雪が溶け、細く繋がった紐は結ばれ、色彩豊かな春は来る。   作:佐倉彩羽

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こんにちは。佐倉彩羽です。
コロナウイルスが遂に世界中で流行りだして大変ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は花粉で体調を崩しております。皆様もお気を付けて。
というわけで、前回の続き、いろはちゃんがせんぱいの家に行きたいと言ったところから、お楽しみください。
では、どうぞ。


一色いろははせんぱいのことを任される。

「せんぱいの家、いきたいです」

「……は?」

 

いやこいつなに言っちゃってんの?これでも俺健全な高二男子だぞ。

世界平和と卑猥なことを考えてると言われてる高二男子だよ?(俺調べ)

 

「お米ちゃんに会ってみたいですし」

 

お米ちゃんって誰だよ何一色家ではあきたこまちよく食ってるの?

むしろ、JAうごあたりとコラボ米して欲しいくらいだっつーの。

ていうか、JAちばが動いてくれ。

 

「せんぱいの妹さんですよー」

「小町な。世界の妹小町な。覚えろ……」

「はいはーい、じゃ、案内してください」

「え、ちょまじで行くの?

 まだ心の準備というかおうちの準備というか……」

 

そう応えると一色はぎゅっと自分の服の袖を握り、

目元をうるうるさせながらこちらを見る。

 

「……せんぱい、だめ、ですか……?」

 

いろはすの、涙目上目遣い!

効果はばつぐんだ!はちまんのめのまえはまっくらになった!

 

「……寒いからさっさと行くぞ。」

「はーい」

 

気の抜けた、間の抜けたような返事をして、俺たちはレジに向かう。

 

「先行ってろ、俺払っとくから」

「いいんですかー!ありがとうございます〜」

「おう」

 

そう言って一色をレジの待機列から抜け出させると、俺の番となる。

担当しているのは先程写真を撮ってくれた店員さんだ。サッと会計を済ますと、店員さんが話しかけてくる。

 

「仲良いですね〜、お幸せに」

 

ねぇちょっと今語尾強くなかった?

まさか平塚先生の遺伝子でも引き継いでいるの?

……ほんと、早く誰か貰ってあげて!

 

俺は携帯を眺めていた一色に声をかけて、店を出ることにした。

外の風も少し弱くなり、

空は少し晴れ間が見えるようになってきている。

まだ気温はそこまで高くないが、とても寒いという訳では無い。

とりあえず今日乗ってきた電車に乗り込もうと千葉駅へと向かう。

 

「せんぱーい、何分くらいで着きますかー?」

「少し時間かかるぞ」

「りょーかいです」

 

俺たちは改札を通ってそのまま総武線ホームへ。

千葉知識がない千葉ビギナーだとどホームに直結はおそらく無理だろう。

数分間待機していると、総武線がやってきた。

平日の昼頃なのでそこそこ空いている。

とりあえず一色を座らせて、俺は扉に寄りかかると、

ポケットから暇つぶし要員ことスマホを取りだし、

アプリゲームをたちあげる。今巷で大人気というゲームだが、

俺もつい最近プレイし始め、

休日はこのゲームのプレイに時間を費やしている。

 

イアホンを装着し、準備完了……と、

スタートボタンを押そうとした瞬間、

俺の服の裾を引っ張ってくる奴がいた。一色である。

一色は超絶不満そうな顔をしながら、頬

をぷくーと膨らませこちらを見る。それあざといっつーの。

俺は画面から目を離し、一色に小さな声で話しかける。

 

「なんだよ」

「せんぱい暇なんでなんか面白いこと話してください」

 

何そのムチャぶり。某姉ノ下さんみたいだよ?

そしてそのニヤニヤした表情。楽しそうですね……。

 

「そんな話出来たら今頃クラスの人気者だろうよ」

「いやそれないですって、目が腐ってますし」

「あ、はい、そうですか……」

 

目が腐ってると人気者にはなれないんですか……。

ま、いいんだけどね。

そうこうしているうちに、俺の自宅の最寄り駅に着く。

結局音楽を聴いていた一色の肩を軽く叩き、

ホームドアの方を指さす。

叩いた時にピクってなるのビックリするからやめて欲しい。ほんと、マジで。

 

俺たちはそのまま改札を抜けて、俺の自宅の方へ歩き出す。

一色は俺の一歩後ろを歩き、ほーとかうーんとか色々と言っている。

そのまま自宅に着き、鍵を開けようとすると後ろで

 

「これがせんぱいの家……」

 

とボソボソと小声が聞こえてくる。

緊張しているようで、少し動きがぎこちない。

俺はそんなのもお構いなく、鍵を開けてドアをぐっと引いた。

 

「ただいま」

 

すると、家の奥の方からドタバタと足音が聞こえる。

 

「おかえりー!早かったね、お兄ちゃ……え?」

 

マイスウィートエンジェル、小町が俺のことを玄関まで迎えに来てくれたのである。

しかし、小町は何やら怪訝そうな顔で俺を、いや俺の後ろを見る。

 

「……あ、えーっと」

 

俺が言葉に詰まっていると、後ろからひょこっと一色が顔だす。

「こんにちはー!小町ちゃんだよね?

 一年の一色いろはです、受験お疲れ様! 」

「え、いろは先輩!? どうも、妹の小町です〜、

 いつもごみぃちゃんがお世話になってます!

 あ、寒いのでなかにあがってください!どうぞどうぞ〜」

 

 そういうと小町は一色を中に進める。慣れてるなぁ、こいつ。

 

「あ、お邪魔しまーす」

 

一色は綺麗に靴のかかとを揃えて並べると、

小町の後ろにひょこひょことついていく。

俺も靴を脱いでコートを脱ぎ、ハンガーにかけてリビングへとすすんでいった。

 

「散らかってますが適当に座ってください! 今お茶出しますから!」

「あ、ごめんね〜、ありがとう小町ちゃん!」

 

小町と一色は仲良さそうに喋りながら小町はお茶の用意、

一色は座ってコートを脱いで携帯を見ている。

案外こいつら仲良いんだよな……。

やはりあざといもの同士、惹かれ合うのか。

 

小町は用意が出来たのか、テーブルにコップ二つを置いて、

お菓子を用意している。

さすが世界の妹小町。なんでもこなしちゃう!

 

……コップ、二つ?

 

そこに置かれているコップは来客用のコップと、小町のコップだ。

あれ、俺の分は?こまちちゃん?

仕方なく俺は冷蔵庫からマッ缶を取り出して、

プルタブを開け一口飲む。

 

……人生は苦いから、コーヒーくらいは甘くていい。

 

と、心の中で呟いて飲むマッ缶は最高!

この時期になると湯煎をして飲むのもオススメ。

 

ソファの方に目を移すと、小町と一色が楽しそうに談笑している間に、カマクラが一色に撫でられていた。

あいつ、動物を懐かせる能力でも身につけてんのかよ……。

カマクラも捻くれてると思うんですけど、はい。

 

「じゃ、ゆっくりしてけよ。俺は自分の部屋にいるから、

 なんかあったら声かけろ」

「あ、はーい」

 

一色が伸びたような返事を聞いて、

俺はそのまま階段を登り俺の部屋へと入る。

やっぱ自分の部屋、落ち着くなぁ……。

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「まずは小町ちゃん、受験おつかれー!」

「明日面接残ってますけどね、ありがとうございます!」

 

せんぱいが二階に上がったあと、

私と小町ちゃんは猫ちゃんを挟んで談笑していた。

 

「どう、受かりそう?」

「まだ分かりませんけど、今嘆いたとこで何も変わりませんからね」

「うわ、小町ちゃん大人だね〜」

「あの兄を持つと小町じゃなくてもこうなりますよ」

 

 確かに。でも小町ちゃん、とても楽しそうに話すな……。

 

「いろは先輩、恋バナしましょうよ」

「え〜、恥ずかしいよ」

「いいじゃないですか、お兄ちゃん今上ですし、小町言わないので!」

「んー、じゃあいいよ」

 

すると、小町ちゃんはゴホン、と一度咳き込むと、

私の顔をニヤニヤしながら見て言った。

 

「いろは先輩、ぶっちゃけお兄ちゃんの事どう思います?」

「せんぱい?

 せんぱいは空気読めなくて目が腐ってて鈍感でヘタレで……」

「ごめんお兄ちゃん、全部正しいからぐぅの音も出ないよ……」

 

 小町ちゃんが悲しそうにそう言うが、私は続ける。

 

「……でも優しくて、いいせんぱいだよ」

「いろは先輩……、うぅ」

 

小町ちゃんが目をうるうるしながらこちらを見る。やばい超可愛い。

なんでせんぱいはああなのに小町ちゃんはこうなのかしら。

 

「今からお姉ちゃんと呼ばせてもらっても?

 (仮)からでもいいですから!」

「いやそういうのはちょっと早いしまだ学生だし色々と心の準備が出来てないのでまた今度に……」

「……また、今度ですね! 分かりました、お姉ちゃんっ」

「また今度って言ったじゃん!

 ……小町ちゃんせんぱいのことほんとに好きだね」

「そりゃあそうですよ、誰からも愛されなかった兄を

 この十五年誰が愛してきたと思っているんですか」

「うっわすっごいブラコンっぷり……」

 

 小町ちゃんは少し黙ると、考えた表情をする。

 

「お兄ちゃんを貰ってくれるのは雪乃さんか結衣さんだと思ったけど……

 ここに来ていろは先輩か……ありだなぁ。いろはお姉ちゃん、うんうんありあり」

 

ちょっと独り言にしては凄いこと言ってない?

ブラコン入りすぎててやばいよこの子。

 

「いろは先輩、あんなゴミいちゃんですが、よろしくお願いします!」

「まだ別になんの関係でもないよ!?

  でも、お願いされちゃったから……

 せんぱいのこと、任されました!」

 

そういうと小町ちゃんは大興奮でもしたのかなんなのか、

撫でていた猫ちゃんをギューッと抱きしめ、

 

「良かったよ、お兄ちゃんに春が来たよ……」

 

少し涙ぐんで小町ちゃんは言う。

絶対、雪ノ下先輩や結衣先輩には負けないんだから。

そう心の中で誓いバッグの中のあるものを確認する。

今日は寒いし、触った感じ溶けてなさそうだ。

 いつ、渡そうかな……。

 




いかがだったでしょうか。
小町ちゃんといろはの距離感は物凄く原作と違って近いですが、これは14巻発売前に書かれたものだったりするのでご了承ください。私この距離感が好きなの!!
というわけで、次回はこの続きから。まだまだいろはデート回は続きます。次回もお楽しみに。
ではここで筆を置かせていただきます。
3月某日、俺ガイルアンソロを読みつつ。
佐倉彩羽

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