METRO Dolls   作:kapebarasan

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眠い


カーンー2

 カーンが現れたときは驚いたものの、今思えば野党との戦闘中に手助けを受けている感覚はあった。

 ブルボンがああなったのは僕のせいではないと、カーンは念を押してくれた。

だが彼を死なせてしまったことは変わらない

 

 

 

 

 僕たちは野党の駅から逃げるようにカーンの後をついていく、暫く使われていないのか蜘蛛の巣が張り巡らされ荒れ果てている

 

 「ここを歩くものは誰もいない。人も、獣でさえも。ネズミですら避けて通る」

 

 「それってどういう事?」

 

2012が不安げに尋ねる

 

 「いずれわかる」

 

カーンはそう言うと錆びついた扉を開ける、嫌な金属音を立てて扉が開く

 扉の先にはタイヤや廃材で組まれたバリケードのようなものが鎮座している…

 カーンは通路脇のパイプに耳を当て

 

 「奴らは我々に気が付いている…」

 

とつぶやく

 

 「一体何に気づかれた?」

 

僕はカーンに尋ねる

 

 「パイプに近づき、聞いてみなさい。ただし長時間は駄目だ」

 

と答える、僕は彼の言うとおり通路脇のパイプに耳を当てる

 

 どこからか子供の笑い声が聞こえてくる…

僕はついそのまま声を聞き続ける

 突然笑い声が男の叫び声に変わり何者かに服を掴まれる

 

 「そこまでだ」

 

カーンは僕をパイプから引き剥がす

 

 「長時間は駄目だと伝えただろう」

 

 「ある者はトンネルの声だと言う。ある者は精神的影響の現れだと考える者もいる」

 

カーンはそう言うとバリケードに取り付けられている扉へ向かう

 

 「私はここを知っている…逆もまた然り…」

 

カーンは独り言のように呟く

 

 「進もう」

 

カーンの言葉に従い彼の後をついていく

 

 「注意しなさいこのトンネルは危険だ、特にアルチョム君にとってはな」

 

カーンが言う

 

 「どういうこと、特にアルチョムが危険って?」

 

2012が尋ねる

 

 「お嬢さんは人形だろう、人形より人間が危険なのだ」

 

カーンは答える、僕も2012も訳がわからないといった感じだ

 レールカーがひっくり返っており放置されて長いのだろう腐乱した死体が転がっている

 

 「ライトは付けたままにしなさいさもなくばここから永久に出ることはできない」

 

カーンが言い、僕はライトが消えないように手回し発電機でバッテリーを充電する。

 

トンネルを進むと何処からか啜り泣くような声が聴こえてくる

 

 「待った、前を見なさい」

 

カーンが言う

 

 「さっきからなに?何も聞こえないけど」

 

2012が答える

 目の前に黒い人影が見える、人影がなにかに襲われ悲鳴をあげて消える

 

 「あれは何だ?誰だ?」

 

僕はカーンに尋ねる

 

 「ここでは誰が誰であるかは関係ない」

 

カーンは答える

 

 「あれって何?アルチョム、何がみえたの?」

 

2012が尋ねる

 

 「さっきのが見えてないのか」

 

僕は答える

 

 「避けていくことにしよう、アルチョムはその影に触らないように」

 

カーンはそう言うと薄暗いトンネルを進んでいく

 

 脱線した列車に乗り込み先へ進む

 

 「ママ?どこへ行ったの?どこにいるの?」

 

子供の声が聞こえる、僕は声のする方向へ進む蜘蛛の巣を燃やし通路の先を見るとミュータントのような影が僕に飛びかかる、思わず目を閉じるとあちこちから悲鳴が響きハッと目を開ける

 

 「アルチョム大丈夫、さっきからビクビクしてるけど」

 

2012が、不安げに尋ねる

 

 「あっあぁ大丈夫だ…」

 

僕はなんとか答える

 列車から降り通路を進む、カーンが何かに気付くと通路の脇に走る

 

 「脇にどくんだ!」

 

カーンが言い急いで僕たちは線路の脇に行く

 線路の奥から光がすごいスピードでこちらに向かってくるのが見えた、それは僕たちの前を通り過ぎていく線路が列車の影が目の前を通り過ぎていく…

 

 「どうしたの?突然脇に寄って?」

 

2012は相変わらず訳がわからないといった様子だ

 

 「このトンネルでは幾度となく過去が繰り返され、その瞬間にここを歩いていた不運なものは、過去に取り込まれてしまうのだ、大抵の場合はな」

 

カーンが話し僕たちは歩を進める…

 

 暫くトンネルを進むバリケードのようなものが見えてくる

 

 「待った、前を見なさい」

 

 カーンが言うと目の前に大量の黒い影たちが見える

 

 「昔、ここで激しい戦いが起こった、防衛側は未だに駅に留まっている」

 

 「二人共ついてきなさい、後ろから離れないように」

 

僕は彼の後に付き2012も渋々彼の後ろに近づく

 

 カーンはなにかの呪文のようなものを唱えながら影たちに近寄るすると影たちは道を開ける、何故か放射線探知機がカリカリと鳴る

 バリケードを超えると影たちの気配が消える

 

 「これ以上はやめておこう、個人的な問題だからな」

 

 「彼らが死んだとき、私は…一人生き残ったのだ」

 

 カーンは言う

 

 「だから何よ?彼らって誰?」

 

2012はカーンの会話の意味が理解できずにいる 

 

 「我々が自らにもたらした荒廃は完全なものだった。天国、地獄、果ては浄罪界までもが汚染されてしまった。そのため、体を離れた魂は何処にも行き場が無く、メトロに留まるしかない、、犯した罪に対してあまりに厳しく、大きな代償だと思わないか?」

 

 「しかし例外もいる、人形だ…彼女たちは神が作り出したものではない、人間が作り出したものだ。彼女たちは彼らを認識できない…きっと我々とは違う天国や地獄を持っているのだろうな」

 

カーンは語る

 

 「つまり、私は人形だからアルチョムたちに見えてる幽霊が見えてないってこと?」

 

2012が尋ねる

 

 「そういうことなのだろう」

 

カーンが答える

 

 「そう…」

 

2012はそう呟くと黙り込む

 

 僕たちは線路を離れメンテナンス通路を進む、暫く進むと広間に出る

 

 「集中しなさい」

 

僕はカーンと2012の援護のもと扉を開ける、扉にもたれかかっていた死体がこちら側に倒れ込みその背後からミュータントが僕に飛びかかってくる

 

 「アルチョム!伏せて!」

 

2012の指示を聞き僕は姿勢を低くする、その瞬間2012とカーンがミュータントに攻撃をしこれを殺す

 

 「行こう」

 

危機を退け道を進む、崩壊した通路を乗り越え再度線路に出る

 

 「動くな!」

 

 カーンが言い僕たちは歩を止める、線路の先から発光する物体ガフヨフヨ浮かびながらこちらに近寄ってきている

これは以前リガへ向かうキャラバンを襲ったものと似ていると僕は思った。

光はたまに放電しながらトンネルの奥へ消えていく…

 

 「我我はあれをアノマリーと呼んでいる、新世界の新たな現象だ」

 

カーンはそう言うと足早に先に進み始める。

 瓦礫を乗り越えた先は多少広くなっているがあちらこちらに死体が転がっている

 

 「クソっ奴らだ」

 

カーンがそう言うと獣の鳴き声がトンネルに響く

  

 「奴らが来るわよ!」

 

2012が叫び僕たちは銃を構える

 少しするとトンネルの隙間からミュータントが湧き出てくる

 

 「撃て!」

 

号令を受け僕たちはミュータントの群れに銃弾を叩き込む

しかし、数が多くミュータントの群れは津波のようにこちらに押し寄せてくる

 

 「不味いわね」

 

2012が呟く、その瞬間僕たちの後方から眩い光が注ぎ込まれる

 

 「じっとしてなさい」

 

カーンが言う、僕たちは彼の言うとおり攻撃をやめじっとする。後方からアノマリーが僕たちの前を通りこちらに向かって来ているミュータントの群れに吸い込まれるように近づいていく、群れに辿り着くと一層光り輝き視界が塞がれてる、視界が戻ると群れがいた場所には焼け焦げたミュータント死体が転がっているだけだった

 

 「あれが成れの果てだ、身を持って知っただろう」

 

カーンはそう言うと先へ進む、瓦礫を乗り越えていくと一台のレールカーに辿り着いた

 

 「レールカーに乗ろう、この先に危険はないこのほうが早く駅に到着できる」

 

 カーンの言う通り僕と2012はレールカーに乗り込んだ…

 

 

 




人形がメトロの心霊体験できないのはあくまで人間が作った『道具』だからですかね?
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