素晴らしき世界と鬼島津   作:syunin

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 お待たせしました。

 本当に。


四話

 

 「いらっしゃいませ」

 

 店の中に入ると、店主と思われる女性から声をかけられる。

 

「お(まん)が店主か」

 

 豊久は、開口一番で言った。

 

 「はい、この魔法道具屋を営むウィズと申します。どのようなものが入りようですか?」

 

 そう答える抜群のスタイルを備えた店主に、豊久は単刀直入に言う。

 

 「たまぐすり…………こくしょく、かやくちうもんが欲しか」

 

 「ちょっと調べたいことがぁ」と言い路地裏に姿を消したクリスを置いて、豊久は魔道具屋に来ていた。

 種子島とは、瞬発式火縄銃である。

 引き金を引くことによってばねのロック機構が解除され、火がついた縄が火皿にたたきつけられることによって火薬に点火、爆発の威力にて鉛球を打ち出す。

 という旨をウィズに種子島を見せながら伝えると、今度は彼女が質問する。

 

 「その、コクショクカヤクと言うものは知りませんが、火につけて爆発するものはいろいろ揃えてありますよ。もしかしたらそれ(・・)に近いものがあるかもしれませんので、実物を見せていただけませんか?」

 

 そう言うウィズに、豊久は黙って袋をテーブルに置くことで答えた。

 

 「拝見させていただきます。…………これは、粉末でしょうか。それならば、爆発するポーションを粉末化させることができるので、そちらで代用してみてはいかがでしょうか」

 

 そう言うウィズに、豊久は答える。

 

 「それじゃあ、一袋もらおうか。外で試し撃ちすっとしよう」

 

 そう言って、豊久は金子(きんす)をウィズに渡した。

 

 「あの、できれば実物を見せてはくれませんか?」

 

 「実物?さきにみせたが」

 

 「改めて見せてほしいんです」

 

 そう言うウィズに、豊久は腰から種子島を抜いて渡す。

 

 「これが、タネガシマですか。機構自体はクロスボウとほぼ同じですね。この筒の中にその粉末を入れるのですか?」

 

 その言葉に無言で首を縦に振る豊久。

 

 「この強度でしたら、ポーションの爆発にも耐えますね。ついでにこの鉛の弾も私の伝手を使って試作してみますか?」

 

 「頼むど」

 

 「わかりました。しかし、どうしてここま回りくどいことをしてまでこれ(・・)で攻撃をするんですか?別に弓とかでいいのでは」

 

 「種子島ん銃火はときのこえぞ(・・・・・)

 

 ウィズの問いに静かに答える豊久。

 

 「お(まあ)を狙うちょるいう口上じゃ。そいに種子島は訓練が早か、昨日までん農民が一日(ひとにち)で戦に出てくっど」

 

 そう言う豊久に、ウィズは「はえぇー」と、呑気な声を漏らす。

 それを、豊久は冷めた目(・・・・)で見ていた。

 

 

 

 

 

⊕⊕⊕⊕⊕

 

 

 

 

 

 「あの、すいません。アクア先ぱ……えっ!いないんですか!?」

 

 「下界!?じゃあ今は貴女が……」

 

 「あの、ところでこの前送り込んだ日本人の武士についてなのですが……」

 

 「ですよね、やっぱり」

 

 「えっ!?私が!?」

 

 「いやいや無理ですよぉ……あんなの、制御できっこない……」

 

 「………‥切れちゃった」

 

 「うそでしょ……?ホントに私がやるんですか…………?」

 

 

 

 

 

 

⊕⊕⊕⊕⊕

 

 

 

 

 

 引き金が引かれ、ばね式で火皿に火縄が落ちる。

 ドーン、という間延びした破裂音。

 爆発によって押し出された鉛球が、銃口内にて何度も銃身にあたりながら銃口から飛び出す。

 その鉛球は、ライフリングとそれに合う弾のない古式銃故の仕方のないズレを生みながらも目標へ命中した。

 

 「ま、ままままさか、できちゃった(・・・・・・)?」

 

悲痛な声が、草原に届いた。

 

 種子島の試し撃ちに同行したクリスの様子を見て、豊久は嘆息する。

 

あたりまえじゃ(・・・・・・・)

 

 何て事の無い様に、豊久が答えた。

 

「こんた道理で動いちょっ(うごいてる)。道理を違えんな動っど(うごくぞ)

 

 簡単に答える豊久に、クリスは思わず膝をついた。

 

___早い、早すぎる!

 

___確かに概念さえあれば、誰かが至れば(・・・)出来上がる下地はあった!

 

___だけど、そこにたどり着くまでがまだ早すぎる!

 

 がっくりとうなだれながら、クリスは心の中で吐露する。

 この試し撃ちの前にあったらしい、臨時の神々による会議。

 そして出た結論は下界に既に降りているエリス神に臨機応変に対応させる(エリスちゃんに全部ぶんなげるわ)というものだった。

 この世界へ日本人を派遣することが決定する前、その日本人のいる世界の歴史について調べたことがあった。

 そして、すべての神々が恐怖した。唯の人間に、神々が。

 死をまく煙(毒ガス)生物の理(DNA)に介入する技術に日輪に近い理(核分裂)で都市ごと滅ぼす爆弾。

 何よりも、人同士の戦いで起きたおびただしいほどの犠牲者に神々は恐れを抱いた。

 その中でも特に温和かつ、我々の文化に適応しやすいタイプの日本人を選別して送っていた。

 しかし、ここに差異が生まれてしまった。変質が生まれてしまった。

 これは革命である。

 どれほど時間がかかるかわからないが、いつか起こるであろう変異に、クリス(エリス)は今から背筋が凍るような思いをした。

 そして、クリスはすでに火薬の類似品の有用性が立証(・・・・・・)されてしまったことに愕然とする。

 

 「そ、そのさぁ……それ、どうするの?」

 

 「そんなの決まっちょる」

 

 震える声で尋ねるクリスに、豊久は答える。

 

 「(おい)戦馬鹿(いくさばか)ぞ。種子島ば戦ん使うものぞ。戦で使うにきまっちょる」

 

 「ですよねぇ」

 

___あっ、終わった。これダメな奴だ。

 

 ふらり、と倒れるクリス。

 脳裏に浮かぶは神々の怒号、狂乱。

 すでに制御不能寸前まで差し迫ったある意味での脅威に、思わず頭痛がする。

 

 「おう、坊主。ぎるどに戻っど」

 

 「えっ」

 

 悲壮な思考の渦に吞まれていたクリスに、豊久がそう言った。

 

 「ぎるどちゅうところは、徒党を集めらるっとじゃろう」

 

 「そ、それってまさか」

 

 そう言う豊久に、ふらふらと立ち上がりながら聞くクリス。

 さらに面倒な展開を予想するクリスに、その予想通りの言葉を豊久は言う。

 

 「徒党を組む。兵子者(へごもん)がおっと良かとだが」

 

 そう言いながら歩いていく豊久。

 その姿にクリスは再び崩れ落ちそうになるが、ふと思い立つ。

 

___そうだ、これはチャンスだ!

 

___あたしがその徒党(パーティー)に加われば、まだ芽はある!

 

 そう考え、豊久の前に笑顔を作り回るクリス。

 

 「ねえねえ!あたしもそのパーティーにいれてよ」

 

 そういうクリスに、足を止め唯見つめる豊久。

 その瞬間、笑顔が引きつる。

 

 「……良か、ちてけ(ついてこい)

 

 そう言った豊久の瞳は、冷徹にクリスを見つめていたのだ。

 ただただ、冷徹に。

 

 

 

 

 

 

⊕⊕⊕⊕⊕

 

 

 

 

 

 「ね、ねえ、ギルドはこっちじゃないと思うんだけど」

 

 アクセルの街、路地裏。

 誰もいないことを確認し、太刀の鯉口を切った。

 

 一閃。

 

 とまではいかず、クリスの目の前で刃の切っ先は止まる。

 

 「こん粉末はウィズち言う商人から買った」

 

 そう言う豊久に、クリスは冷や汗が止まらない。

 

 「種子島ん動きを教えた、使う意味も教えた。じゃっどん、本質を理解せんやった」

 

 太刀の切っ先がこちらにゆっくりと近づく。

 

 「お(まん)は気づいた。いや、知っちょった。どいつもこいつも腑抜けちょっ中でお(まん)だけが知っちょった(・・・・・・)

 

 太刀が下げられる。しかし、その殺気は止まず。

 むしろ引き絞られた弓のように強まっていた。

 

 「騙りは許さん」

 

 

 

 「ぬしゃあ(・・・・)なんぞ(・・・)

 

 

 

 本物の武士(・・・・・)から向けられる、本物の殺気(・・・・・)

 いくら神といえど、それに耐えられるはずもなく。

 

 「う」

 

 「う?」

 

 オウムのように声を返す豊久の耳に、チョロ、という音が入る。

 

 「うわあぁぁぁぁん!うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 それがクリスが失禁したものだと気づく前に、豊久の意識はクリスの絶叫とも取れそうな涙声に塗りつぶされた。

 

 「お、お(まん)、なにしちょるんじゃ」

 

 「うわあぁぁん!無理に決まってるんですよ!私に戦国時代の武士の制御なんて!なんでこの人呼び出しちゃったんですかアクア先輩!」

 

 そう言いながらへたりと座りこむクリス(エリス)

 その様子に、豊久は思わず構えを解いた。

 

 「まるで、(おい)がいじめちょっごたっらせんか」

 

 「うわあぁぁぁぁん!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」

 

 一向に泣き止む気配を見せないクリス(エリス)に、堪らず太刀を鞘に戻す豊久。

 そのままへたりこむクリス(エリス)に近寄り、しゃがみこんであやし始める。

 

 「なんだ、これ」

 

 思わずつぶやいた豊久の言葉は、空へと消えていった。

 

 

 

 

 

 





 「何故、今更になって投稿した?」

 「この小説の、店じまいのお知らせをしたくて」

 「本日で、「素晴らしき世界と鬼島津」実験二次創作はおしまいになりました」

 「閉店、店仕舞いとなりました」

 「これからは、新たな二次創作「素晴らしき世界へ鬼島津」で心機一転頑張っていこうと思います」

 「皆様、長らくご愛好ご利用ありがとう」

 「さようなら」




 と、言うわけです。

 とりあえずこれは残しますが、なんかほかの漂流者を呼びたくなった時に題名が変わって更新されるかもしれないです。

 マジでお待たせしました。
 今度こそ終わらせるので、もしよろしければこちらを読んでいただければと思います。
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