「メーア…メーア・シーリング」
その女性は、恐る恐るガイアを見る。少しして彼女の記憶から彼の存在が呼び覚まされた。
「ガイアくん…ガイア・ウッドロードくんなの」
「そうだよ、幼い頃君と一緒によく遊んだガイア・ウッドロードだ。どうして君がこんなところに」
「…お仕事でここに来てたんだけど、外の戦闘に巻き込まれてしまったの」
「こんなところで仕事…今はどうしてるのあれから、おじさんやおばさんは元気」
「父も、母も…死にました」
「そっか…ゴメンよ」
「いえ、知らなくて当然ですわ気になさらないで、ガイアくんは…夢叶えたんだ」
「うん。あぁ『サークル船団』旗艦『マクロス・スフィア』所属バルキリー部隊『スフィア小隊』のパイロットだ」
「『サークル船団』…私達が暮らしていた『トロメア船団』はどうしましたの」
「『トロメア船団』は…無くなったよ」
「そんな…どうしてですの」
「『ヴァールシンドローム』が船団内で流行して統治機能が麻痺。新統合政府から解散宣言が発令されて、跡形もなく消滅したよ」
「『ヴァールシンドローム』って突然感染者が暴徒化する奇病ですわよね、なぜそんな物が」
「ブリージガル球状星団から来た人がウイルスを知らない内に持ち込んで、耐性の無い人に感染して爆発的に拡がったって聞いたよ、『トロメア船団』を脱出出来たのは感染しなかった僅かな人でそれ以外は皆…」
「そうでしたの…天さんは、天さんは無事ですの」
「天も『サークル船団』にいるよ。今や『サークル船団』の希望のアイドルとして有名人だ」
「そうですの…お元気なのでしたら良かったですわ」
「…スフィア3、スフィア3応答しろ」
ガイアの無線には隊長からの声が鳴り響いていた。
「こちらスフィア3。船内で民間人と思われる女性を保護。これより救助します」
「急げ、マクロス・スフィアはその未確認浮遊物の大量破壊兵器による完全破壊を決めた」
「なっ、了解です…メーア一緒に来て。もうすぐこの物体に総攻撃が行われる。このままここにいたら危ない」
「ガイアくん、ありがとう。貴方は行って、私はこの中にいる人々を置いて行けません」
「なに言ってるんだ。この中に君以外の人なんて…」
「いますのよ。ガイアくん、統合政府はやはり隠蔽していたのですね」
「どういうこと…」
「ガイアくん。貴方が未確認生命体として呼んでいる『テラー』は…」
そこへ強大な爆風が二人を襲う。吹き飛ばされる二人の身体
ガイアは自分の『コスモス』がオートで駆けつけバルキリーに乗り込む。
「メーア」
コックピットから手を伸ばすガイア。
「…変わらず貴方は優しいのね。大丈夫。貴方が私を忘れない限り、また会えますわ」
「メーア、ダメだ、メーア」
爆風の中にメーアの身体は消え去った。
「メーアーーー」
ガイアの無念の叫びが真っ暗な空に響き渡った。