METRO Dolls   作:kapebarasan

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アーモリー

「武器庫」を意味するアーモリー駅は、メトロでの大半の武器が製造されていた場所だった。地表に兵器工廠があったらしく、核の着弾後、職人たちの多くがここに住み着いた、鍛冶屋のアンドリューを探していたが、向こうが先に僕たちを見つけた

 

 

 

 

 僕たちはカーンと別れたあと荒れ果てしゃがまなければ通れないほど狭い通路を抜け線路へ辿り着く

 

 「酷い道だったわね、この先に行けばアーモリーかしら?」

 

2012は服についた蜘蛛の巣を払いながら言う

 

 「あぁそうだろう」

 

僕はそう言うと線路を進む、しばらく進むと警告の看板が見えてくる

 

 「ここみたいだ」

 

僕は呟く、その瞬間僕たちにサーチライトが照らされあまりの眩しさに目がくらむ

 

 「止まれ!何者だ!動くな!」

 

明かりの向こうから僕たちに命令する

 

 「おい、心配ない!人間だ、明かり消せ」

 

他の声がすると明かりが消える

 

 「ふむ、人間のようだな。はは…なら安心だ、来いよここは自由だ」

 

先ほどと打って変わって有効的に話しかけてくる

 

 「入れる…ようね」

 

2012が恐る恐る言う

 僕たちは明かりがついていた方へ進むと鉄製の隔壁がゆっくりと開けられる

 

 「気を付けろ…俺たちの『自由な』駅は共産主義者に監視されている。街中に被害妄想が広がっているのさ…目立つマネは控えろ、わかったな?」

 

 扉の影に立っていた兵士が僕たちに話しかけてくる

 

 「わかった気をつけよう」

 

僕はそう言うと2012を連れて駅に入る

 駅に入るなり構内放送が鳴り始める

 

 「傾聴せよ!傾聴せよ!アーモリーにおいて身分証の点検が行われる!各自、登録された住居にとどまり、保安要員の支持に従うこと!同志たちよ、警戒を怠るな!敵は眠らない!」

 

 「『自由』な駅ねぇ」

 

 2012が放送を聞き呟く

 

 「共産主義者たちは人形も探してるって話だし2012って呼ぶとすぐバレちゃうからそうね…ここでは私を『オーリャ』って呼んで」

 

2012は偽名を僕に伝える

 

 「わかった『オーリャ』」

 

僕はそう答え改めて駅の中に入る。

 

 駅の中は兵士たちが巡回しておりとても閉鎖的に感じる、僕たちは駅を通るべく駅の先へと進む

 金属の扉を開け中に入ると兵士が住民の検査をしていた

 

 「検査を行う、そこに立て!」

 

 「俺にそんな趣味ないぜ、お兄さんよ」

 

 僕たちが検査をしている部屋に入ると二人が僕たちの方を向く

 

 「お前らは誰だ?このふざけた野郎の仲間か?手を出せお前らを逮捕する!」

 

 兵士に突然逮捕を告げられ入ってきた扉も他の兵士によって閉ざされる

 

 「なんでよ?さっきこの駅に来たばかりなのよ、こいつとはなんの関わりもないわよ」

 

オーリャ(2012)は兵士に反論するが兵士によって有無を言わせず拘束される

 

 「わかったわかったついて行くって」

 

尋問されていた男が観念したように兵士に告げる

 

 「ようやく従う気になったか」

 

兵士がそう言い男に近づく、男は近づいてきた兵士の顔面を殴る

 

 「走れ!」

 

男がそう言うと僕たちは男を追いかけて走る

 

 「止まれ!」

 

 兵士が怒鳴り銃をこちらに向けて発砲する

 

 「走れ!」

 

男はそう言うと兵士を押し倒し逃げる、僕たちは兵士たちから逃げ空いていた扉に入る

 

 「左だ!早く」

 

男は足を止め左を指差す、その瞬間目の前に立っていた兵士が男を撃つ、男は地面に倒れ動かなくなる

 

 「アルチョム!早く!」

 

オーリャ(2012)が叫び僕はそちらへ走る、二階部へ上がると行き先と後ろから兵士が現れ道を塞がれる

 

 「ここまでだ、反逆者め!」

 

僕たちは階下へ飛び降りた、立ち上がった瞬間肩を掴まれ僕たちは住居の中に放り込まれた

 

 この世界に神がいるならその日、僕たちの側にいたのだろう、彼はカーンの友人、鍛冶屋のアンドリューに救われた。コミュニスト駅から脱出する手助けをしてくれるようだ

 

 

 僕たちはアンドリューから変装用の服を与えられそれに着替えた。アンドリューは駅から脱出する方法を話している

 

 「だが、唯一の道は戦場を通っている、帝国と共産主義者の前線をな変装が必要だ、作業着を渡すこれに着替えるんだ」

 

 「共産主義者はファシストの要塞を攻撃する志願兵を集めている。奴らは志願兵を満載した電車を戦場に送るところだ。これなら電車に黙って乗り込める。一等車って訳にはいかんが、乗車賃を命で払わなくて済むぞ軍用列車がバリケードを突破したらあとは自由にしろ」

 

そう言うとアンドリューは部屋の扉を開け街へ進む、街中は共産主義者たちがファシストを倒すべく集結し訓練をあちこちでしていた

 

 「これから戦場に行くんだ、物資を補給しておけ」

 

アンドリューに言われ僕たちはカース駅等の戦闘で減った弾薬などを補給する。

 補給を終え僕たちはアンドリューに連れられ列車の発着点に辿り着く

 

 「大丈夫、彼らは味方だ」

 

アンドリューは発着点で作業をしていた男たちに向けて話す、アンドリューは列車の整備用の穴を指差す

 

 「さぁ、あの穴に飛び込め」

 

僕たちは言われた通りに穴に入るとこれから新兵たちを地獄のひき肉工場に送り込む列車が僕たちの真上にやってくる

 

 「乗り込め」

 

指示され僕たちは列車の下部荷物置き場のような場所へ潜り込む、二人で入るには少し手狭だが問題ないだろう

 

乗り込むと列車は駅の集結地点に向けて進み始める

 

 「この列車はルビヤンカへ向けて進む、片道切符でな」

 

アンドリューはそう言うと列車を押し始める

 

 「よし、あとはお前たち次第だ気を付けろよ」

 

そう言うと列車は集結視点へと運ばれ、列車に共産主義に燃える若者たちが乗り込んでくる、全員が着席すると列車はルビヤンカへ進み始める

 

 「アルチョム、私達大丈夫かしら?」

 

2012は不安げに尋ねてくる

 

 「あぁ心配ない」

 

僕は彼女にそう言うと列車は地獄へと進んでいく…




オーリャはОльга (オリガ)の愛称です、ポーリュシカポーレを歌っていた人の名前を使いました…
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