僕たちはアブザッツの機転もあり、閉ざされた隔壁をこじ開け先へ進む、そこは沢山のモニターや端末が並んでいる部屋へと通じている。
「ウルマン!扉を抑えてろ!」
「端末か…心得のあるものはいるか?」
ミラーが指示する。
「多少なら分かるわ」
2012が端末の操作に志願する。
「大丈夫なのか?さっきはこれよりショボい端末でぶっ倒れたじゃないか」
ウルマンは2012の志願に苦言する。
「さっきみたいなのはやらないわ…普通に操作するだけ」
2012が言う
「わかった…端末を操作してくれ、基地のデータがあるかもしれない…」
ミラーは2012が端末を操作するように指示する。
「ありがとう、やるわ」
2012は席に付きキーボードを操作する。
「…インストラクションa124、ページ3…うーん…パネルDS-22…あぁそうか…」
2012は何かを呟きつつ端末を操作している。
「良かった!2012に任せて正解だったみたいだ」
ミラーは先程までの不安が無かったかのように言う
「動いたわ!さて、これがハードウェアね」
2012がそう言うと部屋の電気が灯る。
「1番…消えた…」
「2番…破壊された…」
「3番…4番…5番…8番…10番…」
2012は次々と報告をするが殆どのデータは失われてしまっているようだ
「そんなバカな!」
ミラーは厳しい現状に苛立つ
「これよ!これで情報を全部…」
2012がそう言った瞬間部屋の明かりが消え警告音が響く
「何が起こった!」
ミラーが怒鳴る
「予備のバッテリーが切れたみたいじゃのう…」
ナガンが呟く
「主電源はどうだ?」
ミラーが言う
「どうやら…停止してるみたいよ、ここから起動はできないわ、最下層に行って手動で起動させるしかないみたい図を見る限りだと…そんなに難しくなさそうよほぼ全部自動化されてるわ」
2012が言う
「どうやってそこまで降りる?」
ミラーが尋ねる。
「下の階にエレベーターがあるわ…でも少し問題が動かすにはすべてのスイッチを切らなくちゃいけない緊急用の照明を含めて…」
2012が説明をする。
「ならば他に選択肢はない、やれ!アルテミスはここでデータを見ていてくれ、すぐ戻る。アルチョム、2012ついてこい」
そう言うとミラーは来た道を戻りエレベーターを目指す。
僕たちは彼の跡を追い重い扉まで戻る。
その瞬間暗闇から光る肉塊としか言いようのないモノが飛び出してくる。
「何だコイツは?」
こちらに向かってくる肉塊を銃で撃つ、銃弾を叩き込まれた肉塊は震えると爆散する。
「くそ!そう簡単にはいかんと分かっていたんだが!グズグズしてると奴らが来る。ウルマン!計画変更だ!お前はここを死守しろ何か起こったらアルチョムと2012を向かわせる!みんな幸運を!」
ミラーがそう言うとウルマンは扉付近に駆け寄り警戒を始める。
「アルチョム!行くわよ!」
2012が言い、僕はミラーの後を追いリフトへ乗り込む、リフトは更に下の階へと降りていく…
「クソっそこら中にへばり付いてやがる」
ミラーや僕の視線の先には先程襲ってきた肉塊のようなものが壁や天井、床を覆い尽くしている。
「吐き気がするわね…」
2012はその光景を見て呟く、そうしているとリフトは下層に辿り着く
「エレベーターはあっちだ、だが扉がロックされている迂回しよう」
ミラーはそう言うと肉塊に覆われた暗い通路へ進み始める。
通路には先程襲ってきた肉塊がおり僕たちに気付くと突進をしてくる。
これを撃退しつつ僕たちは奥へと進む、進むんでいるとどんどんガイガーカウンターがガリガリと鳴り響き始める。
「よし、エレベーターだまだ動くといいが…」
僕たちは通路の突き当りで状態の比較的良いエレベーターを見つけ近寄る。
その瞬間D6内のスピーカーから女の声が響く。
「ウハハハ!メトロの民たちよ!お前たちをずっと待っていた!我々はお前たちが見えない監視者と呼んでいる存在だ、お前たちの命運もそこまでだ!我々の怒りを思いし」
『見えない監視者』が話しているとスピーカーから鈍い殴打の音がなる。
「ア〜ブ〜ザッツ!お前というものは!誰の影響を受けたのかについては知っておるが、ふざけておる場合ではなかろうが!」
「うわ〜!隊長が殴った!暴力反対!暴力反対!」
スピーカーの騒音が一通り止むと別の声が話し始める。
「あ〜大佐申し訳ありません、スピーカーを起動させました。エレベーターの配電盤から信号を受信しました。スイッチを入れます…乗りましょう」
74がそう言うとエレベーターに光が灯る。
「見えない監視者?こんな状況でよくそんなデタラメ信じられるものね」
2012は少し呆れた様子でエレベーターに乗り込む、ミラーが乗りこむとエレベーターの扉が閉まり下降を始める。
「大佐、原子炉がある部屋へ向かってください。制御室の左、中央部にメインの原子炉があります。エレベーターで地表に降り、そこからは階段で登らないといけません。大きなレバーで制御装置を起動して下さい、そこからはまたこちらから指示をします。」
74はそう言うとスピーカー切る。
「なんてこった!クソッタレ!!どうすりゃいいんだ!74に見えてればいいのに!!準備しろ、不味いことになるぞ!」
ミラーはエレベーターから見える地表を見ながら言う、そちらを見ると地表や目的の原子炉が肉塊に埋もれてしまっている、肉塊が無いところを探すのが難しい位だ!
「酷いわね…」
2012も顔をしかめる
「肉塊にガス…長居はできそうにないわね…」
エレベーターが開いた瞬間そう言いつつ2012が降りる。
降りてきた僕たちを狙い肉塊がこちらに突進をしてくる。
「なぁ、今までいろんな場所で酷い目にあってきたが…コイツは桁外れだ」
ミラーがこの光景を見つつぼやく、僕たちは肉塊の海を通り原子炉の制御室へ辿り着く、ミラーは74に言われた通りレバーを探しこれを操作する。
原子炉のシステムが起動する。
「思った通りです。システムは自動化されています…コマンドを入力するだけで良さそう」
「おいおい、簡単に言うんじゃない…こんな羽目になるとは考えてなかった。よし、『崩壊液原子炉』?なんてこった原子炉に崩壊液を使っていたとは…通りで…まぁ仕方ない1、2、3、4…操作は簡単だな、馬鹿でも使えるように造ったらしい、成功を祈っとけよ」
ミラーがそう言うと原子炉が起動し始める。
「大佐!順調です…25%まで稼働、フルパワーになるまで続けてください」
司令室でモニターしている74が言う
「クソっ仕方ない、他に手がないんだ。行くぞ…2番のスイッチだ!」
ミラーはそう言うと2番のスイッチを入れる。
しかし2番は起動せず、肉塊から毒液が制御室に噴射される。
「一体あれは何?反撃来てきてる!状況が悪くなる一方ね」
2012は肉塊を忌々しげに睨む
「手動起動システム…だと?」
ミラーはそう呟くと僕の方を見る。
「アルチョム、耳を疑うと思うが、やってほしいことがある!天井のクレーンが見えるか?機械室に行け…捕捉機能を持つあの予備起動システムを使えばロッドを持ち上げられる筈だ、私たちが敵をひきつけてる間にあそこまでいけ!頼むぞ」
僕はミラーに頷く
「アルチョム…気を付けてね」
2012が僕に言う
「あぁ問題ないさ」
僕はそう返すとクレーンに向けて走る、背後で銃声が聞こえる音で惹きつけているらしい…原子炉に当たって壊れでもしたら一大事であることから最善かもしれない…
僕はクレーンに辿り着き乗り込む、操作はとても簡単だ、僕は肉塊から飛んでくる毒液を掻い潜りロッドを引き上げていく、最後のロッドを引き上げたときクレーンはボロボロで火を吹いてる所もある有様であった。
「アルチョム、戻ってこい!」
ミラーの叫びが聞こえる。
僕はクレーンを待機場所に入れ、急いで降り制御室へと戻る。
「アルチョム!戻ったのね、怪我はない?」
2012が駆け寄り僕の心配をしている。
「あぁ、怪我はないよ大丈夫」
僕が元気そうだと知ると安心した様子を見せる。
「アルチョムよくやった、しかし来たときに使ったエレベーターが壊されてしまった…取り敢えず別の道を使う、あいつらの事は後で始末をつければいい、まずはダークワンを何とかするのが最優先だ」
ミラーはそう言うと制御室の閉まっていた扉をこじ開け奥へ進む、進んだ先には別のエレベーターがありこれに乗り込む
「いい判断です。大佐!エレベーターは駅へ直結しています。現在、全措置が起動可能です。取りあえずはですが…合流地点に戻ってください」
74がスピーカーで話す。
僕たちは長いエレベーターを登り続けているとエレベーターの外に開けた空間が広がる。
「見ろ、アルチョム、2012…我々の遺産…そして未来だ…ここにどれほどの力があるか!これがあれば我々は…再び地球を支配できる。ネズミのような生活とはおさらばだ」
ミラーの指す先には旧世界の戦車や装甲車などの兵器が並んでいる。
「この兵器で空と地表を取り戻し、地中から這い出て、街を再建し、メトロに再び列車を走らせる。すべてを取り戻す…全てを…」
ミラーはD6の兵器を見て興奮している。
2012と僕はこの光景に絶句する、どれほどまでの力がここに蓄えられているのだろうか…ミラーの言うとおり地表へ戻るためにこの力が使われ、生き残った人々にはここの力が向けられないことを祈ってやまない…そんなことを思っているとエレベーターは目的に着く、通路を進み仲間と合流する。D6にはまだどんな秘密があるのだろうか…僕たちの捜索はまだまだ続く…
崩壊液原子炉は崩壊液で様々な『物』から燃料を取り出しそれを用いて発電する原子炉、使用後の核燃料も再利用できる事実上の永久機関(安全性と健康には目を瞑る)
肉塊くんは事実上のE.L.I.Dです