雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。 作:佐倉彩羽
さて、4月も下旬へと近づいてきました。皆様大変な日々をお過ごしされていると思います。この状態が早く解決するよう、願っています。
さて、前回に引き続き雪ノ下雪乃回です。
ディスティニィーランドへきた雪乃と八幡。
ちなみにディスティニィーは、『千葉の女子高生100人に聞いた、理想のデートスポット』でもありますね!
さて、早速本編へ行きましょう!
スペースユニバースマウンテン、それは宇宙のマウンテンである。
俺達は三大コースター系アトラクションの一つ、
その宇宙のマウンテンの列に並ぼうとしていた。
なぜ並ぶか。それは横にいる雪ノ下が言ったからだ。
スペマン(スペースユニバースマウンテンの略)前を通った時、
彼女が「リベンジ……」と、負けず嫌いのんが発動した為だ。
ジェットコースターは乗れないと思っていたが、
まさか雪ノ下が乗りたいと言い出すと思わなかった為、
予定には無かったが乗ることにしたのだ。
待機列は思ったよりも長くなかった為、思ったよりすぐに乗れた。
乗車中の雪ノ下と言えば、ずっとレバーを握って終始無言だった。
確かに怖いけど、ずっと握ってなくて良くない……?
「おい、大丈夫か」
「……えぇ、大丈夫よ。前よりは……」
その状態は大丈夫と言うのだろうか……。こんな状態で大丈夫?
と、心配していたのだが、
雪ノ下は次の目的地に着く頃には完全回復していた。
そう、もう分かったね! 次なるアトラクションは、
『パンさんのバンブーファイト』でーす!
このバンブーファイト、雪ノ下の情報通りで、
世間はバレンタイン色いっぱいの中、
そんなの知るかこっちは旧正月のほうが大事なんだよ!
と言わんばかりにバレンタイン色がない。
長蛇の列ではなかったが、
俺の特技であるひたすらぼーっとする術を使っていると、
待ち時間もさして気にならなかった。
やがて、建物の中に入るとその暖かさにほっと息が漏れる。
三、四人乗れるライドを、二人で乗ることに。
とても広々としている車内に、
雪ノ下は颯爽とライドに乗り込むところだった。
俺も続いて乗り込むと、ライドの扉が閉められる。
係のお姉さんに手を振られ、
「バンブーファイトの世界に、行ってらっしゃーい」と見送られた。
ライドは暗闇の中へと移動していき、
進んだところで、急に赤やオレンジの光がはじける。
「広いわね」
雪ノ下がぽつりと言った。
「まぁ、二人しかいないからな」
ライドはなおも進み、大きなスクリーンの前へ出た。
スクリーンの中にパンさんは縦横無尽に駆け回り、
ぬいぐるみのパンさんがアトラクション内を所狭しと跳ね回る。
俺たちの乗るライドもパンさんの動きに応じるように、
アトラクション内を動き回る。
「おー、これすげえな……」
「まぁ、パンさんですもの」
思わず感想が漏れてしまい、前回は私語厳禁だった為一瞬焦ったが、
雪ノ下が返してきて驚いたと同時に、
雪ノ下の顔を覗くと、優しいほほ笑みを見せた。
なんだこいつ。可愛いな。
×××
『パンさんのバンブーファイト』を出たすぐところに、
パンさんショップがある。
俺は雪ノ下の方をみると、
雪ノ下は小さく頷くと、そのままパンさんショップと駆け込む。
「今日、小町さん受験終わりよね。
なにかパンさんグッズを買ってあげたほうがいいのかしら?
そうすると、最近発売した新しいグッズの方がいいわよね……? と、なるとこれかしら」
やっべぇ、小町パンさん好き設定なの忘れてた……。
それに小町が受験終わりということで雪ノ下本気出しちゃってるし、
うん、そんな本気出さなくていいのよ?
後で小町にパンさんについて学ぶよう言っておかなきゃ……。
「比企谷くん、これは小町さん持っていたりする?
買ってあげたいのだけれど」
「あー、確か持ってなかった気がするぞ。
わざわざ買ってもらうことないのに……。俺が出す。
雪ノ下が選んでくれたと言えば喜ぶし、
俺が何も買わずに戻っていくと小町に怒られそうだしな」
「そ、そう……? でも、そこそこのお値段よ?」
「いいよ、レジまで運んでくれるか」
そう言い、二人でレジ待ちをしていると、俺たちの番になる。
「あ、カップルさんですね! お幸せに!
これは彼女さんへのプレゼントですか?」
レジの係のお姉さんがそう言うと、雪ノ下が顔を赤らめ、
「あ、あの……別に、そういうのじゃ……」
など、隣にいる俺にギリ聞こえる声で言う。
「プレゼント用の包装、お願いできますか」
係のお姉さんの質問に答えず、そう伝える。
お姉さんはニヤニヤしながら会計を済ませてくれた。
「ありがとうございましたー」
パンさんショップから出ると、もう日は沈み始めていた。
「これからどうする?」
「パレード……」
「パレードか……、前回見れなかったからな、行くか」
「いいの……かしら?」
そう俺に確認するよう聞く。
だからその首をきょとんとするやつやめろ。
うっかり惚れそうになるだろ。
「まあ俺特に行きたいところないしな、任せる」
雪ノ下によると、パレードが一番見やすいのは白亜の城前らしい。
俺たちは白亜の城の方面に歩いていっているが、
バンブーファイトから白亜の城へ向かうこの道は、
白亜の城が近づくにつれて段々人の数も増えてくる。
人気のおもちゃのキャラクターのアトラクション前辺りまで来ると、
かなりの人混みである。
突然、俺の服の袖が掴まれたような気がした。
誰かと思ってみると、雪ノ下が顔を赤らめながら少し俯き、
俺から離れないように捕まっている。雪ノ下は俺に気づくと、
「あ、あの、ごめんなさい……」
と、袖から手を離そうとする。俺はそれを遮って、
「いや、いい。はぐれて探すの面倒だしな」
俺たちはそのままの状態で人口密集地帯を抜け出し、
白亜の城が望める広い道にたどり着く。
周りをみると、
パレードの為に中々の人が場所取りを開始しているようだ。
「レジャーシートでも持ってくりゃよかったな……」
俺がそう呟くと、雪ノ下はきょとんとする。
「あら、気が使えるのね」
「はぁ? ばっかお前めっちゃくちゃ使えるよ。気ぃ使ってるから
誰にも迷惑かけないように静かに端っこいるんだろうが」
話しかけたりしないし、並んで歩かずに一歩後ろ歩くし、
誰かの予定を邪魔しないように誰も誘わないし。
気遣いの達人過ぎて操気弾くらいなら今すぐ撃てるレベル。
「そうね、あなたは部室で文字列しか読んでいないから、
空気も読めないし気も使えないと思ったわ」
「残念だったな、俺クラスの読書家ともなると行間までちゃんと読んでる。ってこれ前言っただろ」
「あら、そうだったかしら」
雪ノ下はそう微笑むと、一度腕時計を見る。
「そろそろいい時間だし、場所取りをして食事をしましょうか」
確かにパレードを見るならいい時間だろう。俺は賛同し、
雪ノ下は場所取り、俺は食事と別れて作業することになった。
―なのだが……、「なんでもいいわよ」はないだろ。
パスタとかアラビアータとかタリアータとかじゃなくていい?
って聞けばよかった。
まぁ……、適当にファストフードでいいか、見ながらだし。
俺は購入を終えると、雪ノ下に連絡する。三コール程で出た。
「……もしもし」
「俺だ、買い終わったがどこ行けばいい?」
「誰?
私こんな目の腐った人と連絡先を交換したつもりないのだけれど」
「おい、分かってんじゃねえか、どこ行けばいいんだよ」
「白亜の城の前の木が生えている場所があるでしょう?
そこを城前プラザと言うのだけれど、
そちらの海賊の方―アドベンチャーワールド方面にいるから、
着いたら手を上げてちょうだい。」
「了解」
俺は雪ノ下が指定するスペースに向かい、雪ノ下を探す。
辺りは一面人、人、人。
今日が平日であることを忘れるくらいの数である。
まぁ千葉県内今日入試だしね、仕方ないね。
目の前にそびえ立つ白亜の城は、
パレードと期間限定のプロジェクションマッピングの為に、
着々と準備が進められているようだ。
城のある広場に四つの柱からは紫色のライトが城を照らしている。
メインストリートへと繋ぐ道はもう既に通行規制が始まっており、
パレードを見ようとするもの、
メインストリートでお土産を買おうとするもの、
パレードで空いた時間を生かしてアトラクションに乗ろうとするもの。
この手のテーマパークは基本ぼっちでは来ないので、
横に広がって話しながら歩く人が多いため、
なかなか前へ進めないのが苦痛でしかない。
まだこの時間は空いている方だが、
花火が終わった時間帯に関してはもう地獄でしかない。
メインストリートはそれなりの道幅が存在しているのにも関わらず、
その道が人だらけになるんだぜ? あれはもう地獄。
それに比べれば、正直雪ノ下を探すのは容易だ。
ここには中々の数がいるが、雪ノ下は周囲から目を引くような美貌だ。
俺は彼女の姿を見つけると、軽く手を上げる。
雪ノ下も俺に気づくと、ゆったりと、優しい笑顔を見せ俺を手招く。
「案外すぐ見つかって良かったわ」
「よくあの魚の群れのような中から見つけたな。
俺のステルスヒッキーも廃れてきたか……」
「あなた、この場の雰囲気に合わないような異彩を放つのよ。
見つからないわけが無いじゃない」
まぁ、確かにそれは一理ある。
周りを見渡すと、
頭にネズミの耳が付いたカチューシャを付けていたり、
ディスティニィーキャラクターの帽子や服を身に着けていたりする。
それに対し、俺は小町セレクトのそれっぽい服。え?
小町セレクトでも俺やばい? マジ?
閑話休題。
雪ノ下セレクトのこの場所は、
白亜の城、そして城前プラザを一周する道路がある程度見渡せる、
ディスティニィーに通っているからこそ分かるスポット
……なのだろうか。そこそこ人もいるし。
雪ノ下は事前準備が良くて、レジャーシートを地面に引いて、
しっかりと場所取りをしてある。
ちな、レジャーシートの柄はパンさんな。
「んで、いつ頃始まるの」
俺が雪ノ下に聞くと、雪ノ下はその平らな胸を反るようにしていう。
「えぇ、予定だと十九時三十分ね。
今回のパレードはいつもと同じようなパレードなのだけれど、
このパレードは2001年から始まっていて、
計六回構成が変わっているの。
登場キャラクターもとても多くて昔から人気のあるパレードなの。
貴方も見たことがあるでしょう?」
で、出た! ディスティニィー通と化したユキペディアさん。
その知識の数々は尊敬に値するが、
ここまで本気出されても俺がついてこれないんだよなぁ。
置いていかないで! ユキペディアさん!
「流石ユキペディアさんだな」
「これくらい常識の範疇よ。
それと、そのユキペディアさんという言い方、やめてくれるかしら」
冷たい目で睨むように言うと、顔をふいっと逸らす。
「はいはい分かったよネコペディアさん」
「分かればいいわ」
そう言うと機嫌を直したのか、
俺が買ってきたファーストフードを手に取って、
小さな口で頬張る。顔がほころんでいるのが俺にも見て取れる。
「久しぶりにこういうのを食べたけれど……、悪くは無いわね」
そういうと、また一口頬張る。俺も自分のものを食べ始め、
パレードが始まる頃には全て食べ尽くしていた。
「始まるわね」
「そうだな」
雪ノ下はカメラを構え、
いつパンさんが出てきてもおかしくないように構えている。
まぁ、前回見れなかったしな。というか、言ってくれれば行ったのに。
パレードが始まる前の紹介が流れると、
先程までパークを包み込んでいた騒々しさは消え、
発音のいい英語での紹介が流れている。
例のBGMが流れ出すと、所々で歓声が聞こえ始め、
隣に座る雪ノ下さんも少しリズムに乗って体を揺らしたり、
口ずさんだりしている。そして俺の方をちらっと見ると、
少し頬を赤らめてぷいっとまた顔を逸らす。
これの無限ループである。
フロートが姿を現すと、
多くの人がカメラを取りだしキャラクターに向けてシャッターを切る。
雪ノ下も例外ではなく、パンさんだけではなく、
全キャラクターを撮るおつもりのようで、所々連写しているようだ。
俺も小町の為に写真を撮ろうと、スマホで何枚か撮る。
そういえば、小町ってディスティニィーキャラクター
何が好きなのだろう。
雪ノ下にはパンさんが好きと言ってしまったが、
実際のところは不明である。
どうしよう。おしゃまキャットのメリーちゃんが好き!
とかだったら……。
パレードも終盤になってきた所で、
雪ノ下さん本命のパンさんのご登場である。
雪ノ下の目付きは真剣そのものであり、
カメラをしっかりと構え、何枚も連写する。
撮った写真を見て小さく頷くと、ほっと息を吐く。
だからそんな本気出さなくていいから……。
ふと、パンさんがこちらを見る。
雪ノ下はそれに気づくと、小さく手を振る。
パンさんもそれに反応し、こちらに向かって手を振る。
雪ノ下は満足そうに、表情を緩める。
俺も忘れないように、一、二枚写真を撮る。
小町ちゃんパンさん好き(設定)だしね。仕方ないね。
俺達の前をパンさんが通り過ぎると、もう終盤戦である。
雪ノ下はその後も何枚も写真を撮って、画像を確認し、
キャラクターに手を振るを続けている。
お前パンさんだけって言ってなかったっけ?
全てのフロートが通り過ぎると、
人々はアトラクションへ向かうもの、お土産を買うもの、
プロジェクションマッピングを見ようとするもので分散する。
俺たちはそのままプロジェクションマッピングを見るため、
その場待機を貫いていた。
いかがだったでしょうか。
雪ノ下雪乃、可愛いんですよ。本当に可愛すぎて私の語彙力じゃ表せないレベル。ちなみに私が1番好きなキャラクターは一色いろはです。
次回、雪ノ下雪乃編最終回……としたい……。
ワンチャン終わらないかもしれないので、今回のように長くなるのをご了承ください。
こっから一気に終盤へと向かっていきます!もうしばらくお付き合いください!
では、このあたりで筆を置かせていただきます。
4月某日、LINE風ssと新原稿に手をつけながら。
佐倉彩羽
投稿頻度なんですけどどれがいいですかね?
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