 『妖として結実した以上美柑殿本人とは言えませんがね、色々と逸脱してまで欲しがったものを否定された、証自身に……そして条件はそいつのせいで整った……出るな』

 

 「というかピエロ姿の奴に会っただけなのによくライムだって分かりましたね」

 

 『そりゃまあ、拙僧は一応妖だから……魄でものを見てるっていうか』

 

 「すげー」

 

 『それで?』

 

 法師はシロを見てきた、その目を見ていると、自分が蛇に睨まれた蛙のように竦んでいるような気がした。

 

 『そなたは何のためにここへ?拙僧は妖の望み、それがあるなら叶えたいと思ってここに来た。さしあたってあの子の心が満ち足りていない風だったからそれを埋めればいいと思ったが……修行が足りないみたいですかな』

 

 決まりきってはいる。

 

 「奴を捕まえたい、捕まえなければならない」

 

 『だが迷っている、拙僧にはそう見えた気がした……あのまま硬直しても根本的な解決は見られないとも』

 

 「仕方ないだろ……」

 

 ライムの叫びを聞いて、その言い分に対して敢然と否定できる言葉と心が足りない。

 

 「俺だってそれで良いのか?って思ってしまうんだ」

 

 ライムは人を死なせた、それも自分の母親を。だが因果を辿れば彼なりの絶望があって、それは彼女が原因らしい。そこを考えるとシロにはその事を強く否定しきれなくなった、以前金色の闇相手に突っかかれたのは、数が多すぎたからだが………

 だったらライムがデビルーク王を殺したのは認めるのか?それもダメだろう、彼女の死を悲しんだ人間がいる、彼女の死で心が囚われてる人間がいる。だがライムの事を知れば……そっちの方でも囚われてしまう……

シロが事件の犯人を捕まえようとしてきたのは、それで被害者が救われると思ってるからである。だがこれは解明する事で被害者がさらに傷つく案件だった、だからずっと迷っている。

 

 『迷い続けるだけなら、拙僧が決める。乗れ』

 

 法師がそう言うと、何かに上空まで引っ張られる感触がした、シロは何も分からずにいたので地面に激突してしまった。

 

 「なにすんだよ」

 

 『見えてないか……仕方ない……』

 

 法師は白粉のようなものをさすったパフを空に向かって擦る、すると何もないように見えた場所から馬が見えた。

 

 『さあ乗りなされ、正直男なんか乗せて二人旅なぞ嫌ですが』

 

 「なら無理しないで、俺は飛ぶ」

 

 シロは翼を変身能力で生やした、金色の闇の戦いっぷりを賞賛する人の話を基に覚えた。本人からでないのは、どんな変身ができるか、という質問がどう殺したか?に脳内で繋がって、姉に対して気軽に聞ける話題でないと思ったのと、急にできた姉に対し距離感を近づける事ができずいくらかの気恥ずかしさを覚えたためである。

 

 『飛べたのか……』

 

 「というかなんのつもりです?」

 

 馬に乗せてどこかへ連れて行くつもりのようだが。

 

 『そなたはこの一件………おそらく何を選んでも後悔するだろう』

 

 図星だ、捕まえても、見なかった事にしても、言っても、言わなくても、きっともう少し何か良い方法があるはずだと思ってしまう。一番手っ取り早いのは、過去に行って根を断つという禁忌に手を染める事。だが……同じ事をライムはした。

 

 『だが後悔というものは今の先には立たないが、いつかの先には必ず立つ。彼の顛末を見届け、何を思ったか、どうしたかったか未来の為に心に刻み込んでおけ。一番やってはならないのは目を瞑り、何も見ない事だ。その選択は次回までとっておけ、まあ次回なんてない方が良いだろうが』

 

 ライムに何をする気かは分からないが、何もしないのは良くないというのには賛成だった。

 

 「その前にこれ警部達に渡しに行かなきゃ」

 

 ブラディクスの放った血を入れたビン、調べてもらえれば何かは掴めるかもしれない。

 

 『そうか……なら……………ダメか、だろうな。仕方ない、式鬼っていう一種の式神呼ぶぞ。~♪』

 

 法師が口笛を吹くと、ビンがひとりでにシロの上着ポケットから離れて行った。

 

 「へ?」

 

 直後法師は何かに気づいた様子で聞いて来た。

 

 『しまっどこに運べばよろしいか?』

 

 シロは自分のスマホを取り出し、メールを入れた。

 

 「『警部へ、ブラディクスの吸った血を詰め込んだ俺の名前の書いてあるビンが来たら鑑定してください。

 PS まだ隣町の交番の所にいると助かります』っと……」

 

 『ああ……あそこか、行け』

 

 その言葉の後、ビンがすごい勢いでどこかへ行った。

 

 『行くのか?』

 

 法師が誰かに話しかけているが、法師の話しかける方向には誰もいない。

 

 『お供も他の式鬼に任せれば良いだろって?拙僧も怖がってるのについてくる訳ないだろう?』

 

 端から見れば独り言をひたすらに繰り返しているだけのように聞こえる。だが目の前にいる法師は戦いの心得はあるようだし、馬も見えなかっただけでいたと分かった。決して妄言ではない、とは思う。ただ、こっちは見えないがあっちは見える……その事で壁を感じて、少しもどかしいと思った。

 

 『死が怖いのなら懇意にしてる幽霊に付き添ってもらえって…………お静ちゃんはダメだよ、奴のメンタルに引っ張られるかもしれない……それに一度死んだからって克服できる訳ないからな、その点掛け軸を呼び水に不死鳥への憧憬、羨望……ひっくるめて信仰から産まれたお前なら大丈夫って期待してたんだけどな…………話途中で切りやがって』

 

 法師はぼやきながら馬に乗り、その馬は法師が乗ると空を駆け出していった。

 

 「え」

 

 この法師とその周辺相手には、常識とかは何も考えない方が良さそうだとシロは思った。

 

 「そういえばお静ちゃんって……ミカド先生の所の看護士?」

 

 独り言を呟いたその時、法師の耳は大きく動いた。

 

 『ライムとやらを追っている間、お静ちゃんについて詳しく聞かせてもらおうか……子供相手には抑えてたがそなたには良いだろう?』

 

 「正気?聞こえるのか?」

 

 動いている時に話しかけられても風に遮られて聞こえないだろう、とシロは思った。

 

 『構わん、そもそも拙僧は元忍者だ、ちょっとしくじってこうなったが……そういう訳で聴覚はいい方だ。さあ、お静ちゃんの事を洗いざらい………吐け』

 

 「知ってる事だけで良いなら……」




いかがでしたか?
面白いと思ってもらえれば嬉しいです。
では、ビギュン(効果音)
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