雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。 作:佐倉彩羽
更新がドタバタしているうちに遅れてしまった……。申し訳ないです。
様々な春アニメの延期が発表される中、私は今期はかぐや様は告らせたいの1話を視聴しました。最近一期を一通り見たのですが、面白いですなあれ。いつかssも書いてみたいです。
では、久々の更新となりましたが本編へ行きましょう。
どうぞ。
「……ぱい、……ぱい」
誰かが呼ぶ声がする。その声は甘ったるくて、けれど優しい声だ。
「ん……、もう朝か」
「おはようございます、せんぱい」
「おう、おはよう、早いな」
「まぁ小町ちゃんと朝ごはん作っていたので。
あと小町ちゃんの見送りするなら早くしてください」
「おうよ、すまんな」
俺は一度伸びをすると、着替えを取り着替えようとする。
「せ、せんぱい馬鹿なんですか? 見られたいんですか?」
「あ……、すまん、ちょっと先降りてて貰えるか?」
「りょうかいです……」
一色は昨日のことをなかったように振る舞う。
寝ぼけていたとかなのだろうか。
俺はとっとと着替えを済ませると、
小町と一色が待つリビングへと降りた。
父母は既に仕事へ出勤していて、
俺と顔を合わせる時間はほとんど無い。
どうせ父親のことだから、小町に執拗に頑張れよ、
落ちるなよ、お父さんは応援してるからな! って
言っている姿が目に浮かぶ。娘大好きフリスキーだからなぁ、あの人。
「お、お兄ちゃん、おはよう! ゆうべはお楽しみでしたね〜」
「いやなんもやってねえよ。
何ゴンクエストかよお前プレイしてたのかよ」
「え? 何言ってんのお兄ちゃん、ほら、さっさと朝ごはん食べて」
「お、おう」
元ネタ知らずに使っていたんですね……。
ド〇ク〇、面白いけどな……。
「いやぁ、それはそうとせんぱい、
昨日は激しい夜を過ごしましたね、腰痛いですよ〜」
「え、まじで一色さんに手を出したのお兄ちゃん」
「いや手出してないから。俺にそんな根性ないから。
だからそんな目をするのはやめてね小町ちゃん」
「いやぁ〜? 別にいいんですよ、
お兄ちゃんといろは先輩がどんな関係になっても!
ただ小町的にはちゃんと告白とか段階を踏んでからにして欲しいかな〜」
告白、か……。
一色の方を振り向くと、口元で何やらブツブツ言っている。
「あ、そうだいろは先輩、L〇NE交換しません?」
「うんいいよー! あ、はい、QRコード」
「はーい、読み取りますね〜、……あ、来ました!
ありがとうございます!」
「ううん、いいよ〜」
ほー、L〇NEってこんな感じで交換するのか、便利な世の中だなぁ。
「あ、せんぱいも交換します?」
「いや俺やってないじゃん? 知っててやってるよね?」
「やってないって女子が男子に交換迫られた時に断るいい方ですよね〜、ま、せんぱいメールありますし別にいいんですけど」
時計を見ると、小町が出発する時間である。
「おい小町、時間」
「うっわやばぁ!」
そういうと小町はまとめておいた荷物を確認している。
「あ、せんぱい、私も小町ちゃんと一緒に出るので」
「お、そうか、荷物はまとまってるのか?」
「せんぱいが寝てる間に終わらせましたよ、
あとちょっとは寂しがってくれてもいいじゃないですか」
「はいはい寂しい寂しい、一色がいないと寂しいよ」
「うっわこの人超適当……。ま、せんぱいらしいですけどね」
「お二人共並んでカップルみたいですね〜、
これが見れただけでも小町は頑張れますよ」
「誰がカップルだよ……」
「……カッ、プル」
小さく呟いている声が俺の耳に入る。
「お、いろは先輩どうかしたのかな!
昨日の夜、効果あったのかな?」
「何一人でブツブツ言ってんだ、小町、さっさと行くぞ」
「はいはーい、いろは先輩準備できてます?」
「……あ、うん、じゃ、行こっか、
あ、朝ごはんちゃんと食べてくださいね」
「おう、行ったあと食べるわ。洗濯とかは家でやるのか? 」
「まぁせんぱいに触られるの絶対嫌ですし、
ちょっと恥ずかしいですし……」
おいそんなマジで顔を赤く染めるな。
ちょっと可愛いと思っちゃうだろうが。
俺達は家の扉を開けて、家の前で立ち止まる。
「じゃあお兄ちゃん、行ってくるであります!」
「おう、忘れ物はないか?」
「うん、ないと思う! あ、終わったら連絡するね」
「おう、それと一色も悪かったな、
小町のためとはいえ泊まってってもらって」
「いいんですよ、私もそれなりに楽しかったですし」
「お、おう、そうか……」
「せんぱいは私といても楽しかったですか? 二日がかりのデートっ」
「あざといなぁ……、
まぁ、そのなんだ、楽しかったっちゃ楽しかった」
「そ、そうですか……、せんぱいが素直になるのキモイです」
「はいはいそうですか……」
「やっぱお二人共仲良いですね〜、あ、時間やばい!
行きましょういろは先輩」
「うんそうだね、じゃ、せんぱいさよならでーす」
「じゃあな、頑張れよ」
一色と小町はそれぞれ駅の方向へ。
何故か手を繋いでるんるんで歩いている。
おいそこの今日面接のはずの受験生、
そこの女子高生とるんるんで歩くな。
お兄ちゃん見てて恥ずかしいだろうが。
俺は一色達ふたりを見送って、そのまま部屋へと戻る。
部屋へ入り、誰も居ないはずの空間で俺はふぅ、と長い息を吐く。
疲れた、とは違う何かが体から溢れ出てくるのを実感しつつ、
俺は食べっぱなしの食器を片付けることにした。
ソファに目を向けると、我が家の猫、カマクラがぐぃーっと伸びて、
ふーすーふーすいっている。
お前別に疲れてないだろ……、と、小さく笑みが零れた。
片付けを終えるとカマクラが伸びているソファへと座る。
誰もいないこの空間は久しぶりな気がする。
この数日間、とてもドタバタした日だったと思う。
雪ノ下雪乃に対する雪ノ下陽乃の "ちょっかい" から始まり、
一色と出かけることになり、
その後一色が我が家に泊まることになり、
今日は雪ノ下と出かけることになる。
……なんだこれ、この後俺雪ノ下に突き刺されるんじゃないの?
で、その雪ノ下は一色に刺される。それ何daysだよ。
我ながらよく外出しているなと思う。
普段自宅こそ至高、外出しないことが正義、休日は休むべきだ、と
自分の中で謳ってきたが、外出も悪くない。
しかし、多分一人で外出、となれば話は別かもしれない。
この数日間は俺一人ではなく、必ず誰かと一緒にいた。
訓練されたプロのぼっちである俺はぼっちである事を誇りに持ち、
馴れ合いを忌み嫌う人間だ。
そんな俺が一緒にいて、心地よいと思った人間は数少ない。
雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣と過ごした奉仕部の空間。
最愛の妹、比企谷小町と生活しているこの家。
俺の唯一無二にして友人、戸塚彩加と過ごす日々。
そして、俺が唯一、後輩と呼べる生徒会長、
一色いろはと二人で過ごす時間。
……
らしくない言葉を呟くと、にゃー、と愛猫が返事を返す。
「……ふっ」
そう小さく笑うと、
俺は自分の手元に目を戻し、再び洗い物の続きを始めた。
いかがでしたでしょうか。
次回への繋がりを考えてかなり短くさせて頂きました。御容赦ください。
これにて一色いろはデート回が終了です。次回から雪ノ下雪乃回へと移ります。これからもダラダラと続けていく所存でありますので、ごゆっくりお付き合いください。
さてさて、次回予告は先述したとおり、雪ノ下雪乃回です!
次回もお楽しみに。
では、この辺りで筆を置かせていただきます。
4月某日、いろは誕生祭を心待ちにしながら。
佐倉彩羽
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