ソードアート・オンライン - トワイライトブレイズ -   作:弥勒雷電

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第11話『堕天使来襲』

翌朝

 

あたしは何やら空気がしなる音に付き目を覚ました。ベットから抜け出し、窓際によると外に視線を送る。

 

そこには汗だくになりながら弓の鍛錬をしているラズエルの姿があった。目を閉じて大きく深呼吸をし、そして弓を構えると矢を番える。

 

あの彼との出会い以来に見る弓技の所作。流石元弓道全国大会覇者ということもあり、一挙手一投足がサマになっている。彼は矢を極限まで引ききるとその手を離す。

 

シュッという風切り音とともに宙に放たれた矢は音速の速さで空気の抵抗を突き破り彼から50メートルは離れているだろう大木の中央に突き刺さった。

 

あたしはその光景におぉ!と感嘆の声をあげ、視線をラズエルに戻す。

 

彼は右手を体の後ろに回し半身のまま残心の構えを取る。正直今の今まで意識した事はなかったが普通に格好いい。普通の高校生で彼の所作をこうして見たらいくら恋多きリズベット様でも惚れていたに違いない。

 

まぁ、悪くはないわね。

 

あたしはキリトとラズエルどちらが好きかと聞かれると正直わからなくなっていた。今でも自分を救ってくれたキリトの事は大好きだ。でも昨日の一件以降、ラズエルの事も気になり始めている自分に気がつかないわけではなかった。

 

ラズエルはその後10本ほど矢を放ち、鍛錬を終えた。あたしは彼の姿が視界から消えるまで窓際から離れる事が出来なかった。

 

 

————————-

 

 

「このソーセージみたいなの美味しい」

 

朝食は2人で宿屋近くのカフェに入った。朝の鍛錬の様子を見たからか心なしか彼の事を意識してしまう。あたしも存外に軽い女なのかもしれないと思う。

 

「これを食べたらすぐに街に向かいたい」

 

ラズエルの申し出を断る理由なんてあたしにはない。勿論と一言だけ返すとチョコチップのようなものが埋め込まれたパンのようなものを頬張る。甘いチョコレートの香りとカリカリした食感が食欲を掻き立てる。

 

「ラズエルは大丈夫?」

 

一通り食事がすみ、最後にコーヒーによく似た飲み物を飲みながらあたしはラズエルに尋ねた。流石に昨日の今日だ。精神的ダメージの回復にももう少しゆっくりしてもいいのにと思う。

 

「俺は大丈夫。昨日リズに話聞いてもらってだいぶ楽になったわ。色々受け止めてくれてありがとな」

 

ラズエルの言葉にかぁーっと顔の温度が急上昇するのを感じる。もう嫌だ。この展開完全にラズエルにハートまで射抜かれちゃってるよ。あたし…

 

「なら良かった。記憶戻って良かったね?」

 

あたしの返答にラズエルの顔が少しだけ曇った。あたしにはその理由が正直わからない。

 

「あぁ、黄昏の茶会の事件の事は確かに思い出せた。でもあの後、気がついたらヘルブレッタさんの家の二階で寝てて、半年の月日がたってたんよ。その半年の間の記憶がないねん」

 

なるほどその1番肝心なところはまだ思い出せてないのか。あたしはそう考えながらまだまだラズエルと旅が続けられると喜んでる自分がいた。おいおい鍛冶屋の仕事サボるんじゃないぞって正直キリトに怒られそうだけどね。

 

「じゃ、早いとこヘルブレッタさんに逢いに行かないとね」

 

私たちは食事代のコルをテーブルに置くと足早に店を出た。そのまま街を出て綺麗に舗装された道を進む。両側には草原が広がり視界も良好、モンスターがポップしてもすぐ気がつける。

 

「ちょっと肩慣らしにモブが出たらあたしに任して!」

 

モンスターと戦ってるラズエルも見たかったけど、まずはあたしの実力を知らしめたかった。伊達にマスタースミスの称号は持ってない。

 

早速眼前に牛と馬を足して2で割ったようなモンスターがポップしたからエンカウントしてみた。モンスターの名前を見るとゼブラホース、牛じゃなくてシマウマだったのかと…

 

そんな事はどうでもよくてゼブラホースは対象を私と定めると一直線に突っ込んできた。「やっぱり牛じゃん」って悪態をつきながらヒラリとその突進を交わすと背後からメイスの一撃を見舞う。

 

「ギュルー」という気持ち悪い鳴き声を発したゼブラホースは向き直ると再び左後ろ足を擦り始める。あたしは相手との間合いを図りタイミングを見計らう。

 

刹那、ゼブラホースが動いた。先ほどより不規則な動きでこちらに突進してくる。私は一歩足を踏み出しメイスを頭上に掲げた。効果エフェクトが鳴り、メイスが青白く光る、

 

片手棍ソードスキル 『パワーストライク』

 

システムアシストでタイミングよく振り下ろされたメイスは突進してきたゼブラホースの脳天にカウンター気味に直撃。

ゼブラホースはその場で崩れ落ち、ポリゴンと化し四散する。

 

パチパチパチバチ

 

その様子を見ていたラズエルがリズの勝利を拍手で祝う。

 

「なかなか見事な体捌きやったで!伊達にマスターメイスは取得してないってことかな。やるやん」

 

ラズエルに褒められ内心嬉しい。顔がにやけそうになるのを必死に我慢する。

 

「こんなの雑魚中の雑魚じゃん!まだまだ行くぞ!」

 

あたしは恥ずかしさを隠すために敢えてそう言うと街道にいるラズエルの元に戻り足を先に進める。

 

20分ほど歩くと木々生い茂る森が見えてきた。この森を超えると彼が住んでいた街、彼が謎の男に襲われた展望台がある。

 

あたしはまだ知らなかった。

 

この旅路が予想以上に厳しいものになってしまう事。そしてその過程の中でラズエルのもう一つの闇を知ることになってしまう事を。

 

 

————————————-

 

 

森に入ると急に肌寒く感じた。日光設定により体感温度をコントロールしているのか。森の中は光が届かず、ジメジメしており、少し肌寒い。それは俺の横を歩くリズも同じだったようで、手をクロスさせ、両の二の腕をさすりながら歩いている。

 

「この前、見せてもらったやつ完成したか?」

 

「ん?何のこと?」

 

リズは俺の質問の意味を介さず、質問で返してくる。

 

「被験者になってやってもいいぞ」

 

軽い恩返しのつもりだった。

今回リズには結局感謝しても感謝しきれない恩がある。彼女が前に言っていた試作武器の被験体。それくらいであれば引き受けても良いと思うし、ゲーマーとして新種の武器への探究心にはやはり勝てない。

 

「え?いいの?」

 

とリズが驚きの声を上げた刹那、俺はリズを茂みの中に突き飛ばしていた。そしてキィィンと金属音が交錯する。

 

「不意打ちとはやる事がきたねーなー」

 

先ほどまでリズが立っていた場所には漆黒ののフードコートを見にまとった男が立っており、俺は徐に腰に挿しておいたナイフ2本をクロスさせ相手の長剣による斬撃を受け止めた。

 

「ちょっと何…?」

 

茂みの中からリズが不服げに顔を出すが、今の光景を見て目を見開く。男は咄嗟に後ろに跳躍すると踵を返して逃げ始めた。俺は両手に持ったナイフを構えて、逃げ行く男に照準を合わせる。

 

二本のナイフが時間差で青白く光る。

 

投擲用ソードスキル 『ダブルシュート』

 

システムアシストに沿って、俺は右から左と順に腕を振った。放たれたナイフは少し弧を描きながら逃げ行く男に向かっていく。

 

刹那男は小刻みにステップを踏み二本のナイフを躱す。ナイフはそれぞれ地面に突き刺さり、男は振り返ることなく、その姿は森に紛れて消えた。

 

どっと場の緊張感が解けると茂みからリズが顔を出した。

 

「ねぇ、これって」

 

「あぁ」

 

リズの問いに俺は不発に終わったナイフを拾いながら言葉短く答えるる。確実に相手はリズを狙っていた。俺が一瞬の殺気を察知していなければ、りずはPKされていたかもしれない。

 

俺はふと地面に落ちている紙を拾った。その文字列に目を進め、一気に不快感に苛まれる。

 

チョウシハドウダイ?ゲンキカイ?

ソロソロコタエヲキカセテモライタイ

ワレワレトイッショニクルミチヲエラブカ

モシクハワレワレニコロサレルミチヲエラブカ

ドチラヲエラブカハキミシダイダ

ヨイカイトウヲマッテイル

 

Le retour de l'ange déchu(堕天使の帰還)

 

『調子はどうだい?元気かい?そろそろ聞かせてもらいたい。我々と一緒にくる道を選ぶか、我々に殺される道を選ぶか、どちらを選ぶかは君次第、良い回答を待っている。 Le retour de l'ange déchu(堕天使の帰還)

 

リズが茂みが出ようとしている。俺は咄嗟にポケットに手紙を直した。

 

やつらはなぜ彼女を狙うんだ?

 

その答えは誰も教えてくれる事はなかった。

 

 

第11話『堕天使来襲』 完

 

 

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