地下に降りて行きつつ、僕は街がもはや見知らぬ、危険な場所になってしまったのを実感していた。メトロの暗闇のほうが、むしろ安心する。ブルボンの言うようにドライ駅に友人がいるならなおさらだ
「よく聞け、この駅は野党が制圧している、気付かれないように辺りを調べなきゃならない。仲間がいなかったらすぐに脱出するぞ」
ブルボンは僕たちに言う
「なに、そんなに危険なところなのか」
僕はブルボンに尋ねる
「少し見るだけだ心配ない」
ブルボンはそう答える、僕は不安を覚えつつメトロの通路を進む
どうやらドライ駅はもうすぐらしい…喧騒が聞こえてくる
「この格子は見たことがある。行くぞ…」
ブルボンは格子から外を偵察する、声は遠い
「難しいな…よし、お前らはここに残ってくれ」
ブルボンが僕たちに指示をする
「気を付けてね」
2012はブルボンに用心するように言う
ブルボンは格子を外し駅の中に降りていく
「止まれ!止まれ!誰だてめぇは?誰かライトをよこせ!これはこれは…ペテン師ブルボンさんじゃないですか」
どうやら捕まったらしい、僕と2012は音を立てないように外を伺う…
「どの口が言ってやがる!ボスに会わせろ、ビジネスの話がある」
ブルボンは野党たちに怒鳴る
「ボス?知らねぇな…へっもちろん居ますぜ…へっへ…」
「その辺にしとけ。やつを引きずって行くつもりか、来い!続きはあとにしてやる」
「早く来るんだ!」
ブルボンは武装解除され駅の奥へ連れて行かれる…
「なにか置き忘れがないか調べろ、ヤツの持ち物が見当たらない」
そう言うと野党たちは辺りを探し始める
「カバン隠して、見つかる」
2012がそう言いい僕は急いでブルボンの持ち物を通路の影に隠す。
通路に光が差し込む
「ネズミ以外何もいないぞ」
「よし、じゃあ行くか」
野党はそう言い離れていく…
暫くしてから僕たちは外を伺う
「誰もいないわね…」
2012が言う
「ブルボンの荷物から使えるものを持っていきましょう、あとで返せば問題ないでしょ」
そう言うと2012はブルボンの荷物を漁る
「これ持っていきましょう
彼女は僕にブルボンのAKを差し出しそれを僕は受け取る
「行くわよ」
そう言うと2012は格子を開け外に出る、僕もそれに続く
その瞬間明かりが照らされる
「やっぱりな連れがいると思ってたぜ」
罠だった、野党共がこちらに武器を向ける
「隠れて!」
2012が叫び僕は近くの遮蔽物に身を隠す
「やっちま!」
野党が叫ぼうとしたその瞬間野党が崩れ落ちる、よく見ると喉元に金属製の杭のようなものが撃ち込まれている
「ハインツがやられた!」
「応戦しろ!」
野党共が叫ぶと銃撃が始まる
僕と2012は互いに連携を取り銃撃の合間を縫って反撃をする
「うぐぁ!」
一人の頭に銃弾が突き刺さる
「手練だ!グレネードを投げろ!」
そう言うと僕たちが隠れているところにグレネードが投げ込まれる
「させない」
2012はそう言うと飛来してくるグレネードを空中で撃ち抜く、激しい爆音と衝撃で僕は一瞬怯む
「アルチョム、やるわよ!」
2012はそう言うと、グレネードを迎撃されあ然としている野党に攻撃する
「がぁぁ!」
断末魔の叫びをあげ最後の一人が倒れる
「終わった?』
僕は疑問の声を上げる
「グズグズしてられないわ、早くブルボンのところに行くわよ」
2012に言われ僕は遮蔽物から出てブルボンを追いかける
メトロの奥金属製の扉に辿り着く、扉の奥から声が聞こえる
「一緒に来たのは誰だって聞いてんだ!答えろクソ野郎出ないと殺すぞ!隻眼のやつか?それとも偽善者が」
扉の中ではブルボンが野党のリーダーに銃を向けられている、突然室内に入ってきた僕たちを見てリーダーは動きを止める
「アルチョム!」
その隙をつきブルボンがリーダーに飛びかかり銃を奪い蹴り倒す、ブルボンがリーダーを銃で撃つと同時にリーダーも落ちていた銃を拾いブルボンに撃つ
「ブルボン!」
僕は叫び倒れたブルボンに近寄る
「心臓に当たってる、即死よ」
ブルボンを見た2012は呟く
僕が入ってすぐに撃っていればこうならなかった、僕は彼に対し後悔を覚える、決してよい出会いではなかったが彼は戦友であり友人だった…
2012と共にブルボンの冥福を祈っていると後ろから僕たち以外の音が聞こえる
「まだいたの!」
2012が音の方向へ銃を向ける
「まず、銃を降ろしなさい、若者よ」
天井裏から一人の男が降りてくる
「悲しいが、彼のような男には予想外の結末ではない」
こう語る男に対して
「あんたは誰だ?」
僕は尋ねる
「私の名はカーン」
「さて、すぐにでもこの場所を離れたほうが良さそうだ、野党の仲間が間もなく現れるだろう。これ以上の流血は避けたい」
カーンが話していると僕たちが入ってきた扉が揺れる、野党の仲間が蹴破ろうとしているらしい
「私はカースに戻る、この駅の湿度ではリウマチになってしまうからな、友人と同じ運命を辿りたいならここにとどまればいい」
カーンは言う
「貴方が野党の仲間ではない証拠はあるのかしら?」
2012が尋ねる
「これを見るといい」
カーンが差し出したのは金属製の杭、野党と戦っているときに彼らに突き刺さっていたものだ
「他に手段がない…」
僕は2012に話しかけると彼女も同じ判断に達したのか頷く
「賢い決断だ」
カーンはそう言うと駅を後にする、僕たちは彼に付いて行くしか無かった。
やっとこさカーン登場です。