鬼滅の刃ー彼岸の剣士— 作:キモ傘
「明さん鬼殺隊ですらないんですか!?」
ちょうど良いところに夜でも開いている茶屋があったので、そこに入り、団子を頼んで明さんを質問責めしている最中、明さんが柱どころか鬼殺隊ではない事が判明した。柱でないと聞いた時の数倍の衝撃が俺に走る。
鬼殺隊ではない……それはつまり、呼吸による身体能力の強化がないという事だ。身体能力の強化がないにも関わらず、ザンッと鬼を両断していた。
一体どんな身体能力なんだ……と思ったが、突っ込んだら負けな気がしたのでなにも聞かなかった。
「さて、今度は俺の方からいくつか聞きたいことがあるんだが。いいか?」
明さんは俺にそう質問してきた。勿論良い。俺が聞きたい事よりも、鬼を初めて見た明さんの方が聞きたい事は多いだろうし。
「まず最初に、お前は雅という男を知っているか?」
「……ごめん。知らない」
明さんはそうか、と呟くと考え込む素振りをすると、すぐに次の質問をしてきた。
「なら次に、吸血鬼、という言葉は聞いた事あるか?」
「無い、ですね」
鬼、ならば聞いた事あるが、その前に吸血とつくと聞いた事がない。鬼の一種なのだろうか? だとしたら、他の鬼殺隊に聞けば分かるかもしれないが、俺は知っていない。
「なら最後に……」
と、明さんが俺に質問しかけた時、茶汲みの人が頼んでいた皿に乗った団子を持ってきてくれた。俺はそれを受け取り明さんと俺の間に置くと
「この串に刺さってタレがかかっているのが、みたらし団子という物です。俺はこれが一番好きですね。その隣にある黒っぽい物体に包まれている団子は、こし餡団子です。結構甘いですが、かなり美味しいですよ」
明さんは俺の説明を聞いた後団子を口に含み、美味いと言った。ニコッと笑った明さんの顔からは、あの凄まじい力とかけ離れている雰囲気を感じた。
お茶を一口飲み、一息ついた後明さんは最後の質問を投げかけてきた。
それは馬鹿げたような内容の質問で、何故そんな事を聞くのか、と言った内容だった。
「最後にここは、日本か?」
「そうですよ」
至極当たり前のことなのに、何故聞くのだろうか。もしかして明さんは日本人では無い? いやでも宮本明という名前は日本人の名前だ。
謎が謎を呼び、さらなる疑問を呼び覚ます。
一体明さんはなにを知ろうとしているのか。
「落ち着いて聞け、健也。俺はもしかしたら、こことは違う日本から来たのかもしれない」
「ええ!? 本当ですか!?」
まさか明さんが別世界の日本からやってきているとは。
「そこでは、雅という男が日本を壊滅させている。吸血鬼ウイルスによってな」
明さんがそれから話し始めた事は……容易には信じることができないものだった。
一年中彼岸花が咲き乱れる孤島、彼岸島。そこには病院や五重塔や廃校、そしてそれとは別の学校にいくつもの村、そして通天閣のような建物に寺があるらしく、明さんと仲間達はその島で吸血鬼と呼ばれる人喰いの化け物と戦っていたらしい。そして明さんは遂に吸血鬼のボス、雅との一騎討ちをする事が出来たが、敗北。その結果として日本全土に人を吸血鬼にしてしまうウイルスに感染した蚊が放たれてしまったらしい。
その後日本本土に渡った明さんは、頭が良く豚汁を作る事ができる西山さんと幼なじみのユキと再会する。だが二人は、吸血鬼になってしまっていた。
明さんは涙ながらに彼らを殺した後、新たな仲間である鮫島、かっちゃん、ゆかぽん、ネズミと出会う。珍妙なぱーてぃー? の四人は、雅の息子と呼ばれる『あまるがむ』五人のうち一人と戦い、討伐に成功(あまるがむが何かはよく分からないが、とにかくすごい吸血鬼らしい)
そして二人目の雅の息子を倒すべく、『あいあーるてぃー』という施設を壊滅させた後移動していたのだが、その最中に風邪をひいて寝込んでしまい……目が覚めると俺達が任務で派遣された三頭山の中にいたらしい。
なんて……壮絶な経験をしているんだ。兄、師匠、自分を慕ってくれた者の死、良き敵との戦い、そして雅との決戦。
柱でもこれほどの人生をおくった人はいないのでは無いだろうか?
話終わった後の明さんは、悲しそうではなかったが、感情が抜け落ちた顔をしていた。
だが、確かに俺の住んでいる日本とは違う。吸血鬼なんていないし、雅なんて名前聞いた事もない。
全て聞き終わった後の俺と明さんの間の空気は、地獄の様だった。
団子の味なんて何も分からない。
団子を食べ終わり、お茶も飲みほした俺達は店を出て、近所の町へと向かった。
雅様と無惨様の対決そのうちやれたらなぁ