ソードアート・オンライン - トワイライトブレイズ - 作:弥勒雷電
•プロローグ〜第6話
ALO編オリ主のCPは誰?
•第7話〜第15話
ALO編オリ主の種族は?
•第16話〜最新話
ALO編オリ主の旅の相棒は?(CP以外)
ALO編プロット見直しの参考にさせていただきます。
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ーーアインクラッド第48層 リンダース
「ドラゴン狩りのエクストラクエストかぁー。ほんとごめんね?あと少しだったんでしょ?」
リンダースの飲食店街にあるイタリアンを模したレストランで俺はさっき助けた少女リズベットと食を共にしている。
「あぁ、まぁな。もう1回1からやり直し」
スモールドラゴンとの戦闘域を離脱してすぐに『Quest Failure』の文字が浮かんだ。ドロップしたアイテムや経験値、コルはそのまま残っているのがせめてもの救いだ。
「ごめんねー。ほんとに!お詫びと言ったらなんだけどさ、今日はじゃんじゃん食べてよ。」
じゃんじゃん食べてよと言われてもとテーブルに置かれたパスタやピザ、カルパッチョに見た目が似た料理を見て胃が重くなるのを感じる。
当のリズベットはパスタを美味しそうに頬張っている。そして手前に置かれたパンに手をかけようとしていた。
「ところで、リズベットは何をしてたん?」
「え?あ?んーーーー」
その問いが虚を突いたのだろうか。
パンを口に頬張ろうとしていたリズベットは喉を詰まらせて悶絶している。ドンドンと食道付近を叩きながら水を飲むその姿がどこか微笑ましい。
人とこうして関わるのはいつ振りだろう。
久しく、この感覚を忘れていた気がする。
「もう!突然話かけないでよ。それから名前はリズでいいわよ」
リズは顔を真っ赤にしながらそういうと小さく深呼吸をした。
「あたしはお客さんからオーダーメイドを頼まれてその素材集めにあの森に行ってたのよ。まさかドラゴンに襲われるなんて思いもしなかったけどね……ってかこのピザ?みたいなのおいしい」
口にピザらしきものを頬張ったリズが歓喜の声をあげる。どこにそれだけの食欲があるのかと疑いたくなる。
「ねぇねぇ、ラズエルも食べてみなよ。本当においしいよ」
お皿に一枚だけ残ったピザらしきものをリズは俺に勧めてくる。
「騙されたと思ってねぇ!ねぇ?」
「はぃはぃわかったよ」
俺は皿からピザらしきものを一枚とると口に運んだ。
懐かしい味・・・最初の食感はそれだった。チーズに似た香り、玉ねぎに似た風味、ソーセージに似た肉の食感、生地の歯ごたえ・・・すべてが懐かしい。
「うまい」
その一言を聞いたリズは「でしょ?」と満面の笑みを俺に向けた。
思わず俺はその笑顔から顔を背けた。
「あーおいしかった」
俺たちは食事を終えると夜のリンダースの街を歩いていた。確かにリンダースのような田舎街の中にこれほどの味を持つ店があるのは驚きだ。
リズは大きく背伸びをすると踊るようなスキップで俺の前に出てくる。
「ねぇ、ちょっとうちこない?」
いたずらっ子のような表情でリズはそういう。その言葉に俺は一瞬どきりとしたが苦笑いを浮かべる。
「そんな簡単に男を自分の家に誘うもんやないで」
その言葉に自分のいった意味を俺がどう捉えたのか理解したのか、一瞬で顔を紅潮させる。
「はぁ?何言ってんのよ。誰があんたなんかを家に誘うのよ」
リズは顔の前で手を振りながら否定する。
「その代わり、あたしの店でいいもの見せてあげる」
リズはそういうとくるりと体を反転させ歩き始めた。
———————————
「リズベット武具店か・・・」
特徴的な水車小屋に趣を感じる。周りの景色と絶妙にあっており、何か良いなと思った。
普段は22層の武具屋を使っているが、そこは薄暗い商行くの奥にあり、陰気な雰囲気の店だ。
「入っていいわよ」
しばらく待っているとリズがホームのドアから顔を出し、手招きする。
俺は言われるがままにホームのドアに手をかける。そしてドア鈴がカラカラと音を立てると中に体をすべりこませた。
「ちょっと待ってて」
リズが再び奥へと消えていく。俺はすべてが物珍しく、周囲を見渡した。
白を基調とした壁、木目の床に壁際の松明の光が調和している。壁にはなかなか品質の良さそうな剣や槍、メイスや斧がところ狭しと並んでいる。
「どうしたの?」
リズが奥から出てくると俺を不思議そうに見てくる。
「なかなか良い店じゃないか」
内装を見回した後、俺は率直な感想を告げた。
「でしょ?」
リズは得意気に笑みを浮かべる。
「それで見せたいものって?」
俺の問いに待っていたかのようにリズは得意げに何かを取り出した。それを見て俺はハッとする。
「弓・・・剣なのか?」
形状は和弓のそれである。だが、和弓の内側に溝があり、そこから片刃の刀身を確認できる。
「面白いでしょ~?今試作中なんだけどさ。弓と剣の特徴を合わせ持つ弓剣みたいな感じ?」
俺は目の前の初めて見る武器に釘付けになった。
彼女の説明では次の武防具コンテストへの出品を考えているらしい。前例もない、システム的にも許容されるかは不明ではあるが確かに発想は面白い。
「流石マスタースミスと言ったところやな。弓と剣を組み合わせるか…実現性は別にして発想が面白い。」
その言葉にリズは少し顔を紅潮させる。この手の褒められることに慣れていないのだろうか?
「へへーん。すごいでしょ!」
照れを隠すようにそう得意げを装うリズは俺の手を取ると力強く握ってくる。突然のことに戸惑う俺の表情を観察しながら、さっきまでとは一転し、真剣な表情で口を開いた。
「それでさ、要は相談なんだけどさ。あなただって最初 から弓使いだった訳ではないでしょう?弓や投剣ってスキル少ないし、実用的じゃないって聞いたこともある。弓を得物にしてるなんて変わり者よ?剣の心得もあると見たんだけど」
変わり者と言われて少しかちんと来た。
だが、彼女の言うことは正しい。ソードアートオンラインの世界において、人間は己の腕で生き残って行く。だから魔法や銃と言った類の攻撃はシステム的に存在していない。
弓や投剣に関しても同様に武器としては存在しているがスキルも少なく熟練度も上がりにくい。つまりは剣撃、打撃、突撃などの直接攻撃が主体のゲームシステムである。
また弓系のスキルなんて、実はこの世界には存在しない。もしあったとしてもスキルスロットに空きがあったとしてもなかなか誰も設定しようとはしない代物である。
そんな中で俺のように弓を得物にこの世界で戦ってるやつは変わり者扱いされる。
もちろん俺もこのデスゲーム開始当初は細身の長剣を得物にしていた。筋力や素早さのステータスもそれなりに上げている。
中層プレイヤーの中ではそこそこは使えるはずだ。
「まぁ、確かに最初は長剣を使ってたけど……ってまさかお前俺に被験体になれっていうんやないやろな?」
俺の問いにリズは目を細め、そして不敵な笑みを浮かべる。まぁ、正解と言ったところなのだろう。
「ね?お願い。やっぱり実戦で使ってもらって初めてリアリティが出るというかなんというか…」
最後の方は完全にごにょごにょとお茶を濁すように小さな声になっていく。俺は再び、目の前の弓と剣を組み合わせた武器とはまた呼べないものに目を移した。
“どんな形であれ俺は剣を振るうことはない”
心の奥底から誰かの声が聞こえる。何度も何度も耳の中でこだまし、気分を害してくる。
「断る」
気がつくと俺はそう呟いていた。
短くリズの申し出を固辞すると、制止しようとするリズを振り払い、俺は立ち上がると彼女に背を向けた。
「ちょ、ちょっと!まだ話は全部終わってな…」
リズの言葉をすべて聞き取る前に俺はリズベット武具店を後にした。店先では大きな水車が規則正しく動き、木の軋む音と水の匂いを運んでくる。
少し歩いて一度後ろを振り返った。
彼女の勢いならば後を追いかけてきても不思議ではない。もう諦めたんやろうか。
そんなことを考えて自分が彼女の申し出に一瞬でも乗ってもいいかと考えていた事に苛立ちを覚える。関わるんじゃなかった。やはり俺はビジネス以外で人と関わる資格なんてないと改めて思い知らされた。
自分の中の薄汚い声によって……
「リズベット武具店か……。いい店だったな?」
見る限り、腕の良い鍛冶屋なんやろうけど、もう二度とここにくる事も、リズに会う事もないだろう。
心の中でそう呟くと俺は踵を返して家路を急いだ。
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ーーアインクラッド52層 リンダース リズベット武具店
……やってしまった。
折角、やっと見つけた協力者を簡単に失ってしまった。あたしは目の前に置かれた弓と剣を組み合わせた武器を見ながら思案する。。
発想は悪くないと思う。彼もそう言った。弓使いの弱点は矢がなくなると攻撃手段を失うということ。その有限性により特に前線攻略を目指すプレーヤーからは敬遠される。また懐に入られ、接近戦に持ち込まれると途端に為すすべもない。
だから剣と組み合わせて、近接戦も遠距離射撃もできる万能型の武器にすればという理論だ。まぁ、それなら最初から剣にするってプレーヤーもいるだろうけどね。
だから彼の弓技を森で見た時に確信したんだ。彼なら必ず使いこなしてくれそうだと。
本当なら彼の後を追いかけていきたかった。
自分の考えてる条件、この武器開発にかけてる思いを真正面から伝えたかった。
でも……できなかった。
彼の瞳を見た瞬間、あたしは言葉を失った。
それはあいつに似てたから……
ラズエルの悲しそうな瞳。
影のある輝きを失った瞳。
それがあいつに似てたから。
あたしの親友の想い人であり、あたし自身も密かな淡い想いを持っているあいつが時折見せる哀しげな空虚な瞳に似てたから。
ラズエルの闇に入り込んだらいけない。
瞬間的に私の心がブレーキをかけた。
「でも…どうしよう」
あたしは再び弓と剣を組み合わせた武器に視線を落とし、何度目かのため息を吐いた。
でもこの時。まだ私は知らなかった。あたしが彼の心の奥底の扉に、彼にとってのパンドラの箱に手をかけてしまっていた事に……
-第2話『マスタースミス』 完
ALO編でオリ主とCP組むとしたら誰?
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