雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。 作:佐倉彩羽
今回から本編となります。お待たせしました。え、待ってないって?
まず、皆様に謝罪しなくてはいけないことがあります。
オリ主 についてです。感想であったのですが、オリ主をいつ登場させるかということですが、オリ主の登場場所が原作と被ってしまったため、オリ主の話は全てボツにしました。本当にすいません……!
ガールズラブは少しだけ要素をぶち込もうと思いますが原作再構成なため、そんなガッツリガールズラブ要素をぶち込められなそうです……
本当に申し訳ないです……こんなやつでも見捨てないでください。
さて、前回の補足説明で説明したとおり、時間が少し飛びます。ヒッキーを見送ったあとから始まります。
では、本編へどうぞ。
ヒッキーを見送った後、ゆきのんとママとご飯を食べた。
ママ、とても張りきっていていつもよりとても豪華な夕食だった。
ゆきのんとも楽しそうに話していて、とても良い時間だったと思う。
お風呂に入り、今はベッドの中。
電気も消して部屋は真っ暗。
「ゆきのん……まだ、起きてる?」
「……………ええ」
「……ゆきのんはさ、どうしたい?」
「私は…………」
「あたしはね、したいことあるよ。ちゃんときめたの」
「そう……」
「……でもね、ゆきのん」
あたしがゆっくり切り出す。
「あたしって、ずるいんだ。卑怯な子なんだ」
そして一つ置くと、ゆっくりと深呼吸する。
「……だから、全部欲しい」
「そう……」
「もし、お互いの思ってること分かっちゃったら、
このままっていうのも出来ないと思う。
―ねえゆきのん、それで……いい?」
ゆきのんが肩をぴくりとさせたのがわかる。
ゆきのんの方を向き直すと、ゆきのんもこちらに体を向けている。
けれど、あたしの方に顔は向けておらず、
どんな顔をしているか分からないけど、ある程度の表情はわかる。
この一年、伊達に一緒に過ごしてはいない。だからこそ分かる。
―これは違う、間違っていると。
ヒッキーなら、こう言うに決まってる。
ゆきのんの問題はゆきのんが解決すべきって。
やっぱりあたしって、卑怯だ。
素直じゃないところも、不器用な笑顔も、全部欲しい。
けれど、彼との距離も変わりはじめてる。
全部失いたくない。本当は一番近くに居たい。
「わた、しは……」
……
……
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由比ヶ浜の家を出て早十数分経った頃だろうか。
俺のポケットに突っ込んでいた携帯電話が
ブルル……という音を立て震え出す。
自転車を止め、ポケットからそれを取り出し、画面を見つめると、
画面には愛する妹の名が。これは今すぐに出なきゃ!
「もしもし」
『あーお兄ちゃん?
帰り遅かったから何かと思って電話かけちゃったよ〜』
何だこの兄想いな妹は……。
二次元にでもいかないといないレベル。
これが世界の妹、KOMACHI。
「あぁなんもないから平気だ。今帰ってるとこ。」
『お兄ちゃんにしては帰りが遅いから心配したよ〜。
あ、今の小町的にポイント高い!』
「最後の一言がなければ完璧だったのになぁ……。
すぐ着くからご飯の準備頼んでいいか?」
電話口からため息混じりの声が聞こえる。
『あーなんだデートからの帰宅でご飯食べてたとかじゃないのね……
了解!もうすぐに出来るからお皿とか置いて待ってるね!
じゃ、後で〜』
「おう、じゃあな」
そう小町との電話を切り、また自転車を跨ぐ。
この時期でも夕方はまだ寒い。
ポケットに手を突っ込みたいのを我慢し、
ペダルを強く踏んで進んで行くことにした。
約五分程度で自宅に着き、玄関の戸を開ける。
「ただいま」
そうすると愛する天使が玄関に迎えに来てくれる……
ことは無かった。
靴を脱ぎ、リビングに入るとテーブルには本日の夕飯が。
この妹、料理洗濯家事全般を母親レベルにこなせるので、
父母から大切に育てられている。
俺はというと、父親から働いたら負けだの、
屑の英才教育を受けて育ってきている。
どうしてこうなった……
「あ、お兄ちゃんおかえり。ご飯できてるよ!」
「おう、すまんな。明日受験だろ?さっさと食べようぜ」
小町は目をうるうるさせながら、こちらを見る。
「そうやって気を使えるところ、小町的にポイント高いよ!
じゃ、いただきます」
「いただきます」
こうやって二人でご飯を食べるのも比企谷家では当たり前である。
小町には本当にこの受験期で
家事をやらせてしまっているのも申し訳ないが、
当の本人は「受験勉強の息抜きだよ」と言って、
進んでやってくれている。
そんな妹を兄として応援しなければいけないが、
なんて声をかければいいか、である。
ただ頑張れよだと生意気かもしれないしなぁ……
そう悩んでいると、小町が不安そうな顔でこちらを見る。
「お兄ちゃん」
「ん、どした。悩み事か?」
「小町、受かるかな?」
「受かるさ。俺が保証する。だって俺の妹だもん。
今まで頑張ってきたんだろ?それを全部発揮してこい」
「お兄ちゃんに保証されても自信にならないけど……
ありがとう、お兄ちゃん!小町、頑張るね!」
小町は普段のあざとい健気な可愛い妹アピールなしの、
とても素敵な、優しい笑顔を俺に向けた。
この子が妹じゃなかったら告白して振られているだろう。
振られちゃうのかよ。
そんなことを言いながら二人でご飯を食べていると、
ふと、テーブルに振動がくる。
振動していたのは俺の携帯で、画面には見知らぬ番号が。
……よし、切ろう。食事中に電話は良くない。
数分後、また同じ番号から電話が来た。
なに平塚先生なの?俺のこと好きすぎでしょ。
しかし平塚先生の番号は登録している(されている)ので違う。
「お兄ちゃん、出なよ」
小町に諭され仕方なく電話に出る。
「あ、せんぱー」
ブチッ。ツーツーツー。
知らない。
俺のことをせんぱい呼びしてくるあざとい生徒会長なんて知らない。
明日は小町の受験なのだ。
「お兄ちゃん、電話すぐ切るのは小町的にポイント低いよ……?」
「いやそのあれだ、よく分からない業者だ、そういうやつだ。」
小町が冷たい目線でそう言われ、取り敢えず言い訳をしておく。
ほらね?
知らない業者とか宗教勧誘って一言目でブチッと切るでしょ?
まぁそんな言い訳は通用せず、また電話がなる。
仕方なくとると、やはりあのあざとい生徒会長からだった。
『せんぱーいなんで切るんですか? 電車の中とかだったんです?』
「飯食ってんだよ。つかなんで俺の番号知ってんだ」
『あーならまたあとの方がいいですか?
せんぱいの妹さん、明日入試ですよね?』
こいつ気遣いが出来るのか。
そういうとこ結構グッと来ちゃいますよ。グッと。
そしてちゃっかり話逸らしましたよね。さすがです。
小町の顔を伺うと、電話続けてていいよ!
そっちの方が小町的にポイント高い! という顔をしている。
それどんな顔だよ、なんで俺分かっちゃうんだよ。
「大丈夫だ、小町に先食べててもらう。
片付けとかは俺がすれば問題ないしな。」
『あ、そうですか〜なら、ちょっと長くなっても大丈夫ですよね〜?』
嫌な予感しかしない。明日は総武高は受験の為生徒は休みとなる。
休日に仕事とか、絶対に嫌だからね? 俺は社畜にはならない!
「ま、まぁいいけどなんだ?」
『そーいえば、せんぱいに義理チョコ渡す約束してたなーと』
「はい?」
今この子義理チョコとか言わなかった?
もうバレンタインは終わっている。
しかもバレンタインのチョコに関しては、
先日の生徒会主催のイベントで解決したはずだ。
『いや、前奉仕部の部室で義理チョコあげるって言ったじゃないですかー?』
「あれは義理チョコの基準にするって言っただけだろ……」
『あれー?そうでしたっけ?まぁいいです!
作ったのでせんぱいにもあげますよー!』
「はいはいあざといあざとい。……え? マジでくれるの?」
一色はどうやら本当にガチで、俺に義理チョコをくれるらしい。
バレンタインのチョコレートは母親から貰えない分、妹から貰える。
小町のチョコしか貰ったことがない。
今年は貰えてないけど。ぐすん。
『はいはいそうですよ、せんぱいに!
かわいい後輩の私から! チョコですよ?
うちのクラスだったら、
せんぱいクラス中の男子から憎まれて嫌われて省かれますよ?』
「もう憎まれて嫌われて省かれてますよ……、
お前自分に自信ありすぎだろ……」
『そんなことはいいんです、明日空いてます?学校ないですし!
九時半に千葉駅でいいですか?』
え、バレンタインチョコ貰うために千葉駅まで行くの?
そんなもんなのか……。バレンタインってすげえ。
「ん。りょーかい。小町の見送りしたら行く」
『たしかーせんぱいの妹ってうち受けるって言ってましたよね!』
そんな話をしたか……。
そう、あれは生徒会長に決まって荷物運びを手伝わされた時だ。
いい学校にしてくれよ、と言ったら全力で振られたというあれか。
よく覚えてたなぁ……と感心する。
「ん、そうだよ。で、なんだ?」
『妹ちゃんに変わって貰えますか、ちょっとお話したいので』
そんな長時間にならなければいいだろうと思い、小町に携帯を渡す。
小町は意味不明何この人?っていう顔で携帯を耳に当て、
スピーカーにしている。
「……もしもし?」
『もしもし、総武高一年生徒会長の一色いろはです、
せんぱいにいつもお世話になってます!』
「あ、あの一色さんか! 比企谷小町です〜、
いつもごみぃちゃんがお世話になってます〜」
『私の事知ってるんだ、小町ちゃん、明日うち受けるんでしょ?』
「そうなんですよ〜、合格したらいろは先輩って呼んでいいですか?」
「いいよ!いやぁわたしもせんぱいって呼ばれる日が来るのかぁ……
小町ちゃん、絶対合格してね! 待ってるから!」
「はい、頑張ります! いろは先輩!」
仲良さそうだなぁ……。
お互いあざといスキルを持つもの同士惹かれあっているのか?
スタンドを持つもの同士が惹かれ合うように。
有り得るな。いや有り得ないですね。
女子ってみんな最初に会った人はこうって八幡しってる。
「あ、そうだいろはせんぱい」
『んー? なにかな、小町ちゃん』
と、ここで小町はスピーカーをオフにした。
え、なにこれからあの女子トークってやつ?
もしやこの子明日受験ってこと忘れてんな……?
何やらヒソヒソと話しているようだが、
小町がにやけていたり、よからぬ事を考えていないかと不安になる。
時々一色の声が聞こえるが、小さくてなんと言っているかわからない。
少しすると小町は俺に携帯を返してきて、何やらニヤリとした顔でこ ちらを向いている。
なんだこいつ……。
『あ、せんぱいですか? 小町ちゃん、すんごくいい子ですね』
「そりゃあそうだろ。だって小町だからな。自慢の妹だ。」
『せんぱいがシスコンになる理由が少しわかった気がします……』
「いや、シスコンじゃないから。小町が好きなだけだから。」
『そういうとこですよ……。じゃ、明日九時半に千葉駅ですからねー
ではでは、よろしくです、おやすみなさい』
「おう、おやすみ。」
そう言って電話を切る。
小町は電話後はご飯を食べ終えていたようで、俺も急いで食べる。
「小町、片付けは俺がやっとくから」
「うん、ありがとお兄ちゃん。お風呂行ってくるね!」
俺はサッと飯を食べると、小町の使った皿と一緒に片付けを始める。
冷たい水で洗っているとやはり手が悴んでしまう。
霜焼けにならないといいなぁ……
いかがだったでしょうか。今回ちょこっとキャラ崩壊してる気がしましたが、そこは暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。
ではここで次回予告。小町ちゃんにお願いしました。
「はいは〜い、比企谷小町です!次回のお兄ちゃんは!
・お兄ちゃん、千葉デートするってよ。です!
このゴミ主によると、デート回は数回に分けるらしいので、ゆっくり長ーくお付き合いください! 以上、比企谷小町でした〜」
という訳で、次回から八幡いろはのデート回です。
原作を読んでいる方は少し違和感が残ったと思いますが、その違和感多分正しいのでご心配無用です。
では、ここら辺で筆を置かせていただきます。
2月某日、コロナウイルスに怯えつつ 佐倉彩羽
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