スーパーロボット大戦Z 辺獄編   作:レゴシティの猫

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みなさんこんにちは(こんばんは)
アーク様の気配濃くなるのでご注意を……


第四十六話 ×アサキム○美奈子VSライム~その2・芽生える気持ち

 同じ小学校の奴らは口々に言っていた。

 

 「捨て子」

 

 「貰われっ子」

 

 「お前の母ちゃんでーべーそー、あ、知らないから分かんなかったわ、あひゃひゃひゃひゃ!!」

 

 実際そうなのだ、教会で育つという事は………そういう事なのだろう。

 妹と弟と可愛がる人間も、兄さん姉さんと呼び慕う人間も、自分を育ててくれた神父も、シスターも、みんな……全員。自分と顔の似ている人間は……いない。

 学校でそう言ってくる奴には、よく噛みついた。言葉の綾ではなく、そのままの意味で……

 そうした日はこっぴどく叱られたものだ。

 噛みついた事に関しては認めざるを得ない、悪い事をした……と……

 だが何故そうなったかに関して言うと自分より年上の人間はみんな、目を伏せて耐えろとばかり言いたげな雰囲気を帯びてから何かしらを言う。

 何故だろうか?

 

 「どうして?シスター」

 

 年上のシスターは頭を撫でながら諭すように答えた。

 

 「それはね、美奈子……みんな似たような事を言われてきたからよ」

 

 「みんなあんな事をいわれるぐらいならこんな所出て行こうよ」

 

 「それは違うわ……ここからいなくなれば、ここが無くなれば解決って訳でも無いの。人がいる限り、必ず……子供を自分で育てられない人間もいるの。でも子供だって人よ、寝ていい場所が欲しいの。くつろげる所が必要なの……こんな所でも……ね」

 

 人がいる限りここみたいな所は必要らしい。

 

 「だからってあんな事言われるの嫌だな……ここじゃない所なら何も言われなくなるかな……」

 

 「変わらないわよ、場所が変わっても」

 

 「ずっとここにしかいないのに?」

 

 「なら大きくなるまでの辛抱よ。そしたらあなたが決めれば良いわ」

 

 そうして、その自分が決められる年になって美柑と出会った。

 彼女に憧れ、出て行くのは延期した。彼女は子供をお腹に宿していたのを見て、自分のできる事をしようと思ったのだ。

 美柑に憧れたのは、容姿も料理も何もかも完璧な美女だったのもあるが、彼女が外の世界の人間だったからなのかもしれない。そんな彼女には自分や教会で生まれ育った人間とその親達のように離れ離れにはなってほしくなかったのかもしれない。

 どの程度の割合がそうかは知らないが子供を育てようとした時、自分がされたかったように育てるのだろう……そして多分、上手くいかなかったという訳だ……目の前にいる人間……来夢が何よりの証拠らしい。来夢こそ、師匠と呼ぶ人間の子供で自分の師匠を殺した人間だった。そしてずっと、来夢と住んでいたのだ……

 その来夢は聞いてきた、自分の不利益の原因が親でも許せるのか……と

 

 自分は捨てられたのかどうかは定かではない、だが……もし……捨てられたのだとすれば……

 考えれば考えるほど、許せなくなる。

 だから、考えたくない……

 許したい訳じゃない。

 ただ、悪い要素しか無いのにそこに頭を煩わせたくない。

 それより、憎むべき相手が目の前にいるのだ。

 

─────────────────────────

 

 今からしばらくの間は美奈子達の果たすべき決着の時だ、だからアサキムは観客に徹しなければならないと身を引く事にした。観客は一人だけではない……風呂敷を纏い、日除けのかぶさった鳥もいる。

 

 「こうなる前に終わらせたかったけど、運命(さだめ)の刻が訪れた。見届けようじゃないか……姑獲鳥(うぶめ)

 

 姑獲鳥(うぶめ)……生命(いのち)宿す人間死す時、宿す子供を世に解き放つ事無く果てた無念が転じて産まれる存在……彼女は、ライムを子供そのものと認識しているのかもしれない。じゃなければ子供の仇を見張っているのか……

 

 「………許せない」

 

 ライムは笑顔を浮かべた、どうやらそう答えるとは分かっていたようだ。

 

 「おばさんの」

 

 「でも、私は……会った事もない人間より、あなたの方が、憎い!!」

 

 美奈子はライムを指差して言った、指先と表情に宿るは少女の、まだ幼さの残る人間の帯びていい顔では無い凄惨さ。

 

 「まあそうだろうね……」

 

 ライムの返しにさらに怒りを募らせる美奈子。

 

 「もう少し悪びれるように言ってよ……」

 

 美奈子は心に憎しみをぶちまけながらライムに迫る。

 

 「謝れ!!謝れ!!師匠に謝れ!!」

 

 「謝った所で何も変わりはしない、やつが何度謝っても、オレが何度謝っても、何かが変わった訳じゃなかった……」

 

 「償うって気持ちすら見せないの?」

 

 「そんな気持ちが芽生えるぐらいなら最初からこんな事はしない」

 

 「そりゃそっか……」

 

 美奈子はライムに殴りかかった。だがライムに軽々と止められ、次の手を出せないでいる。

 

 「師匠は……来夢のせいでここに帰ってこれないんだ……師匠……かわいそう、よりにもよってあのお腹の中にいた子供から否定されるなんて」

 

 「オレの事はかわいそうって思ってくれないの?」

 

 「何をよ?」

 

 仕方ないので、アサキムは説明する事にした。観客である事を弁えつつ、全部を包み隠さずに言うとライムが逆上するかもしれないので、彼女が思い至るのを促すだけに留まるが……

 

 「あの時、君達が助けたはずの蜂が握っていた情報を思い出すと良い。答えはそこにある」

 

 「蜂?ビーちゃんの事?」

 

 美奈子は考え込む仕草を見せた後、何かに思い至ったという表情に早変わりした。

 答えと言ってはなんだがライムは、美柑とそしてリトの子供。関係性は言うまでもない、その事実が一つあれば、奇異の目で見られるようになるのは確実だ。奇異の目、悪意と言い換えてもいい、要は人がそれに晒されると耐えられないもの。ライムはそれを浴びなければならない運命を産まれながらに背負った。自分が選択してそうなった訳でも無いのに……

 

 「………………………だから何?ライムはもう別枠だよ、それで師匠が殺されるいわれなんて無かったのに!!」

 

 「有るさ……奴は王家に問題を持ち込んできたんだから……」

 

 「好きな人と一緒になりたいって願うのがそんなに悪いの!?」

 

 「欲望をぶつけて良い相手と悪い相手がいるんだよ!!」

 

 「だからって殺されなきゃいけない理由になるわけ?」

 

 「これでも過去の権力闘争よりかはずっとシンプルだ、何の罪もない子供ですらたくさん死なせるんだもんな」

 

 「過去の話じゃん。今の話じゃないのよ、それ。話をずらすな、昔の案件で正当化するな!!」

 

 「なら、どうすれば良かったの?」

 

 「一人で、ずっと逃げてれば良かったじゃない、誰の迷惑にもならないように」

 

 「そんなの無理だった……無理だったんだ……」

 

 「そうだよね……逃げられないよね……分かる、分かるけど!!」

 

 美柑にとっての楽園は、彼にとっての地獄。ならば彼の楽園は……美柑の何だろうか?どちらにとっても楽園というパターンは存在しうるのか?

 

 「あなたが嫌がらなきゃ……師匠はもっと生きられたんだ……」

 

 「子供は人形じゃない!!嫌なものは嫌だ!!」

 

 「被害者ぶって……あなたのような人間の望みなんてどうせすぐ壊れるんだ、嫌……あたしが壊す」

 

 美奈子はケータイ?スマホ?を構えた。どこに宛てているかは分からないが指の動きから見て誰かに電話をしようとしているようだ。

 

 「春菜さん辺りが良いかな……もういっそ師匠のお兄さんにしようか」

 

 「言うの?」

 

 「……………………………………当たり前じゃん、あなたは、それだけの事をした!!自分の欲望のために、師匠を殺したんだ!!このまま黙ってると思うな!!」

 

 「!!」

 

 「後悔してくれるならまだいい、でもそれで満足されるぐらいなら……」

 

 「やめて、やめて!!」

 

 ライムは美奈子に懇願しだす。本当にやめて欲しいようで、切羽詰まっているのが見える。そして心なしかスフィア無しなのに黒いオーラが垣間見えた。

 

 「師匠の事はやめてくれなかったのに……」

 

 当然のようにそっぽを向き拒否する美奈子。

 

 「うわぁぁぁああああ!!」

 

 ブラディクスから、血でできた飛び道具が飛び出す。その飛び道具は美奈子のスマホを両断した。先ほど血を吸ったからか切れ味も良くなっている。

 

 「来夢…………!!」

 

 美奈子はライムの方を向き、睨む。

 

 「デビルークに危害を加えないで!!」

 

 「デビルークデビルークデビルーク……遠い惑星の方が師匠より大事なの?」

 

 「聞くまでもない事を…………」

 

 ブラディクスの目のようなオブジェが先程戦った時より爛々と輝きだした、それはさながら獲物を見つけた狩人……餌を見て喜ぶ猛禽のよう……アサキムもスフィアと、それを既に発現させているリアクターを見れば、眼光から同じ輝きを放てる自信がある。

 

 「デビルークの問題になるから師匠が死んだっていうなら……荒らしてやる」

 

 少し突飛だとは思わないでもない結論にはなる………………だが、悪意を伴う結論はえてしてそういうものだろう。

 

 「皆さん、聞いてください!!」

 

 美奈子は叫んだ。湧き起こる怒りのまま、力いっぱい……

 

 「私の師匠、結城美柑を殺した人間はここにいます!!」

 

 メガホン、スピーカー無しの叫び……おまけに追っ払った影響で聴いている人間は今ここにはアサキムとライムしかいない。無意味と言えるような行為ではあるが……

 

 「オレ、後悔してる……」

 

 焚き付けるには充分だった。

 

 「え?」

 

 その言葉が聞きたかったとでも言いたげに、口角がつり上がった状態で振り向く美奈子。

 

 「おばさんが生き返った時……ホッとしたんだ、おばさんにまで危害が加わって申し訳ないって思ったんだ……」

 

 「ありがとうって言えば良いのかしら?」

 

 「でも今気づかされたんだ、そうしない方が良かったって……神父……あなたの願い通りにはなれそうにない………………………………………」

 

 悪意が、連鎖を起こそうとしている……

 

 「器となるべきは……」

 

 →ライム? 美奈子?

 

 姑獲鳥(うぶめ)が、ライムに近づこうとしている。ライムの腕まで飛び込む……噛みつく気だ。

 

 「姑獲鳥(うぶめ)、逆だ!!」

 

 思わずアサキムは叫んだ、そうしても行動は変わらないだろうが……そうせざるを得ない気がした。

 

 「本気でかじるか……」

 

 ライムは腕を噛みついてきた姑獲鳥のくちばしをつかむ、その際彼と姑獲鳥の目が合った。

 

 「………………………………」

 

 姑獲鳥は彼を見るなり、目を泳がせている。恐れているようだ……だが、この妖怪の元々の性質か避けて逃げようという反応は見られない。

 

 「邪魔だ」

 

 ライムはブラディクスで姑獲鳥を刺そうとする……が、怪訝な顔をして止めた。

 

 「ふん」

 

 ライムはしばらく姑獲鳥を見つめた後、手首の動作だけで姑獲鳥を美奈子目掛けて投げた。姑獲鳥自体が美奈子には見えていないのか、何の回避行動も受け身も取らずに姑獲鳥のくちばしがそのまま胸に突き刺さった。

 

 「う…………」

 

 名付けるなら、姑獲鳥(うぶめ)ストライク!!

 (※注意 よいこのホモ・サピエンスとそれ以外のみんなとスフィア・リアクターはまねしないでね)

 

 「え……」

 

 美奈子は訳も分からなさそうな表情を浮かべつつ床に崩れ落ちた……不思議な事に刺さった胸から血は流れていない。

 

 「オレが終点だったみたいだな、おばさん」

 

 「なんで……」

 

 目の前にいる姑獲鳥が見えていないとすれば、不可視の一撃を叩き込まれた事になる。

 

 「というか……姑獲鳥って……あの姑獲鳥?」

 

 「ある坊さんから聞いたよ……おばさんが師匠と呼ぶ人間から産まれたらしいね……そいつにやられるなら本望でしょ?」

 

 どこからどう聞いても当てつけにしか聞こえない……

 

 「師匠、どこにいるんですか?」

 

 美奈子は体が動かないのか腕だけを動かして姑獲鳥を探す。

 

 「オンギャア………」

 

 姑獲鳥はその問いに答えるように鳴いたが、その事に気づく様子もない、やはり見えていないようだ。

 

 「来夢に見えて私に見えないってつらいな……ねえ、私……また死ぬの?」

 

 「あぁ、まただよ……また、オレのせいでおばさんは死ぬんだ」

 

 「痛いよ………」

 

 「ああ…………」 

 

 「痛いよ…………師匠…………」

 

 そう呟いた後に、美奈子は姑獲鳥に気づいたのか迷いなく姑獲鳥の方に手を伸ばそうとする。

 

 「やっと見えた。そこにいたんだ、師匠……」

 

 そう言い残し彼女は砂となった……彼女も一度時の流れからこぼれ落ちた存在だ……だから、消えるその瞬間を見てはいないがおそらく神父と同じ消え方だ。

 

 「……………………これでおばさんとおばさんの親達で揉めなくて済む」

 

 「それが君の終点か」

 

 観客の役割は終わり、今からは……

 

 「過去の遺物を消しただけだ。死人に引っ掻き回されちゃたまんないから」

 

 「…………そうだね」

 

 「ブラディクスの調子も戻ったし、続き」

 

 邪魔が入って途中のままの対決の時間だ。

 

 「ああ…………そうしよう」

 

 アサキムは、ライムと向き合い、お互いに剣を向けた。

 その瞬間ふと思う。彼女を怒りや憎しみから解放できたと捉えるべきだろうか?と……

 

───────────────────────

 

 以下、美奈子闇堕ちルートです。

 

 「器となるべきは……」

 

 ライム? →美奈子?

 

 ライムはブラディクスを握る力を強めながら美奈子に突っ込んだ。手を伸ばせば美奈子と手を握りあえる距離まで近づき、ブラディクスを振るおうとする……

 

 「!?」

 

 ライムは痺れたようにブラディクスを手から落とした。そのブラディクスは、磁石に引き寄せられる鉄のように美奈子に向かっていった。

 

 「そう……こうするのね」

 

 美奈子が、ブラディクスを手に取った。

 

 「え?」

 

 想定外の事態にうろたえるライム、それとは対照的に一切の迷いを見せずに勢い付ける美奈子。

 

 「はあ!!」

 

 美奈子はライムに近づけるだけ近づいてからライムの胸をブラディクスで突き刺した。

 

 「うぐっ」

 

 そしてライムは膝をついて倒れた。

 

 「痛い?」

 

 「………………………さすがに慣れたな」

 

 その言葉を聞いた瞬間、美奈子はライムを仰向けにさせて腹部を複数回足でど突いた。

 

 「そうじゃないのよ、もっと苦しんでよ。ほら、言え……ごめんなさいって、すみませんでしたって……言え!!」

 

 さすがにこれ以上はまずいと思い、アサキムは止めるため近づこうとした。だがライムは首を横に振って止める。

 

 「そうか…………それが君の終点か」

 

 アサキムは止めるのを辞めたが姑獲鳥は美奈子に突っ込んでいった。

 

 「ホエアー!!」

 

 姑獲鳥は叫び声をあげつつ美奈子の白く細い指に噛みついた。

 

 「!?痛い!!」

 

 叫んだ瞬間美奈子の手から、黒い波動が放出された。その波動は姑獲鳥を美奈子から引き剥がした……彼女の悪意は干渉力が強まっている?

 

 「師匠に、何か言う事は?」

 

 「もっと10年は早くこうなってたらな……」

 

 業を煮やした美奈子はブラディクスでライムを連続で刺した。

 

 ライムの命の灯火は、消えた。

 

 「ンギャ───────!!」

 

 姑獲鳥の叫びが辺りにこだまする。

 

 「やりました、師匠……あなたの仇……私、取りました」

 

 そんな姑獲鳥の叫びもお構いなしとばかりに歩を進めた。

 

 「でもまだ、足りません……師匠の願いを認めない方全てを消すまで……私は終わりません」

 

 彼女の周りから、黒い波動が流れた。それもさっきよりずっと濃く、暗い。器として覚醒を遂げたらしい。

 

 「いいや、もう終わりだ」

 

 なのでライム相手に使うはずだった装置を使う事にした。

 

 「君をあの時見逃したのは、まだ君が血に汚れてもいない、無垢なるままだったからだ。再世を経てまで罪を犯す事も無かったのにね………仕方ない、摘ませてもらう」

 

 「え………?」

 

 「金色の闇みたいに止めれば良かったかな?でも、ここまで悪意に濡れるとは思わなかったな……」

 

 「………………」

 

 程なくして、美奈子の体は全身砂になった。

 

 「記憶なくして存在を維持するのは難しかったのか……まあ、そうだろうね」

 

 彼女は一度死んだ人間みたいだ、だからイマジンに体質が近いようで……彼女が彼女であるための記憶全てが無くなればこれこの通り……当て身ですませておけば良かったのかは分からない。

 

 「……………………」

 

 姑獲鳥はライムだった肉体のそばに寄った。くちばしを当てこすりながら倒れている彼を見下ろすその姿は、彼の死を悲しんでいるかのようで哀愁を感じさせる。

 

 「ホエア……」

 

 少しはアサキムの心も痛まないでもない、母が子の亡骸を抱いて泣く様をそこに感じたのもあるが、そもそもこの惨劇はアサキムにも非があるのだ。

 

 「……………………こういうのも初めてでは無いけどね…………」

 

 だからこそ、歩みを止める訳には行かない。

 そう思い姑獲鳥に背を向けてアサキムは歩き出した。

 次は……王妃が望みを口にしているかの確認だ。




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