明久のワートリ生活   作:ただの名のないジャンプファン

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第二話

停学があけて僕は三日ぶりに学校に行く。

だが、僕は今日の授業いつもより気が抜けてしまっていた。

頭の中がモヤモヤしていたせいだ。

その理由は絶対昨日のことのせいだろう。昨日の夜から授業が終わる今までどこか上の空で過ごしていた。

だから先生に急に呼び出された時も独り言のように返事して今こうして廊下を歩いており、まさか職員室に呼び出されたときあんなこと言われるとは思っていなかった。

 

「吉井君、君ね多分高校は無理だね」

 

「え!?」

急な宣告僕の頭は爆発されたように色んな考え事が吹き飛んだ。

因みに僕がどんな顔をしてるのかと言うと燃え尽きたように真っ白で今にも崩れ落ちそうな状態である。

なんで進学が無理だと言われたのか

吉井明久はバカであり、更に内申もそこまで良くなかったのだが、今回の事で風前の灯火だった内申は灰まで廃れた。

 

「まぁ、君は元々進路について積極的じゃなかったから少し離れた高校でも紹介しようかと思ってたんだけどどうも目ぼしい所もあらかたむりになったんだよで困ったことに」

 

先生が言うには三門市の高校は最近偏差値も上がり始めており、元々僕の学力では結構厳しくて専願私立なら何とかといわれていたのだが、この時期に問題を起こすような生徒なんてどこの高校も入れたがらない。学力がなく内申が消え去ったことが追い打ちとなり、いよいよ狙うとしたら少し離れた私立しか選択肢に残っていない。

 

「先生離れた高校とかだったら行けるんですか?」

 

「そこまでは断言できんさ。ただマシだろうっていうだけ」

 

「そうですか」

 

「おん?なんだいその顔」

 

「え?」

 

「や、いややっぱり何でもない。とにかくこちらもあらかた目星をつけとくけd、自分でも探しときなさい。君の進路なんだから」

 

そう言われ僕は職員室を出た。

僕は下駄箱で靴を履き替え、グラウンドを歩き校門から帰路へ歩く。

僕は今どう思っているのか。

いままで考えた事もなかったけど、こうモヤモヤしてるっていう事は僕にも行きたい学校なんてあったのかな?

先生に言われた内申の話、僕は今までバカなことをしてきたという自覚はある。下らない事で喧嘩して先生に目をつけられ怒られ、ハルに迷惑をかけた。

それでも中学はそれなりに楽しかったと思う。バカをしたけど秀吉やムッツリーニ達と出会い今まで過ごしてきたが悪くなかった。

でもその代償が今の現状で、楽しくて後悔がないはずなのに何だろうこの言い表せないモヤモヤした気持ち、それが僕の中で渦巻いている。

 

「うーん、スッキリしないな」

 

今の今までこんな気持ちになったのは初めてだ。

僕はどうしたいのだろう。高校に行きたいのなら別に三門市に拘ることは無い、先生が言ったようにどこか遠い高校を探せばいい、何もここに拘る意味は無いのだ。

 

でも

 

(私は、私がアキ君の事が大好きだからだよ)

 

はぁとため息を吐く。

この前ハルに言われたこの言葉、僕はこの言葉を思い出すと決まって顔が熱くなっしまう。

ハルとは長い付き合いでハルが冗談でこんな事を言う人じゃないというのはよく知っている。

だけど、ハルが僕に恋愛感情があるなんておもってもみなかった。

僕とハルはただの幼馴染み腐れ縁とまではいかないけど、昔から仲が良くてよく遊んでいた。お互いの家に泊まった事だってあるにはある。

でも、それは子供付き合いであって異性として意識してこなかったから僕ができたのかもしれない。

やばい、また僕の顔が熱くなってきた。

 

「あぁぁぁぁぁぁ頭がショートするぅ。」

 

多分今僕がモヤモヤされている全てはこれにつながっているんだ。

 

「おいおい、ねぇ頭使って何してんだよついに壊れたか?」

 

「え、この声は...」

 

「よう明久」

 

「雄二」

 

坂本雄二、僕とは同じ中学で僕と同じくらい教師を困らせている生徒だ。僕とは腐れ縁みたいなもので気があったのかいつの間にかよく一緒にいる。

でも最近学校で話す機会がなくなっており、久々に会話をした。

 

「やぁ、雄二久しぶり...だね」

 

久しぶりに会って早々僕は雄二の腹に力を込めた一撃を入れる。

 

「ごふ」

 

最近まともに会えてなかった。だが前あった時その時僕は彼の口車に乗せられ不良の溜まり場に置いていかれたのだ。

忘れたとは言わせない。

 

「おいおい、明久久しぶりだからって随分手厚い挨拶だな!」

 

「が」

 

雄二は仕返しに僕の腹に同じように殴ってきた。

久しぶりに会っても相変わらずの馬鹿力だね、いや少し強くなっているような気がする。

 

「てめぇ久々に会っていきなりなにしやがる!」

 

「うるさーい、貴様に不良の溜まり場に一人置いてきぼりにされた僕の心細さがわかるか!」

 

「あれは、元はと言えばお前が不良どもに目をつけられて近くにいた俺を巻き込んだんだろ!」

 

因みにこの2人このようによく喧嘩したりもしているので、友達と言うより悪友に近い関係である。

 

「ぜぇぜぇ」

 

「はぁはぁ」

 

「今日は」

 

「この位にしてあげるよ」

 

あれから殴ったり蹴ったり完全に小学生のように暴れ回て僕も雄二もだいぶ息が上がっていた。

お互い疲れきっている顔を見ると

 

「くく」

 

「はは」

 

「さて、改めてどうしたんだよお前」

 

「何が?」

 

「さっきまで似合わねぇ面で一丁前に悩んでたんだろ?バカが似合わねぇことしてんじゃねぇよ」

 

「ちょ、人を見るなり何度も何度も馬鹿とは失礼にもほどがあるぞ」

 

「わかったわかったよ。」

 

「はぁ実は」

 

 僕と雄二は取り合えずここから離れて自販機でジュースを購入して近くの公園に入った。そして僕はここ最近のあったことを話した。まぁ流石にハルのことは話さなかったけど恥ずかしいしこの事はハルも広められてほしくないだろう。

 

「ははははははははは」

 

内申学力共に低すぎて進学できる高校が近くにないって言ったらこの通り大爆笑された。ちくしょうやっぱり貴様は変わらないな、少し前のしおらしい自分を殴り飛ばしたいこいつに言うんじゃなかった。

 

「なるほどな、けど意外だな」

 

「何が」

 

「お前の場合、高校なんて通えたらどこでもいいと思ってたんだがな」

 

「そりゃ以前はね。でも今は」

 

流石にここで僕は会話を切る。あぶないあぶない

 

「?」

 

「何でもない」

 

「ふーん」

 

「そういや綾辻には相談したのか?」

 

「ハルに」

 

「あいつならお前の相談なんて大歓迎だろうに、それにしっかり答えてくれるしな。」

 

「う」

 

「どしたー、まさか綾辻とも」

 

「なにも...なかった」

 

顔芸でごまかそうとするが

 

「なぜ三刀流ふうに」

 

「何も無いよ。」

 

「言い直さんでいい、それで綾辻とは何があったんだよ」

 

「ちょっと何も無かったって言ってるよね!」

 

「ふ、告白でもされたか」

 

う、僕はおもわず言葉が詰まりあの時の情景が目に浮かんでしまった。

 

「お、当たりか」

 

「だーもうそうだよされたよ告白!」

 

「あ、そうなんだおめでとー」

 

「おぉい軽いな!さっき大爆笑したくせに」

 

「だってなぁ、人の恋路なんぞ俺に関係ないし。しょーじきやっとかーとも思ってたりもするしな」

 

「え!?うそ」

 

「よく考えてみろよ、かたや学年一とも言える美少女、かたや世界一のバカなんだぞ普通に一緒にいる方がおかしい」

 

「ちょっと僕そこまでバカじゃないよぉ!」

 

何がむかつくって、ハルは少しあやふやにしているが僕は世界一のバカだと断言しているところが余計にムカつくんだよ。

 

「まぁ、悩みはわかった。要するに綾辻と高校で離れ離れになりたくないんだな」

 

そうなのかな、そうなんだよな。多分僕が進路のこと考えるとどうしてもハルのことを頭に浮かべてしまう。

 

「因みに綾辻はどこ行くって?」

 

「六颕館」

 

「諦めろ」

 

「速いよ!バータの如く速い!」

 

もうちょっと悩んでよ!そして希望を持たせてよ。

 

「って言いたい所だが手がひとつない訳でもない」

 

「え!?ほんとにリエリー?」

 

「Reallyな、何だよリエリーって」

 

自分的に後輩キャラが人気な声優です先輩!って言ってて自分に寒気がしてきた。

 

「明久よ。俺がなぜ最近学校休みがちだったかわかるか?」

 

「バイトじゃなかったの?」

 

「大っぴらにいえばそうだ。だが前までのバイトは年齢バレてクビになってな今はボーダーで世話になっている」

 

「っ!?」

 

なるほどね、確かにボーダーなら学校よりも雄二は優先するだろう。

 

「けど意外だね。雄二はボーダーだけはないってずっと言ってたのに」

 

「俺もそう思うよ、でも今はそこしか働き口が無くなってな」

 

「雄二がボーダーで働いてる理由はわかったよ。でもさっきの話とボーダー繋がるのさ」

 

「いいか、ボーダーの正式な隊員として入隊して活躍している学生にはボーダー推薦って言うのがあるんだ」

 

「ボーダー推薦?」

 

「簡単に言うとボーダーと組んでる学校があってそこではボーダーで働いてるってだけで受験でいい評価される制度があるんだよ。六颕館も確か入ってたはずだ」

 

「ボーダーに入っていると受験しなくても入れるってこと!」

 

「そんな楽じゃないけどな。多分そこまで楽なのは綾辻並に優秀な生徒じゃなきゃ無理だ」

 

「ハル並か」

 

「それともうひとつ、俺も入ってた結構立つがやっとこさ正隊員になったばかりだ多分今から入ったのじゃ結構ギリギリだ正直これもいい手とは言わないし、オススメもしないもう一つ手があるって言うだけだ」

 

「...」

 

「まぁ、どうするか考えるんだな」

 

そして僕達は今日のところは解散した。

僕は家に帰り、雄二は防衛任務なのでそのままボーダーに基地に向かって行った。

家につけると僕はゲームをつけずにふと窓の外から見えるボーダー本部を眺めていた。

ボーダー、すぐ近くにいる僕達の平和を守ってくれているヒーローみたいなものだと僕はずっと3年前のあの日から思っていた。

だから、僕も憧れみたいなものだってあったしやってみたいなと思うことだってあった...けれど

 

「それでもやろうとした事は1度もないんだよね」

 

そしてそれから現在の警戒区域内の方を見る。

今ではネイバーが出現するゲートをあの区域内だけに抑えているのだが、あの区域内も以前は人が住んでいた。僕の前住んでた家だってあの中にはある。

小さい頃は不満があった。何で前から住んでいた家を追い出されなければいけないのか理由がよくわかってなかったから、けどいま住んでる所もボーダーが自分たちの資金を使って僕達に住むところを与えてくれた。

でも、あの頃の思い出はずっとあの戦場の中に置いていったままなんだ。

 

「おっと、そろそろご飯の支度しないとね」

 

考え事しすぎていつの間にか6時になってしまっていた。

そろそろご飯といで炊かないと遅くなっちゃう。

 

「あれ?これハルのノート?」

 

昨日返し忘れたらしい、悪いことしたなこの授業なければいいんだけど、すぐにでもあ返した方がいいよね。

 

「時間は6時半か、この時間ならハルも家に帰ってるだろ」

 

「まぁ、行くか」

 

正直ちょっと顔を合わせたくないというか、恥ずかしいというかなんというか。

 

「でもノート渡すだけだしぱっと返してぱっと帰ろっと。」

 

ハルの家はここからだと少し距離があるが、歩いて15分ちょっとの所にある。

そしてつくと僕はインターホンを鳴らして出てきたハルの親の話を聞いて少し驚いた。

 

「え!?まだ帰ってない」

 

ハルは性格が真面目なため、帰りが7時以降になりそうだと家に連絡を入れているのだが、今日はまだ連絡を入れてなくて親も心配している。

 

「わかりました、少し学校とか見てきますね」

 

そう言って僕はハルの家を出てハルが使いそうなルートから学校へ向かう。

 

「変だな」

 

先生の手伝いだったらこんなに遅くならないだろうし、生徒会の仕事なら今は引き継ぎの準備をしているだけってこの前言ってたし、他に何かしているのかな。

 

「うわぁぁぁぁぁぁん」

 

とそしたら右から子供の鳴き声が聞こえてきた。

 

「どうしたの?」

 

いけない、つい癖でハルを探していたのについでもこんなに泣いてる子放っておけないし

 

「うわぁぁぁぁぁぁ」

 

「よしよし、ほら泣かないで」

 

「うぅ」

 

「よしよし、ほらお兄ちゃんに話してみてどうしたんだい?」

 

「お兄ちゃんが」

 

「僕!?

 

「違う私のお兄ちゃんが隠れんぼ途中でいなくなっちゃっって」

 

「お兄ちゃんと隠れんぼしてたんだ。ここら辺で?」

 

「ううん、あっちの方」

 

「あっちって警戒区域内近くじゃないか...まさか」

 

嫌な予感がしてきた。

 

「そしてそれを少し前に来たお姉ちゃんに話したら」

 

さらに嫌な予感が強まる。まさか

 

「お姉ちゃんってどんな子!」

 

「えっと...髪は短くて茶色?みたいな色の髪の人」

 

「君はここにいて!いいかい絶対動いちゃダメだよ!!僕が君のお兄ちゃんを連れてきてあげるから」

 

ハッキリとわかる、髪の色と警戒区域内であるにも関わらず子供を助けに行く何て、そんな無謀なことをする人なんて1人しかいないよ。

 

「ハル!」

 

僕は警戒区域内に迷わず突入する。もううんとかすんとか考えていられるか!幸い今ネイバーが現れるゲートは開いていない今のうちにハルとあの子のお兄さんを引っ張りださないと...

 

ゲート発生!ゲート発生!

 

「フラグかよチキショー!」

 

まずい今考えたらあんなのゲート出すよフラグじゃないか、しかも僕からでもみえる距離にゲート開いちゃってるよ。これはモタモタしたらハルじゃなく、ハルを見つける前に俺が襲われそうだ。

 

「落ち着けー落ち着いて考えろ吉井明久、貴様のその明晰や頭脳はなんの為にあるのだ今日この日のためであろう」

 

ダメだーちくしょう、落ち着けしか頭に浮かばないよ。

 

「うおぉ、このどうすれば」

 

よく考えるんだ吉井明久よ、こうなればわかることからかんがえ...待てよ。

 

「ここら辺って確か」

 

小さい頃よく僕はハルと追いかけっこしていた。

ハルは僕に負けず劣らずのわんぱくっ子で、男の子のような遊びもとても大好きでどちらかと言うとハルの元気さに僕が振り回されていたことの方が多いぐらいだ。

そんなハルは、母さんに家の前で遊んどきなさいと言われても追いかけっこをしたら絶対離れた場所まできて隠れて追いかけている僕を驚かすために待ち伏せしていた。

 

「そうだ、ここら辺」

 

もしかしたらハルは、いや絶対ハルならよく隠れたあそこに身を隠すだろう。

この道をまっすぐ行って曲がり角を左に曲がる。住んでいた人がおばあちゃんやおじいちゃんだったから和風な感じのあのいえの門柱の影、ふぅ

 

「懐かしいね」

 

「!?」

 

「ここに住んでいた夫婦、よく勝手に侵入していたハルに怒りもせずお菓子を上げたり、将棋をしたりもしたね。」

 

「あ、アキ君」

 

「見つけたよハル、さぁ帰ろう」

 

「アキ君なの」

 

「他に誰に見えるのさ...おっと、君だね妹を泣かせる悪い子は」

 

「え?」

 

「君の妹ずっと泣いてたよ」

 

「ごめん...なさい」

 

「よし、帰ってから妹にもちゃんと謝ってね。さてとさっさとここから逃げますか...隠れて!?」

 

僕はハルを抱きしめて、小さい子を引っ張り門柱の影に身を潜めた。

 

「今、向こうにいる大きなネイバーがこっちを見てる。こっから出るのは危険だから裏に回ろう」

 

そう言うと、ハルも男の子も小さく頷き裏に回り塀の前に立つ。

 

「いいかい、僕が先に様子を見てから道に出る。そしてハルが男の子を持ち上げて僕の方にやってから最後にハルが出てくるいいね」

 

2人とも頷き了承を得た。

 

僕は一旦塀の向こう側の様子を覗う。ネイバーもいないし今なら大丈夫だろう僕はひとっ飛びで塀を超えてハルに声をかけた。

 

「さぁ早く」

 

「うん」

 

男の子を受け取り、最後はハルなのだが、さすがに制服でスカート姿の彼女はどうしても動きがぎこちなくスカートを気にしてしまって大胆に動けない。

 

「ハル!手を伸ばして」

 

「え...」

 

僕はハルが両足を塀の上に乗せたのを確認するとすぐ様自分の元に引っ張った。

そして勢いに任せるだけのハルを受け止め地面に立たして

 

「行こう」

 

そのまま彼女と男の子手を引っ張ってまた住宅の隙間に入る。

そのままこの道を駆け抜けたいところだがここは見通しが良すぎて危険だ。しかも3人となるとどうしても安全確認してからじゃないと次の行動に移せない。

そして時を同じくして先程の大きなネイバーがボーダーの隊員と戦闘を開始した。図体がデカイ分あのネイバーの攻撃は結構離れた所まで飛んできている。

 

「あっちが早く片付いてくれると楽なんだけど、仕方ないハル向こうへ回ろう」

 

「わかった」

 

だが、こちらもこちらで問題があった。

 

「まずい」

 

向こうの道には誰も戦っていないネイバーがいた。

これはどうやっても無理だな。

 

「うぅ、まさに前門に姉さん校門に母さんだよ」

 

「アキ君、こんな時に言うのも何だけど自分の家族にそれはないんじゃかな」

 

だって仕方ないじゃん、多分僕の女家族ネイバーより怖いよ。僕を恐怖のどん底に突き落とされたら原因は絶対あの2人だね断言できる。

と無駄話をしているんじゃなかった。

不味いことにあのネイバーはこちら側に歩いてきている。多分向こうの戦闘が終わるのを待っていたらこっち側のネイバーは僕らを見つけているだろう。

そうなってしまっては遅い。僕だけならいい、だがハルやこの男の子は絶対警戒区域内から出してあげないと

 

ならやる事は単純だ。

 

僕は大きく深呼吸して呼吸を落ち着かせて緊張を和らげた。

 

「ハル」

 

「アキ君?」

 

「今から言うこと絶対聞くんだよ」

 

僕が何を言おうとしてるのか、ハルはすぐにわかったのか目を見開き驚いている。

 

「アキ君...まさか!」

 

動揺するハルに僕は、頬に手を当てて優しく撫でてあげる。

ハルはとても強いが脆い面もあった。天然でまったりした性格だが無茶する僕を心配する程情が深い子だった。

だから、僕は誰よりもハルを守りたいんだ。

 

「大丈夫、僕が居なくてもハルなら」

 

逃げ切れる。そう言おうとしたけど僕は言えなかった。

多分こう言ったら、ハルには決死の覚悟でネイバーに挑むんだ。そう聞こえるだろう、それがわかってしまい僕は言葉を紡げなかった。

 

「大丈夫じゃないよ!昨日言ったよね。私はアキ君の事が」

 

今にも泣きそうな顔の彼女、僕のために泣いてくれる優しい女の子。僕は今から命をかける、ハルはその思いに気付いて僕を止めようとしているが...

アニメや漫画なんか見ていたら思う。命をかけた戦いの前に主人公の覚悟の前に泣き縋るヒロイン、今なら主人公の気持ちがわかってしまう。だってこんなに優しい女の子男なら命をかけて守りたくなるじゃないか!

 

「ハル」

 

「アキ...君」

 

「僕は君を守る、絶対何が何でも君を守るから君はその子を守ってあげて」

 

僕は今ハルと額同時をぶつけ合っている。

ハルの温かさを感じる。ハルの呼吸音が聞こえるぐらい近い距離で、僕はこの場を凌いでハル達を逃がすためハルに大丈夫だと囁いている。

 

「覚えているかい?小さい頃泣いちゃった僕をハルがこうやって強くなるおまじないって言って慰めてくれてた事。」

 

「...覚えてるよ、アキ君って昔から何事も顧みないで突っ走っていっちゃうからよく私を泣かした上級生とかと喧嘩して負かされた時とかよくこうやっていたよね。」

 

あぁ、今ならよくわかる。この額に感じる熱がとても...とても

 

「今度は僕が君に強くなるおまじないをしてあげる」

 

そして僕は彼女に告げる

 

「僕も君の事が好きだよ」

 

そして告げると同時に僕はハルから離れてネイバーの元に走っていった。

 

「こっちだネイバー」

 

周りに響くぐらい大きな声をネイバーに叩きつける。

するとすぐさまネイバーはギョロりと僕を認知して鎌を振り上げ威嚇してきた。

 

「へ、捕まえられるものなら捕まえてみろ!」

 

あいにく僕は逃げ足には自信があるんだよ。

だけどあちらもさすがに速い、ネイバーは蜘蛛のような走り方で僕を追いかけてくる。この僕は右斜め前にある細い道に入り込んだ、これならあのネイバーも...

と思ったのだが壁を砕いて侵入してきた。

 

「コラー大工さんに謝れー」

 

これなら道が細かろうが見渡しのいいぐらい大きかろうがあんまり変わんない。

 

「でも、舐めるなよ!僕は人生の殆どから逃げ延びたんだ。そんな僕の逃げ足がネイバー如きに負けるもんかー!」

 

今にもウガーと叫びそうなぐらいまるで野生児にまで退化したかのような僕の逃げっぷりはあのネイバーともいい勝負していた。

現在はもう脇目も振らずに警戒区域内を走り回っている。

 

「バータを超えろ!僕は今ディスポになるのだ吉井明久よ」

 

って何言ってるんだろ僕は、ディスポでもバータでもどっちでもいいからとにかく逃げろ。

このネイバーをハルから遠ざけるために

 

「次の角右だァァ」

 

この時の僕の頭に入っていたのはハル達からこのネイバーを遠ざける事だけだった。だから僕自身のことなんてこれっぽっちも考えておらず、だからだろう僕は逃げれば逃げるほどどんどん警戒区域内の奥に行っていたのだ。

 

「うお!?」

 

だが気がついた時には既に遅く、逃げた先にはあ別のネイバーがたちふさがっていた。

見た感じさっきまで追い回されたネイバーと同じくやつだ。クモみたいに足が多くてあの前足部分で攻撃するんだろう。しかもさっき壁にぶつかった時にわかったことだが、多分あのネイバーは超硬い、ぶつかった壁は粉々だがあのネイバーには傷一つ入ってない。

元々ネイバーに僕達の攻撃は届かないので抵抗なんて意味ないのだが実際知ると絶望感が半端ない。

 

「あ、はははこれは参ったね」

 

両側のネイバーは示し合わせたかのように同時に襲いかかって来る。

僕は同時なら、この2体をギリギリまで引き付けて...振り下ろしてきた所を回避。

よしこれでネイバーの後ろ側ががら空きだ。

 

だが、その隙間はすぐにネイバーによって埋め尽くされた。

 

「え!?うわぁ」

 

突如先程のネイバーが上から降ってきた。

このネイバージャンプ出来るのかよ、それにただジャンプしただけなのに衝撃が

 

「くっ!?」

 

ネイバーのジャンプに吹っ飛ばされそうになっているのを何とか耐えていたが、ネイバーはもう一体いる僕はチラリと後ろのネイバーを確認するともう一体のネイバーが僕に向かって突進し始めた。

 

「まずい」

 

だがこの今の僕の体勢からネイバーの攻撃をかわすのは無理だ。

 

「ならば」

 

小さい抵抗かもしれないが後ろに飛んでネイバーの突進攻撃の威力を緩和させようとした。

だけどネイバーの攻撃は予想よりも重くてとても強力だった。

 

(何だこのデタラメなの車かよ)

 

「ぐ、がは」

 

やばい、もう足が限界で逃げれそうもない。

まずいな、ここまでなのかな。

あぁあ、こんなんじゃハルに怒られるなぁ自分を大切にしろーって。

けど、説教も聞けなさそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんねハル

 

 

 

 

 

 

 

 

「トリガー起動」

 

 

瞼を閉じかけた時ふと男の声が聞こえた。

どこか飄々としているのにも関わらず、でも何だかとても悲しんでいそうな感じの声が聞こえてきた。

 

 

「すまないな、到着が遅れてしまって。行きはしているか少年」

 

「あな...たは」

 

「俺は迅、迅悠一一応ボーダーきっての実力派エリートだ」

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