明久のワートリ生活   作:ただの名のないジャンプファン

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第七話

目が覚めるとそこは、よく知らない天井だった。

 

「あぁ、まけたんだっけ」

 

「どんまいです、でもとてもいい勝負でしたよ」

 

「時枝さん」

 

明久のお隣には時枝充が立っていた。

 

「初めてにしては、スコーピオンを上手く使えてましたよ。撃たれる覚悟で突っ込むのもいくら死なないトリオン体とはいえ初めは勇気がいります。最初の内にここまでできれば正隊員までそう長くはありません」

 

時枝充は思った。

この人は多分喧嘩慣れしている人だ。

トリオン兵との訓練と今回のランク戦で見た事は懐に迷わず飛び込む勇気、自分に攻撃されている時の直感力、それに躱し方も慣れてる感じがした。

柿崎先輩の話だと確か坂本先輩の友達と聞いている。確か坂本先輩はボーダー内でもたまに揉め事を起こしていると目撃情報が飛び交う。

だけど坂本先輩は目をつけられるタイプだけど、この人の場合は見た感じは人が良さそうな感じがする。多分巻き込まれタイプか首を突っ込むタイプなんだろう。

 

「そう言ってくれると自信を持てるよありがとう時枝さん」

 

「時枝でいいですよ僕の方が年下ですし」

 

「そっかそうなんだね...あれ僕何歳か教えったけ?」

 

「坂本先輩と同い歳と聞きました」

 

柿崎先輩から

 

「雄二の事知ってるの?」

 

「はい、ボーダー内では結構有名な人なので」

 

「そうなの、悪名で?」

 

「いえそういう感じも否定しきれませんが、あの人は初訓練で既に有望な新人として色々な隊の方が目をつけていましたので」

 

「うっそ!?それ本当だったの雄二がでまかせ言ったんじゃなくて」

 

「はい」

 

吉井先輩の行動でどれだけ坂本先輩に信頼がないかわかる。

後この人はすごくわかりやすい。

 

「因みに、今の僕と初訓練の雄二どっちの方が強い?」

 

「申し上げにくいですが、圧倒的に坂本先輩ですね」

 

本人を前に言ってはかわいそうだが否定しきれない。

トリオンという点でいえば坂本先輩はボーダーでも一二を争うトリオンの持ち主である。

トリガーにとって最も重要なのはトリオンの量だから、ここに差が着けばつくほどそのまま強さに現れる。

 

「でも、吉井先輩個人で考えるなら先輩も注目されると思います」

 

この人は、多分伸びるタイプの人だ。トリオンは少ないと診断されてたけど勘がよくて足が早く機動力もあるタイプ、典型的な前衛型だと思う。

 

「じゃあさ、時枝君那須さんは?」

 

「あの人は戦闘能力も高いですが希少性という点でもいいと思います。バイパーを最初からあんなに使いこなせる人はいないですから。」

 

「那須さんが使ってた武器ってそんなに凄いの?」

 

「はい...試験合格した後に配られた資料であらかたトリガーの説明をみませんでしたか?」

 

「え!?えっと〜大変言いにくいんだけど...よくわからなかった...っていうか」

 

成程、だからバイパー相手にあんな戦い方をしていたのか。バイパーを使いこなせる人相手に遮蔽物とかはあまり意味をなさない上に、バイパーというのは常に自分で軌道を決めて撃つもの、確かに那須先輩はバイパーを使いこなせている、あそこまでバイパーを使える人は今のボーダーでも数人しかいないだろう。だが付け入る隙はある、彼女はまだ経験が少ない為に所々自分の予想外の出来事に集中力が乱れその際射線が少し乱れてた。バイパーというトリガーはそれぐらい繊細なトリガーなんだ。

今回の勝負、本当に僅差だった。もし吉井先輩がバイパーの事を頭に入っていたら結果はひっくり返っていたかもと思ってしまうぐらいに。

それと同時にふとこう思う。今回のがもしB級ランク戦だったらと、彼女の今回見えた穴は経験でいくらでも埋まる。

更に遠くを狙える射撃トリガーはオペレーターの支援を合わせたら更に遠距離からの攻撃をすることだって可能になる。

なら、吉井先輩は今後差をつけられるのかと聞かれればそれも無いと思う。

この人の直観力とそれを活かしている反射神経、幾らトリオン体が生身の何倍の運動能力を宿していると言っても、最初の方ではその機能に振り回されて中々動きにぎこちなかったりする。

だが、この人にはその違和感があまり感じられなかった。多分それは一つ前の大型トリオン兵訓練と今回の那須先輩の戦闘で完全に掌握したんだろう自分のトリオン体を、この人は体で覚えるのが他の人よりも早いんだ、慣れるのが早いこういった方が正しいかもしれない。だから後半よく知らなかったバイパーを那須先輩と合わせて対処し始めていた。

この人にもし早めにB級の戦い方を知ってもらったら、そう考えると少し面白く思えてくる。

それになによりあの坂本先輩が目をつけているんだ、多分今期最速で上がってくるのはこの人だろう。

 

「吉井先輩、後でよろしければトリガーの説明致しましょうか?わからないとこがあれば教えますよ」

 

「いいの!?ありがとう時枝君」

 

「別に大丈夫ですよ、ただ他の人達のランク戦が終わってからになりますが」

 

「全然いいよ!ほんと助かる」

 

「では、この話は後でという事で」

 

次の人も待ってる。最近入隊希望の人達が増えてきてこの仕事も結構忙しくなってきてる。

 

 

 

〜side明久〜

 

今日の訓練は終わり、僕は20稼いだけど結果那須さんに負けたことにより1005になってしまい今日稼いだのは5ポイントだけだった。

道のりは長い。

でもあまり、その事に関してはあまり焦らず落ち着いている。那須さんに負けたのは悔しいけど、それ以上に楽しい思えた。必死に相手を攻略するのもそしてこの高い壁を見て乗り越えようとするのを僕は楽しんでいた。

だから焦ってないのかも、長くても不安を感じずにやれているのは自分が楽しんでいるからだ。

そして、手伝ってくれてる人もいるし。

今日訓練が終われば、時枝君がトリガーについて詳しく教えてくれるって言ってくれた。

優しいな時枝君は、僕なんかのために時間を割いてくれるなんて

 

「吉井君」

 

「あ、那須さん今日はありがとうございました」

 

「そんな、こっちも色々勉強になったし私の方こそ組んでくれてありがとう」

 

僕がお辞儀をすると那須さんも返してくれる。

那須さんはお辞儀の隅々まで綺麗だね。

何かいい所のお嬢様みたいだ。

 

「それで吉井君今少しいいかしら?」

 

「今?う~んそうだねもうちょっとしたら時枝君が来るんだけどそれまでならいいですけど」

 

「時枝君って、今日私達訓練生の引率をしてくれた嵐山隊の?」

 

「うん、トリガーについて僕まだ理解しきれてないから教えてくれるって」

 

「へぇ〜いいな」

 

「それなら那須さんもどう?」

 

「え?いいのかな私がいても」

 

「時枝君ならいいって言ってくれると思うよ」

 

「お待たせしました吉井先輩」

 

あ、時枝君来てくれた...っとあれ嵐山さん達もいるね?

確か嵐山さんとあと一人あの人は柿崎さんって言ったけ

 

「君が吉井君だね、俺は嵐山准よろしく!」

 

眩しい!イケメンオーラが眩しすぎるこの人。

 

「よろしくお願いします」

 

「柿崎だよろしくな」

 

僕は嵐山さんと柿崎さん2人と握手を交わして僕も名前を名乗る。

 

「はい、吉井明久です。あ、こっちは那須さんです」

 

「那須玲と申します」

 

「よろしく!確か今日吉井君とランク戦していたバイパー使いだったね、凄かったよバイパーをあそこまで使えるのは正隊員でもなかなかいない」

 

「ありがとうございます」

 

「自己紹介も済みましたし吉井先輩。お話の件ですがどうですかうちの作戦室でも構いませんか?」

 

「もちろん僕はどこでも、あ、でもその前にお願いがあるんだけど那須さんも色々聞いてみたいって言うから一緒はダメかな?」

 

「構わないさ、研鑽を積もうとしている訓練生を止める道理はないさ、一緒に来るといい」

 

「ありがとうございます」

 

何か嵐山隊っていい人ばかりだな。

雄二に爪の垢でものましてやりたいよ、それでもあの悪辣な性格は治んないだろうけど。

そして僕と那須さんは、嵐山さんに案内してもらい嵐山隊の作戦室に向かう。

改めてこの基地歩くとだだっ広いな、エレベーターの階は沢山あるし廊下も長い。廊下は基本白一色でどこもかしこも似た感じなのばかりで、右を見ても左を見ても特に違いとかもなくて、多分案内ないと迷うね断言する。

 

「さて、ここが俺達の作戦室だ」

 

この階は特に同じようなのが多い気がする。

あるのはアパートみたいにいくつも扉が設置されていた。

 

「遠慮なく入ってくれ!」

 

「はい、えっと失礼します」

 

「お邪魔します」

 

中は、シンプルにロッカーと机それから本棚と...あ、テレビもあるんだ。これってもしかして備え付けなのかな?

チームの作戦室って結構豪華なんだね、部屋自体も結構広いし。

っとそして、おぉまさかスーツ姿の美少女がいるなんてムッツリーニがいたらフラッシュの雨をかぶ...ん?

 

「初めまして木下優子って言います。どうか...よろしく」

 

「秀吉?...いや秀吉のお姉さん!」

 

(げ、こいつ確か秀吉の)

 

「確か、吉井明久君だったわよね。秀吉がいつもお世話になってるわ」

 

秀吉のお姉さんは満面の笑みを見せていた。

でも、なんだろう一瞬引きつったような顔をしていた。

 

「なんだ、優子は吉井君と知り合いなのか?」

 

「はい、弟の友達でして」

 

へぇ、秀吉のお姉さんボーダーにいたんだ知らなかったな。

秀吉ってなんでかあんまり家の事話そうとしないから、この人との面識は1度秀吉の家に行った時あった。

 

「そうなんですね、木下先輩あまり家の事話さないから」

 

「そういや、話したがらないな」

 

「え!?そ、そうですか?おほほほほほほあ、この前買ったお菓子が残っているのでお出ししますね」

 

と言って秀吉のお姉さんは消えるようにこの場から去っていった。

 

「さて、それじゃ始めようか。明久君それから那須さんは何を知りたい?」

 

「僕は、武器全般をもっとわかりやすく特に銃系の」

 

「私も同じようにお願いします。今日の、スコーピオンにあんな使い方ができるなんてわかりませんでした」

 

僕と那須さんはお互い自分の武器よりも対戦したために生まれた質問を嵐山さんに聞いた。

 

「わかった、ならまずは銃手のトリガーについて説明しよう。優子」

 

「はい、モニターつけます」

 

先程まで暗かった画面、そこには4つの名前と絵が表示されていた。

 

「まずはアステロイド、こいつはほかの二種と違って尖った特性はないが、弾自体に威力があり貫通力がある。シンプルな作りなため銃手や射手では1番使われている」

 

嵐山さんはモニターで実際に使われているアステロイドの動画を見せながら説明してくれる。

動画を見せてくれるのはわかりやすくてありがたいな。

 

「次にバイパー、那須さんが使っているトリガーだ。このトリガーは威力は他2種に劣るが、自分の思い通りに弾の軌道を変化させることができる。C級では使われないがB級からはシールドを使えるようになるから、シールドを避けて相手に当てる人が多いな」

 

なるほど、Bになったらそんなの使えるんだ。

でも確かにそういうバリア系なかったら、みんな銃系一択になるし、攻撃を守るすべは普通作るよね。

バイパー自体は一発にそこまで威力はないんだ。多分今回那須さんがアステロイドを使ってたら突っ込んだ時点で負けてる。

 

「そしてメテオラ、火力重視の弾丸トリガーだ。こいつは着弾すると広範囲に爆風を起こす威力は高いがその分トリオン調整をしておかないと自分の視界も阻めてしまう、だが敵のシールドの破壊やスナイパーと連携する時射線を通しやすくする、C級では使う人は少ないがB級になるとこいつを入れる人は増える」

 

「そして最後にこいつがハウンド、C級の銃手は殆どこれを使っているな、こいつの主な特徴は追尾すること、視線かもしくは近くにいるトリオン体を追いかける。どちらにしてもハウンドはどんな体制からでもそして感知誘導ならある程度の距離なら追いかけてくる」

 

もしかしたらだけど、このハウンドあいてにしたら積じゃね

追いかける、防げない躱せないこの三つにどうしろと

 

「あの嵐山さん」

 

「なんだい吉井くん」

 

「確か、雄二はハウンド使ってたんですよね?」

 

「う~ん、確か入隊時はそうだったな。今は複数のトリガーで構成をいじっているが」

 

あいつ、これわかっていたな。

それわかって狩りやすいアタッカーを狩っていたんだろうな。

 

「まぁ、坂本君は今ではボーダーを誇る優秀な射手になっているよ」

 

「射手?射手とは銃手とは違うんですか?」

 

「そうだね、全く違うと認識しておいた方がいい」

 

「銃手のトリガーは全て最初から使い手によって設定されています。ですが那須先輩のような射手はその場その場で弾速、射程そして威力を設定できるようになっているんですよ」

 

「え、ってことはそっちの方が強くない?だって自分で好きなようにできるんだったら相手も読みにくいし」

 

だって、最初から設定されているのより自分好みでバンバンできたほうがいいと思う。

 

「そうでもないぞ、射手のトリガーはイメージが大事でしっかりと頭の中に思い描けてないと変な弾しか飛ばない。集中力がない奴にはこのトリガーは向いてねぇんだ。だが銃手はそんな心配はいらない訓練と比例して銃手のトリガーは上手くなる」

 

柿崎さんの説明で何となくわかったと思う。

さて、銃系のトリガーは多分頭に入った。

今度は、僕も使っている剣系のトリガーだ。

 

「次にアタッカーのトリガーだがまずは弧月。これは威力と耐久力その他全てがバランスよくできた万能型こいつがボーダーでアタッカーの中では最も人気なトリガーだな」

 

「弧月、それが一番人気なんだ。やっぱり僕も弧月にした方がよかったのかな」

 

僕がスコーピオンを選んだきっかけは何となく、ただの直感で選んだんだけど皆それ使うってことはやっぱりそれが強いからなんだろうし。

 

「いや、一概にそうはいえない。君が使っていたスコーピオン単純な威力だけでいうのなら古月よりも上だ。スコーピオンはトリオンを威力と武器としてトリオンを固めるこの二つしかない。そのため耐久力はないが非常に軽い。スコーピオンの一番の特徴はその軽さと体のどんなところからでも作り出すことができる。吉井君もしていただろ?斬れて失った腕の代わりに生やしていただろ、あのようにどんな場面でも攻撃に転じられるのがスコーピオン」

 

ここら辺のアタッカートリガーの説明は僕よりも那須さんの方が聞き入っていた。

僕はというとこのスコーピオンにそんな性能があるとは、ならこのスコーピオンは足からとかでも生やすことができるのか?

何それすごく面白そう

 

「なぁ、今度B級以上の個人ランク戦を見に行かねぇか?」

 

「B級のですか?」

 

柿崎さんの提案に僕はどうこたえようか少し迷う。

 

「あぁ、自分より格上の奴らから戦い方を学んでみるのもいいと思うぜ」

 

正隊員のランク戦か、少しどんなものか見てみたいな。

僕はC級ランク戦ブースにしかいったことがないけど、あそこも結構なスペースでよくワールドカップの同時中継何かの時一気の全部の試合全てを映しているあのスペースみたいで見やすく近くにジュースの自動販売機もあったりして休憩もできて使い心地がよさそう。

ただこれ以上お世話になるのもなぁ

 

「因みに、スコーピオン使っているのって何人ぐらいいるんですか?」

 

「何人って聞かれると困るな、結構いるからな」

 

「アタッカーは全員弧月かスコーピオンです。人気なのは弧月ですがあくまでベターな選択と思ってください、極端に偏っているわけではないので」

 

「あの、嵐山さん」

 

「何だい」

 

僕が柿崎さん達と話している間、那須さんが嵐山さんと話している。

何を話しているのかはよく聞き取れなかった。

聞き耳を立てる気はあんまりなかったので、そういう失礼なことはしないよ僕は

 

嵐山さんの所に行ってもう午後七時を回ったもういい時間だ。

僕も那須さんも話が区切りになりお暇することにした。

 

「今日はありがとうございました。」

 

「とても有意義な時間を過ごせました」

 

「いや、気にしなくていい。俺達もしたくてしたことだからな。」

 

「いえ、そこまでお世話になるわけ」

 

「それを気にしなくていいと言っているんだ。君達は入隊試験を突破してボーダーに入隊したその時点で俺達は高めあうライバルであり、背中を守りあう仲間でもあるんだからな、何かあったら普通の先輩に頼るみたいにまた来てくれそれじゃあ!」

 

そして僕達は嵐山隊の作戦室を出る。

にしてもボーダー内って同じような廊下や部屋でわかりにくいな。

 

「那須さんって学校は?」

 

「私?私は星輪に通っているわ」

 

「星輪ってたしか女子高の」

 

確かあそこってお嬢様学校だったと思うんだけど、ムッソリーニがあそこの制服可愛いって言ってたな。

 

「そう、そこの中等三年」

 

「え、同い年!?」

 

「吉井君も今年受験なの?」

 

「そうだ、というか那須さんってずっと高校生かと思っていた」

 

「だから私に敬語だったのね」

 

「うん、なんか大人の女性って感じがしてさ」

 

「そう、ありがと」

 

「那須さん進路は?」

 

「私はそのまま高等部に、特に行きたい学校はないしね」

 

「そうなん「ピロリん」ん?」

 

僕達が中三トークに花咲かせているとケータイがポケットで鳴る。

この音はメールが来た音だね。

この時間僕にメール送るのは思春期がお世話になるサイトからのメールか、もしくは

 

アキ君へ

訓練もう終わった?終わってならお疲れ様!

どんな訓練だったか話聞かせてね、後この下

に今日の分の問題のファイル添付してるから

明日までにやっておくように、明日チェック

するからわからないことがあったら質問して

その時してね。

 

PS.やらなかったら、わかっているよね?

 

僕は下の方に添付されているファイルを開き絶句したのは言うまでもないと思う。

さて帰っても眠るのは日が変わってからかな。

 

「どうしたの?」

 

「ちょっと家庭教師からね」

 

「へぇ、吉井君家庭教師雇っているんだ」

 

「あ、いや家庭教師みたいなことしてくれる幼馴染みがいるから。その人から今日の分の課題が来たんだ」

 

「ふふ、いい友達がいるんだね」

 

「うん、まぁね」

 

お、そろそろ出口だ。

トリガー解除しないと

C級のボーダーの外でのトリガーの使用は固く禁ずる。

なぜかよくわからないけど、変な事で罰則食らうのは嫌だし

 

「さて、トリガーオフ」

 

「トリガーオフ」

 

那須さんもトリガーを解除して生身になる。

少し残念なのは那須さんの制服見たかったなぁ。

ま、それは置いておいて

 

「あれ那須さん」

 

「な、何」

 

気のせいかな、生身の那須さんをよく見える距離まで寄り少し那須さんの顔を見てみる。

 

「いや、顔色が少し...大丈夫?」

 

那須さんの肌が元から白いから気のせいかもしれないけど何となく、白すぎると思ったんだ。

ただ今は顔が少し赤くなってきている。

 

「あ、うん。元々体強くないから、今日の疲れが出たんだと思う」

 

「そうなんだ、えっ、なら家に帰るのは大丈夫なの?」

 

「それは心配いらないよ、親が車で迎えに「ぴこん!」ごめん母から着信きたから出るね」

 

「うん」

 

那須さんは少し距離を話して親と電話する。

にしても元々体が弱いとは思わなかったな、というかそんな人がボーダーに入って大丈夫なの?体への負担が大きくなったりして病気とかって親は心配してないのかな?

 

「え!?うんわかった」

 

那須さんが電話で何か驚く事実でもあったのか少し大きな声で驚き電話を切る。

何かよくない事でもあったのかな?少し俯いてる。

 

「どうかしたの?」

 

「うん、それがね来てる途中の道で車とバイクの接触事故があったらしくってこっち来るのは結構遅くなるって言われたの」

 

「大丈夫なの!?」

 

那須さんもそうだけど、何かえらい事故が起きてるな被害者とかもそうだけど死人とか出てそうなんだけど

僕も結構驚いたのでその声が出口付近で響く。

 

「で、那須さんはどうするの」

 

「私は待つわ。あと何分かかるかわからないけど来てくれるって言ってるからここで待っとく」

 

う〜ん、待っとくか。

事故ってあんまり見ないからよく分からないけどそんなすぐに解決するのか?

 

「那須さん、今那須さんの親ってどこなの?」

 

「え、えっと確か」

 

僕が那須さんに場所を尋ねると、那須さんはスマホの地図機能でだいたいの位置を教えてくれた。

ここら辺って少しボーダーから離れてるけど直線で行けるからそこまで時間がかからないな。

 

「ねぇ那須さん」

 

「はい」

 

「親御さんにこのコンビニに行けるか聞いてみて」

 

僕は那須さんの地図アプリに乗っているコンビニにピンを指し指定する。

このコンビニは、那須さんの親がいる所からそこまで離れてないむしろ振り返ると見えるぐらい近いところにある。

 

「え?どうして」

 

「ここを待ち合わせにしたらどうかな、親御さんこっち来るの厳しいんでしょ」

 

正直、こっちに来てもらうのが一番いいと思ったけどここで待つのはいいとは思えない。

体弱い人って人が多い所とか賑やかのところにいる方が疲れるらしいし、ボーダーはまだ人が多くて隊員達で賑わっている。

そんな所にいるより、親と合流させてまぁ親が近くにいる車の中とかの方が休めそうだよね。

 

「僕もそっちの道が帰り道なんだ、一緒に帰るなんてどうかな?」

 

「そうね、少し聞いてみる」

 

「もしもし、うんあのね、そうそこのコンビニで、大丈夫友達も送ってくれるって言ってるから、うん、うんじゃそれでまた後で」

 

「行こ吉井君」

 

僕の提案を受けいれてくれた那須さんと僕は、指定したコンビニに向けて歩き出す。

外は少し暑く、そろそろ6月に入ろうとしている のでジメッとした暑さだ。歩いてると那須さんはこの暑さがキツイのか少し歩くペースが遅くなってる。僕もそれに合わせてゆっくりめのペースにしながら2人で夜道を歩き話していた。

 

「那須さんって何でボーダーに入ったの?」

 

「ボーダーに少し面白そうなテーマで研究してるのがあってねそれで入隊したの」

 

「研究?一体なんの研究をしてるの」

 

「体の弱い人はトリオン体ではどうなのかって言う研究、私は昔から体が弱くて外で遊んだりしてこなかったから、憧れみたいなのがあったの」

 

トリオン、僕はあんまりよくわかってないけど確か武器とかあのボーダーの施設の殆どはトリオン使ってるんだよね。結構便利だねトリオンって。

そしてそれを今度は健康に...か立派な事考える人もいたもんだ。、

 

「元気に遊ぶ、みたいな?」

 

普通な事、僕にとっては当たり前のことを那須さんは夢見ていたという。

彼女が自分の夢の姿を話している時は、頬から笑みが漏れ目をうるわせながら話してくれた。まるで夢物語を語る少女のように楽しそうに

 

「そんな感じね。走ったりスポーツしたり、とにかく私も外で元気に体を動かしたかったの」

 

「なるほど、じゃあ今日はどうだったの?僕とのランク戦」

 

「そうね、すごく楽しかった!あんなに必死になったのは生まれて初めて」

 

彼女は満面の笑みでそう答えた。

僕が初めて受けた彼女の印象とはかけ離れた可愛らしい笑みで

 

「そっか、それはよかった。じゃあ今日はその疲れが出たのかな」

 

「そうかもしない」

 

多分、また疲れがでて疲労が溜まるかもしれない。

 

「ねぇ、那須さんまた戦おうね。次は負けないから!」

 

「ふふ、次も勝たせてもらうわ。私が先に正隊員になる」

 

ぐぅ〜

 

「「あ」」

 

お互い、訓練が終わり同時にお腹がなって恥ずかしさのあまり間の抜けた声が出てしまった。

 

「えっと、そうだ!」

 

僕は自分のカバンの中を漁る。

確かこん中に食べ物が入ってたはず

あ、別に1週間前のが入ってるとかそんな危険物ではない予め言っておく。

 

「これ、一緒に食べない」

 

「え、これっておにぎり?」

 

「うん、今日の昼ごはんのつもりで作ったんだけど食べ損ねてねよかったらどうぞ」

 

「え、いやその「ぐぅ」...もらいます」

 

またお腹がなってしまった那須さんは自分のお腹を手で押えて静かに貰うことを了承した。

那須さんはおにぎりに包まれたラップを外すと小さく口を開けて小鳥がついばむようにおにぎりを食べた。

 

「!?」

 

最初は少し少しだったけど、食べてると徐々に頬が緩んでいき幸せそうに僕のおにぎりを食べてくれた。

 

「どう、おいしい?」

 

「えぇ、とても...あれ、吉井君これが昼食だって」

 

「そうだよ、時間なくてたべて...「ごめんなさい」?」

 

「え、なんで?」

 

「その、お腹すいてたとはいえ人の食べ物を横取りするなんて浅ましいことを...」

 

「あぁ、気にしなくていいよ。僕の分はまだあるし」

 

そう言って僕はもう1つのおにぎりをバッグから取り出す。ちなみにおにぎりは全部で3つ作っていた。僕自身おにぎり一個でも後水あれば1週間は生きれるぐらいの自信はあるからそこら辺は気にしなくていい。

それに、おにぎり1個以上のもの貰ったし別にいい。

 

「やっぱり、料理って人に食べてもらってこそだね。美味しかった那須さん」

 

「えぇ、とても」

 

こういう感想はすごく嬉しいから、こういうの貰えるならおにぎりなんて安いもんだ。

 

「吉井君、さっきの口ぶりだとこのおにぎり、君が作ったの」

 

「うん、僕が作ったんだ」

 

「料理できるんだ」

 

「一人暮らしだからね、家事は覚えたよ」

 

「へぇ、そうなんだね。って事は今から帰ってすぐ夕食の準備を」

 

「さすがに凝ったもの作るのは面倒だから、作り置きしてるだしにうどんを、卵混ぜて卵とじにするのもいいか」

 

卵、あったよね。なかったら素うどん確定だ。

 

「男の子なのに料理できるんだ」

 

「そんなにすごいかな?」

 

「だって男の子ってあんまり料理しないって聞いたから」

 

そういうものか、雄二も料理は上手いしムッツリーニも調理実習上手くできてたし、秀吉も美味しそうだってね。話は変わるけど秀吉の手料理は個人的にすごく食べてみたい。

というか、那須さんってそういうのは人づてで聞いているのか

 

「なんなら、今度お菓子でも作ってきてあげようか?」

 

「え、いいの?」

 

「いいよ」

 

お菓子はあんまり作らないけど苦手って程じゃないし、受験勉強の息抜きに簡単なのでよければ今度

そう思っていたら僕の視界の端にすごく期待の眼差しを向けている那須さんが視界の端に写った。

さて、もの凄いもの作るかな

 

そろそろコンビニが見えてきた。

二台ほど車が止まっているけど、さてどっちが那須さんの親の車なのか。

 

「那須さんの家の車来ている?」

 

「あ、うん来てる!ありがと送ってくれて」

 

「いや、気にしないで」

 

「あのさ」

 

「うん?」

 

「よかったら送っていこうか?」

 

「え?」

 

「ここまで送ってもらったし、母には私からお願いすればいいって言ってくれると思う」

 

「ありがと、でもいいよ。僕の住んでるところはここから結構近いから」

 

「そうなんだ」

 

「ありがとう那須さん」

 

「それはこっちのセリフだよじゃあまた」

 

「うん」

 

僕は那須さんが車に乗るのまで確認すると僕もコンビニを曲がり自分の帰り道へ向かう。

もう夏手前、夜になっても少し暑さが残っている。

ふぅ、普通に歩いているだけでも汗をかきそうだよ。

僕は服をビラビラとふり服の内側に外の空気を服の内側に入れて風を入れる。

 

「あ、この前もうどん使ったような」

 

何か不安になってきた。

近くのスーパーまで引き返そうかな、う~んでも家近くまで来たしな今日は何かそれ残っていたらそれ使って作ろうかな。

ってあれ

僕は僕の住んでるアパートの階段近くにいる人物に目が留まる。

何かモジモジしているみたいだけど

 

「ハル」

 

「ひゃ!」

 

「どうしたの?こんな遅くに」

 

「えっと、その」

 

「あ、課題はちゃんとやるよ。少し鬼畜かなって思ったけど心配しないでしっかりするから」

 

「あ、うん。じゃなくてそのね、今日お母さんが晩ご飯カレー作ったんだけど作りすぎちゃってさそのアキ君もどうかなって」

 

「え!?いいの」

 

「う、うん」

 

「ありがと」

 

「ふぅ、よかった喜んでもらえて」

 

「速く行こすごく楽しみ」

 

ハルの家のカレーはとても美味しく僕の大好物の一つなのだ。

この時期なら夏野菜カレーかな、うん野菜の甘さがコクとなって美味しんだよね。

さてそうと決まればすぐハルの家に行こう

 

「ハル早く行こ!」

 

「あ、まってよアキ君」


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