雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。 作:佐倉彩羽
なかなか更新ができず申し訳ない……。
UAも15000を超えました。ありがとうございます。
さて、先日一色いろはちゃんのお誕生日でしたね!
Twitterもトレンド入りして、俺ガイルの作品の大きさを感じました。
次のお誕生日は戸塚くんの5月9日ですね!とつかわいい、ほんと。
アンソロも発売され、読了しましたが本当にこの作品は読み手によって印象が変わっていきますね……。
さて、さっそく本編に行きましょうか。
どうぞ。
約束の十三時まで、後十五分といったところだろうか。
俺は雪ノ下との集合場所である海浜幕張駅に来ていた。
彼女を待ちながら、今日のプランを確認する。
時間的にはかなりシビアだと思うが、世間は今日は平日である。
多少は空いていることを期待して、妹に連絡をいれる。
受験がようやく終わって家で出迎えたいのも山々なのだが、
今回ばかりは仕方がない。帰ってきたら土下座しよう。
俺はメールを作成する。
「受験、お疲れ様。頑張ったな。ほんとによく頑張った。
けど、悪い。今日雪ノ下と出かける用事が出来た。
ご飯一緒に食べれない。
帰ってきたらお兄ちゃんこき使っていいから許してくれ。」
送信ボタンを押し、少し長い息を吐く。
「あら、早いのね」
後ろから声がして、ふと振り向くと、
普段は黒髪ストレートロングの彼女が、ツインテールにして立っていた。
「その髪型、久しぶりに見たな」
「そう? ……まぁ学校ではしないわね」
雪ノ下はふむと考えるように、さらりと自分の髪を撫でる。
「ほーん……、休みの時だけか。まぁ、手間かかるもんな」
やったことがないから全然わからんが、
ツインテは左右のバランスが難しそうだ。
俺クラスともなると、休みの日は一生ジャージだし、
小町の目に入らない限りは余裕でTシャツパンイチだから、
日によって気分を新たに装いを一新するという、
その丁寧さには普通に感心してしまう。
しげしげと眺めていると、雪ノ下はぽつりと、小さな声で呟く。
「……休みの日でも、あまりしないけれど」
は? なにこいつ……。
今、普通に可愛くてびっくりしたわ。え、待って、可愛い。
やだ何この子、超可愛い。けど口に出したら
『へぇ……お可愛いこと』とか言われかねない。
何宮グループの令嬢さん? 2期放送おめでとうございます。
「その……なんだ、新鮮なのもそれはそれでいいな、うん。」
「そ、そう……、それは、どうも……。
で、本当にディスティニィーに行くつもりなの?
貴方が? 理由もなく?」
「え、なに、俺がディスティニィー行こうって言ったらそんな不自然? 今日はそういう気分なんだよ、ほら、時間無くなるから行くぞ」
「そう……、なら、いいのだけれど」
俺が先導し、駅のホームへ向かう。
ホームへ向かう階段を登っていると、電車の音が聞こえる。
「おい、ちょっと急ぐぞ」
「……ええ、せっかくのパンさ……、
アトラクションが乗れなくなってしまうものね」
階段を駆け足で登り、ギリギリで電車に乗り込む。
車内はそこまで混んでいないが、座席は一席のみ空いていた。
「あそこ空いてる。疲れただろ? 座れよ」
俺はそう言いながら、そちらの方へ歩く。
「そう? ならお言葉に甘えて」
と、静かに着席する。着席すると同時に長い息を吐いて、少しリラックスしている。
海浜幕張からディスティニィーがある舞浜までは京葉線で二十分程度。雪ノ下は階段で疲れたのか、
車内座席でぜえぜえ息を吐いている。ほんと体力ないな、この子……。
南船橋駅で雪ノ下の隣の人が降り、空席になった。
「座れば?」
雪ノ下が言う。俺は彼女の隣に座ると、
お互いの足がぶつかってしまう。それがなにか気恥ずかしく、
ふいっと顔を逸らしてしまった後、数秒後に謝った。
「す、すまん」
「まぁ、狭いものね。仕方ないわ」
彼女は小さく微笑むと、
電車内のディスティニィーの広告を眺めている。
千葉あるあるなのか、ディスティニィーの広告は
やけに目につくとこにあって、しかもそれが大層面白そうなので、
ついじーっと見てしまうことがある。
まぁ雪ノ下さんはパンさん目的でしょうが。
お互い無言のまま、舞浜までやってきた。
「おい、降りるぞ」
「わかってるわ」
短いやり取りを交わし、
ディスティニィーのメロディーの駅メロを聞きながら下車する。
ここからディスティニィーまではほとんど距離はない。
むしろ舞浜駅はディスティニィーと言える。
つまり舞浜はディスティニィー、
舞浜は千葉、千葉はディスティニィーだった……?
そのまま少し歩いてパスポートを購入する。
ディスティニィーはその世界観からか、お客のことをゲスト、
チケットをパスポートと呼んでいるそうだ。
雪ノ下の姿を探すと、この方年パス所持者であるため、
ゲート周辺をうろちょろしていた。
そのまま合流し俺と雪ノ下は入口のゲートを通ると、
ゲートの先にはおしゃまキャットのメリーちゃんが。
おしゃまキャットのメリーちゃんとは、
女子に人気の高いディスティニィーキャラクターのひとつで、
なんかピンクの猫だ。確かあーしさんが好きだった気がする。
雪ノ下はチラッとみると、スタスタと歩き出す。
パンさん以外は写真撮らなくていいのかよ……。
門から覗くその正面には巨大なツリー、
西洋風の建物が並ぶメインストリート、
その背景にあるのは白亜の城。
何度も来たが、やはり映画の中のようだ。
前回は取材という側面があったが、
今回はただ遊びに来ているだけなのだが、
小町の為に何枚か写真を撮っておく。
「相変わらずすげえな……」
「ええ、そうね」
「まずはどこ行く?」
「あ、あの……」
あの雪ノ下がモジモジしている。珍しい。
もじノ下さんがなにかを言いたそうな顔をしていたので、
このまま眺めていたい気分を抑え、俺から声をかける。
「なんだ?」
「し、写真を撮りたいのだけど……、撮って、もらえるかしら」
あぁ、ツリーか。どうせパンさんと一緒に撮りたいって言うだろ。
まぁそれで雪ノ下姉からの心労が安らぐなら別にいいだろう。
「おう、じゃあカメラ貸してくれ。撮るから」
「……は? 貴方も写るのよ?」
あぁ、そういう事ね……。
じゃない。雪ノ下と俺が? ツーショット? は?
雪ノ下雪乃は嘘はつかない。つまりホント。
どうやら雪ノ下さんと写真を撮るとかいう、
おかしな世界線に俺は転生してしまったらしい。
スライムじゃなくて良かった。死に戻りとかの能力でもついたのかな。
まぁ、一枚くらいならいいだろうと、気恥しながらも承諾の旨を伝える。
「……自撮りとか慣れてないんだが、任せていいか」
「……ええ」
俺たちはツリーの前に移動すると、
雪ノ下は自分のスマートフォンを取り出す。
雪ノ下は俺のすぐ隣に移動すると、スマホのカメラを起動し、
控えめながら俺の腕に腕を絡めてくる。
そして、インカメラで二度ほどシャッターを切った。
完全な不意打ちで固まっていると、
雪ノ下は画像を確認して、恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべ、
「こんな、感じ……」と、めちゃくちゃ小声で言い、
こちらにちらとスマホを見せてくる。
加工も修正もされていない写真データは、
互いの腕が絡んでいるのに、妙に隙間が空いていて、
見るからにぎこちなさが漂っていた。
それを見て、深いため息が出る。
マジかこいつ……をこっちの想像はるかに超えて心臓に悪い。
第一、俺たちは俗に言う交際状態でない。
第二に、雪ノ下がこんな積極的にスキンシップをとるやつじゃない。
たとえ世界線が変わってもそんなことは無い……はず。
「いや、今のはダメだろ……」
俺が赤面する顔を両手で覆い、
半ば頭を抱えるように言うと、雪ノ下は幾分焦ったように、
あわあわ取り繕おうと頑張る。
「ご、ごめんなさい、えっと」
ちょっと意地悪したくなってきた。やばい。可愛い。
「取り直しだ。俺の目が死にすぎていてやばい」
言って俺は自分のスマホを構えた。
雪ノ下はきょとんとしていたが、慌てて前髪を直し直しして、
立ち位置を確かめる。
じりじりっと距離を詰めると、覚悟を決めたようにぱっと腕を広げた。
「ど、どうぞ……」
いや、腕を広げなくていいんだよ、こっちまで緊張するだろやめろ。
ちょっと意地悪したくなっただけなのに……。
思いながらも、俺は先ほどと同じく腕を伸ばし、
けれど、ほんの数センチだけ距離を詰めた。
「撮るぞ」
「は、はい……」
雪ノ下の声はよれよれの癖に背筋だけはピンと伸びて、
触れた肩口からが強張りが伝わってくる。
絡めた腕はちょっと震えているようにすら思えた。
いや、まあ、俺もめっちゃ震えてるんだけど。
手ぶれ補正を信じてパシャリと撮って、そのままスマホを見せる。
それをおずおず覗みこむと、雪ノ下がふっと弾けるように笑った。
「目、変わってないじゃない。ちゃんと腐ってるわ」
「大丈夫だ、加工したらなんとかなる。化学の力は万能だ」
写真加工アプリを即ダウンロードし、しゃしゃっと弄ると、
雪ノ下はそれをへーとかなんとか言いながら興味深そうに見ている。
まぁ、この子の顔面、補正いらないもんな……。
「それ、送ってくれるかしら」
「いや、お前の連絡先知らんし……」
あっ、と雪ノ下は驚いたような顔をすると、
雪ノ下は携帯の画面を開く。
「これ、追加して」
「はいはい」
さっさと連絡先を交換すると、雪ノ下に先程の写真を送る。
雪ノ下は満足そうにそれを見ると、こちらをみて微笑む。
「じゃあ、行きましょうか」
「ああ」
時間はお昼すぎ。アトラクションが少ないこのメインストリートは
人通りが少なく、奥の白亜の城がより壮大に見えてくる。
ゆっくりと、その城の正面へ向かいながら歩を進めて行った。
その距離感は、少しずつ、少しずつ近づいていく。
いかがでしたでしょうか。
雪ノ下雪乃と比企谷八幡、前回までの一色いろはよりも繋がりが長いですから、というかもとより俺ガイルの原点の二人でした。
ゆきのん、本当に可愛いですよね……。私が大好きなキャラクターの一人です。俺ガイルキャラみんな好きなんだけどネ!
さて、次回はディスティニィーゆきのん続編になります!どこまでかけるか分かりませんが、もう既にこちらでは完成しているので、更新できる時は早めに更新していきたいですね!
では、次回もお楽しみに。この辺りで筆を置かせていただきます。
4月某日、ぬるくなったMAXコーヒーに浸りつつ。
佐倉彩羽
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