明久のワートリ生活   作:ただの名のないジャンプファン

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第四話

「という訳で試験対策手伝ってください雄二様」

 

僕は次の日すぐ雄二に頭を下げ、ボーダーの試験対策をご教授してもらうため頭を下げに行った。

 

「一日でえらく心変わりをしたな。昨日はあんなにしょげてたくせに」

 

「いや〜、やはり諦めるって何か僕には似合わないから。希望を信じて努力をし続けようみたいな」

 

「くだらねぇ事言ってんじゃねぇ、で何が知りたいんだよ」

 

「ボーダーのテストで上手くカンニングできる方法」

 

何故か一瞬空気が固まったような気がした。

そして次の瞬間

 

「アホかぁ!できるわけねぇだろ」

 

僕の純粋な質問に対して雄二は叫び声と同時に僕の頭にチョップを振り下ろしてきた。しかも狙ったかのようにちょうどこの前の喧嘩でコブができていて治りきってない所にクリーンヒットさせやがった。

 

「いたぁぁ、雄二貴様これから酷使させないといけない僕の頭に何するのさ」

 

「酷使させるつもりねぇだろ、思いっきあ休ませる気満々じゃねぇか」

 

「で、ないの」

 

「ある訳ねぇだろ」

 

「え!?じゃあ雄二はどうやって受かったんだよ」

 

あの筋肉ゴリラであり、僕と同じくらい先生から目をつけられているあの雄二が、カンニングを使わないでクリアできるはずがない。

 

「お前...お前とはいつか本気で決着をつけねぇとな」

 

「じゃあ真面目にやるよ」

 

「お?やけに素直だな」

 

先ほどとは打って変わって、真面目に勉強すると言った僕に大して雄二はキョトンとした表情をしていた。

 

「ま、色々あってね」

 

ふと、昨日の事が頭をよぎった。

自分の目標、そしてひたむきに努力しようと決意した昨日の自分。すごく恥ずかしいと思うけれどそれと同じくらい昨日があって良かったなと思う所がある。

昨日の決意は嘘ではない。それを僕はこれから証明するんだ。

 

「そうかい、ボーダーの筆記は学校の実力テストみたいなもんだ。それは俺が見てやるよ」

 

「本当に?」

 

「あぁ、てめぇひとりじゃ時間の無駄だろうからな貸しにしといてやる」

 

「助かるよ雄二」

 

「おう」

 

そんな訳で、僕は放課後雄二の防衛任務がない時はボーダー試験の対策をすることになった。

やる試験は筆記と体力測定そして簡単な面談らしい。体力測定は自信がある、ここは雄二も大丈夫だと言ってくれた。

僕にとって難関である筆記試験の内容は、雄二が言うには簡単らしいのでだいたい出てくる範囲を教えてもらい、雄二が自習に使ったノートを見せてもらった。

何これアラビア語?

 

「おい明久よ」

 

「な、なんだい雄二」

 

「目がバシャバシャ泳いでるがまさか」

 

「ふ、全くわからない」

 

僕は悟った。

さすがはボーダー中途半端な隊員は要らないと、すごく勉強ができてすごい運動神経のまさに神に愛されてると思えるぐらいの素質の持ち主しかいらないという訳だな。

 

「何だろうな、お前を見てるとこのクソ簡単な試験でも必要なんだなって思えてる」

 

「ぐはっ!?」

 

雄二の言葉は僕の心に矢のように突き刺さる。

何か最近僕精神的な攻撃が何度も来てるような気がするんだけど、気のせい?絶対気のせいじゃないよ!!

 

「こりゃ1から教えなさねぇとな」

 

「えぇ!」

 

「こっちが言いたいわ!」

 

そんなこんなで僕と雄二の放課後の勉強会が行われた。雄二は一日最低3科目を同時平行に教えて、それを1時間に詰め込んだ授業をしてくる。

おかげで僕の頭はぱんぱんだよ、今もふと公式が口から飛び出てきそうだ。

そしてそれが終わり下校していると今度は

 

「アキ君!」

 

家ではハルの授業が始まる。ハルの授業は、癒しという点では雄二の10倍マシなんだけど厳しさは雄二よりも厳しい。しかも家が近いし僕はハルの親とも悪い仲じゃない、そのため少し遅くても送っていけば笑って出迎えてくれるので結構夜遅くまでハルは勉強に付き合ってくれる。

 

因みにこれは平日毎日のスケジュールである。

 

休日はもっとハードなスケジュールだ。

ハルと雄二は相談しあって休日は防衛任務がない場合は10時から15時まで雄二が僕の授業を担当して、そこから30分後にハルの授業が行われる。因みにハルと雄二の入れ替わるこの間の30分、この30分だけが僕の休日の休み時間なのだ、ハルが帰っても課題と言われた問題を渡されそれを次の日までやってこないといけない、ハルならその問題はすぐに終わるらしいが僕は教科書とにらめっこしてやっと解けるぐらいなので、結果終わる頃には僕は爆睡していた。

基本これが毎週続き、ボーダー試験1週間前になると面接練習をハルが僕の家でしてくれ始めた。

 

「吉井明久君貴方の長所を教えてください」

 

「長所...えっとえっとあ!真面目な所」

 

「アウト」

 

ハルは自分の右と左の人差し指を交差して駄目というサインを示した。

 

「え、駄目?」

 

「入試でも入隊試験でもそれはだめだね」

 

何で?真面目な人ってもしかしてお呼びじゃないの?

 

「入試だったら学校からの内申書でアキ君があんなに問題起こしているのに真面目なんて言っても信じて貰えると思う?」

 

確かにそれはあるかも、痛いところついてくるな。

 

「ボーダーでも真面目な所はもう前提条件みたいなものだし真面目よりも1歩先の答えを望んでいるはずだよ」

 

真面目よりも1歩先の答えか、何だろう。言われると全然わからない自分のいいところだよね?

あぁこんがらがってきて頭が痒くなってきた!

でも頭を掻きがなら何とか考えるのをやめないで考え続けた。

僕のいい所、軽口ならいくらでも自分をほめているんだけど考えついてもそれを否定してしまうそのループが頭を埋め作りてきている。

 

「アキ君はコミュニケーション能力が高いね」

 

僕が苦心して考えているとふとハルはそういった。

 

「ハル?急にどうしたの」

 

「自分の長所ってわかりにくいから、そういう時は身近な人に聞けばいいんだよアキ君、アキ君ってクラス替えすぐとかまだ馴染めない人がいたりしたら積極的に話し始めて輪を作るのが上手だよ」

 

「えへ、なんか照れるな。ハルにそうなこと言われるとは思ってなかったよありがとうハル」

 

本当にハルはよく回りを見ているね

 

「お礼はいいよアキ君、でもその代わりに私の長所も教えて欲しいな」

 

「ハルの長所?」

 

「うん」

 

長所か僕は首をひねり改めて考え出す。

そうだな、こういう時ってどういうんだろ勉強が凄いとかさっきの真面目とかハルなら当てはまるけど、それじゃ薄っぺらすぎる気がするな。

ならやっぱりもう少し深いものとか、例えば芸術系の実技は低いけれど、その過程の努力や授業態度なんかでカバーしているとか具体性を言えばいいのかな?

僕は改めてハルを見た。いやこういうのは、シンプルな方がいいような気がした。

 

「う〜んと、そうだなやっぱり優しい所かな!今の僕の勉強に付き合ってくれてるのもそうだけど、ハルってさ学校の花壇に水をよくあげたりもしてるし、少し危なかしいけどいじめの仲裁とかしてたし。ハルには色んな魅力があるけどどれが一番かって聞かれたらやっぱ昔からそこ変わってないし僕は優しさが1番の長所だと思うよ!」

 

長い時間見て、一緒にいて感じた事を僕はそのまま伝えることにした。

 

「...そっかありがとうねアキ君!さぁ続きをしよ」

 

 

など、こんな事が何度もあったりして、ボーダー入隊試験はあっという間に当日を迎えた。

僕は受験票と筆箱が鞄にあることを確認し、そして動きやすい服とか水筒等もカバンに詰めて家を出て試験に望んだ。

まず最初にマーク式の学力テストが始まった。

何とかハルと雄二のおかげで問題は解けてる、多分僕一人だったらだいぶ躓いていただろうけどあの二人に感謝だな後は...

 

(やばい時間が足りない...こうなったら)

 

僕には最終兵器がある。しかもこのような選択問題なら絶対的な信頼を持てる最終兵器が、あと時間は残り12分見直すのも含めたらあと最低5分は欲しい。

迷ってる場合じゃないな!

そして次の試験は体力テスト、これは雄二が言ったように基礎体力を測るだけのシンプルなテストだった。学力テストこれに自信が無い僕はこのテストでどれだけいい評価を貰えるかが合否に大きな影響を与える!

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

そして最後に面談、試験官は1人一体一での面談だった。

 

「そうですね、明久君君の長所を教えてくれないか?」

 

「はい!ぼ、僕の長所はコミュニケーション能力です。自分で積極的に話しかけますし、中学でもすぐ友達を作っています。」

 

はぁ、本番の面談はどの試験内容よりも緊張するな。

試験官ずっとこっちみてるし、後なんか撮られてるみたいな感じもして居心地が悪かった。

 

さて、試験も終わり後は合格発表を待つだけだ。僕の番号は55番発表まで気が気じゃない。

ボーダーの試験が終わっても受験はまだ控えているので、雄二の授業は終わったがハルにはまだ教えて貰っていた。ただその時何度かそわそわしているのを注意されるが、やはり気になるものは気になるんだ自分が初めて本気で取り組んだことだから僕としては合格して欲しいと思うけど、落ちてるかもって不安になる時もあるだからどうしてもそわそわしてしまうんだな〜。

でもそんなモヤモヤを抱えても時間は流れいつの間にか合格発表の日、朝から心臓がバクバク言ってうるさかった。

しかも四肢はセメントで固められたように動かず膝を曲げず肘を曲げずに歩いていて周囲からすごく変な目で見られていた。

当の本人である僕はそんな周りの事を察する余裕すらなくて全然気が付いていないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「55番55番55番55番55番55番55番55番ゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンゴジュウゴバンごしゅうごばんごしゅうごばんごしゅうごばんごしゅうごばんごしゅうごばんごしゅうごばんごしゅうごばん」

 

おおぉ、何か腰が引けてきた。㋀にやっているニュースとかでセンター試験前の受験生が何ですごく怖がっているのか身をもって知る事ができた。

確かに不安しかない!

合格発表の場所に近づくにつれて不安が自信を飲み込み、着いた頃なんて朝よりもガチガチでずっと携帯電話のバイブみたいに震えている僕であった。

 

「あ」

 

おっと誰かにぶつかってしまった。とりあえず謝らなければ

 

「ご、ごぺんなさい」

 

「い、いえこちらこそ」

 

すごい謝っただけでドン引きされたぞ。

でもだいぶ人が集まってきている。ここにいる人達皆ライバルなのか、やばい一度オラわくわくすっぞって言ってみたいがそんな事言えるほど心に余裕が無い。

だが刻一刻と時間は進みもうまもなく指定された時間となる。

 

「ふぅ〜落ち着けやれるだけのことはやったんだ」

 

そうだ、ここまできたらどう足掻いても引き返せないんだ。腹を括ろうそして大きな深呼吸をして全身の強ばりをほぐそ「はい、合格発表です」

 

「55番!!」

 

僕はすぐさま飛び出して、誰よりも早く自分の番号を探す。えっと

1

2

5

45

50

53

54

 

「55番...あった!」

 

僕の不安はすぐに吹き飛び、無意識にガッツポーズをする程嬉しくていた。そしてそのまま1人でわーいわーいと叫び倒すぐらい喜んだ。

凄いな努力って報われるもんだね、そして報われた時こんなに嬉しいなんて、あ、そうだ忘れるところだった僕はメールでハル達に合格していたよって伝えとかないと。

 

「よし、何とか第一関門突破」

 

「番号があった方はこちらに集まってください」

 

おっと呼ばれた。何だろう今後の予定とかかな早めにハルに教えて今後の予定を組んでもらわないと

そしてその後僕達は何グループにわけられグループ事に部屋に入る。

入ると面接してくれた人がいて、合格者は用意された椅子に座るように促される。

僕もそうだけど合格者は皆そわそわしており、期待に目を輝かせて担当者の話を聞く。

 

「皆さん合格者おめでとうございます、皆さんは本日をもってボーダー隊員となります。今後はボーダーの一人として自覚を持って行動し街を守るよう尽力を尽くしてください」

 

「はい!」

 

よし、後はこれで早く正隊員になってボーダー推薦を使えるように...

 

「さて、最後に皆さんはまだ学生です。ですので親御さんの名前を書いたこの契約書を次回の訓練までに持ってきてください」

 

はい、終わりました!

 

〜side帰路〜

帰り道、話はすぐに終わり午後には帰る事ができた。まだ日は頭の上に登っており、すれ違う人は日曜日ということで家族連れや友達同士ばかりで僕はそんな中肩を落としながら通り抜けていく。

そして僕は、先程ボーダーで貰った書類を見て大きくため息を吐く。

 

「合格はすることができたけどまさか、親の同意が必要とか」

 

僕は今一人暮らしをしている。親の仕事場はとても離れていてそっちに家を持っており、たった1人の姉は留学中なのであの家は僕一人で住んでいる。

別に両親との不仲とかはない、親は仕事の転勤みたいなもので遠くに行ったのだが僕が無理を言ってここに残させてもらっている。

でも、うちの家庭ヒエラルキーは1番トップに母で次に姉、その次に父最後に僕であり、僕と父に優劣は全くなく完全に女の方に発言権が備わって僕らが上に行くことは無い。そんな女贔屓家庭で僕がやりたいって言っても絶対に通るわけが無い。

 

「完全無理だよな、僕がボーダーに入りたいなんて言っても母さんいいなんて言ってくれないよな」

 

そもそも家にいないし僕が話あるから帰ってきてって言っても帰ってこなさそうだしな。

最悪ハンコを適当に押して筆跡を誤魔化して持っていくか。そんなことを考えていると既に家に着いており僕は鍵を解錠するのだが...

 

「...あれ?鍵がかかってない」

 

もしかしてかけ忘れたのかな?

今度はドアノブを捻り玄関入ろうとするとそこには

 

「あら、おかえり」

 

とりあえず僕はすぐドアを閉めた。

 

「嘘なんで」

 

間違えない、あれはまごうと事なきうちの母だ。

あれ、今日帰るなんて言ってたか?

不味い部屋とか見られて僕の秘蔵コレクション見つかったりしてないだろうか...

 

「何してるの、早く入りなさい不審者に間違われるわよ」

 

「やぁ、母さん今日帰るなんて言ってたっけ?」

 

「少し物を取りに来ただけよ、すぐ戻るわ」

 

そう言って母さんはリビングに消えていった。僕は荷物を自分の部屋に置いてから一度リビング覗く。母はもう荷物をまとめており、後1時間もしないで出ていきそうだった。

僕は、そんなお母さんの背中を見てると焦り手に力が入る。

今切り出さないと多分母さんに言えずじまいでずるずるといってしまいそうだ。だがどうしても許可してくれる未来が見えない。

でも、一度やるって決めたんだ。僕は息をごくりと飲み込んでから母さんに呼びかける

 

「母さん」

 

「何?」

 

「少し、話し良いかな」

 

「...お茶」

 

「はい?」

 

「お茶が飲みたいわ、できれば紅茶が欲しい」

 

「...わかった」

 

僕ははお茶を用意すべくキッチンに向かおうとしたのだが急に母に腕を握られ、母の方を見ると

 

「...」

 

無言でこちらにメイド服を向ける母がいた。

紅茶は最近ハルがよく来るので買っていたのでそれを使うことにした。よかったよ多分ハルように買ってないと紅茶なんて絶対この家にはないからね、僕と母さんは紅茶が用意されたテーブルに向かい合うように座る。

 

無言で紅茶を飲む母さん。

メイド服を着て俯く僕。

 

だって仕方ないじゃん!少しでも機嫌とらないといけないんだから!!

 

「それで、母さん話っていうのは」

 

パシャリ

話そうとした矢先にシャッター音がする。

ちょっと息子の黒歴史何撮ってるの!?しかもそれ最近全く見なくなったすぐに写真が印刷できるカメラじゃん

 

「それで、話って?」

 

この流れで話すの?僕結構重要な事話そうって思ってたんだけど、何でこんな話がしにくい流れを作るのかな僕の母さんは

 

「...ボーダーに入りたいんだ」

 

僕はすっと母さんの前に入隊志願書を出す。

 

「少し前から興味を持って、この前試験で今日合格だって言われた」

 

掠れる声で僕は母さんにありのままを伝える。

母さんは入隊志願書を手に取りじっと僕の話を聞くだけで特に何も言って来なかっが一通り見終わったのか志願書を置いて話しかけてきた。

 

「ふ〜ん、試験に受かったのよく頑張ったわね」

 

「じゃ、じゃあ」

 

「ダメよ」

 

僕の母さんはそんなに甘くなかった。

けつ努力を認め結果も残せたのに、母さんは首を縦に振ってくれず即拒否された。

 

「え?」

 

「どうせ、興味持ったって言うのはお給料のとこでしょ?貴方ゲームとか好きだもんね。前帰ってきたときより数が減ってるのはお金に困ったからでしょ」

 

「ち、違うよ!給料とかゲームとかそんな理由で...」

 

違う、お金じゃないよ母さん。

 

「じゃあ何?」

 

「...それは」

 

「別に、働きたいなら高校からでもいいでしょ。年齢が達していて学校がOKしてるならそれなら私は反対しないわ。もちろん学業優先してくれたらの話だけど」

 

進学、ここをつかれると痛い、母さんも僕の成績の事はあらかた知っている。成績表は常に写真で送っているし、実は母さんとハルは仲がいい昔から一緒に遊んでいたのもあるがハル自身しっかりとした人なので母さんはそういう人は割と気に入るらしい。だからそのつながりから最近の僕の目に余る行動も筒抜けだろう。

仕方ない少し嘘を混ぜ込むのは悪い気もするが、僕が興味をもって母さんにも通じるだろうしこの手でいこう。

 

「ボーダーに入ったらボーダー推薦って言うのがあって高校受験有利になるんだ」

 

「なに?まさかそれが理由?」

 

僕は黙って頷く。嘘は言っていないんだ。

これならどうだ。

 

「はぁ、高校受験を考えてるというのは成長したわね。でもねわざわざボーダーに入るのは許可できない」

 

「な、何で」

 

ここまで頑なに反対すると僕は逆に何で反対するのかがわからなくなった。僕に信用がないから?勉強もろくにせず先生に怒られてばかりで、三者面談とかでもあまり先生にいい顔されないぐらい評価が低いから僕は信用されてないのか。

 

「母さんは何でそんなに反対するんだよ。母さんは僕を信用してないの!」

 

いつの間にか僕は声を荒らげて、立ち上がり机を叩いていた。

けど母さんはそんな僕を見ても顔色ひとつ変えずに話し始める。

 

「違う」

 

「違う?」

 

だったら何が違うんだよ。お願いだから少しは信じてよ、すごく努力をして試験を受けて合格したんだ。努力するのはとても苦しかったし、試験が終わったあとはすごく不安だった。今日まで落ちてるか落ちてないかドキドキしていた。動機は褒められた物じゃないが、心がこんなに揺れ動いて受かった時のあの喜びは嘘じゃない、ちゃんと本気だったんだ。僕だって本気になれたのに母さんは信じてくれないの

 

「真面目とか不真面目とかそんなの関係ない。ネイバーと戦うことに親が許可するとでも?」

 

「!?」

 

「自分の子が危ないことをしようとしてるのにそれをとめないと思っているの?」

 

え。

僕はこの時頭の中が真っ白になってしまう。考えていたことや、先程までの信じて貰えない焦燥感は砂のように崩れ落ちた。

この時母さんは無表情だったがすごく怒っているのはすぐにわかった。だからこそ僕は言葉が出なかった。純粋な心配をしていたのだ。

 

「人生を大きく左右する高校受験を真剣に考えるのはいい事よ?でもその人生そのものが失ってしまう可能性がある選択なんて私は賛成できないわ」

 

「...」

 

違うかった、母さんが僕を信じてないんじゃない。僕が母さんを信じきれていなかったんだ。

 

「話はそれだけ?私はもう行くわ高校受験頑張りなさい」

 

「言ってくれた」

 

僕はぼそりと言葉が零れ落ちたように呟いていた。

 

「なに?」

 

「ボーダーに入って後悔しないって言ってくれた人がいたんだ。その人は僕はボーダーに向いてるって言ってくれた!何でかわかんないけどその人の言葉は信じられて、ボーダーに入ったら今までとちょっと変われる気がするんだ」

 

この言葉は僕の自信の糧となっている。

褒められた事じゃない、とても危険な事だった、自分の命を大切にしろ。多分あの時説教されたならこういった事を言われただろう。

でもあの人は敢えて僕にこう言ってくれた。

自分も生き延び守りたいものを守れた最高の結果を誇れと、だから僕はあの時のことは正しかったとそしてあの人は迅さんは言ってくれたんだボーダーに入って僕は後悔しない保証すると、その言葉を胸に僕は母さんが折れるまでお願いする。

 

「...3年前の大規模侵攻覚えてる?」

 

この街に住んでいた人は誰もが忘れないであろうあの大事件。あの事件は多くの人人生をめちゃくちゃになるほどの傷跡を残して終わった大事件、僕もよく覚えている。

少し記憶を探ればあの光景が脳裏によぎる。突如開いたゲート、わんさか溢れるネイバー達が街を蹂躙していく光景、建物は壊れ街は悲鳴と逃げ惑う人達の恐怖に呑まれていた。

僕は戦争を見たことないからよくわからないけど、あれは戦争よりもひどいと今でも思っている。

 

「え、うん」

 

「貴方あの時、遥ちゃん探しに飛び出していったでしょ」

 

「...うん」

 

「確かに、貴方なら性格上人を守る仕事は向いてるかもしれない。でも貴方はいつも自分よりも他人を助けるために動こうとする。しかも自分の命を軽く見てるようにそう思えるような...ね」

 

僕は母さんの言うことに納得してしまった。だって僕はそれしか人を助ける方法を知らないから。

適わないな、母が強いというのは本当の事なんだ。だって母親が一番子に愛を注いでるのだから、とても重たくそしてとても熱い愛情をそれを僕は感情としなかった。せずに喚き散らして勝手に暴走していたんだ。

 

「...」

 

「もし、貴方が戦いで死んじゃったら私達は悲しまないって思ってる?そんなわけないでしょ、お腹を痛めて必死に産んで今まで育ててきた子なのよ」

 

母さんは僕の頬をそっと撫でてくれた。優しい手つきでまるで赤ん坊を撫でるように優しく...それは僕を見ていつかの日を思い出しているのだろう。僕の頭の中にはもうないが、多分母さんの記憶の中には鮮明にあるのだろう。

 

「お願いします!」

 

僕は土下座をする。

 

「僕は頭が悪いから母さんの心配をさせない方法とかすぐには思いつかないけど、その代わりに約束する。絶対死なないし、絶対無茶もしないって約束するだからお願いします。僕をボーダーに入れてください」

 

母さんは真剣に答えてくれた。正直母さんがここまで思ってくれている何て思いもしなかったし、聞いててすごくうれしかった。

でも僕はバカだからそんな母さんの不安をぬぐえるような言葉は出ないし、上手く気持ちを伝える事も難しい。だから僕は僕らしく真っすぐな行動で母さんにぶつかる。

 

「はあ、これでいい?」

 

そして母さんは溜息をはいて入隊志願書に名前を書いて僕の前においてくれた。

 

 

 

 

〜sideウラバナ〜

 

「こんにちはおばさん」

 

「遥ちゃん、呼んでくれてありがとう」

 

一昨日、私はこの子から電話を貰い今日家に戻れないか聞かれた。私は勿論無理だって言ったのだが、この子は引かなくてなぜ私を戻そうとするか尋ねると

 

『アキ君から大事な話があると思うのでぜひその目で今のアキ君を見てください』

 

そう言われた。

全くそう言う大事なことは自分で言わずなぜ貴女が伝えるのかと思ったが、多分伝えないまま流す気でもあったんだろう。明久はそういう事をしそうだし

 

「どうでしたアキ君との話し合いは」

 

「子供が真剣に選んだ選択よ、親が親が勝てるわけないじゃない」

 

あそこまで言って折れない明久は初めて見た。それは成長を感じとても喜ばしい事でもあるが寂しくもあり、そんな背中を押してあげたい思う親の性があった。

 

「あの子がボーダーを口にしたのって貴女が原因なの?」

 

「そうですね、私もその一人です」

 

「貴方もその1人?って事は他にもいるの?」

 

「たくさんいますね、でも決めたのはアキ君です」

 

「...そう、私はもう行くわ。これあげるから好きにしなさい」

 

「なんですかこれ...え!」

 

私は報酬替わりにさっきイタズラで撮った写真を遥ちゃんに突きつける。

写真の内容を見た遥ちゃんは真っ赤になり写真から目を話さずじっと見ていた。

この子も色々変わったけどまだまだあの頃のままなのね。

 

「あの子の事お願いね」

 

「は、はい」

 

可愛い子には旅をさせよ、親の元を離れて少し見ないだけであの子の顔つきは変わっていた。成長過程を見れないのは残念だけどあの子の成長は素直に嬉しく思う。

優秀な姉を持ったからこそあの子は自分はいつも下の存在と感じて自分の才能の限界を決めつける癖があり、あの子にはいつも自分からやるっていう主体性がなかった。そんなあの子が食い下がらないで頭を下げてまで自分の意思を貫こうとする。

時間は平等に流れている、でも時間は流れているだけ人を進化させないし退化もさせない。変化を与えるのはその人の心いいと感じたり、悪いと判別したり嫌だとか楽しいとかたくさんの刺激を受けて人は様々な変化する

 

「頑張りなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、いよいよ僕のボーダー生活の幕が上がる

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