雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。   作:佐倉彩羽

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こんばんは、佐倉彩羽です。
はい。最終回です。あとがきに沢山書きたいので、まえがきは簡潔に済ませますね。
最終回、ただただ楽しんでください。
どうぞ。


やはり俺の青春ラブコメは間違っている。

 

 

生徒会室に向かうのかと思ったが、

一色は中央階段の方へ向かっていった。

確か屋上への入口の南京錠は壊れていたはず。

女子の中では結構有名だというその話は、

一色いろはの耳にも届いていないはずがない。

階段に登るにつれて、

文化祭やらなんやらで使った荷物が無造作に置かれており、

やけに狭い通路を身を捩らせ、一歩一歩進んでいく。

しかしそれもある一点でその荷物や資材は減っていき、

その終点、開けた踊り場でふと、一色が止まる。

 

 

すぅーっと、俺にも聞こえるような深い深呼吸をして、

その壊れた南京錠に手をかける。

しかし、その南京錠に触れた手を動かすことも無く。

彼女は、ただじっとそれを眺めていた。

 

「なあ、一色……」

 

僅かに、僅かにその手が震えているのが見えた。

けれど、なにか意を決したように一色はそれを力をかけて引っ張ると、その南京錠は外れて、立て付けの悪い扉がギシギシと音を立てて開いた。

 

風が吹き抜け、夕暮れ時の太陽の陽射しが差し込んでくる。

一色いろはは暖かく照らされた屋上へ歩を進めた。

中心あたりまで足を進めると、くるりと振り返り、小さく笑った。

このままこの世界が崩壊していっても彼女はそう笑っているのではないか、

1枚の絵のように微笑んでいるのではないかと思わせられるほど、

やけに絵画じみていて、美しい。

 

―見惚れてしまった。

 

 

俺はゆっくりと彼女の元に進み、開きっぱなしの扉を閉める。

彼女との距離を一歩一歩近づく。

ある程度の距離になると、足を止めた。

少し俯きがちにこちらを見ると、また深く深呼吸する。

 

そして意を決したように、その小さな口を開いた。

 

「なんで呼び出したか、分かりますか」

「……正直わからん」

 

言うと、一色は「はぁ……」とこれまで見てきた中で一番と言っていいほど深いため息をついた。なんかごめんね?

 

「なんで今になってもヘタレるんですか、これだから先輩は。

 わざわざこんなロマンティックなシチュエーションなのに」

「生憎こういうのには疎くてな」

「先輩好きそうですけど。

 たまにロマンチストみたいな発言するじゃないですか」

「そうか?」

「そうです。それなのにこんな所までヘタレるって……はぁ……」

「悪かったなヘタレで」

「謝るつもりがあるならもっと悪びれてくださいよ……」

 

少しはにかんで笑うその姿に、彼女の素の可愛さが顕現する。

久々に彼女の笑った姿を見た気がする。

 

俺が何も答えずにいると、一色は一歩前に足を踏み出す。

少ししか距離は変わっていないのに、

ぐっと心臓の鼓動が高まるのを感じる。

 

もう一歩、一色はこちらに近づく。

ゆっくりと、けれど確実にその距離は縮まっていく。

そしてその距離が二メートルにも満たなくなると、

心臓の鼓動が爆速に早くなる。

どくん、どくんと身体の中で心臓の音が木霊し、

周囲にも鳴り響いているのでは無いかと思ってしまう。

 

 

「せんぱい」

 

 

「せんぱいって、ほんとにずるいです」

 

 

「……けれどっ」

 

 

そういうものの、言葉が続かないのか、少し押し黙ってしまう。

俺は彼女の言葉の続きを、ゆっくりと待つことにした。

自分から何か言い出すのは、彼女にとっても悪いこと。

自分で、足掻いて、もがいて、苦しむ。

俺がそうやってきたように。

 

「言いたいこといっぱいありすぎて、

 言葉が溢れ出てきて、どっから言えばいいか分からないので、

 簡潔にまとめますね」

 

 

 一色はすぅーはぁーと、再び深呼吸をする。

 俺たち二人の合間を、沈んでいく太陽の光が差し込んでいる。

 涼しい風は綺麗にやんで、暖かい空気がこの場を包む。

 鼓動の高まりが激しくなり、爆発しそうだ。

 

 

「私は、せんぱいが好きです」

 

 

そう、穏やかな表情で、一色いろはは俺に答えを出した。

 

 

「せんぱいのそばにいると、私は私のままで居られる。

 私の裏も表も、ウソもホントも、

 せんぱいは、ちゃんとそばで見ててくれました。

 私も、ようやく本物を、見つけたんです」 

 

 

本物。俺が欲しいもの。手にしたいもの。

でも何が本物なのか、未だにわからないもの。

もし、俺が望む本物と、

一色いろはが見つけた本物が同じものであるとしたら。

 

その本物が違ったとしても、共に本物を見つけてくれるのなら。

ならば、俺は。

この数日、ずっと考えていた。分からなかった。

この俺が抱く気持ちがなんなのか分かりたかった。

知りたかった。彼女のことをもっと知りたかった。

もっと先へ、もっと彼女と。

 

「俺は……、俺は……」

 

 

どれだけ言葉を探していても、それに適する言葉は見つからない。

たくさんの事を学んできた。

沢山の書籍を読んできたはずなのに。

 

すると一色は優しく微笑む。

 

「ゆっくりで、いいですから、言葉にしてください」

 

 

そう言われて、ゆっくり、高まる心臓の鼓動を抑える。

 

 

「俺は……、お前の事が、かわいくて、甘やかしてやりたくて、

 ずっと面倒見てあげたくて……」

 

ゆっくり、彼女は頷いてくれた。俺は続ける。

 

「今俺が抱いてる気持ちが、

 何か分からなかった。ずっと考えていた。

 でも、ようやく結論が出た。正直こんな事言うの恥ずかしいし

 今すぐ死にたい気持ちなんだけど……」

 

 

「一色、お前のこれから、俺に全部くれ。

 これまでの責任も、これからの責任も対価で俺の人生やるから」 

 

 

ゆっくりと、自分の言葉で彼女に伝えた。これで間違っていない。

言葉にはなっていたが、それが声に出ていたかは分からない。

 

返事の代わりに、優しく、抱きしめてくれた。

一色の胸の鼓動も、この距離で伝わってくる。

 

 

俺も、その手を一色の背中へと伸ばし、その小さな体を引き寄せた。

沈み込む西日の太陽の光がほのかに照らし、とても暖かった。

 

一色は俺の腕の中で小さく笑うと、俺の方を向き直す。

その頬はほのかに赤く染まっており、

差し込む夕陽に、彼女の小さな顔が照らされる。

 

 

「せんぱい、私、すっごく幸せです」

「……奇遇だな、俺もだ」

「らしく、ないですね」

「そうかもな」

 

言うと彼女はくすっと笑う。つられて俺も笑みがこぼれる。

本当にらしくない。正直明日足をドタバタさせながら

「なんで俺はあんな恥ずかしいことを……」ってなるのは明白。

 

「ほんとうに、ほんとうに長かったです。

 せんぱい、鈍感過ぎません?」

「待たせて、悪かったな」

 

返事は無かったものの、

俺の後ろに回されている手に力が入ったのがわかった。

 

 

 

「でも、そんなせんぱいが、大好きです」

 

 

 

 

 

 

 

あれからまた、桜が咲き誇る季節になった。

今日は我らが世界の妹、小町の入学式である。

この日は毎日社畜として働いている親父も母親も、

会社を休んで出席するらしい。いつもお疲れまいペアレンツ!

生徒は保護者よりも先に出る為、俺と小町は家を出る。

新しい制服に身を包んだ小町は、「えへへ小町可愛いでしょ?ねえ、お兄ちゃん」とあざとい彼女を彷彿とさせるように聞いてきたがやけに似合っていて特に言うことがない。もうこの子まじ天使。近づく男は誰であっても許しません。

 

「気をつけていくんだよ」

「お前こんな晴れ舞台に小町怪我させたらタダじゃすませねえからな」

 

相変わらず親父の小町に対する愛が重い。

小町は大きく頷くと、俺の自転車にまたがる。

 

「レッツゴー!」

「はいはい」

 

いつもの登校道。かつては一人で自転車を漕いでいたのだが、

これからは愛妹が乗って登校していくことになっている。

自転車の二人乗りは危ないから気をつけようね! 

 

やがて高校最寄りの駅に着くと、少し近くの公園へと立ち寄る。

広い公園内の先を進んでいくと、

ベンチが並び、

奥の広場にはまだ明るい太陽の日差しが差し込んでいる。

 

もう既にそこには、見知った顔が二人ほどいた。

 

「やっはろー! ヒッキー、小町ちゃん!」

「おはよう、比企谷くん、小町さん」

 

同じ部活の、由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃。

今日は小町の入学式だからと、

由比ヶ浜が皆で登校したいと言い出したのがつい二日前、

春休みを謳歌していた俺にメールで連絡をくれたのだ。

 

「やっはろーです、雪乃さん、結衣さん!

 いや、雪乃先輩、結衣先輩!」

 

小町が改まってそういうと、由比ヶ浜がばふっと小町に抱きつく。

 

「小町ちゃん制服! 可愛い!

 小町ちゃんから先輩と呼ばれる日が来るなんて……」

 

由比ヶ浜が感慨深い様子でいると、

雪ノ下が彼女たちを見ながら微笑む。はぁ……なんと百合百合しい。

ゆきゆいもいいが、ゆいこま……。いやダメだ。

人の妹を奪った罪は深い。逮捕。

 

遠くから眺めていた雪ノ下が、俺の隣まで近づいてくる。

春休みはお互い用事があってなかなか顔を合わせていなかっただけに、

やけに久しい。

 

「そろそろ行った方がいいんじゃないかしら。

 貴方を待っている人がいるのでしょう?」

「……そうだな、行くか」

 

二人に雪ノ下が声をかけて、四人で高校へと向かう。

女子三人は購買がどうのクラス分けがどうのこうの仲良く話していたが、俺は一歩後ろについて自転車を押していく。

周りの人に不審な目で見られたのは気にしない。

うん、俺は悪くない。社会が悪い。

 

 

十五分ほど歩いて、ようやく正門が見えてくる。

正門の前まで来ると、

総武高校入学式、と書かれた看板が大きく立ち、

そこで一枚写真を撮る。

 

「ヒッキーも小町ちゃんと撮れば?」

 

由比ヶ浜に勧められるがまま、小町と一枚。

小町は「お兄ちゃんと嬉しいテレテレ」なんてやっていたが、

俺はほかの生徒達の目線が痛くて辛かった。

今ほど小町が可愛くて辛かったことは無い。

 

「じゃあ俺達、ここだから」

 

俺と雪ノ下、由比ヶ浜は三年の教室へ。

小町は一年の教室へ向かっていった。

 

俺はクラス運は絶望的で、中途半端な知り合いの葉山隼人、

そして海老名姫菜と同じクラスになった。

クラスの貼り出しで自分のクラスに戸塚彩加の名前があるかどうか何度も確認したのは言うまでもない。

しかもその二人、顔を合わせると挨拶をしてくるもんだから、

他の生徒から「誰こいつ」と思われかねないか心配。

俺のぼっち生活に影響がなければいいんだけど……。

これからわたし、どうなっちゃうの〜!?

ただ、担任は平塚先生だ。

うーん、今年1年も平塚先生に巻き込まれそうだなぁ……。

ほんと、早く誰か貰ってあげて!

もう俺は貰えないから!!

 

短いホームルームの後、在校生は入学式に参列する。

校長の話の内容がテンプレなんじゃねえのと思うくらい

毎年聞いた式辞を聞いて、

その他学校関係や地域のお偉いさんの式辞を聞き流していると、

ふと視線の先に、

見たことのある人物がいる。名前順で隣に座っている葉山も気づいていたのか、俺の方を見て、少し苦笑いする。

 

「卒業式もそうだけど、やっぱ来てんのな」

「そりゃあそうだろ、地方議員が来るのって珍しくないからな」

「ほーん、何故名代なんだ? 実の娘が通ってるっていってるのに」

「どうせ母親の希望だろう、あ、その後ろに姉も来てるぞ」

 

葉山がそう言うのでもう一度見ていると、確かに雪ノ下姉の姿がある。

 

「今日妹役目ないのにな、なんで来たんだろ」

「君でも見に来たんじゃないか」

「あの人最近俺と話してないぞ?ここ2ヶ月くらい。部室には来るのに」

「あ、もう少しみたいだぞ、いろは」

 

話を逸らすように葉山隼人が言う。確かに次は在校生代表より。

 

「しっかり見守ってやれよ」

「大丈夫だ、卒業式であれだけ完璧だったんだ、しかも今回は俺監修」

「君監修と聞くと嫌な気しかしないんだが……。確かに卒業式は良かったよ。君が城廻先輩の答辞で大号泣してたのは正直引いたよ」

「うるせえ黙ってろそのことは二度と口にするな」

 

卒業式の一色の送辞は、ほぼ完璧。

いや、俺の想像を超えてくるものだった。

めぐり先輩の卒業、というのも相まって、

つい涙が零れてしまったのを覚えている。

 

ふと、司会の先生の、在校生代表より、の合図が来た。

彼女はゆっくり壇上に登っていき、中央に立つ。

 

もう、あの頃とは打って変わった会長だ。

 

「暖かな春の日差し、

 桜の香りが春の訪れを知らせてくれる今日この頃―」

 

いかにも優等生然とした落ち着いた調子で読み始める。完璧だ。

時折笑顔を見せる余裕もあり、

保護者や教師に求められる生徒会長をしっかりやってみせた。

 

完璧な在校生代表挨拶を終え、

彼女が一礼すると様々な場所から拍手喝采が起きる。

顔をあげると、ふと俺と目が合った。

彼女はニコッと笑うと、いかにも優等生っぽく降壇していった。

 

「ほら、良かっただろ」

「……熱いな」

「うるせえ黙ってろ」

「話しかけたのは君だろう?」

「おい葉山、比企谷、静かにしろ。比企谷はリア充爆発しろ」

 

ふと、平塚先生の声が耳に入った。

あんた着席しろよ……。入学式だよ?儀式だよ?

 

入学式が終わると、そのまま在校生は解散。

俺は特別棟へと足を運んでいった。

 

かなり早く来たつもりだが、そのドアはもう空いていた。

 

 

「あら、早かったわね」

 

教室内に入ると、一人、美しい佇まいの少女がいた。

いつもは手元に目を落としているが、

今日は何かを記入しているようだ。

俺は邪魔しないようにと、いつもの場所に陣取る。

 

「まぁな。クラスで話す人なんて平塚先生しかいねえよ」

「葉山くんと仲良さげじゃない?やはりあの子つながり?」

「知らねえよ葉山となんか仲良くねえよなんであいつとなんだよ」

「仲がいいのか悪いのか分からないわね……」

 

確かに彼女に誘われてサッカー部の試合見に行ったけどさ。

葉山くんがゴール決めた瞬間会場の盛り上がりと言ったら凄かった。

というか観客ほぼ女子と偉い人みたいな人達とかどういうことだよ。

総武高校サッカー部、男子サポ募集中!

 

 

俺は重ねられていた椅子を一個引っ張り出し、

由比ヶ浜と俺の間に置くと、雪ノ下が箒と雑巾でホコリを払う。

 

がらっと、ドアが開く音がした。

 

 

「やっはろー!」

「やっはろーです!」

 

元気よく入ってきたのは由比ヶ浜と、小町だった。

雪ノ下は笑顔で向かい入れると、

由比ヶ浜はいつもの席へ、小町は真新しい席へと腰掛ける。

小町は教室内を「ほー」とか「ほへー」とか言いながら見ていた。

すると小町は立ち上がり、由比ヶ浜と雪ノ下の前に立つ。

 

「比企谷小町!入部しました!今後ともよろしくお願いします!」

 

お前は警官か自衛官かっつーの。

由比ヶ浜と雪ノ下はそれを微笑みながら見る。

 

「ええ、よろしくね小町さん」

「うん!よろしくね!」

 

やはり、この3人は物凄く仲がいいようだ。

というか、あの女子四人は何気ものすごく仲がいい。

俺抜きでディスティニィー行ったらしいし。

一色いろはさんからお土産を頂いただけでした。

ちな小町はお土産買ってきてくれなかった。ぴえん。

 

雪ノ下は一人一人の湯呑みを取り出し、

そこにティーポットで紅茶を注ぐ。

というかもう小町の用意されてたのね。

パンさん柄だし。流石雪ノ下さん。

 

「どうぞ」

「ん、サンキュ」

 

雪ノ下の用意した紅茶を飲むのは久しぶりだったが、やはり美味しい。

ふぅ、と長い息を吐く。

三年になってから特に変わったという事はないが、

俺たちはもう受験生。

ホームルームでも受験の話ばかりされていて、

もう意識せざるを得ないのだ。

そんなことが話題に出て、女子三人は仲良く談笑している。

四人いて一人ハブってどういう事ですか?

なにそれハブタニくん?何タニくんだしぃ?

 

ふと、トントンとノックがされる。

 

「どうぞ」

「失礼しまーす」

 

間延びした声で入ってきたのは、

一色いろはだった。

 

 

「いろはちゃん! お疲れ様!」

「いろは先輩凄かったです!」

「お疲れ様、一色さん、紅茶いかがかしら?」

「ありがとうございます〜、いただきますね」

 

依頼人用の椅子をわざわざ俺の隣にまで持ってくると、

俺の制服の裾を握って、ゆらゆらと揺らす。

 

「せんぱーい、私疲れました、頑張りました」

 

入学式後の片付けをすませてきたそうで、

彼女はあざとくへとへとアピールをしてくる。

何この子、物凄く可愛い。もうマジで可愛い。毎朝俺の味噌汁を作って欲しい。最近小町が冷たいからまじいろはす天使。小悪魔だけど天使。

 

「いろは、良くやったな。お疲れ様」

 

そういって頭を撫でてやると、いろははパシンと俺の手を払う。

 

「……そういうのは、2人きりのときでお願いします……。

 ここだとマジそれ気が緩んでボロが出そうなんで……」

 

ねえ何この子。本当に可愛い。あざといとかもう通り越してただただ可愛い。ねぇ?何?この子一体何なの?まぁ可愛いからどうでもいいな(思考放棄)。

 

「お、おう……。悪かったな」

「いえ。こういう時は愛してる、でいいんですよ!」

「おいそれは恥ずかしいNG」

「じゃあ大好きは?」

「……2人きりのときでお願いします……」

 

「比企谷くん?」

「ヒッキー?」

「お兄ちゃん、そういうのはどこでもしていいわけじゃないんだよ……」

 

何か物凄く冷たい目線と呆れられた言葉を投げられたような気がしました、よく分からないけどきをつけようとおもいました。

 

「せんぱい、これからもよろしくですっ」

「最低でもあと1年は面倒見てやるから安心しろ」

「留年は?」

「しないから本当に受験の話はやめてくれ現実見たくない」

「うん、いろはちゃんその話はあたしもダメだ……」

「二人ともしっかり勉強しなさい……」

「俺は文系学年3位だからな」

「学年3位程度で威張らないでもらえるかしら。しかも文系という科目で。全教科学年一位を取らなきゃ威張れないでしょう」

「うわでた負けず嫌いのん……」

 

紅茶の香りと、この教室いっぱいに、穏やかな気持ちが溢れる。

もしこの物語が終わるのなら、結末は雪じゃなく雨が降ればいい。

そう歌ったのはやなぎなぎだっただろうか。

けれど、俺はただ晴れればいいと思う。

暖かい斜陽に、この教室が包まれ、永遠に続けばいい。

これが正しい結末かどうかは知らない。

これが俺たちの結末なのかもまだ分からない。

 

けれど。

 

やはり。

 

―やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

                                                                 了  

 

 




「雪が解け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春が来る。」
いかがだったでしょうか。
いやぁ、無事完結です。くぁ^〜疲れましたw
裏話をしますと、この物語、最初の第1話を短編で書ききったあと、読んでみて「これ長編にできるのでは?」と受験期の深夜テンションで書き始めた物語を、再びリテイクして書き直したものです。正直語彙とか正しい文法等が上手く使われていなくて読みずらかったかもしれませんが、ここまでついてきて下さった読者の皆様、本当にありがとうございます。
さて、全20話(19話)となりましたこの作品。
あんまりUA数とかお気に入り数、評価数は「高評価つけてくれたら嬉しいなワクワク」程度に思っていて、正直自分の趣味的要素が強く、毎日投稿とかモチベの問題で厳しかった訳ですが(おい)、投稿後に沢山の方に見ていただいて、この作品を読んでいただいて、正直めっちゃ嬉しかったです。私も立派な作家病にかかってるのかな……。
これがこの世に出る私の処女作となってる訳ですが、どうか黒歴史に残らないことを祈るばかりです。読んでくれた人が面白いと感じてくれたら嬉しいな!
今回取り上げました「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」という作品は私がこれまで出会ってきた作品で物凄く人生を変えられた作品で、この作品をキッカケに沢山の俺ガイルファンの方と出会えて、聖地千葉の事を好きになれて、何しろマックスコーヒーに出会えて、
この創作活動を始めるきっかけになりました。
大好きないろは、雪乃、結衣、八幡、陽乃、折本、葉山、戸部、戸塚、サキサキetc……
彼ら彼女らがいたから、私がいます。
さて、最後に謝辞。
原作者の渡航様を初めとする製作者様。
あなたのキャラ達、本当に大好きです。みんな生きてます。マジで書くの大変でした。読んでくださっているか知りませんが、とにかくマジでありがとうございます。
Twitter、Discordのお知り合いの皆様。
ネタ集め、マジで助かりました。今後とも美味しいネタ提供してください。よろしくお願いします。え?LINE風ssあく?なぁに、余裕ですよ!ガハハ!
そして読者の皆様。
この作品に触れていただき、本当にありがとうございました。
今後とも佐倉彩羽は俺ガイルssに限らず、様々な作品の創作活動をしていきますので、宜しければ是非、またご覧になっていただければ幸いです。本当にありがとうございました!まじ感謝!
繰り返しになりますが、皆様ありがとうございました!
また、どこかでお会いしましょう!
……と言いたいところですが、実はですね。
雪解け、彼らの3年生編というか、3年生の時の小話というか。まぁ原作の小話というか。
とにかく、雪解けの世界線はまたどこかで続いていきます。良ければTwitterの方@Iroha_Sicily もしくは@shinno_irohasu にて、LINE風ssやssの更新情報を載せますので、是非ご確認頂けると幸いです。
さて、長くなってしまいましたがこのあたりで失礼します。
またどこかでお会いしましょう。キミがいるから俺ガイル!
5月某日
冷えたマックスコーヒーを啜りつつ。
佐倉彩羽

投稿頻度なんですけどどれがいいですかね?

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