スーパーロボット大戦Z 辺獄編   作:レゴシティの猫

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皆さんこんにちはもしくはこんばんは(?)
良いじゃないか魔剣だもの的精神で、今回もブラディクスの性能が盛られています。


第四十五話 アサキムVSライム~その1・心が決めるもの

 ~彩南町 遊園地~

 

 青き空に朱の色が混じりだした頃……

 アサキムはソフトクリームを携えて、休憩所に向かっていた。茶色いコーンの上に乗っかった真っ白なクリーム、トッピングにウエハースがねじ込まれている事を除けば至って普通のソフトクリームだ。そして子供を連れた大人達、観覧車、ジェットコースター、メリーゴーランドに回るティーカップ……普通の遊園地、平和そうな場所。その中でアサキムの見た目だけが不協和音を産み出している。いっそのことヒーローショーの中に紛れ込んだ方が違和感が少なくなるような気がしなくもない、実際店員にまだ休憩時間ではないとすら言われた。ついでにザスティンといういわば変な格好の先例のせいで宇宙人と誤解されてもいる。

 

 「えげつない事をするよな、本当」

 

 ライムはパフェを食べながら、アサキムを待っていたようだ。アサキムはライムの向かいに座り、ライムと同じ方向を向いてソフトクリームを食べ始めた。快美に感じられる程度に冷えたクリームは、冷たさを示しつつもまろやかで優しげな甘さをアサキムの口に届けた。原料は牛乳、だからだろう……この優しげな甘さは、言うなれば包まれるような甘さだ。乳と名の付く飲み物は、牛でも羊でも人でも、母なるものが子に与えんとするものだ。いわば生命を育むためのもの、ならばこの甘さは生命(いのち)の味と言っても差し支えはないかもしれない。

 ライムは道化師の衣装を脱いでいるようで、黒のジャンパー、ジーンズを着ていた。以前教会を訪れた時のとは別の、新品に……

 

 「何の用かな?」

 

 「ワザとか?ここに案内したのはあんたのクセに。後飲み込むまで喋るなよ、ソフトが出る」

 

 その通りで、実はこうなる前に次元力の力で変装して声をかけ、ライムを遊園地に誘い出していた。

 

 「しかも呼んだ側の癖に呼ばれたオレの後にここに来やがって、あれか?ザスティンさんと同じ方向音痴って奴」

 

 「辿る道筋が多すぎて覚えきれないだけさ、それより調子はどう?」

 

 「半々、アサキム・ドーウィン……お前がララさんにあんな事をしなければもう少し上々だったのに」

 

 ララにイマジンを取り憑かせた事を言っている。

 

 「彼女だと時刻はおそらく結城リトと出会った日か……」

 

 「恩を仇で返すのはオレだけで良いんだが?」

 

 「恩?」

 

 「あれはララさんから姉さん伝いでもらったものなんだ」

 

 「君の罪は、まずそこからだったか」

 

 「そうかもな…………まあ、得られたものも有った訳で……」

 

 「悪いね……そろそろ手放してもらう時が近づいて来ている」

 

 「オレの邪魔をしないでくれよ、今が一番生きているって感じがするんだ、このプリンだって」

 

 ライムはプリンの塊をスプーンですくい、口の中に放り込んで頬張った。その表情は今まで見てきた、もしくは知っている彼の見せる暗い表情ではない、とても穏やかなものだ。

 

 「うまいんだ、こんなうまいプリンは10歳以来だ、ああ……記憶喪失の時もか」

 

 全ての物事において感じ方は人それぞれという、だが同じ人間でもその時の心によって感じ方も分かれてくる。苦しい時は何をしても楽しくはないし、楽しい時は何をしていても楽しい。嫌いな人間の隣でなら、どれだけの高級な料理だろうと美味しくないと感じさせ、好きな人間によって作られたならどれだけの簡素な料理でさえ美味しいと感じさせる。場合によっては、空腹感すら操れるに至る。だとすれば心はまるでフィルターのようだ、そして記憶はそれを今に繋ぎ止めるもの?

 彼の過去と照らし合わせて考えると、今の彼は自身に課せられた重荷から解き放たれたという認識で良いのだろう、そのきっかけは……?

 

 「泣き言一つで願いが通るなら君の母親は悩みもせず、君の手で死なずに済んだ。そうだろう?」

 

 ライムはアサキムの言葉を聞き、口元に笑みを少しだけ浮かべた。同意と見て良いのかもしれない。

 

 「それと少し聞いてみたい事があるんだ」

 

 「ん?」

 

 「君は君の両親の馴れ初めを知っているか?」

 

 結城美柑が禁忌に触れてまで欲しかったもの、それは言わずとも分かった。それ故のイチゴ、書き換わってライムだ。

 知りたいのは、それを欲しいと欲を抱く理由……そういう風に情動が動いた引き鉄。

 

 「………………」

 

 ライムはプリンの部分を飲み込んでしまって余韻に浸り尽くしてから質問に答えだす。

 

 「知らない。聞いた事もない、聞いたってお腹も膨れないし心も満たされないだろうな。向こうが堕ちて、オレも堕とされて、その結果オレはここにいる」

 

 「そうだろうね、悪かった」

 

 沈黙が産まれ、その間にソフトクリームの残りとウエハースを食べ尽くした。ウエハースの口の中に残留している感覚は何ともいえない気分だ。

 

 「ところで、君以上に恵まれない人間もいるって説かれはしなかった?」

 

 アサキムは並行世界での旅路の中でそういう人間達も見てきた事を思い出した。

 環境に恵まれない人間、身体に恵まれない人間がいた。ライムは身内に恵まれない人間という事にしておくが、それにももっとパターンはある。

 そういう人間達の運命を変えようとした時も有ったが、諦めた。仮に一回は変える事ができても、別の世界に移ると同じような問題で困っていたり、そういう人間達が恵まれている代わりに他に恵まれない人間達というものが出てきたりもして、その気は無くなっている。

 

 「懐かしいな、子守歌みたいに散々聞かされてきた。そうさ、オレよりつらい目に遭っている人間は宇宙にたくさんいるのかもしれない、だからってオレが苦しいのを耐えられるもんか」

 

 「そうだね」

 

 そこで耐えねばと気負うなら、ただでさえ悲鳴をあげている心は今度こそ壊れだす。壊れた心に宿るものがあるとすればそれは……

 無い物ねだりは止す事にした、この世界に既に一つスフィアが存在している以上、他のは期待できない。

 

 「うん、良い味だった」

 

 コーンを食べてしまい、手の中の残留物はゴミ箱の上からはたき落とした。

 

 「ごちそうさま」

 

 ライムもパフェを食べてしまい、ゴミをゴミ箱に捨てた。

 周りを見たが人気はない、ある程度は周囲を気にせず戦える。

 先程の棘を含みつつも、ただ会話するだけというのも良いものだ。だがお互いそれが目的ではない。

 

 「君と僕が争うのは必然だったのかもね」

 

 「ああ、あんたがララさんを狙った時、オレの敵になった」

 

 不干渉で終われば良かった。

 

 「全てはスフィアを得るためだ」

 

 「もう一回言うけどオレにとって今のこの世界こそが楽園なんだ」

 

 だが、互いに望みがある。

 

 「その道へと至るためには」

 

 「それを守るためには」

 

 そこを譲っては、自分が自分ではいられなくなる……そんな望みが。

 

 「君の記憶が」

 

 「あんたの存在が」

 

 だから、結論は一つ。

 

 「「邪魔だ!!」」

 

 邪魔な者を、取り払う。

 

 「ブラディクス!!」

 

 ライムが叫ぶと、若干黒っぽい、黒咲芽亜の服装みたいな色の剣がライムの手まで吸い付くように飛んできた。

 

 「ほう……そういう事もできるか!!」

 

 アサキムもディスキャリバーを召喚した。

 

 「僕は君の楽園に獄炎をもたらそう」

 

 アサキムはライムに走って近づいた。

 

 「以前のように凍てつかせれば終焉と至る訳じゃないからね」

 

 「そうかな?」

 

 ライムはブラディクスをアサキムに向けた。

 

 「ブラッドソ──ン!!」

 

 その叫びと共に、ブラディクスの刃は樹のように無数の棘となり、アサキムに向かって伸びていった。

 

 「フッ」

 

 避けるのも億劫になるスピードで、避けたとしてもある程度追尾してくる事が想定できた。なのでアサキムは自分に当たってきそうな部分をディスキャリバーで削った。

 

 「!?」

 

 「君の煉罪を裁く!!」

 

 ライムに近づいて、一閃。

 少し切って血を出させるぐらいの勢いのつもりだった。

 

 「!?」

 

 「…………………………」

 

 ライムは手首でディスキャリバーを止めていた。

 

 「……………人の手首の強度じゃない…………」

 

 彼の手首は人とは思えない程堅く、切れはしなかった。ここまでの強度……その持ち主……思い返せば、彼の周りにはそれなりにいた。

 

 「ナノマシン……」

 

 金色の闇の腕を斬ろうと試みた記憶が蘇った、結果は失敗。

 

 「左手首だけだが、使ってみると便利だな……これ」

 

 左手首で、押し返された。そこ以外はおそらく普通の人間の手だ、スフィア・リアクターでもない……そう考えると少しディスキャリバーに力が入らなくなってくる。

 

 「はぁあ!!」

 

 ディスキャリバーでの攻撃は一旦諦め、ライムの頬を拳で攻撃した。一度腕を引いてからの、ストレート。

 

 「くっ」

 

 今度は確かな手応えを感じ、ライムは吹っ飛んでいった。すかさず、追撃をしにアサキムは飛び上がる。

 

 そして近づいていって、数発……拳を振るう。

 

 ライムは顔を動かし、全て紙一重程で避けた。

 

 一度攻撃に転じ、空振りとなった時僅かな隙が産まれた。殴りかかった腕を掴まれ、引っ張られた。そして腹部に膝蹴りをくらう。

 

 「ククク……」

 

 痛みを感じつつ、膝蹴りで体をくの字に曲げられたその勢いに乗り頭突きを加えた。

 ライムの胸に直撃、筋肉が少な目なのか胸骨に当たった感覚のした後、ライムは後ずさりをした……先ほどの膝蹴りの勢いもありアサキムも後ずさり。

 

 「おばさん達じゃなくて良かったね、それとも残念?」

 

 「戦いの時は、戦いの事を考えるべきだよ」

 

 もう一度、ディスキャリバーを振るいつつライムに向かった。

 

 「それもそうか」

 

 避けられ、ブラディクスで防がれた。

 

 「受けろ!!」

 

 アサキムは回し蹴りを繰り出す……がかわされた。

 

 「………………」

 

 ライムはアサキムが今現在軸としている足一本目掛けてしゃがみ込んで足払いを繰り出す、アサキムは飛んで、かつ狙われた部分を膝を曲げて避けて再び回し蹴りを繰り出した。今度は命中し、ライムは一歩程後ずさりした。

 

 「こうなったら」

 

 ライムは少し構えた。

 

 「ブラッドエッジ!!」

 

 ライムはブラディクスから、赤い飛び道具をアサキムに向かって放った。

 

 「!!面白いね」

 

 アサキムはディスキャリバーで赤い飛び道具を斬りつけ、跳ね返した。

 

 「何!!」

 

 ライムは驚いてその飛び道具をブラディクスで受け止めた、赤い飛び道具は消失したが……

 

 「ハハハハ!!」

 

 アサキムはすぐさまライムに近づき、ディスキャリバーを振るった。

 

 「クッ!!」

 

 一回はブラディクスで防がれた、だがそれだけでは終わらない。

 

 「ランブリング・ディスキャリバー!!」

 

 ディスキャリバーの召還は既にあるので省略して、眼前の敵(ライム)に対してたくさん斬撃と高速移動を繰り返した。対応しきれていないようで、段々とブラディクスでのガードが緩くなってきている。

 その斬撃で魔法陣を形成、完成した勢いで移動が跳躍となり、距離ができた。

 

 「終わりにしよう、ライム」

 

 アサキムはそういうとライムの方を振り返った。魔法陣は、爆発する。

 

 「ぐぁぁぁああ!!」

 

 ライムは吹っ飛び、ブラディクスを手放してしまう。

 ブラディクスはライムの手から離れ、回転して20mは先に飛んでいき、地面に突き刺さった。

 

 「ぐぅ……が………」

 

 「君の魂に安らぎを与えよう」

 

 この戦いの終極点……今回のアサキムの目的の完遂……それが近づいている。

 ライムの記憶の……消去。

 そのために懐からアサキムは装置を取り出そうとした。

 

 「なんだなんだ」

 

 「すげー」

 

 「さっきの本物か?」

 

 周囲にいつの間にか人だかりが出来ている、この状況を見てはやしたてようとする者、好奇心を募らせている者………ヒーローショーか何かが終わって帰ろうとしている客だろうか?いずれにせよ、彼らの道と交わるべき出来事では無いから……無視してくれれば良いのにとアサキムは思った。止めようとする者が現れるなら、止めるかはともかくそれなりに対応しよう。だがそうしない人間達は即刻去ね、と考えてしまう。

 

 「おお……すっげ、なんだこれ」

 

 一般人の一人がブラディクスに近づいていく、それから他の人間達を見渡すまで放置している内にブラディクスを素手で掴まれた。

 

 「あいにく見せ物じゃないんだ」

 

 シュロウガを呼び寄せ、ラスター・エッジで威嚇し追い払う事も視野に入れたいと思ってきたその時。

 アサキムがシュロウガで追っ払うより早く異変に目がついた、ライムの元にブラディクスを拾った一般人が近づいていったのだ。手に掴んでから渡すのに一切のためらいが無い、普通ならブラディクスのような珍しい細工の剣を拾えば、隅々まで舐めまわすように見るだろう……その挙動が気になって、呼び出すのを後回しにしてしまった。

 

 「ダメじゃないか……気安く魔剣に触っちゃ」

 

 ライムと一般人の言葉が、重なっている。

 

 「そういうのは危険だって結論づけられてないかなぁ!?」

 

 男は操られている、そう判断するより他はなかった。

 

 「はぁ!!」

 

 ライムはブラディクスを男の腕に刺した。そうした途端、男は肌が青白くなって倒れた。出血はしていない……とアサキムは分析したが違う、出血しようとしている部分をブラディクスで吸い取られて、さらに血をいじくり塞がれている。

 

 「次は……」

 

 ライムはブラディクスを持ち替えてグリップ部分を一般人に向けた。

 

 「邪魔だ」

 

 グリップ部分が突然如意棒のように飛び出し、一般人達の手の甲を次々と貫いていった。

 

 「何をしようとしている?」

 

 「ヴァンパイア、吸血鬼とか言ったっけ……血を吸って生きてる奴らの牙にかかればどうなると思う?」

 

 「その身を眷属とされる……か」

 

 「正解」

 

 手の甲を貫かれた人間達が、一斉に近くにいる人間達を襲い始めた。手の甲の傷跡は赤黒い跡が残っている、先程の要領で塞いだのかもしれない。

 

 「キ……………」

 

 それを機に、戦いの場をたき火の場とでも言わんばかりに群がる人間達の喧騒は、悲鳴へと変貌を遂げた。

 

 「キャアアアアアアア!!」

 

 悲鳴がいくつもの方角へと流れていく、襲いかかっている人間もそちらへ行こうとしているようだ。

 

 「帰れ、帰れぇ!!オレの周りに、寄るなぁ!?うう……ばぁ!!」

 

 自分から離れるようにライムは告げて、そして片膝を地面について苦しみだした。

 

 「ハア……生体への意識に向けてのアクセス…………ここまできついか」

 

 アサキムにはブラディクスに関しての知識はない、だがライムがやった事の大変さは分かる。あれは人間で成し遂げるにはニュータイプのような……鋭敏な感覚を持ち得なければ難しい。

 

 「けど………まだ、まだだ!!」

 

 ライムはブラディクスを以前の持ち方に戻し、アサキムに切っ先を向けた。

 

 「もう終わりにしよう」

 

 アサキムはディスキャリバーを収めて、装置を使おうとした。だが………………邪魔というものは絶えず無限に湧くものらしい。

 

 「なんかスッゴく騒ぎになってるけど……」

 

 美奈子だ、秋月美奈子がやってきた。次々と邪魔が入ってくるなと思いつつ本懐を果たすのはもう少し先のようだと察し、アサキムは装置を取り出すのを止めた、次邪魔がいなくなったらだ。

 

 「……おばさん」

 

 ライムはヤミやまだ年若い、生娘の香りすら漂う美奈子に対してもその呼称のようだ。理由はおそらく単純で、ライムの美柑(はは)はヤミの親友であり……そのヤミの夫であるリトの妹。未来の美奈子もその美柑に対して何らかの交流を持っていたのかもしれない、おそらく幼少の頃から……

 

 「彼女の魂が呼んだか(適当)」

 

 「…………やだ、イケメンが二人……」

 

 美奈子はアサキムとライムを見て頬を紅潮させながらその頬を両手で覆った。

 

 「じゃない、アサキムって人とその声って……来夢!?」

 

 美奈子はライムの顔を凝視した、その顔は一部の人間、主に結城家の縁者なら誰もがみんな驚く顔だろう、見知った人間の面影がそこにあるのだから。

 

 「そ、そっくり、師匠に……」

 

 「ここまで来れば隠す事に意味は無いか、彼女の親類だよ……血の繋がった………ね」

 

 「へ~来夢、師匠の親戚だったんだ。え……でもでも、師匠から甥っ子の話は聞いても弟の話なんて聞いてないし、そもそも師匠、従兄弟いないって」

 

 「後一つ……残された座があるだろう?」

 

 息子という座が……

 

 「…………まさか」

 

 美奈子は、隠しきれない驚きのまま……震えながら一歩……二歩……後ずさりした。金色の闇も同じ結論に至った事で暴走しかけたのを思い出す。

 

 「来夢、あなた……」

 

 美奈子の瞳の奥に微量に含んでいた、美柑の面影……それを持つ者への憧憬……言い換えれば、ある種の羨望。

 それらはこぼれ落ち、代わりに別の感情で満たされようとしていた。

 

 「そういう事だよ、おばさん。おばさんが師匠と呼ぶ人の血がオレの中には流れてるんだ、それも半分な」

 

 「どうして、自分の親なんでしょ!?なんでそんなひどい事できんのよ!!」

 

 「じゃあ、おばさんは自分に降りかかった不利益の原因が親だったら許せるのか!?」

 

 「!?」




いかがでしたか?面白かったと思っていただければ幸いです。
では……ビギュン!!(効果音)
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