二人の幼子は両親に連れられた1人の少女を見送っていた。
「うん。お父様とお母様が決めたことですもの」
「元気でね」
「お手紙いっぱい書くからね」
「二人とも、この子と仲良くしてくれてありがとうね」
「おじさんと、おばさんもお元気で」
「ありがとう」
「お父様、お母様二人にアレを挙げたいの」
「…いいんじゃないか」
「…」
少女はイヤリングを二人に渡す。
「…なにこれ」
「イヤリングって言いますの。私の家に伝わる【永遠の友情】の証ですわ」
「ありがとう。大切にするね」
「はい。二人とも本当にありがとう。私貴方達が大好きです」
ここは、地球から30光年離れた場所にある銀河系『流星銀河』この銀河系に移り住んだ人類は元来いた生命との融和が果たせず、宇宙をさ迷っていた。
「敵主力部隊を確認。バルキリー部隊発進急げ」
『流星銀河』を拠点とする新統合軍直属第133次長距離移民船団『サークル船団』旗艦『マクロス・スフィア』にはこの日も敵襲来のアラートが鳴り響いた。
「スフィア小隊発進準備OK全機発進する」
『マクロス・スフィア』専属のエリートバルキリー部隊『スフィア小隊』が隊長『コニー・マカロニ』大尉の号令のもと速やかに戦場へ飛んだ。
「今日は何体ブッ殺せるかな得体のしれない未確認生命体『テラー』」
「未確認生命体ねえ…」
「なんだガイア。なにか言いたげだな」
「ペドロ中尉。向こうからしたら俺達も未確認生命体なのかなっと」
「なに悟ったみたいなこと抜かしてんだ。撃ち落とすぞ」
「冗談でも止めてください」
「お前はあんまボーっと幼なじみのアイドルに見とれて撃ち落とされんなよ」
「なっ、そんなことないですよ」
「はっ、噂をすれば俺達のアイドルの登場だ」
『マクロス・スフィア』の機首の下に設営された特設ステージに1人の女性が現れる。
「私の歌よ皆に届けーーー」
明るくポップなメロディーが戦場に響き渡る。
「おー来た来たサークル船団のアイドル『雲間天(くもまそら)』今日も元気でノリの良い歌頼むぜ」
「雲間天のフォールドレセプターアクティブ。各VF-33『コスモス』の機体性能上昇を確認」
「よし。今日こそ得体のしれぬうじ虫どもを一網打尽にしろ」
『マクロス・スフィア』艦長『ガイル・シュバルサー』によって攻撃開始の合図が出され、一斉攻撃が始まった。
(天…お前は今、どこを見てるんだ)
ガイアの乗る『コスモス』は無駄の無い動きで次々と『テラー』を撃ち落とす。
「どうしたスフィア3。絶好調じゃねーか」
「スフィア2後方に敵」
「なに、おっとあぶねーサンキュースフィア3」
「スフィア小隊各機。敵の拠点らしき浮遊物を発見した。ターゲットをそちらに集中」
スフィア小隊がターゲットの浮遊物に近づく
(なんか生き物みたいな生々しさだなこれ)
攻撃を始めるスフィア小隊
(なんだよ…攻撃した場所から液体が出て来てるじゃないか、気持ち悪い)
「なかなかしぶといな…よしここは一発デカいのを…」
突然止まるペドロの『コスモス』
「スフィア2どうした応答しろスフィア2」
「誰か…この『歌』を止めてくれ」
「歌。雲間天の歌以外に歌など…」
ペドロの『コスモス』が周囲にいた味方機を撃ち落とす。
「なにしてるスフィア2。そいつらは味方だ」
「歌を…歌を止めてくれ。頭が脳ミソがかきみだされて、俺がオレじゃ…な・く・な」
機体が完全に止まる。
「スフィア2おい、スフィア2…スフィア2のバイタル停止だと」
「そんな中尉、ペドロ中尉」
「スフィア1よりマクロス・スフィアへ雲間天の歌を止めてくれ、こちらのパイロットが原因不明の症状で戦死した」
軽やかなメロディーは突如止まり静寂が流れる。
「歌…確かに別の歌が聞こえる…なんだ頭が」
「隊長どうしましたか隊長」
「ガイア…頭が割れるように痛いんだ、お前は無事なのか」
「はい」
「発信源を探れこのままでは敵の返り討ちにあう」
「了解」
ガイアは急ぎバルキリーを飛ばす。不思議なことにガイアの腕は、まるで歌い手のもとへ導くかのように自然と動いた。
(この歌声…俺は知っているのか。身体が勝手に動いて…なんで涙が)
気がつくとバルキリーは浮遊物の真正面に立っていた。腕のバルカンで浮遊物に穴を開けると歌が止まった。
(…人影)
モニターをアップすると1人の女性が怯えていた。
「…メーアなのか」
それは【もう1人の幼なじみ】との再会であった。