雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。   作:佐倉彩羽

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こんばんは、佐倉彩羽です。
関東ではついに外出自粛が出てしまいましたね……。色々大変だとは思いますが、協力して頑張って耐えていきましょう。
さて。今回はいろはデート回の続き、なんですが……。
はい。今シリーズで一番の駄文だと思います。ご許し下さい。
では、本編へどうぞ。


比企谷八幡は彼女のことが気になる。

俺はバッグを引っ掛けて、ポケットにしまっていた携帯を取り出す。

メールを立ち上げ、

数少ない繋がっている人達の中からある一名の名前をタップし、

文面を書くページを開く。タイトルは……、

また後で考えればいいだろう。

 

普段こいつを重宝しない俺だが、

今日は大役を務めてもらわなければいけない。

 

ふと、かつての思い出が蘇る。

あれは中学生の頃だ。

クラス替え初日にメールを追加した子に対して初めてメールを送る。

あまり女の子らしくないようにハートなどの可愛い絵文字を使わず、

キラキラや顔文字などを使わないで

約五百文字程度書き連ねたメッセージを送信する。

何か変なところはないか、

不安がありまくりだが送信ボタンを押して数分。

連絡が一切来ない。

忙しいのかな、と当時の純粋な俺は思ってそのままベッドに潜る。

そして朝、携帯を確認してみると

『ごめーん寝てた、また学校でね』とのメッセージ。

 

当時の俺は健康的ないい子だなぁと思っていたが、

実際はめんどくさくてメールを無視していただけに過ぎない。

そして登校するとクラスの女子が

「昨日比企谷からメール来てたんだけど〜、まじキモイわ〜」

クラスに入ってきた俺をチラチラ見ながらコソコソ言うのだ。

 

……またトラウマを掘り返してしまった。

ほんと俺の人生トラウマまみれだな。

俺はいつも通り要件のみ打って、メッセージの送信ボタンを押す。

 

これちゃんと返ってくるよね、来ないことないよね?

 

数分後、携帯に振動が伝わる。画面を見ると彼女からのメールだ。

タップして、文面を開いた。

 

『ごめんね、明日用事入っちゃった……( ノД`)

 また別の日に行こー! (*´╰╯`๓)♬』

 

何だこの顔文字は……。そんなことはどうでもいいんだが、

由比ヶ浜には明日用事があるらしい。

まぁ急に誘ったわけだし仕方がない。

俺は返信しようとメールを作成する。

 

「いや、今日の朝急に誘った俺が悪い。じゃあ別の日な。」

 

書き上げた文面を見て、送信ボタンを押そうとする。

すると、後ろのドアが叩かれる音が。

小町かな、と思い一応声をかける。

 

「何の用だ?」

「小町ちゃんがお菓子用意してくれたんで、

 せんぱいもどうかなーって」

「あぁ、すぐ行くから先食ってていいぞ、悪いな」

「なんかせんぱい、今日やけに素直ですねー、気持ち悪い」

「ほっとけ」

 

一色は階段をトントンと駆け下りていくと、

小町に向かって話しているのが聞こえる。

一色さん声大きくない? 小町の耳が悪くなってしまう。

俺は先程押し損ねた送信ボタンを押し、

スマホを持ってドアを開けようとする。

 

ドアノブに手を触れると、何やらまた振動がする。

画面を見ると、また彼女からだ。

さっさと確認してしまおう。

これでなにか重要なものだったらいけないしな。

 

『うん!φ(◌゚-◌゚=)あ、今ねー、ゆきのんと一緒なんだけど、

明日ゆきのん暇だって! ゆきのんと遊んでくれば(`・ω・´)?

ゆきのんに聞いといてあげるよ!』

 

由比ヶ浜は今雪ノ下と一緒なのか。

いや、聞かなくていいから……。と、

普段の俺なら言うところだが、

今の雪ノ下は陽乃さんと一緒に住むことになっていて、

少し気が重いだろう。姉妹仲良く暮らす、というのもあの姉妹だ。

ほぼというか絶対に無理だろう。主に雪ノ下妹が。

 

雪ノ下は今日、陽乃さんと話すつもりだ。

今後のことも聞いておきたいし、何より雪ノ下の気晴らしになるなら、出かけるのもやぶさかではない。

俺はサッとメールを作成する。

「あぁ、頼む。空いていたら時間と場所を連絡するから、

 雪ノ下に伝えておいてくれるか」

 

 送信すると、由比ヶ浜からまたしてもメールが。

 

『え、ゆきのんのメール知らないの∑(๑ºдº๑)!!

 ゆきのん、空いてるってさ!』

「OK、助かる。」

 

そうメッセージを送ると、

小町と一色の声が聞こえる下へと、駆け下りていった。

 

下に降りると二人は仲良さそうに話している。

俺の姿を見ると、一色は机をだんだんさせながら、頬をふくらませ、

手をバタバタさせている。ほら、だらしないからやめて。

 

「せんぱい、おっそーい」

 

横にいる小町はあはは……という顔をしながら俺の方を向いて、

 

「ほら、いろは先輩の言う通りお兄ちゃんちょっと遅かったね、

 さっさと座って」

 

 声をかける。一色、小町に素は見せてないんですね……。

 ダメだ小町、騙されるなよ!

 

俺は小町の向かい側で、一色の横にちょこんと座り、

小町が用意してくれたお菓子を食べながら一色に言う。

 

「そういや今日、お前いつ帰るんだ? 今?」

 

そういうと一色は「は?」というような顔をしたあと、

いつものあざとい顔に戻り、

「せんぱい酷くないですかー?

 まぁ、小町ちゃんの迷惑にならない時間までには帰りますよ?

 小町ちゃんの、小町ちゃんのですからね?」

「俺には迷惑をかけていいってことですかそうですか……」

「小町はいつでもいいですよー!

 なんなら泊まっていってもいいですよ?

 服は小町が貸しますから!お兄ちゃんもいいでしょ、いいよね?

 小町の大事な先輩だもん!」

 

小町ちゃん、いつの間にかそんなに仲良くなったの?

でも小町のサイズじゃ一色は大丈夫だろうか。

ああ見えて結構着痩せとかしたりして……主に上半身の……。

どこかとは言わないけど。

 

「今なんか失礼なこと考えてませんでした?」

 

 なぜ分かったの。お前エスパーなの?

 

「考えてない考えてない。一色、お前はいいのか?

 あと小町、明日面接残ってるけど……。」

 

 すると小町はあっやべ、

忘れてたてへぺろみたいなあざといけど超可愛いポーズをとり、

「あ、いっけなーい忘れてたっ、てへっ☆

 あ、でも生徒会長のいろは先輩に面接練習してもらいたいですし、

 いいよ!」

 

 この妹、筆記が終わったからって調子乗ってやがる……。

 

「おいお前、面接舐めるなよ?

 面接で合否が決まると言っても過言ではない」

「でもなんでせんぱいは総武高合格したんですか。

 面接絶対無理じゃないですかー、第一印象最悪ですし、

 雰囲気なんかやばいですし、目が腐ってますし」

 

おいちょっと一色さん? 言い過ぎじゃない? 

確かに目は腐ってるし第一印象最悪かもしれないけどさ……。

しかし俺は一色の方を向いて、

まるでそんなことはお見通しさ、と言いかねない顔で言う。

 

「ふっ、俺は受け答えがしっかり出来てたからな。

 頭ちゃんと使ってやれば簡単よ」

 

そういうと、

一色は何この人きもちわると顔に出ているほどドン引きし、

小町はうーんやほーなど、なにやら頷きながらお菓子を頬張っている。

 

「んー、じゃあお兄ちゃんみたいに変に理屈っぽくて、

 目が腐っても合格出来るんでしょ?

 ていうか、総武高は筆記試験に重点置いてるから大丈夫だよ、

 なんとかなるよ!」

 

 お、ちゃんと小町そういう所下調べしているのか……、偉いぞ。

 

「そうか、ならいいんじゃねえの?一色がいいなら」

 

明日の雪ノ下と出かける時間を昼頃にすれば

一色と入れ替わりで会うことが出来るはずだ。

俺の方は問題ないのだが、当の一色は、

 

「あ、じゃあ親に連絡してみます、多分大丈夫だと思いますけど……、

 せんぱい方の親御さんは大丈夫ですかね……?」

「問題ないです!もう連絡したので!」

 

小町早っ! なんという行動力。この妹、やりおる……。

泊まるといってもどうせ小町の部屋で寝るわけだし、

俺は部屋に引きこもるしで俺のプライベートの時間は確保されるはず。

一色の親も、友達の家に泊まると言ったら大丈夫だろう。

一色はリビングのドアを開けて、廊下で親と電話しているようだ。

すると、小町が俺の近くまで寄ってくる。

 

「お兄ちゃん、もしかしてなんだけどいろは先輩ってキャラ作ってる人?」

 

こいつ、同じあざとい年下キャラだから一色の言動行動から、

一色がキャラを作っていることを理解したのか。

なんという観察力。いや、そんなものじゃない。女子って、怖い。

 

「そうだろ、でも小町よく分かったな」

「いやぁ同じような系統キャラじゃん。

 あの人多分女子からめっちゃ嫌われるタイプだよ、間違いない」

 

 やっぱ女の子って怖い……。

そして小町がその女性社会の一員となっていることがさらに怖い。

 

「まぁクラスに友達はいないだろうが、

 顔だけはいいんだよな、顔だけは」

「確かにいろは先輩可愛いよね〜、

しかもお兄ちゃんのことちゃんと分かってるし。

 お兄ちゃんの相手は上から引っ張り上げるか、

 下から押し上げるかしかないと思ったけど、

 同じく普通にクズ同士っていう選択肢もあったんだなぁ」

「いや、何言っちゃってんの小町ちゃん、

 ちょっと怖いし女の子の裏が見えてるよ?」

「でも、誰もいなかったら小町が最悪相手になるから!

  あ、今の小町的に超ポイント高いっ!」

「最後の一言がなかったらほんとにポイント高かったよ

 ダイマックスだったよ」

 

そんなことをこそこそ話していると、廊下からの声が止んだ。

おそらく電話が終わったのだろう。

ドアが開き、一色は手でまるを作って、右目でウインクする。

あざといっつーの。

 

「OKでました〜、あ、でもまだ時間あるんで家戻ってもいいですか?

 小町ちゃんの服借りるのも申し訳ないですし」

「いやいやぁ、いろは先輩今日電車ですよね!

 交通費無駄にかかっちゃうんでいいですよ!」

「そう、ごめんね小町ちゃん!ありがとう!」

 

と、一色は小町に抱きついた。おいその手を離せぇ!

と、言いたいところだが、

抱きつかれながら手櫛をしてもらっているせいか、

小町は完全に堕ちている。

 

「人の妹を奪うなよ……」

「だって可愛いんですもん」

「いろは先輩、やっぱりお姉ちゃんって呼んでいいですか?」

「今日だけね〜」

「やった、よろしくお願いします、お姉ちゃん!」

「うん、お姉ちゃんに任せなさ〜い!」

 

百合百合してるな……。

このまま深夜アニメ枠で放送されても違和感ないもん。

このままだと心がぴょんぴょんしちゃう勢い。

人の妹を奪っていく一色さん、これは良くない。

 

俺が一色に対して憎悪を膨らませていると、

小町がなにか思いついたように言う。

 

「あ、お兄ちゃん、今日のご飯何がいい?」

「小町が作るもんだとなんでもいいぞ」

「小町、お姉ちゃんと料理がしたい!

 お姉ちゃんが得意なやつにしてください!」

「ん、じゃあカレーとかでいいかな?」

「小町はOKです! お兄ちゃんは聞かなくていいんで」

 

八幡的にポイント低いよ、小町ちゃん……。

さっきまでは聞いてくれたじゃん?

 

「じゃあ俺、二階いるから、できたら呼んでくれ」

「あ、了解です」

 

そう言って俺は部屋を後にすると、またしても携帯電話を取り出す。

連絡先から彼女の名前を探すが、見当たらない。

繋いどきゃ楽だったんだけどなぁ……。

溜息をつくと、俺は別の名前をタップして、メッセージを送る。

 

「明日の時間伝えて貰えるか?」

 

送信、と……。

俺は手が届く本棚に目を向け、その中から一冊、文庫本を手に取る。

手に取った物語は青春ラブコメ。

俺が忌み嫌い、恨み続けていたものだ。

中学生の頃に流行ったタイトルで、

クラスの中で話題になっていたからという理由で買った作品だった。

全巻揃えて本棚に入っているが、

当時一回読んだっきりでその後は一切読んでいない。

 

その中でも俺が引き出したこの巻は、

メインヒロインとのデート回が収録されているものだ。

雪ノ下雪乃を気晴らしに誘ったはいいものの、

何をすればいいか分からない。

 

しかしデートというのも変だ。小町に聞こうと最初は考えたが、

生憎小町は一色との料理を楽しんでいるだろうし、

食事中に話したらまた面倒くさいことになりそうだ。

一色もその点ではダメだろう。

ならば、由比ヶ浜はどうだろうか。

彼女は雪ノ下雪乃という少女を家族を除いた者の中では

一番知っている、一番の理解者だ。

 

しかし、ここで由比ヶ浜を頼るのは何か違う気がした。

俺は彼女の連絡を待ちながら、

雪ノ下雪乃の抱える問題について考えることにした。

 

雪ノ下が抱えている問題。これは彼女自身が解決すべき問題であり、

俺たちが深く干渉していいことでは無い。

しかし、彼女と関わらないとは違う。

 

―だって、そういうの、

乗り越えようとするのが、ゆきのんだと思うから。

 

ふと、由比ヶ浜の言葉を思い出す。

また今回も、彼女は自分で乗り越えようとするのだろう。

確かにそうだと思う。雪ノ下雪乃は強い女の子だ。

ネコやパンさんが好きで、高いところやお化けが苦手な女の子だ。

容姿端麗、成績最高、文武両道、多芸多才。

百人の人間がいたら、彼女の事をこう言い、褒めそやすだろう。

俺は雪ノ下雪乃はそういう人間だと思ってきた。

そういう人間だと、押し付けてきたのである。

 

そんな彼女の悩みを、問題を、俺たちが答えを出すべきではない。

 

ふと、携帯電話が震え出す。由比ヶ浜からだ。

『なんじにどこ(・。・)?』

 

相変わらず謎の顔文字を投下してくるな……。

女子ってみんなこうなんですかね、流行ってんの?

とりあえず集合は海浜幕張でいいだろう。

時間帯は一色に午前中に帰ってもらい、

雪ノ下と午後から集合して、夕方頃に帰宅すればいい。

 

「明日海浜幕張駅で十三時。よろしく」

 

送信、と……。携帯電話、中々使えるじゃないか。

完璧なツールではないが、やはり便利だ。

『了(*´꒳`*)解! ゆきのん、大丈夫らしいよ! 

  ヒッキー、ゆきのんのこと、よろしくね_(._.)_』

 

これで雪ノ下への連絡は一段落。

最後に由比ヶ浜にありがとう、と連絡をしておこう。

 

「分かった。助かった。」

『うん!』

 

え、なにこれ頷くのにもメール送ってるわけ?

いつ切ればいいか分からないじゃん。

やっぱ携帯電話って不便だな……。

俺は先程取り出した文庫本を本棚に戻し、ベッドを整理する。

いや、別に?この部屋に一色が来るから、

整理してるわけじゃないですよ?

そんなラブコメ展開、この俺の身に起きるわけがない。

そうだろ比企谷八幡。

 はある程度片付けると、そのままベッドに倒れ込み、

意識を飛ばした。

 




いかがだったでしょうか。読み返す度に恥ずかしくなるくらい酷い文章。「彼女」を気にかける比企谷八幡と一色いろはのデートはまだ続きます。今回いろはほとんど出てなかったしね。
それでは次回予告。
いろはちゃんが料理! 彼女の真っ直ぐな姿に比企谷八幡は……?
お楽しみに。
ではこのあたりで筆を置かせていただきます。
三月某日、3期PVを見て泣きながら。
佐倉彩羽

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