METRO Dolls   作:kapebarasan

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METRO2033
プロローグ


 

 

 

 トンネル内の気温が下がっていく、ミラーと僕、そしてAK2012は地表に近づきつつあった

 もうじき吹きすさぶ風の中へと出て、そこで待ち受けている悪夢と戦うことになるだろう

この長い旅もあと少しで終わる。だが僕に、最後まで見届けるだけの勇気が、残されているのだろうか?

 

 

 

 

 

 荒れ果てたメトロのはしごを軋ませながら地上へと登っていく、すぐ上からは地表で唸る吹雪の音が聞こえてくるようだ…

 

 「おい、アルチョム」

 

オーダーの指揮官であるミラー大佐から唐突に話しかけられる。

 

 「自分の(エキシビション)を出発した時、こんなところに行き着くなんて考えたか? 世界を救おうとしているのか、地獄に落とそうとしているのかも分からずに…?」

 

 僕は何も答えぬまま梯子を登っていく。最上段に辿り着き、今まで登ってきたはしごに振り返る

 

 「2012大丈夫か?」

 

そう言いかけた瞬間2012が手をかけたはしごを固定してたボルトが外れる。

 落ちそうになる2012の手を急いで掴む

 

 「掴んだぞ! ぐっ…うぅ」

 

見た目は小柄な女性とはいえ彼女は戦術人形(機械)、装備しているものの重さと彼女の全体重が一瞬僕の片腕にかかり苦悶の声が漏れる。僕は彼女を引き上げ、もはや奈落となった穴を見る。

 

 「ありがとう、助かったわ」

 

彼女はお礼を言うとすぐに今までの臨戦態勢へと戻る

 

 「ごめんなさい、早く東の前哨基地を抜けて地上に出ましょう、アルチョム」

 

 彼女の言葉の通り僕たちは歩を進める。

 旧世界の扉を開きかつて地下鉄の駅だったものに辿り着いた、僕とミラーは地表の放射能や崩壊液の影響を防ぐためにガスマスクを被らなくてはならない

 

 「もう少しだ、このコロレフ・ホールから塔は目と鼻の先だぞ」

 

 ミラーはあと少しだと言うが地表はメトロと違い全域が過酷かつ危険な環境だ、手に持つ銃の弾倉を確認しいつでも撃てる状態であることを確認する。

 最後の戦いだ、僕は、なけなしの軍用弾薬(通貨)を躊躇なく弾倉の中に放り込む

 

 「来るぞ!」

 

 「銃を構えて!」

 

 二人が叫んだ瞬間、地上にでてきた久し振りの餌を食らうべく3匹のハウラーが僕たちに飛びかかってくる、躱しきれず一匹の爪が僕の右腕に食い込む、痛みに耐えハウラーの脳天に弾丸をたたき込む、血を流し動かなくなったハウラーから視線を外すと二人も丁度始末を終えてこちらに駆け寄ってくる。

 

 「大丈夫か、アルチョム?」

 

 「怪我してるじゃない、早く応急処置しなさい」

 

心配をかけてしまっただろうか、僕は急いで救急パックの中に入っている注射器を負傷部位の近くに刺す。

鋭い痛みに一瞬顔を歪めるが、すぐに薬品が痛みを抑え出血を止める

 

 「心配をかけてすまない、行こうか」

 

僕は二人に伝えると

 

 「心配かけさせないでよね、昔から変わらないんだから」

 

 2012は冗談めかしながら僕を叱る。

 

 「アルチョム、手伝え引っ張るぞ」

 

 ミラーは長いこと放置されていたのであろうメトロのフェンスを指差した。

 

 「わかった」

 

 僕とミラーはフェンスを掴み引っ張る、すると錆びた金属特有の耳障りな騒音をたてながらフェンスが外れた。 

 

 「行くぞ!」

 

ミラーはいうと開けた出入り口に入っていく

 

 「さぁ行きましょう」

 

僕は、2012のあとを続き外に出る

 

 外に出るとそこには木々も車も何もかもが凍りつきまるで時間が止まってしまっているような風景が広がっていた、これが最終戦争が生み出した新しいロシアのありふれた風景だ

 

 「ここだ、アルチョム我々のコールだ…」

ミラーは無線機に話しかける 

 

 「応答願う…ウルマン、応答願う…どうぞ」

すぐに返答は帰ってきた

 

 「ハッキリ聞こえています…どうぞ」

 

 「塔に到着した、繰り返す塔に到着した…そちらも到着したか、どうぞ」

 

無線の会話が続く

 

 「はい、連絡を取りました、彼らは既に塔の近くにいます、どうぞ」

 

僕は会話を聞きながら空を見上げる、そこにはその塔がそびえ立っていた、取り残された旧世界の遺物、だが今はここに辿り着かなくてはならない、そう辿り着かなくてはならない

 

 「了解、塔の最上部に到着したらまた連絡する、その後、こちらの位置を確認してくれ…どうぞ」

 

無線を切ったミラーは僕と2012に

 

 「行くぞ、他の連中も来ているはずだ」

 

そう言うと足早に目的地へ向かう

 少し開けた広場に辿り着くと後方からホーンが鳴らされる、驚き思わず足を止めて振り返ると荷台に機関銃を備え付けたトラックがこちらに向かってきていた。

 トラックは僕たちの少し先に停車すると、車の中から一人の男と人形(ナガンリボルバー)が降りてくる

 

 「どうも、大佐」

 

 「待たせたのぅ」

 

握手し、一先ずの合流を喜ぶ

 

 「今の聞こえたか…ほら!ありゃなんだ…?」

 

トラックの銃座についていた兵士が遠くを見ながら言う

 僕は、遠くから響いてくる地響きを感じ警戒する。

 

 「陣形を整えろ!」

 

ミラーが命令をする

 皆で押し寄せてくるモノに対処をするためにトラックの周りで陣形を整える

 

 「慌てるな…なんだ?背後に気をつけろ」

 

ミラーの言葉の通り皆で全周囲をカバーする。この周りを無数の四足歩行のミュータントが走り回っている。

 ついにそのうちの一匹がこちらに気づき飛びかかってくる 

 

 「くそっ気張れ!」

 

ミラーの怒声が響くと周囲のミュータントに対して銃撃が加えられていく

 僕が銃の装填をしていると、ミュータントが飛びかかり体制が崩れ転んでしまう、ミュータントにナイフを突き立てる。

 兵士の一人が空を指差して叫ぶ

 

 「デーモンだ!!」

 

空を見ると塔の周囲を飛ぶ何かが見えた。

 なんとか後方へ下がるとデーモンと呼ばれたミュータントがトラックを引き倒し、トラックが横転していた。

 デーモンがこちらをめがけて飛んでくる、時間が遅くなるような感覚に陥るとともに僕の意識はここで途絶えた。 




誤字脱字や指摘点などいただけたら幸いです…
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