完食した肉饅の包み紙を丸めて軽く空に投げてキャッチする。
昔、サッカーゲームを一人永遠とやっていたな。と、丸まったそれをサッカーボールに見立てる。
しかし、そのサイズからして野球のボールの方がしっくりくる。
野球なんてモノを真面目にやった事は一切ないし、バッティングセンターにもロクに行かない。
その割には、サッカーアニメよりも野球アニメの方が良くハマる。
それはよく知らないからなのだろう。サッカーゲームにハマった以前はサッカーをちょこちょこやっていたが、オフサイドとかルールがよく分からなかった。人の足を思い切り蹴ってファール判定された時も悪気はなかった。
知っているからつまらない。それは当たり前のことでマンネリ化とか言うやつだろう。
最近、高校生活もマンネリ化してきた。
そろそろ、何かしら趣味でも見つけようか。
そんな面持ちで向かった電気屋で謎に安にパソコンを手に取った。
「五千円。へぇー、やっすいなぁ」
昔買ったサッカーゲームと同格のそれをこの安さで売るのはおかしい。
「こちら、本日限り、現品限り、キズ多々有り、ポイント対象外となりまーす。オススメですよー」
怪しすぎたのでパソコンを元の位置に戻そうとすると視界の端からウータン先輩が飛び出してきた。
「へぇー、何でこんなに安いんですか? ウータン先輩?」
「う、ウータン? ……ああ、この商品の名前はですね、ウータン先輩ではなくウルトランター専用PCと言いましてですね」
ウルトランター? 聴き慣れない横文字にその場を去ろうとするが脳裏に何かが過った。
「あれは確か……」
小学生五年生の時、パソコン室で授業を行なっていた時、俺の操作していたパソコンのデスクトップ右端によく分からないファイルがあった。
授業そっちのけでそのファイルを開くとウルトランターというデータが出てきた。尚ここでは、PCに詳しくないのでデータと仮称する。
「糞ゲーだったな、ウルトランター」
明らかにつまらなかった。一体誰が作ったのかは未だ不明だが、ウルとランターが冒険するお話だった筈。
その途中で先生にバレてデータごと抹消された。
「いえ、ウルトランターはあの世界的メーカーが制作した最先端RPGで二人の少女が冒険をすると言うとても良い作品なんですよ」
……確かに、あの時は最後までプレイする事が出来なかった。
知らないモノをああだこうだ言うのは間違いなのだろう。実際に先生がデータを消さず、俺が最後までプレイしていれば世界的に有名な作品にもなっていたかも知れない。
「俺にはこれを買う資格はないか」
それに、目の前のこれがあのウルトランターと類似品とは限らない。もし全くの別物だった場合、これじゃない感のせいで俺は世界的メーカーを嫌いになってしまう事があるかもしれない。
俺は、隣の棚に置いてあったマイクを手に取りレジへと向かった。