ソードアート・オンライン - トワイライトブレイズ - 作:弥勒雷電
•プロローグ〜第6話
ALO編オリ主のCPは誰?
•第7話〜第15話
ALO編オリ主の種族は?
•第16話〜最新話
ALO編オリ主の旅の相棒は?(CP以外)
ALO編プロット見直しの参考にさせていただきます。
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けたたましく鳴り響く轟音。
音の一つ一つに脳を突き刺されるような痛み。これはある意味ボス戦の前から体力と動きを制限されるトラップのようなものだ。
俺とリズは耳を抑えて蹲る。扉の向こうから聞こえる鋭利な音色は直接脳を揺さぶるかのように攻撃を続けてくる。
決してHPが減る事はないようだが、精神的にこれは辛い。
「ん?」
一瞬撤退の二文字が頭をよぎった目の前に親指の先程の大きさの何かが全部で4つ転がってきた。俺はそれが飛んできた場所に視線を向ける。
「アルゴ」
俺の呟きにリズも顔を上げた。
そこには情報屋アルゴの姿があり、彼女が投げたのは今この状況で最適なアイテムである…『耳栓』である。
俺はアルゴの投げた耳栓を拾うとリズに渡した。耳栓を装着すると幾分かピアノの音色の反響による脳の痛みは和らぎ、普通に動けるレベルになった。
俺たちが動けるようになった事を確認するとアルゴが飛び跳ねるように近づいてくる。
「ゴメンゴメン。耳栓の事伝えるのをすっかり忘れててサ」
人を食ったようにそうおどけて言うアルゴ。だが、俺は勘ぐってしまう。彼女はワザとこの情報を言わなかったんではないかと。
「だからオレっちもボス戦手伝ってやる」
そう言うとアルゴは満面の笑みを浮かべてパーティー参加依頼を寄越してきた。俺はリズと顔を見合わせる。
「アルゴが強い事は知ってるけど、何もメリットないやろ?」
俺の問いにアルゴは苦笑いを浮かべる。リズも不思議そうな顔を彼女に向けている。
「オレっちもこのクエストボスはまだ戦った事ないんダナ。だから情報収集。いやいやパーティに入れてもらったからにはちゃんと働くカラ」
アルゴはそういうと何やら筒のようなものを取り出した。それはメモリーフラッグと呼ばれる記録結晶の一種、要は一定時間の戦闘風景を記録できると言うものである。
いわばビデオ録画のようなものだ。
「成る程。それで撮影して攻略本にするつもりなのか?でも無茶をするなよ」
俺の返答にアルゴは「モ•チ•ロ•ン」と気味悪げに答える。俺としても頭数は多いに越した事はないと考え、彼女のパーティー参加を承認した。
そう彼女はいつも自らが戦線に出て情報収集をし、それらを攻略本としてまとめ、まずはフロントランナーに売り込み、稼いだコルで増刷、中低レベルプレーヤーに無料配布している。
それに彼女はマスターファイター。体術スキルを極めた強者でもある。
そんな事も相まって彼女が入ってくれるなら戦い方にも幅が出来る。もしかしたらそこまで見込んでの耳栓のくだりではないかとい疑惑げあり訳ではないが言っても藪蛇である。
やっとパーティーメンバーが3人にまで増えた俺たち即席パーティーは耳栓をしていても煩く聴こえるピアノが鳴り響く部屋の扉を開き、中へと足を踏み入れた。
————————————
扉の奥にはボスの間らしい広大な空間が広がっていた。松明の灯された部屋の中央には所々傷付いたグランドピアノが置かれ、その椅子にはガリガリにやせ細った女性が座っている。彼女がNPCとして、他にはモンスターらしき影は見えない。
あまりにも異様に映るその光景に俺は隣で辺りを見回しているアルゴに声をかけた。
「おい。あのガリガリの女がクエストボスなん?」
その問いにアルゴは首を横に振る。
「サァ、分からないナ。でもボスが出現するとしたらあのピアノがトリガーとしか考えられないナ」
アルゴの回答に俺も同じ考えだったと確認すると弓を手に持ち、少し考えを巡らす。どうせやるならボス出現のフラグは一発で解放したい。
そして矢を番え、グランドピアノの突き上げ棒に狙いを定めた。
右手から放たれた青白いエフェクトを見にまとった矢は一直線に飛んでいき、見事グランドピアノの突き上げ棒を粉砕した。
ガラガランと言う大音量を上げてグランドピアノの屋根が閉まる。するとさっきまで耳栓の奥に聴こえていたピアノの音色が消えた。
「ひぃ!!」
するとガリガリの女性がこちらを振り返る。リズはそんな女の顔に悲鳴をあげて俺の背後に隠れ、袖を掴んだ。ホラー系は苦手なのだろう。そうそこには瞳の輝き、生気はを失ってはいたがその顔が怒りに満ちた化け物じみた女性がそこにはいたのだ。
「グガガガガガガガグォォォォオオォ」
刹那、この世のものと思えない咆哮が聞こえた時、ようやくボス戦の開始の合図が鳴ったと感じた。
アルゴも同じだったのだろうか、一歩前に踏み出すと耳から耳栓を取り、放り投げる。
「さて、来ルヨ」
アルゴの合図に俺もリズも耳栓を取り、宙に放り投げた。
すると咆哮を上げた女性の姿が次々と変化していく。体はすでに倍以上に膨れ上がり、体の至る所から突起が出始める。
突起がその皮膚を突き破るとそれが煌めく刃物であると確認する。
俺はその光景に背筋が凍るのを感じた。
見る見る変わっていくボスモンスターの姿には見覚えがある。全身から突き出た煌めく刃物に変わっていく。数多の剣と槍、斧で構成された体躯、短剣が二本Vの字で突き刺さったような目、キュッと閉じられたような口、両の手と化した長剣。
おぞましいほどあの時の光景がフラッシュバックする。
「ユリ…」
そうこの怪物はあの日あの時、ユリの…俺の恋人の命を奪ったあのモンスターそのものであった。
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「ユリ…」
そう呟いた彼の瞳が怒りに満ちるのを感じる。ユリって誰だっけ?と一瞬記憶を辿る。今回、このボス部屋に来るまでに彼と少し話しをした。彼はあまり多くを語ろうとはしなかったが、辛い過去がある事はわかった。でもそれ以上は踏み込む事ができなかった。
知りたいはずなのに心がこれ以上の詮索を制止してくるのだ。彼がまだ全てを語っていないことはすぐに分かった。そして今の彼の反応はこのモンスターが何やら因縁のある怪物である事も…
「最悪だ…」
だが、そこでアルゴがボソリと呟く。その真意を私は捉えきれずにいたが、再度あらゆる武器で構成された魔物を見て言葉を失う。
Hpゲージの上にはそう名前が連ねられている。その時あたしは気づいた。このモンスターの表面は全て金属で防御力は高い。彼の弓矢では到底ダメージを与えれそうにない。
「リーちゃん、オイラ達で前衛引き受けるよ」
するとそう言ってアルゴが飛び出した。アルゴに遅れてあたしも飛び出す。先ず、モンスターは右手の剣をカウンター気味に飛び込んできたアルゴに振り下ろす。キィィーンという金属音と共にアルゴの右手に装備された鉤爪付のナックルがその剣を弾く。
スタンがモンスターを襲い、一瞬動きが止まる。
「スイッチ!」
その言葉と同時にアルゴが右へ飛び、空いた隙間にあたしが飛び込むとメイスを振り上げる。刹那、ソードスキルが発動する。
片手棍ソードスキル 『バーニアアクトレット』
片手棍には珍しい五連撃ソードスキルである。まず振り上げられたメイスを力一杯相手の剣の腕に向けて横薙ぎに叩き込む。その反動で体を反転させ再度同じ位置に打撃を撃ち込むと、今度は下からメイスを振り上げるように打ち込む。剣の鎧のど真ん中に打ち込まれたメイスを今度は少し引きそのまま一歩前に出て力強く突き刺す。相手の体制が後ろに下がったと見るや最後の一撃で再び横薙ぎに剣の手を弾く。
「スイッチ!」
再びスタンがモンスターを襲い、動きを止めるとあたしは左に飛び去り、再度攻撃をするために前方に回り込む。
「どけー!!」
アルゴが再度飛び込もうとした時、背後から彼が叫ぶ。その声にアルゴは空中で体制を変えらモンスターの正面ではなく、右側に回り込むような態勢を取る。
後ろを振り返ると彼の、ラズエルの手には5本の矢が番られていた。
システム外弓スキル 『フィフス・アロー』
ユニークスキル『銀射手』で最大限まで正確性、攻撃力を高めた矢が放たれる。青白いエフェクトがまるで雷のように揺らめきながら物凄いスピードで飛んでいく。一本目がモンスターの剣の胴体のど真ん中に着弾する。だが、突き刺さる事なく爆散する。更に次々と同じ所に着弾する矢、全てが衝撃に耐えきれず爆散した。
最後の5本目も同様に着弾し、モンスター一瞬だが仰け反る。胴体の剣が少しだけ凹んでいるのが見える。
「くそっ!」
これがシステム外武器に近い弓の限界かもしれない。敵のHPゲージはまだ3分の1も減ってない。
刹那、ボスモンスターが妙な動きを見せた。両の剣の手を背後に回す仕草、それを見て彼が叫んだ。
「剣が飛んでくるぞ!下がれ!!」
彼が叫んだ刹那、あたしとアルゴは背後に飛ぶ。するとボスモンスターの左右の剣の手が黄緑色に光り、左右に剣の手が振られると同時に刹那無数の短剣が無差別に飛んでくる。
「え?まじ?」
もちろんそれは一旦後ろに下がったあたしとアルゴも、その後衛で弓を構えていた彼も同様に驚く。こんな攻撃…防ぐのは無理ゲーである。
「はぁぁぁぁぁ」
だが、再び彼の咆哮が聞こえ、無数の矢がその短剣の波に向かっていく。
システム外弓スキル
彼の弓から放たれた矢は次々とあたしに迫り来る短剣を打ちとしていく。最後の一本だけあたしのところまで飛んできたからメイスで打ち返した。
「ちょっと何よ。このスキル、ってラズエル!」
あたしは彼の姿を見て愕然とした。あたしに向かってきた短剣を全部撃ち落としたからだろう。彼自身は短剣を避けきれず、何本かが彼の脇腹と左足、右肩に突き刺さっている。あれだけの武器の暴風雨の中でそれだけで済んだ事は奇跡に近かったが、彼が致命傷を負った事にも変わりはない。
「無茶するナ」
アルゴが少し舌を巻いたように感心している。彼女は全ての短剣を避け切ったようで無傷だった。
「ラズ坊、来るぞ!!逃げろ!!」
アルゴが叫ぶ!すると彼女の言葉通り、ボスモンスターが彼に向かって動き始めた。彼はその様子を確認するも足に刺さった短剣の痛みのせいか膝をついたまま動けないでいる。しかも矢筒にはもう矢がはいっていない。
このままじゃ、彼はまともにボスモンスターの攻撃を受けてしまう。そしたら彼が殺されてしまう…。そう考えた時、あたしの中で何が弾けた。
「ラズエル!立ちなさい!ユリさんの敵取るんでしょ!」
どうしてそんな事を言えたかは分からない。あたしは無意識のうちに叫んでいた。自然と言葉が出てきたのだ。
そして同時にアイテムウィンドウを開くと、こんな時のために持ってきていたそれを実体化させると彼に向かって投げた。
「これは…」
彼はそれを受け取り、目を見開いてこっちを見る。
「あたしの今の最高傑作の試作品なんだから壊したら怒るわよ」
彼の手に握らていたのは弓とも剣とも見て取れる代物、あたしの今期最高傑作の試作品…
それは弓と剣の合成武器。
通称『
第19話『狂想組曲 中編』 完
ALO編オリ主の旅の相棒は?(CP以外)
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リーファ
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キリト
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クライン
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アルゴ
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オリキャラ